弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
被告が昭和三八年一一月四日付でした、原告の昭和三五年五月一八日相続開始にか
かる相続税について、その課税価格を金三四、三〇七、四〇〇円とする更正処分
(ただし、昭和四五年四月一五日付再更正処分により金三三、四〇〇、〇〇〇円に
減額されたもの)のうち、金二八、七三五、九九一円を超える部分、および過少申
告加算税四五九、八〇〇円とする賦課決定処分(ただし、右再更正処分に伴い、金
四五二、六〇〇円に減額されたもの)のうち右金二八、七三五、九九一円を超える
部分に対応する部分は、いずれもこれを取消す。
原告のその余の請求を棄却する。
訴訟費用はこれを五分し、その四を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
○ 事実
(当事者の求めた裁判)
一 請求の趣旨
1 被告が昭和三八年一一月四日付でした、原告の昭和三五年五月一八日相続開始
にかかる相続税について、その課税価格を金三四、三〇七、四〇〇円とする更正処
分(ただし、昭和四五年四月一五日付再更正処分により金三三、四〇〇、〇〇〇円
に減額されたもの)(以下「本件更正処分」という)のうち、金九、五一二、〇〇
〇円を超える部分、および過少申告加算税を金四五九、八〇〇円とする賦課決定処
分(ただし、右再更正処分に伴い、金四五二、六〇〇円に減額されたもの)は、い
ずれもこれを取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
(当事者の主張)
第一 請求原因
一 原告は、昭和三五年五月一八日、その父Aの死亡により、同人の財産を相続し
たので、同年一一月一八日、被告に対し、課税価格を金一二、三七七、三〇〇円と
して相続税申告書を提出した。
これに対し、被告は、昭和三八年一一月四日付で、課税価格を金三四、三〇七、四
〇〇円とする更正処分、および過少申告加算税を金四五九、八〇〇円とする賦課決
定処分をした。そこで原告は、同年一二月四日被告に対し異議申立をしたところ、
昭和三九年三月三日異議申立を棄却する旨の決定を受けたので、更に同年四月二日
大阪国税局長に対し審査請求をしたが、昭和四〇年三月三一日審査請求を棄却する
旨の裁決がなされた。
被告は、その後昭和四五年四月一五日付で、原告の課税価格を金三三、四〇〇、〇
〇〇円とする再更正処分を行つた。
二 1 国税通則法二四条は、税務署長が申告課税標準又は税額等を更正する場合
について「その他当該課税標準等または税額等がその調査したところと異なるとき
は、その調査により更正する」と規定している。ところが本件更正処分は、被告の
職員が原告の相続財産について何ら実地調査をすることなく、机上における常識に
基づいてなされているのであつて、実地調査をしていないこと自体同条に規定され
ている調査の要件を欠いているのであるから、本件更正処分は、既にこの点におい
て手続上違法である。
2 本件更正処分、および過少申告加算税の賦課決定は、原告に対する相続税の課
税価格が金九、五一二、二三六円にすぎないにもかかわらず、これを誤つて過大に
認定した結果なされたもので、本件更正処分のうち、課税価格金九、五一二、〇〇
〇円を超える部分、および過少申告加算税の賦課決定は、いずれも実体上違法であ
る。
3 よつて請求の趣旨のとおりの判決を求める。
第二 被告の答弁
請求原因一の事実を認めるが、同二の主張を争う。
第三 被告の主張
一 本件相続財産の内訳およびその価額は、別表(一)の(イ)(ロ)欄記載のと
おりであり、そのうち農地(田)、および宅地の内訳および価額は別表(二)の
(イ)(ロ)欄記載のとおりである。そして、農地、宅地、農機具、および役牛に
ついての、被告主張額の算定の根拠は、別紙一記載のとおりである。
二 そうすると原告に対する相続税の課税価格は、金三五、七八八、一〇六円とな
り、本件更正処分の課税価格を上まわることになるから、本件更正処分および過少
申告加算税賦課決定には何ら違法が存しない。
三 原告の農地の評価方法に関する主張に対する反論
原告は農地の評価方法として、別紙二の第一の一(二)、二(二)、三(三)、四
(二)、および五(二)において、{(農地が宅地であるとした場合の評価額×
0.92)-(840円×坪数)}×80%
の算式によるべきである旨主張する。
しかしながら原告の右主張は失当である。通常農地の一筆の大きさは宅地の一筆の
大きさよりも大きいため、そのすべてが宅地に転用されるとした場合、その居住者
の居住に必要な私道部分に土地の一部を充てることが必要となる。この場合私道部
分に必要な面積、私道がつけられる位置、その私道が付けられることによる土地価
格の値上り率(その私道に付せられることとなる路線価による側方路線加算率の加
算による値上り)、その土地全体の奥行調整率と私道が付されることによつて変化
した奥行調整率等について考慮して土地の評価をしなければならないが、前記算式
の九二%は、これらすべての要素を考慮して定められたものである。
したがつて、原告主張のような評価方法をとるとぎは、奥行調整を二度行なう結果
を生ずるとともに、私道が付されることによる土地の値上り率を不当に低く押える
ことになつて、合理的ではない。
第四 被告の主張に対する原告の答弁および主張
一 本件相続財産の価格については、家庭および家庭用動産の各価額、預金、借入
金、未払金、および葬式費用の各金額はいずれもこれを認めるが、その余の相続財
産の価額を争う。
二 本件相続財産についての原告の主張価額(農地、宅地については第一次的主張
による)は別表(一)(ハ)欄記載のとおりである。
農地、宅地、農機具および役牛についての原告主張額の算定の根拠は、別紙二記載
のとおりであり、この内、農地および宅地各筆の原告主張額を一覧表にして示せば
別表(ニ)(ハ)欄記載のとおりである。
(証拠省略)
○ 理由
一 請求原因一の事実は当事者間に争いがない。
二 調査の有無について。
原告は、本件更正処分は、原告の相続財産について、実地調査しないでなされたも
ので、国税通則法二四条に違反する手続上違法な処分であると主張するので以下検
討する。
国税通則法および相続税法は、更正処分の前提となる調査の方法について特に規定
を設けていないが、原則として、課税標準については、現存し、利用しうる資料を
もつて正確にこれを確定すべきである。しかしこれを厳密に行なおうとすれば、多
大の労力、経費、時間を要する場合には、大量的、回帰的な処理を必要とする税務
行政の要請上、次善の方法をもつて代えることも許されると解すべきである。
これを本件についてみると、証人Bの証言およびこれによつて真正に成立したもの
と認められる乙第一号証、第二号証の一ないし四、第三号証の一ないし六、ならび
に弁論の全趣旨によれば、被告は本件更正処分をするにあたり、相続財産中の土地
に関し、実測図がないので、面積は固定資産課税台帳登録坪数(以下「公簿面積」
という)により、形状は芦屋市役所固定資産税係保管の同市役所備付の地籍図(以
下「地籍図」という)を参考として、間口間数、奥行間数(それにより算出される
坪数)を把握し、価額については、昭和三〇年四月三〇日付直資四三国税庁長官通
達「宅地の評価について」(乙第一号証。以下「宅地評価通達」という)、大阪国
税局昭和三五年分「相続税財産評価基準」(乙第二号証の一ないし四。以下「昭和
三五年分財産評価基準」という)、および大阪国税局作成の昭和三五年分路線価設
定地域図(乙第三号証の一ないし六。以下「路線価設定地域図」という)によつて
評価したことが認められる。もち論、土地の面積、形状については、すべて実測値
によることが望ましいが、相続税の課税関係が発生した場合に、多数筆の土地につ
いて実測を行なうことは、多大の労力、経費、時間を要することを考慮すると被告
の右措置はやむをえないものとして容認されるべきである。
また、証人Cの証言、およびこれにより真正に成立したと認められる乙第一六号証
ならびに弁論の全趣旨を総合すると、被告は、農機具の価額については原告の相続
した農地の耕作面積より認定し、その他役牛の価額、未払公租公課、借入金につい
てもそれぞれ調査のうえその金額を認定したことが認められる。
以上によれば、本件更正処分が調査なくして行なわれたものであり、手続上違法で
あるとする原告の主張は理由がない。
三 課税価額について。
本件相続財産中、家屋および家庭用動産の価額、預金、借入金、未払金、および葬
式費用の各金額については当事者間に争いがない。そこで以下において、農地、宅
地、農機具、役牛の各価額、公祖公課の金額について順次検討を加える。
1 農地、宅地の価額について
(一) 芦屋市(以下においては、芦屋市をすべて省略する)<以下略>(宅地)
に関する原告の第一次的主張について
原告は、右土地が、昭和二三年一月二七日、被相続人であるAから原告が生前贈与
を受けていたと主張するので検討する。
成立に争いのない甲第三号証(不動産贈与公正証書謄本)によれば、Aは、昭和二
三年一月二七日D公証人役場において、同日付で、第二項に「自分所有ノ左記不動
産ヲEニ贈与ス-<以下略>」、第三項に「Eハ未成年者ナルヲ以テ同人ガ成年ニ
達スル迄ハ自分ガ親権者タルモノトス」、当事者の表示として「贈与者A」との趣
旨を記載した公正証書を作成したことが認められる。右甲号証によれば、右公正証
書には、原告の受贈の意思表示は記載されていないが、原告本人尋問の結果によれ
ば、昭和一九年ごろ、Aと原告が右土地を耕作していた際、Aは右土地を原告に贈
与する旨述べたこと、証人Fの証言によれば、同女が原告と結婚した昭和三二年ご
ろ、Aは、原告の住居を建てるために、右土地を既に原告に贈与してある旨述べて
いたことがそれぞれ認められるから、右公正証書の内容は、遺贈または死因贈与と
解すべきではなく、贈与契約と解すべきであり、原告の受贈の意思表示は、Aが当
時未成年者であつた原告の法定代理人として、原告を代理して行つたものと解する
のが相当である。そして、証人Fの証言によれば、昭和二三年当時右土地は既に造
成されて宅地化しており、宅地として他人に賃貸していた事実が認められるから、
右贈与には農地調整法(昭和二七・一〇・二一廃止)五条の適用はなく有効に成立
したというべきである。
なお、成立に争いない乙第五号証と原告本人尋問の結果によれば、原告は相続税の
申告にあたり、右土地を相続財産として申告していること、また右土地の登記名義
を相続を原因として原告に移転していることが認められるが、原告本人尋問の結果
によれば、原告は右公正証書が作成されていたことを知つてはいたが、その保管場
所を知らなかつたため、やむをえず右の措置をとつたものと認められるから、これ
をもつて、前示贈与の認定を左右することはできない(受贈の意思表示はAが原告
を代理してなしたものであるから、たとえ原告が贈与の事実を知らなかつたとして
も、贈与の効力には影響がない)。証人Fの証言および原告本人尋問の結果を総合
すると、原告が成年に達した時以降においても右土地の賃貸借契約の締結、賃料の
受領、税金の納付は、Aが行つていたことが認められるが、これらの事実は、A
が、右土地を原告が未成年の時から管理していたことの延長と解することができる
から、これらの事実をもつてしても前記贈与の認定を左右することはできず、他に
これを覆えすに足りる証拠は存しない。
よつて原告の右土地をAから生前贈与を受けた旨の主張は容認されるべきである。
(二) <以下略>以外の土地の評価について。右各土地の面積、形状、その評価
方法については、被告と原告の主張する基準が異なるので以下において検討する。
(1) 面積について。
被告は公簿面積を基準とし、原告は、公簿面積ないし地籍図を筆写測定して計算し
た面積を基準としている。
相続税法二二条は、相続財産の価額は、相続による財産取得時の時価をもつて評価
すべきことを定めているのであるから、一般的には土地の実面積を基準として評価
するのが相当である。しかし本件においては実面積が明らかにされていないから客
観的にみて最も実面積に近いと認められる数値を基準とするほかはない。
ところで、一般的に地籍図ないし字限図と呼ばれるものは、土地の位置ないし形状
を知るためのものであり、これを基にして面積を求めることができるほどの正確性
がないことは公知の事実といえる。そこで本件で原告、被告双方から引用されてい
る地籍図(甲第一〇号証の一ないし八、乙第九号証はこれを筆写したものとして提
出されている)の正確性について検討すると、証人Gの証言によれば、この地籍図
は、昭和一九年作成にかかる一、二〇〇分の一の土地台帳附属図が古くなり、また
土地評価上、一、二〇〇分の一の図面では不便となつたので、昭和三八年測量会社
に委嘱してこれを図面上六〇〇分の一に拡大して作成され現在芦屋市の土地課税台
帳の附属図として使用されているものであり、土地の位置については実際と相違が
なく、形状についても実際と大きな相違がないこと、これは固定資産税を賦課する
際の土地の評価のために使用されるが、面積は、公簿面積を基準としていること、
昭和一九年に作成された旧地籍図の作成方法が明らかでないこと、以上の事実が認
められる。右事実によれば、本件地籍図の面積の正確性については明らかではな
く、他にこの点に関する証拠がないから、右各土地の面積については、右地籍図に
よるべきではなく公簿面積(その数値については当事者間に争いがない)を基準に
するのが相当である。
(2) 形状について。
右認定事実によれば地籍図に記載されている土地の形状は実際とは大きな相違がな
いのであるから、右各土地の実測図がない以上、その形状については、地籍図に記
載されているものを基準とするのが相当である(なお地籍図により測定、計算した
各土地の面積が、原告と被告の主張においてくいちがつている点については後に
(4)VIで検討する)。
(3) 評価の方法について。
(イ) 農地(別表二(イ)欄の第一の1ないし5)について。
被告は、右各農地が、宅地転用可能農地に該当することを根拠として、まずこれを
宅地と仮定し、地籍図の当該農地の形状に基づき、各奥行間数ごとの面積を求め、
「路線価設定地域図」による路線価を基礎とし、「宅地評価通達」に定める路線価
方式により計算した金額から、農地を宅地に転用する場合の整地費相当額として坪
当り金八四〇円の割合による金額を控除した残額に、転用許可済農地との調整を図
るため八〇%を乗じ、更に公簿面積としての評価に引きなおすために地籍図から算
出した面積に対する公簿面積の割合を乗じて得た金額をもつて右各農地の評価額と
している(別紙一の第一)。
弁論の全趣旨とこれによつて真正に成立したと認められる乙第四号証および前掲乙
第三号証の一ないし六によれば、本件各農地が宅地転用可能農地に該当することが
認められるところ、被告主張の右評価方法は、「宅地評価通達」および証人Bの証
言によつて真正に成立したものと認められる乙第一〇号証(昭和三八年三月国税庁
「相続税関係主要通達集」)中の、昭和三五・二・二付直資八国税庁長官通達「昭
和三五年分の相続税等に適用する財産の評価基準について」に規定されている評価
方法を算式の基本としており、本件農地が宅地転用可能農地であるところからみれ
ば右方法によることが相当であるのみならず、これは国税庁が、各種調査実績にも
とづいて定めたものと解せられ、(4)以下において原告の主張を検討した結果に
照しても妥当性を失わないこと、面積、形状については、右(1)、(2)で検討
したものに依拠していることを考慮すると、全体として妥当な評価方法ということ
ができる。そして、具体的数値については、前掲乙第三号証の一ないし六により路
線価が、証人Bの証言ならびに前掲乙第二号証の四により坪当り整地費相当額八四
〇円が、証人本野昌樹の証言によつて真正に成立したと認められる乙第九号証によ
り右各農地に関する別紙一の第一の計算結果がそれぞれ認められる(ただし、乙第
九号証の別紙6、7、8には明白な計算誤りがあり、これを修正すると、別紙一の
第一の計算結果通りとなる。)。
(ロ) 宅地(別表(二)の第二の1、4、5)について。
被告は、右各宅地につき、地籍図の当該宅地の形状にもとづき各奥行間数ごとの面
積を求め、「路線価設定地域図」による路線価を基礎とし、「宅地評価通達」に定
める路線価方式により計算した金額から、借地権の価額として五〇%を控除した金
額に地籍図面積に対する公簿面積の割合を乗じた金額をもつて評価額としている
(別紙一の第二の一、四、五)
右評価方法は、農地の場合と同じ理由で全体として妥当な評価方法ということがで
き、具体的数値についても、前掲乙第三号証の一ないし六により路線価および借地
権の割合が、前掲乙第九号証により右各宅地に関する別紙一の第二の一・四・五の
計算結果がそれぞれ認められる(ただし、乙第九号証の別紙4、5の記載には明白
な計算誤りがあり、それを修正すると別紙一の第二の四、五の計算結果通りとな
る)。
(4) (I)原告の<以下略>(田)に関する第一次的主張について。
前掲乙第一〇号証によれば、右「昭和三五年分の相続税等に適用する財産の評価基
準について」は、昭和三四年における農地等の売買実例価額が、前年同期に比較し
て相当上昇しているために改訂採用されることになつた評価方法であるから、前年
の評価方法による場合よりも評価額が多額になるとしても地価が当時年々上昇して
いたことは公知の事実であるから右評価方法をもつて違法ということはできない。
また原告の主張する評価方法は、根拠があいまいで採用することができない。
(II) 原告の<以下略>(田)、<以下略>、<以下略>(宅地、貸地)、<
以下略>(田)、同<以下略>(田)に関する第一次的主張、および<以下略>
(田)に関する第二次的主張について。
原告は、これらの土地が、軌道敷接続地であるかまたは都市計画道路予定地である
こと等を理由として、それぞれ坪当りの適正評価額を主張しているが、その根拠に
ついては何ら主張立証がなく、採用し難い。
一方、路線価は、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している
道路ごとに一坪当りの宅地(標準画地)の価額を表示したものであり、毎年、売買
実例、精通者意見、前年の路線価額、接続地域との均衡等を基として定められるも
のであるから、原告主張の右事情は当然被告が基準とした「路線価設定地域図」の
路線価決定の際に反映されていると考えられるから、原告の右主張は何ら被告の評
価方法の妥当性を左右するものではない。
(III) 原告の<以下略>(田)、同<以下略>(田)、<以下略>(田)、
同<以下略>(田)に関する第二次的主張、および<以下略>に関する第三次的主
張について。
原告主張の評価の算式は、
{(当該農地が宅地であると仮定した場合の「宅地評価通達」に基づき計算した評
価額×92%)-(840円×坪数)}×80%・・・・・(A)
であるとみられるが、これは、「昭和三五年分財産評価基準」の定める算式
(近傍宅地の坪当り評価額×坪数×92%-840円)×坪数×80%
即ち
{(近傍宅地の坪当り評価額×坪数92%)-(840円×坪数)}×80
%・・・・・・(B)
の(近傍宅地の坪当り評価額×坪数)の項を(当該農地が宅地であると仮定した場
合の「宅地評価通達」に基づき計算した評価額)
に置きかえたものと考えられる。ところが弁論の全趣旨によれば、(B)式の「近
傍宅地の坪当りの評価額」とは、路線価を意味し、「九二%」は、宅地転用により
生ずる私道部分に必要な面積、私道がつけられる位置、その私道がつけられること
による土地価額の値上り、その土地全体の奥行調整率と私道がつけられることによ
つて変化する奥行調整率等の要素をすべて考慮して定められたものであると認めら
れる。したがつて原告主張の(A)式は、奥行調整を二度行なう結果となり不当で
あつて採用できない。
(IV) 原告の<以下略>(宅地、貸地)に関する第一次的主張、同<以下略>
(宅地、貸地)に関する主張および同<以下略>(宅地、貸地)に関する第二次的
主張について。
原告は、被告の用いた路線価方式による土地の評価は機械的、事務的であり、他に
適当な方法があれば、これによるべきは当然であると主張し、弁論の全趣旨により
真正に成立したと認められる甲第五号証(不動産価格調査及鑑定評価書)(以下
「鑑定評価書」という)に記載されている右各宅地の評価額を適正評価額として主
張している。
鑑定評価書では、右貸地である各宅地等は、更地の半額の七割前後に相当する額を
もつて取引価格とされている実情であり、また土地上に他人の家屋が存在している
ため、土地のみを買つたとしても利用価値はほとんどなく、投下資本に対する収益
性も極めて小さい実情のため極端に市場性が少く、取引も皆無に近い状況であり、
売買があつたとしてもその価格は著しく安価であり、鑑定の資料としては不適当で
あり、それ故比較的取引の多い更地を基準として昭和三五年五月ないし六月ごろの
附近一帯の不動産価格を形成する諸要素の考察および事実の調査に基づき、更地の
市場における売買の仲値をそれぞれ坪当り金二二、〇〇〇円、金三一、〇〇〇円お
よび金三二、五〇〇円とし、その半額の六割五分に相当する金額に公簿面積を乗じ
て得た金額二、一一六、四〇〇円、一、八三三、六五〇円および六、二九五、二五
〇円がそれぞれ右各宅地の適正評価額であるとしている。
しかしながら、鑑定評価書においては、右更地の売買の仲値を算出するについての
具体的根拠について何ら説明がなく、また右更地の仲値の半額の六割五分をもつて
当該宅地の評価額とすることについての合理的説明もなく、その評価方法は全体と
してその根拠があいまいであり、これにもとづく原告の主張は到底採用できない。
(V) 原告の<以下略>(宅地、貸地)についての第二次的主張について。
被告は、右宅地について正面路線価のほかその両側方にも路線価が設定されている
ことを主張するのに対し、原告は一方の側方路線価のみしか設定されていないこと
を主張するが、成立に争いのない甲第一一号証(芦屋市地番図)および被告の昭和
四六年一一月一日付証拠説明書添付図面によれば、被告が前掲乙第三号証の四の図
面上表示した右土地の位置は誤まりであり、同土地は右証拠説明書添付図面に表示
された位置に所在することが認められ、乙第三号証の四によれば、当該土地には正
面路線価のほか両側方にそれぞれ金九、三〇〇円の路線価が設定されていることが
認められるので、原告の主張は失当である。
(VI) 地籍図より測定、計算した各土地の面積は、原告と被告の主張において
すべて異なつているが、前掲乙第九号証によれば、被告の計算方法は、「宅地評価
通達」にいう「奥行に応ずる調整」を行なうに当り、正面路線と当該土地との境界
線を基とし、同境界線から同通達にいう「奥行間数に応ずる区分」欄の各距離を距
てたこれと平行な線をもつて地籍図より写した図面を区分して各部分の面積を測定
し、右調整を行なつているのに対し、前掲甲第一〇号証の三、同号証の六、同号証
の八によれば、原告は、<以下略>、同<以下略>、<以下略>(ただし同号証の
八でBと表示されている部分)の各土地につき、右平行な線による区分をせずに面
積を測定し、かつ当該面積と正面路線に面した間口の距離で除して得た数値をもつ
て奥行間数とし奥行調整を行つているが、このような方法により算出した奥行間数
は、右各土地のように間口に比べて奥が広がつている土地にあつては実際より大き
く計算され、したがつて奥行間数による評価額の減額調整が実際の奥行間数による
場合に比べて過大になされることになり、妥当性を欠くといわねばならない。右に
検討したところのほか、前示のように、土地の評価は最終的には公簿面積によるべ
きであり、地籍図は奥行調整についてのみ利用されるべきこと、地籍図より算定し
た面積についての原・被告間のくいちがいはさほど大きいものではないこと等を考
慮すると、地籍図に基づく奥行間数およびそれに対応する面積は、全体として乙第
九号証による被告主張の数値を採用すべきである。
(三) 以上検討したところによれば、<以下略>の宅地は相続財産から除外され
るべきであり、その余の土地の評価額は、合計金二九、一四三、六三五円となる。
2 農機具について。
原告本人尋問の結果によれば、本件相続当時、農業用動産としては、肩引車、たん
やという車各一台、鍬三挺、じようれん二挺、からすき一挺、脱穀機一台等が存在
したがいずれも祖先伝来の古いものであり、中にはほとんど使用できないものもあ
り、交換価値はほとんどないものと認められ、その価額は全体として、原告の主張
する金三〇〇円と認めるのが相当である。成立に争いない乙第一七号証の記載内容
は統計値であるから右認定を左右するに足りない。
3 役牛について。
大阪国税局協議団神戸支部作成部分は公文書であるから真正に成立したと認めら
れ、その余の部分については証人Iの証言によつて真正に成立したと認められる乙
第六号証の一、ならびに原告本人尋問の結果によれば、Aが昭和三四年三月にそれ
まで飼つていた牛を五才の和牛と交換したが、その価額が五万円であつたことが認
められるから、本件相続当時の右和牛の価格を四万円とする被告の主張は正当なも
のとして容認できる。
4 未払公租公課について。
証人Cの証言およびこれによつて真正に成立したと認められる乙第一六号証によれ
ば、本件相続財産から控除されるべき未納固定資産税額は、合計金一六二、三三〇
円であることが認められ、原告本人尋問の結果中右認定に反する部分は措信できな
い。
5 以上によれば、本件相続財産の内訳およびその価額は、別表(一)の(イ)
(ニ)欄記載のとおりであり、結局本件相続財産の課税価格は合計金二八、七三
五、九九一円となる。
四 よつて原告の本訴請求中、課税価格金二八、七三五、九九一円を超える更正処
分の取消、および右超過部分に対応する過少申告加算税の賦課処分の取消を求める
部分を正当として認容し、その余の部分を失当として棄却し、訴訟費用の負担につ
き、民事訴訟法九二条本文を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 下出義明 藤井正雄 石井彦寿)
別紙一
土地の評価額については、まず芦屋市役所固定資産税係備付の地籍図により、各土
地につき各奥行間数ごとの面積を求め、これに昭和三〇、四、三〇付直資四三国税
庁長官通達「宅地の評価について」を適用して(本件農地はいずれも宅地転用可能
農地に該当するので、これらをまず宅地と仮定した)評価額を算出し、農地につい
ては更に宅地造成に要する費用を差し引いた上、地籍図面積に対する公簿面積の割
合を乗じることによつて、公簿面積で換算した評価額を算出した。
第一 農地について
一、芦屋市<以下略> 田 三四三坪四二(住宅地域)公簿面積三五一坪
<略>
(二) 路線の数に応ずる調整
当該土地は正面と側方の一方に路線価が付されている。正面路線価金一三、〇〇〇
円に対する側方路線価金八、五〇〇円の割合は六五%であるから調整指数は六%と
なる(乙第一号証)。奥行調整価額に右の六%を加算すると金四、一三二、八一四
円となり、これは当該土地をこれと状況類似の宅地の価格で評価した価額となるも
のである。
(三) 宅地に転用する場合の整地費相当額
坪当たり金八四〇円を三四三坪四二に乗じると金二八八、四七二円となる(乙第二
号証)
(四) 転用許可済農地との調整
当該土地は現実にはまだ宅地転用許可を受けていないので、既に許可を受け、また
は許可の不要な農地との均衡を考慮して、前記(二)の価額から(三)の整地費相
当額を差し引いた残額の八〇%に相当する価額とする(乙第一〇号証)。
(一) 乃至(四)により計算すれば、金三、〇七五、四七二円となる。
(五) 右の価額三、〇七五、四七二円は地籍図面積によつて求めたものであるか
ら、地籍図面積に対する公簿面積の割合一・〇二二を乗ずると、公簿面積で換算し
た価額三、一四三、一三二円が算出される。
二、芦屋市<以下略> 田 二二八坪六九(住宅地域)公簿面積二四六坪
<略>
(二) 宅地に転用する場合の整地費相当額
坪当り金八四〇円を二二八坪六九に乗じると金一九二、〇九九円となる。
(三) 転用許可済農地との調整
前記一(四)と同様八〇%を乗じる。
(一) 乃至(三)から地籍図面積による価額は金二、一九二、〇九二円となる。
(四) 右の価額に地籍図面積に対する公簿面積の割合一・〇七五を乗ずれば金
二、三五六、四九八円となる。
三、芦屋市<以下略> 田 二〇七坪五五住宅地域)公簿面積一九六坪
<略>
(二) 宅地に転用する場合の整地費相当額
坪当り金八四〇円を二〇七坪五五に乗じると金一七四、三四二円となる。
(三) 転用許可済農地との調整
前記一(四)と同様八〇%を乗ずる。
(一) 乃至(三)から地籍図面積による価額は金一、六三五、九七九円となる。
(四) 右の価額に地籍面積に対する公簿面積の割合〇・九四四を乗ずれば金一、
五四四、三六四円となる。
四、芦屋市<以下略> 田 三〇〇坪一二(住宅地域)公簿面積三〇四坪
<略>
(二) 宅地に転用する場合の整地費相当額坪当たり金八四〇円に三〇〇坪一二を
乗じると金二五二、一〇〇円となる。
(三) 転用許可済農地との調整
前記一(四)と同様八〇%を乗ずる。
(一) 乃至(三)から地籍図面積による価額は金三、八二三、六一三円となる。
(四) 右の価額に地籍図面積に対する公簿面積の割合一・〇一二を乗ずれば金
三、八六九、四九六円となる。
五、芦屋市<以下略> 田 三一七坪二六(住宅地域)公簿面積三五一坪
<略>
(二) 宅地に転用する場合の整地費相当額
坪当たり金八四〇円に三一七坪二六を乗じると金二六六、四九八円となる。
(三) 転用許可済農地との調整
前記一(四)と同様八〇%を乗ずる。
(一) 乃至(三)から地籍図面積による価額は金四、一七九、六〇九円となる。
(四) 右の価額に地籍図面積に対する公簿面積の割合一・一〇六を乗ずれば金
四、六二二、六四七円となる。
第二 宅地について
一、芦屋市<以下略> 宅地二八三坪〇九(住宅地域)公簿面積二九六坪
(一) 奥行に応ずる調整
全部分が奥行一〇間以下であるから、奥行に応ずる調整を必要としない。路線価金
一七、〇〇〇円に二八三坪〇九を乗ずると金四、八一二、五三〇円となる。
(二) 路線の数に応ずる調整
当該宅地は正面および両側方の三方に路線価が付されている。
正面路線価金一七、〇〇〇円に対する側方路線価いずれも金九、三〇〇円の割合は
いずれも五四%であるから、調整指数は各四%、合わせて八%となる。
(一) の価額四、八一二、五三〇円に右の八%を加算すれば金五、一九七、五三
二円となる。
(三) 借地権の価額
当該宅地は賃貸されているので、借地権の価額、即ち右(二)の価額の五〇%(乙
第三号証の三)を差し引くと金二、五九八、七六六円となる。
(四) (三)の価額は地籍図面積によつて計算したものであるから、これに地籍
図面積に対する公簿面積の割合一・〇四五を乗ずれば金二、七一五、七一〇円とな
る。
二、芦屋市<以下略> 宅地三四一坪三一(住宅地域、うち道路使用部分一三坪五
二を差し引き三二七坪七九)公簿面積三八一坪〇八
<略>
(二) 路線の数に応ずる調整
当該宅地には正面と側方の二路線価が付されている。
正面路線価金二四、〇〇〇円に対する側方路線価金一二、〇〇〇円の割合は五〇%
であるから調整指数は四%となる。
(一) の価額七、三四八、二九六円に右の四%を加算すると金七、六四二、二二
七円となる。
(三) 借地権の価額
当該宅地は賃貸されているので借地権の価額、即ち右(二)の価額の五〇%を差し
引くと金三、八二一、一一三円となる。
(四) (三)の価格に地籍図面積に対する公簿面積の割合一・一一六を乗ずれば
金四、二六四、三六二円となる。
三、芦屋市<以下略> 宅地七二坪四七(住宅地域)公簿面積一〇九坪九二
(一) 奥行に応ずる調整
<略>
(二) 路線の数に応ずる調整
当該宅地は正面と側方の二路線価が付されている。
正面路線価金二四、〇〇〇円に対する側方路線価金一九、五〇〇円の割合は八一%
であるから調整指数は八%となる。
(一) の価額一、六九四、一三六円に右の八%を加算すると金一、八二九、六六
六円となる。
(三) (二)の価額に地籍図面積に対する公簿面積の割合一・五一六を乗ずると
金二、七七三、七七三円となる。
四、芦屋市<以下略> 宅地一七六坪〇七(住宅地域)公簿面積一八二坪
<略>
(二) 路線の数に応ずる調整
当該宅地は正面および側方に路線価が付されている。
正面路線価金二四、〇〇〇円に対する側方路線価金一九、五〇〇円の割合は八一%
であるから調整指数は八%となる。
(一) の価額四、一六七、四三二円に右の八%を加算すれば金四、五〇〇、八二
六円となる。
(三) 借地権の価額
当該宅地は賃貸されているので借地権の価額、即ち右(二)の価額の五〇%を差し
引くと金二、二五〇、四一三円となる。
(四) (三)の価額に地籍図面積に対する公簿面積の割合一・〇三三を乗ずると
金二、三二四、六七六円となる。
五、芦屋市<以下略> 宅地五九九坪八六(商業地域うち道路使用部分五五坪二九
を差し引き五四四坪五七)公簿面積五九六坪
<略>
(二) 路線の数に応ずる調整
当該宅地は正面および側方の二方に路線価が付されている。
正面路線価金三一、〇〇〇円に対する側方路線価金一九、五〇〇円の割合は六二%
であるから調整指数は一六%となる。
(一) の価額一四、八七五、〇〇九円に右の一六%を加算すれば金一七、二五
五、〇一〇円となる。
(三) 借地権の価額
当該宅地は賃貸されているので借地権の価額、即ち右(二)の価額の五〇%を差し
引くと金八、六二七、五〇五円となる。
(四) (三)の価額に地籍図面積に対する公簿面積の割合〇・九九三を乗ずれば
金八、五六七、一一二円となる。
第三 農機具について
原告が相続した農地の耕作面積は約四反八畝であるが、農地を耕作するためには通
常一反当たり少なくとも金三、〇〇〇円相当の小農具を要するものと認められるの
で、金三、〇〇〇円に四・八を乗ずると、農機具の評価額は、金一四、四〇〇円と
算出される。
第四 役牛について
原告が相続により取存した役牛は、相続開始前牛馬商吉成真佐二より交換によつて
取得した五才の和牛であるので、その評価額は金四〇、〇〇〇円である。
別紙二
第一 農地について
一、芦屋市<以下略> 田 三五一坪
(一) 第一次的主張
大阪国税局の昭和三四年度相続税財産評価基準によれば、宅地転用可能農地の評価
額については、付近宅地の価額に比率して田の場合はその四割、畑の場合はその五
割六分とする取扱いであつた。また昭和三五年五月三〇日発行の瀬戸山孝一著「相
続税法」によれば、農地の評価額については、宅地転用許可を受けているものにあ
つては、田の場合は近郊宅地の評価額の五割、畑の場合はその七割とし、転用可能
地域にあるものにあつては、転用許可を得ているものの評価額の八割が相当評価額
であるとされている。しかるに大阪国税局の昭和三五年度相続財産評価基準に従つ
て評価すると前年度の二倍以上に評価されることになつて極めて不当であるから、
これに従うことはできない。
当該土地の路線価は金一三、〇〇〇円であり、これに三五一坪を乗じたものの四割
を算定すると、金一、八二五、二〇〇円となる。
(二) 第二次的主張
<略>
坪数は芦屋市役所固定資産税係備付地籍図による。
(2) 路線の数に応ずる調整
当該土地には正面と側方の二路線価が付されている。
正面路線金一三、〇〇〇円に対する側方路線価金八、五〇〇円の割合は六五%であ
るから調整指数は六%となる。
(1) の価額 三、八七五、四八二円に右の六%を加算すると金四、一〇八、〇
一〇円となる。
(3) 転用許可前農地としての調整
宅地転用によつて生ずる私道部分の評価減を八%としてこれを控除し、また坪当り
金八四〇円に相当する額を整地費相当額としてこれも控除し、更に転用許可済農地
との調整を図るため、右残額の八〇%をもつて当該農地の評価額とする。
(4) (1)乃至(3)により計算すれば、金二、七九四、四三七円となる。
{(4108010×0.92)-(840×340.86)}×0.8=279
4437
二、芦屋市<以下略> 田 二四六坪
(一) 第一次的主張
当該土地は京阪神急行電鉄神戸線に密接し、その境界は軌道敷と相接しているよう
な土地であるから、相続開始時における時価は坪当たり五、七五〇円が相当であ
る。
坪当たりの時価に二四六坪を乗じると金一、四一四、五〇〇円となる。
(二) 第二次的主張
<略>
坪数は芦屋市役所固定資産税係備付地籍図による。
(2) 転用許可前農地としての調整
一 (二)(3)に従い計算すると、金二、〇七七、二九三円となる。
{(3038984×0.92)-(840×237.20)}×0.8=207
7293
三、芦屋市<以下略> 田 一九六坪
(一) 第一次的主張
当該土地は芦屋復興都市計画街路鉄道沿北線(幅員一五メートル)として、昭和二
一年五月六日戦災復興院第三〇号をもつて認可された道路に抵触しており将来はそ
のすべてが道路敷となるものである。しかも当該土地は国鉄東海道本線とも相接し
ているので、このような土地の相続開始時における時価は坪当たり金一、二〇〇円
程度である。
坪当たりの時価に一九六坪を乗ずると金二三五、二〇〇円となる。
(二) 第二次的主張
当該土地は、前叙のとおり、国鉄東海道線に密接し、その境界は軌道敷と相接して
いるような土地であるから、相続開始時における時価は坪当たり金五、九〇〇円が
相当である。
坪当たりの時価に一九六坪を乗ずると金一、一五六、四〇〇円となる。
(三) 第三次的主張
<略>
坪数は芦屋市役所固定資産税係備付地籍図による。
(2) 転用許可前農地としての調整
一 (二)(3)に従い計算すると、金一、四八七、三一八円となる。
{(2209668×0.92)-(840×206.84)}×0.8=148
7318
四、芦屋市東山町一五三番地 田 三〇四坪
(一) 第一次的主張
当該土地は芦屋市都市計画街路事業山手線として、昭和二一年八月一五日戦災復興
院告示第七九号をもつて認可され、その後昭和三一年三月三一日建設省告示第五三
四号で変更認可された当該道路に抵触し、そのほとんどが道路敷となるものであ
り、残部はその地籍が僅少であつて利用価値が認められないので、右土地の相続開
始時における時価は坪当たり金二、〇〇〇円が相当である。
坪当たりの時価に三〇四坪を乗ずると、金六〇八、〇〇〇円となる。
(二) 第二次的主張
(1) 奥行に応ずる調整
当該土地の正面路線価は金一七、五〇〇円であり、芦屋市役所備付地籍図によると
坪数は二九三・五一坪であり、乙第一号証評価要領添付の「奥行整価額の速算表」
によると奥行間数三三・二四間に対する奥行調整の坪当たり平均指数は八三・二%
であるから、奥行調整価額はつぎの算式によつて金四、二七三、五〇六円と算出さ
れる。
17500×293.51×0.832=4273506
(2) 路線の数に応ずる調整
当該土地には正面と側方の二路線価が付されている。
正面路線価金一七、五〇〇円に対する側方路線価金一王、五〇〇円の割合は七七%
であるから調整指数は六%である。
(1) の価額四、二七三、五〇六円に右の六%を加算すると金四、五二九、九一
六円となる。
(3) 転用許可前農地としての調整
一 (二)(3)に従い計算すると、金三、一三六、七七九円となる。
{(4529916×0.92)-(840×293.51)}×0.8=313
6779
五、芦屋市<以下略> 田 三五一坪
(一) 第一次的主張
当該土地は、四(一)において述べたと同様に、芦屋市都市計画街路事業山手線と
して、そのほとんどが道路敷となるものであり、残部はその地籍が僅少であつて利
用価僅が認められないので、右土地の相続開始時における時価は坪当たり金二、〇
〇〇円が相当である。
坪当たりの時価に三五一坪を乗ずると、金七〇二、〇〇〇円となる。
(二) 第二次的主張
<略>
坪数は芦屋市役所固定資産税係備付地籍図による。
(2) 転用許可前農地としての調整
一 (二)(3)に従い計算すると、金三、九七〇、五七一円となる。
{(5700905×0.92)-(840×335.26)}×0.8=397
0571
第二 宅地について
一、芦屋市<以下略> 宅地 二九六坪
(一) 第一次的主張
被告は当該土地の評価額をいわゆる路線価方法によつて算出しているのであるが、
路線価そのものはある一カ所の標準部分の価格を基準にして、それより上下左右に
遠ざかるに従い順次距離に反比例して機械的事務的に算出されたもので、現実の時
価とは必ずしも一致しない。ところで相続税法二二条によれば、財産の価額は当該
財産の取得の時における時価によるものと規定されているから、時価を評価するに
ついて他に適当な方法があれば、これによるべきことは当然である。そして右土地
は他人に賃貸されており、このような事情も考慮して評価すれば、右土地の評価額
は、鑑定書(甲第五号証)が示すとおり、金二、一一六、四〇〇円とするのが相当
である。
(二) 第二次的主張
(1) 奥行に応ずる調整
全部分が奥行一〇間以下であるから、奥行に応ずる調整を必要としない。路線価金
一七、〇〇〇円に、芦屋市役所固定資産税係備付地籍図より求積した二八三・〇七
坪を乗ずると金四、八一二、一九〇円となる。
(2) 路線の数に応ずる調整
当該宅地は乙第三号証の四によつて明らかなとおり、正面および側方の二方に路線
価が付されている。被告は正面および両側方の三方に路線価が付されている旨主張
するが、誤りである。
正面路線価金一七、〇〇〇円に対する側方路線価金九、三〇〇円の割合は五四%で
あるから、調整指数は四%となる。(1)の価額四、八一二、一九〇円に右四%を
加算すれば、金五、〇〇四、六七七円となる。
(3) 借地権の価額
当該宅地は賃貸されているので借地権の価額、即ち右(2)の価額の五〇%を差し
引くと、金二、五〇二、三三八円となる。
三、芦屋市<以下略> 宅地 三八一坪八勺(当該土地は<以下略>、宅地三八一
坪八勺と<以下略>宅地一〇九坪九合二勺に分筆されていた。)
(一) 第一次的主張
当該土地は原告が被相続人よりその生前である昭和二三年一月二七日に贈与を受け
ていたものである(甲第三号証)。そして右土地の地目は公簿上田となつていた
が、現実には当時既に宅地として使用されていたものであるから、右贈与は有効に
成立している。
したがつて右土地は相続税の対象となる取得財産から除外されなければならない。
(二) 第二次的主張
当該土地は芦屋市役所固定資産税係備付地籍図によつて求積すると、自用部分(甲
第一〇号証の七にAとして表示した部分)七三坪一一、貸地部分(同号証にBとし
て表示した部分)一六六坪四三、貸地部分(同号証にCとして表示した部分)一四
一坪二二、および道路部分(同号証にDとして表示した部分)三六坪八七に分かれ
ている。
Aの部分
(1) 奥行に応ずる調整
当該土地の正面路線価は金二四、〇〇〇円であり、Aの部分の坪数は七三・一一坪
であり、前記「奥行調整価額の速算表」によると奥行間数一三・二五間に対する奥
行調整の坪当たり平均指数は九七・一%であるから、奥行調整価額はつぎの算式に
よつて金一、七〇三、七五五円と算出される。
24000×73.11×0.971=1703755
(2) 路線の数に応ずる調整
当該土地は正面および側方に路線価が付されている。
正面路線価金二四、〇〇〇円に対する側方路線価金一九、五〇〇円の割合は八一%
であるから調整指数は八%である。
(1) の価額一、七〇三、七五五円に右の八%を加算すると金一、八四〇、〇五
五円となる。
Bの部分
(1) 奥行に応ずる調整
<略>
奥行間数の算定は甲第九号証の二の方法による。
(2)路線の数に応ずる調整
当該土地は正面、側方、および背面の三方に路線価が付されている。
正面路線価金二四、〇〇〇円に対する側方路線価金一二、〇〇〇円の割合は五〇%
であるから調整指数は四%であり、正面路線価に対する背面路線価金一九、五〇〇
円の割合は八一%であるから調整指数は八%であつて、両者を合わせると一二%と
なる。
(1) 価額三、五四四、三二〇円に右の一二%を加算すると金三、九六九、六三
八円となる。
(3) 借地権の価額
当該土地は賃貸されているので、借地権の価額、即ち右の価額の五〇%を差し引く
と金一、九八四、八一九円となる。
Cの部分
(1) 奥行間数に応ずる調整
<略>
(2) 路線の数に応ずる調整
当該土地は正面および側方に路線価が付されている。
正面路線価金二四、〇〇〇円に対する側方路線価金一二、〇〇〇円の割合は五〇%
であるから調整指数は四%である。
(1) の価額三、〇八五、二二四円に右の四%を加算すると金三、二〇八、六三
二円となる。
(3) 借地権の価額
当該土地は賃貸されているので、借地権の価額、即ち右の価額の五〇%を差し引く
も金一、六〇四、三一六円となる。
そしてA、B、Cの各部分の評価額を加算すると、金五、四二九、一九〇円とな
る。
三、芦屋市<以下略> 宅地 一八二坪
二 (一)において述べたと同様の理由により、当該土地の評価額は鑑定書が示す
金一、八三三、六五〇円とするのが相当である。
四、芦屋市<以下略> 宅地 五九六坪
(一) 第一次的主張
当該土地は、第一〇三(一)において述べたと同様に、芦屋復興都市計画街路鉄道
沿北線(幅員一五メートル)として、その主要部分のほとんどが道路敷となるもの
であり、残部はその地籍が僅少であつて利用価値が極めて小さく、しかも右上地は
国鉄東海道本線に密接していて、その境界は軌道敷に相接しているので、右土地の
相続開始時における時価は坪当たり金二、一一二円五〇銭が相当である。
坪当たりの時価に五九六坪を乗ずると、金一、二五九、〇五〇円となる。
(二) 第二次的主張
二 日において述べたと同様の理由により、当該土地の評価額は鑑定書が示す金
六、二九五、二五〇円とするのが相当である。
(三) 第三次的主張
当該土地は芦屋市役所固定資産税係備付地籍図によつて求積すると、貸地部分(甲
第一〇号証の八にAとして表示した部分分)四一八坪七二、貸地部分(同号証にB
として表示した部分)一二二坪五七、および道路部分(同号証にCとして表示した
部分)四七坪八〇に分かれている。
Aの部分
<略>
(2) 路線の数に応ずる調整
当該土地は正面および側方に路線価が付されている。
正面路線価金三一、〇〇〇円に対する側方路線価金一九、五〇〇円の割合は六二・
九%であるから調整指数は六%である。
(1) の価額一二、五七三、八一七円に右の六%を加算すると金一三、三二八、
二四六円となる。
(3) 借地権の価額
当該土地は賃貸されているので、借地権の価額、即ち右の価額の五〇%を差し引く
と金六、六六四、一二三円となる。
Bの部分
<略>
(2) 借地権の価額
当該土地は賃貸されているので、借地権の価額、即ち右の価額の五〇%を差し引く
と、金一、六三六、七三八円となる。
そしてA、Bの各部分の評価額を加算すると、金八、三〇〇、八六一円となる
第三 農機具について
原告が相続により取得した農機具は先祖伝来のもので、殆ど廃品に等しく、その数
も僅少であり、損傷の度合等から考えると、強いて評価しても金三〇〇円足らずの
ものである。
第四 役牛について
原告が相続により取得した役牛一頭は相続開始前四カ月位の頃に従前より飼育して
いた年令四年位の牛と交換した生後七カ月位のもので、その評価額は金二〇、〇〇
〇円が相当である。
<略>

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