弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

○ 主文
本件各控訴を棄却する。
控訴費用は原告の負担とする。
○ 事実
(原判決の主文)
本件訴えをいずれも却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
(請求の趣旨)
(1) 被告神戸地方法務局長(以下被告局長という)に対する請求
被告局長が、昭和(以下略)四五年一一月一八日付で原告に対してなした審査請求
棄却の裁決を取消す。
(2) 被告両名に対する請求
被告神戸地方法務局登記官(以下被告登記官という)が、同法務局四五年九月二九
日受付第一二九一号を以つて日本基督教会住吉教会(以下住吉教会という)代表役
員A名義の宗教法人変更登記申請を受理した処分を取消す。
(不服の範囲)
原判決全部
(当事者の主張)
当事者双方の主張は、次の追加をするほか、原判決事実摘示のとおりである。
一、原告の主張
本件訴訟は、紛争当事者間における実体関係の確定を求めるものではないから、住
吉教会の代表役員が原告であるかAであるかは、同教会との関係で確定されないの
は当然である。しかし商業登記法一〇九条一一〇条によると、登記された事項につ
き無効の原因があると、登記官は、登記の職権抹消ができ、その範囲では、異議申
立が可能である。異議申立に対する処分の当否については、行政訴訟が提起できる
筈であるから、実体関係の確定以外に、行政訴訟を提起する利益がないとは考えら
れない。
二、被告らの主張
(一) 本件訴訟は、宗教法人住吉教会について、登記官のなした代表役員変更登
記受理処分およびその裁決の取消を求めるものである。およそ、取消訴訟において
は、訴訟上の要件として、原告が当該行政処分の取消を求めるにつき法律上の利益
を有する者であることを要する。右法律上の利益の内容としては、当該行為が処分
性を有することのほか、原告がその訴訟において、権利利益追行の資格を有するこ
と、および、裁判所が本案判決をなす程の具体的利益が原告に存することを要する
と解すべきである。
(二) しかるに、法人登記における登記上の法主体は、法人自体であつて、法人
の機関である役員は、登記上の主体たりえない。したがつて、登記簿の記載によつ
て利益不利益をうけるのは、あくまでも法人であつて、機関である個人ではないか
ら、本件において、役員登記の変更による被害者は、宗教法人住吉教会であり、原
告ではない。原告が変更登記により利益を損われるとしても、それはせいぜい事実
上の利益で、反射的利益の侵害にすぎない。この意味で、原告は、本件取消訴訟に
おける訴訟追行資格を欠き、原告適格を有しない。
(三) 宗教法人法六五条で準用される商業登記法一〇九条ないし一一三条には、
申請趣旨どおりの登記を了した場合の登記官の職権抹消について登記された事項に
つき無効原因があるとき(たゞし訴をもつてのみ無効を主張することができる場合
を除く)を定めている。しかしこれも、登記簿の記載、登記申請書、添付書面等か
ら、その申請が法律上許容されない無効原因の存在が明確に判断される場合に限ら
れ、本件はこれに該当しない。商業登記法二四条の形式的要件を欠缺する場合につ
いては、登記を信頼して取引した第三者の利益を害する虞れがあるので、その効力
は、実体関係に符合し真正なものであるかどうかにより判断さるべく、形式的違法
性により直ちに無効となるものではない。その場合は、登記事項の基礎である法律
関係につき利害関係人よりする通常訴訟による実体上の確定が先決である。仮に形
式的違法事由があるとして、本件登記申請受理処分を裁判によつて取消したとして
も、登記官による職権抹消の余地はない。原告の求める登記抹消のためには、結局
宗教法人住吉教会を相手方として役員の地位確認訴訟を提起し、その確定判決を得
るほかはないから、いずれにしても、本訴は、裁判所が、本案判決をする程の具体
的利益を欠き原告は当事者適格を有しないというべきである。
三、当事者双方の陳述
当審において本案判決がなされても異議はない。
(証拠)(省略)
○ 理由
一、争いのない事実
神戸地方法務局四五年九月二九日受付第一二九一号をもつて、住吉教会代表役員A
名義で申請された宗教法人変更登記申請を被告登記官が受理し、これに基づいて同
年三月一九日付で原告を宗教法人住吉教会代表役員から解任し、Aが同教会の代表
役員の地位に就任した旨の代表役員変更登記がなされたこと、そこで原告が、同年
一〇月九日被告局長に対し本件登記申請受理処分を違法として相当処分を求める旨
の審査請求をしたところ、同被告が同年一一月一八日付で審査請求棄却の裁決をし
た事実は、当事者間に争いがない。
二、訴えの違法性について
(1) 被告らは、法人登記における主体は、法人自身であつて、法人の機関であ
る役員は、登記上の主体でない点を理由として、原告は、法人登記の申請受理処分
取消訴訟の原告適格を欠くと主張する。
しかし本件訴訟は、住吉教会の役員変更登記申請を受理した登記官の処分を争うも
のであつて、同教会の設立登記そのものを対象とするものではない。右登記申請前
法人の機関として登記されていた個人は、法人登記の主体ではなくても、自己の権
利利益につき重大な利害関係を有するのであるから、右受理処分の適法性を争う法
律上の利益を有するものと解すべきである。けだし法人の役員登記は、法人の機関
構成員の何人であるかを公示する点に制度上の主たる目的の存することは否定でき
ないけれども、その反面当然に機関構成員たる役員個人の対外的対内的な地位、資
格および権能を公示する役割をも果しているのであるからこれをもつて単なる反射
的利益とすることはできない。原告は、本件訴訟によつては、住吉教会との関係に
おいて役員の地位を確定することもできず事態の抜本的解決ができないことは、被
告ら主張のとおりであり、主張のような地位確認の判決により原告の登記上の地位
を容易に是正しうることも、宗教法人法の準用する商業登記法一〇七条一〇九条の
規定に照らし明らかである。しかし、このことのゆえに、本件登記申請前住吉教会
の代表役員であつた原告の登記の回復を求める手段としてこれと相容れない後の登
記申請受理処分の取消を求めることが否定されなければならない道理はない。元来
争訟上の救済方法の選択は、当事者の自由に任ねらるべきものであり、登記制度の
有する効用からみて登記申請受理処分の取消を通じて自己の法律上の利益を擁護し
ようとする原告の本訴は、適法なものと認めるのが相当である。
(2) つぎに被告らは、宗教法人法の準用する商業登記法一〇九条により登記官
の職権抹消の許されるのは、同法二四条一号から三号までに掲げる事由および登記
された事項につき無効の原因があるとき(たゞし訴えをもつてのみ無効を主張する
ことができる場合を除く)に限られるのであるから、本訴は本案判決をする程の具
体的利益を欠き当事者適格がないと主張する。
しかしながら登記官の登記申請受理処分の当否を争う訴訟における違法性の範囲、
程度に関する問題は、まさにこの種の訴訟の実体ないし内容に関する問題に外なら
ないのであつて、単なる訴訟要件ではない。仮に原告の主張自体からその訴訟の理
由のないことが明白な場合であつても裁判所が実体判決をする妨げとはならない。
よつて、本訴が当事者適格を欠くということはできない。
(3) そうすると被告らの本案前の主張はすべて理由がない。被告局長に対し原
処分の取消しを求める請求部分は、行政事件訴訟法一一条による被告適格のない者
に対する訴えとして却下を免れないが、その余の訴えを却下した原判決は不当であ
る。
(4) しかしながら当事者双方は、当審において本案の判断がなされても異議が
ない旨陳述しており本訴の争点が登記官の審査権に関する問題であつて、現在提出
されている以上に資料の提出が期待できないという訴訟の特質に鑑み、民訴法三八
八条の適用は排除されるものと解するので、更に実体の判断をすることにする。
三、裁決取消の請求について
行政事件訴訟法一〇条二項によれば、処分取消訴訟とその処分についての審査請求
を棄却した裁決取消訴訟とを提起できる場合においては、処分の違法を裁決取消の
理由とすることを認めない。いわゆる原処分主義による違法事由の主張制限が定め
られている。本件は右両訴訟が提起できる場合であるところ、原告は、原処分の違
法事由を主張するのみで、裁決固有の違法事由については、なんら具体的な主張も
立証もしない。しからば、裁決の取消を求める請求は、理由がなく失当として棄却
すべきである。
四、原処分取消の請求について
およそ、法人登記に関する登記官の処分に取消原因となる瑕疵があるというには、
登記官はいわゆる形式的審査権を有するに過ぎないことを前提としなければならな
く、処分の当否の事後審査である取消訴訟における判断に際しても、処分時におけ
る登記官の審査権限のおよぶ範囲を無視することができないのは当然である。宗教
法人法の準用する商業登記法二四条各号は登記官の申請却下の処分権限を定めたも
のであるが、同条一〇号の無効または取消の原因の有無、同法一〇九条一項二号の
無効原因の存否の認定についても、登記官の審査権限の及ぶ範囲もしくは及ぶべか
りし範囲における審査対象となる証拠に現われた事由に限られるものといわなけれ
ばならない。
そして、後記乙一ないし八号証と弁論の全趣旨を合せて考えると、本件登記申請に
際しては、日本基督教会住吉教会代表役員A名義の登記申請書とともに、乙第二号
証(第一九回日本基督教会近畿中会記録)同第三号証(近畿中会議事録)同第四号
証(解任書)同第五号証(任命書)同第六号証(承諾書)のほか後掲乙第七、八号
証並びに近畿中会構成員の各印鑑証明書が各添付提出されたことが認められる。乙
第九号証は、申請当時添付された書類ではないが、登記官の審査権限の及ぶべき資
料に属することは書面自体から明白であるから、本訴訟においてはこれを事後審査
の資料に供することができるわけである。乙第一号証(登記申請書)は、成立に争
いがなく、これによれば、本件役員変更登記申請に際し、解任書、任命書、就任承
諾書、委任状各一通、議事録、教会規則各二通を申請書に添付した旨の記載があ
り、乙第七号証(宗教法人日本基督教会住吉教会規則)も成立に争いがなく、これ
によれば、同規則六条には、同法人に三人の責任役員をおき、そのうち一人を代表
役員とする旨を、同七条には、代表役員は主任教師をもつてあてる、代表役員以外
の責任役員は、教会の総会において選挙された教会役員のうちから代表役員が選定
する旨を、同八条には、代表役員の任期は本人辞任の時まで別にこれを設けない旨
の記載があるが、代表役員たる主任教師の選出方法については何らの記載がなく、
却つてその三二条には、包括団体の規則の効力として日本基督教会の規則中この法
人に関係のある事項に関する規定は、この法人についても効力を有する旨の記載が
あり、乙第八号証(日本基督教会規則)も成立に争いがなく、これによれば、同規
則五条三項に、その組織を維持するに足る実力を欠くに至つた教会は、中会がこれ
を解散して伝道教会とすることができる旨、同二四条には、中会の組織と決議方法
ことに、正議員の過半数をもつて決議する旨の記載があり、乙第九号証(日本基督
教会憲法)も成立に争いがなく、これによれば、中会は牧師、宣教々師、神学教師
の就職および解職に関する事項を管掌する旨、同七条には、教会を牧する教師を牧
師といゝ、中会の命によつて牧師のない教会を監督し伝道に従事する教師を宣教々
師といゝ、神学校の教授である教師を神学教師という旨の記載がある。
以上の資料によつて検討すると、日本基督教会近畿中会がその権限により住吉教会
を伝道教会に改組するとともに、原告を同教会教師の地位から解任し、同中会議長
Aを住吉伝道教会宜教々師に任命した事実を窺うことができ、右事実によれば、本
件登記申請には、原告主張のように無権限者の申請であること、必要書面の添付を
欠くことおよびAが代表役員ではなく登記事項につき無効の原因があることが認め
られない。したがつて商業登記法二四条所定の却下事由がないと認めて申請を受理
した被告登記官の処分は、取消原因となるべき違法事由はないと認めるのが相当で
ある。
なお原告は、住吉教会規則三二条中の日本基督教会の規則とは、宗教法人日本基督
教会の規則を指すと主張するが、その採用し難いことは、同規定の文言に徴し明白
であるから右主張も理由がない。
そうすると、被告登記官の本件登記申請受理処分を違法としてその取消を求める原
告の右請求も理由がなく失当として棄却すべきである。
五、結論
しからば、被告局長に対し原処分の取消を求める請求については、訴えを却下した
原判決は相当であるが、その余の原告の訴えを却下した原判決は不当であり、原告
の各請求は棄却さるべきであるが、原告の控訴により訴え却下の原判決を取消し
て、請求棄却の判決をすることは民訴法三八五条に反することになるので本件各控
訴をいずれも棄却することとし、控訴費用の負担については、同法八九条を適用し
て主文のとおり判決する。
(裁判官 前田覚郎 菊地 博 仲江利政)
主文
本件訴をいずれも却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
○ 事実
(一) 当事者の申立
(1) 原告
「被告神戸地方法務局長(以下被告局長という)が昭和四五年一一月一八日付で原
告に対してなした『原告から被告局長に対してなされた審査請求を棄却する』旨の
裁決を取消す。被告神戸地方法務局登記官(以下被告登記官という)が神戸地方法
務局昭和四五年九月二九日受付第「五一号を以て日本基督教会住吉教会(以下単に
住吉教会という)代表役員A名義で申請された宗教法人変更登記申請を受理した処
分を取消す。訴訟費用は被告らの負担とする」との判決を求める。
(2) 被告ら
本案前の申立として、「主文第一、二項と同旨」の判決を求め、本案に対する申立
として、「原告の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」との判
決を求める。
(二) 当事者の主張
(1) 原告の請求原因事実
(イ) 被告登記官は神戸地方法務局昭和四五年九月二九日受付第一二九一号を以
て、住吉教会代表役員A名義で申請された宗教法人変更登記申請(以下本件申請と
いう)を受理し、これに基づいて、「昭和四五年三月一九日付で、原告を住吉教会
の代表役員から解任し、Aが同教会の代表役員の地位に就任した」旨の登記をし
た。そこで、原告は同年一〇月六日被告局長に対し、「本件申請の受理処分は違法
であるので、その点につき、相当な処分を求める」旨の審査請求をしたところ、被
告局長は同年一一月一八日付で「右審査請求を棄却する」旨の裁決をした。
(ロ) しかしながら、本件申請には左記(A)ないし(C)記載の瑕疵があり、
被告登記官において同申請を却下すべきであつたにも拘らず、同登記官はこれを受
理したのであるから、右受理処分は違法であり、取消を免れない。即ち、
(A) 住吉教会は宗教法人法に基づいて設立された独立の宗教法人である。そし
て、同教会の代表役員の任免は、住吉教会自身の意思により決定すべき事項であ
る。ところで、同教会においては、代表役員たる原告を解任して、Aを代表役員に
選任したことが絶えてないにも拘らず、本件申請はAの名義で申請されているか
ら、それは宗教法人法第六五条・商業登記法第二四条第四号所定の「申請の権限を
有しない者の申請によるとき」に該当する。
(B) また、本件申請の添付書類中には、「Aを住吉教会の代表役員に選任す
る」旨の住吉教会の決議の議事録が存在しないから、本件申請は宗教法人法第六五
条・商業登記法第二四条第八号所定の「申請書に必要な書面を添付しないとき」に
該当する。
(C) Aが住吉教会の代表役員でないことは、宗教法人法および住吉教会規則に
よつて明らかであり、本件申請は宗教法人法第六五条・商業登記法第二四条第一〇
号所定の「登記すべき事項につき無効の原因があるとき」に該当する。
(ハ) 右のとおり、被告登記官の本件申請受理処分は違法であるにも拘らず、被
告局長は右処分に対する原告の審査請求を棄却したのであつて、右裁決もまた違法
であり、取消されるべきものである。
(2) 被告らの答弁(主張を含む)
(甲) 本案前の答弁
仮に被告登記官が本件申請を受理したことにつき原告主張のとおりの瑕疵が存在す
るとしても、被告登記官としては、申請の趣旨どおりの登記を一旦了した以上、抹
消登記の申請なくして、独自にこれを抹消する権限を有しないから、本訴請求が認
容されたとしても、本件申請に基づく登記が抹消される結果になるわけではない。
従つて、原告の本件訴は、いずれも法律上の利益を欠くものといわなければなら
ず、却下を免れない。
(乙) 本案の答弁
(イ) 原告主張の請求原因事実は、その内、(イ)の事実、および(ロ)の
(A)の事実中、住吉教会が宗教法人法に基づいて設立された独立の完教法人であ
ることは、いずれも認めるが、その余は争う。なお、本訴請求中、被告局長に対す
る裁決取消請求の部分については、原告において何ら裁決固有の違法事由を主張し
ないから、その点において既に理由がない。
(ロ) ところで、本件申請は宗教法人変更登記申請書を以てなされたものである
ところ、同申請書には第一九回日本基督教会近畿中会記録、近畿中会議事録、解任
書、任命書、承諾書が添付されていた。そして、被告登記官は、これらの添付書類
により、住吉教会の代表役員の変更がなされていることを宗教法人法・商業登記法
所定の手続規定に照らして、形式的審査をなし、これが要件の充足を認めて、申請
の趣旨どおり登記したのである。
右審査による認定経緯を詳言すると、第一九回日本基督教会近畿中会記録により、
「住吉教会はその組織を維持するに足る実力を欠くに至つたものであるとして、右
近畿中会は『住吉教会を伝道教会にする』旨の決議をしたこと」を認めることがで
きるところ、右決議は、住吉教会規則第三二条により準用されている日本基督教会
規則第五条第三項に照らして、有効であると認めることができる。そして、次に、
近畿中会議事録によると、「日本基督教会近畿中会は、右決議により伝道教会とな
つた住吉伝道教会の代表役員となるべき主任教師として、Aを選任し、承認したこ
と」を認めることができ、右措置は住吉教会規則第七条第一項に基づく適法なもの
であることを認めることができる。右のとおり、本件申請の添付書類によれば、本
件申請は何らの瑕疵をも有しないものであると認めることができたのである。
(3) 被告らの主張に対する原告の反論
(甲) 本案前の答弁について
行政処分に関する違法性の有無は、すべて裁判所の判断に服するのが原則であり、
本件において、原告勝訴の裁判がなされるときは、被告登記官において本件申請に
基づく変更登記を職権によつて抹消することができ、また、抹消すべきである。従
つて、原告は本件訴訟につき訴の利益があるといわなければならない。
(乙) 本案に対する主張について
住吉教会は宗教法人「日本基督教会」に包括されている単位団体ではあるが、右包
括関係は支配・制約の権限関係を意味するものではなく、また、住吉教会規則およ
び宗教法人「日本基督教会」規則のいずれにおいても、住吉教会が日本基督教会の
制約下にある旨の規定はない(同旨の規定を設けるとすれば、宗教法人法第一二条
第一項第一二号に該当するので、知事の認証を受けなければならない)。更に、住
吉教会規則第三二条中の「日本基督教会の規則」とは、住吉教会の包括団体である
宗教法人「日本基督教会」の認証済の規則であり、被告ら主張の添付書類中の日本
基督教会規則を指すのではない。従つて、被告ら主張の如き手続による住吉教会代
表役員の解任・選任は、いずれも無効であり、被告登記官において形式的審査権を
有するに過ぎないとしても、本件申請が無効であることは、宗教法人法(特に第一
二条第一項第一二号)・住吉教会規則に照らして明らかであつたのであり、右瑕疵
を看過してなされた本件申請受理処分は違法である。なお付言すれば、住吉教会規
則第八条により、住吉教会の代表役員は本人辞任のときまで、その地位にあること
になつているから、実体的には、原告が現在もなお住吉教会の代表役員であること
には変りがないのである。
(三) 当事者の立証
(1) 原告
甲第一なかし第六号証の提出、原告本人尋問の結果の援用、乙第二ないし第六号証
の成立はいずれも不知、その余の乙号各証の成立はすべて認める。
(2) 被告ら
乙第一ないし第九号証、第一〇号証の一および二の提出、甲第四および第五号証の
成立はいずれも不知、その余の甲号各証の成立はすべて認める。
○ 理由
(一) 原告主張の請求原因事実中、(イ)の事実、および住吉教会が宗教法人法
に基づいて設立された独立の宗教法人であることは、いずれも当事者間に争いがな
い。
(二) そこで、先ず、被告ら主張の本案前の答弁の当否について検討してみる
に、本件申請は住吉教会設立登記の登記事項中「代表役員の氏名、住所」に変更を
生じたものとして、宗教法人法第五五条・第五二条第二項第六号に基づいてなされ
たものであること、原告の主張によつて明らかであるところ、本件申請に基づく代
表役員変更登記後においても、登記事項全体について、登記されている者は、当該
宗教法人である住吉教会或いは住吉伝道教会なのであつて、住吉教会の代表役員と
して登記されたことにより、当該代表役員が受ける利益は、住吉教会の登記に基づ
く反射的な事実上の利益であるにすぎないものというべきである。そして、仮に本
件申請受理処分が取消されるべき瑕疵を有するものであるとして、本訴を認容する
判決をしても、住吉教会が当事者とならない限り、住吉教会の代表役員が原告であ
るか又はAであるかということは、住吉教会との関係において何ら確定されないか
ら、住吉教会は右と異なる主張をすることかできることとなり、紛争当事者間の争
は、抜本的に解決することにはならないのである。そうすると、住吉教会の機関に
すぎない代表役員であることを前提にして、原告個人が住吉教会名義の当該変更登
記申請の受理処分を争うことは許されず、そのような訴について原告は法律上の利
益を欠くものというべきである。そうすると、原告において本件申請に基づく変更
登記により、何らかの不都合、不利益を蒙つたとしても、その救済は、原告が住吉
教会を相手方とする代表役員たる地位の存在確認を求めるなどの民事訴訟を提起
し、紛争関係当事者間における実体的権利関係を確定した上で、図られるべきもの
である。従つて、本件訴訟は関係当事者間の紛争を解決する手段として有効適切な
方法とは考えられず、このような訴は、訴の利益を欠くものとして、不適法といわ
なければならない。そして、右の理は、被告らに対する本件訴のいずれについても
同断である。
(三) よつて、原告の被告らに対する本件訴は、いずれも不適法であるから、そ
れぞれこれを却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民
事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛