弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○主文
本件訴えをいずれも却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
○事実
第一当事者の求めた裁判
一請求の趣旨
1被告は、日本国の領海を横須賀港へ入港するために通航しようとするアメリカ合衆国
のロサンゼルス級及びスタージヨン級の攻撃型原子力潜水艦について核兵器搭載の有無を
照会せよ。
2被告は、右1の潜水艦のうち右1の照会に対して核兵器を搭載していると回答したも
の及び回答しないものが日本国の領海を通航するときは、日本国の領海から退去すること
を要求しなければならない。
3被告は、アメリカ合衆国のロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦「ヒユーストン(シ」

プナンバーSSN七一三)が横須賀港へ入港するために日本国の領海を通航するときは、
日本国の領海から退去することを要求しなければならない。
二請求の趣旨に対する答弁
(本案前)
主文同旨
(本案)
1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
第二当事者の主張
一請求原因
1アメリカ合衆国(以下「米国」という)は、昭和五九年六月以降、米国海軍に属す。

ロサンゼルス級及びスタージヨン級の攻撃型原子力潜水艦(以下それぞれ「ロサンゼルス
級潜水艦」及び「スタージヨン級潜水艦」という)に核弾頭付巡航ミサイル「トマホー。
ク」
(以下「トマホーク」という)を順次配備していくことを決定の上、これを公表し、こ。

に従つて、現に就役している潜水艦については、魚雷発射管か鳥トマホークを発射できる
ように改修を進め、新就役潜水艦については、トマホークの垂直発射システムの設置を開
始した。
それらのうち、ロサンゼルス級潜水艦「ヒユーストン(シツプナンバーSSN七一三。」

下「ヒユーストン」という)は、世界でも最も権威のあるとされている「ジエーン海軍。

鑑・一九八五年版」六七四ページにおいて既にトマホークの配備が完了した潜水艦として
名前が挙げられている。
、、(「」。)したがつてヒユーストンは核兵器を搭載している軍艦以下核兵器搭載艦という
であり、それ以外のロサンゼルス級潜水艦及びスタージヨン級潜水艦は、核兵器の搭載が
疑われる軍艦(以下「核兵器搭載疑惑艦」という)であるということができる。。
2横須賀港には、別紙「入港一覧表」のとおり、昭和五九年二月から昭和六〇年一二月
末までの間に、
核兵器搭載艦であるヒユーストン並びに核兵器搭載疑惑艦であるその他のロサンゼルス級
潜水艦及びスタージヨン級潜水艦が延べ三五回入港している。
被告は、右に述べたとおり、核兵器搭載艦及び核兵器搭載疑惑艦の横須賀港への入港を漫
然と認め、これを差し止めるための措置をとろうとしない。そして、日本国と米国の外交
関係からみると、核兵器搭載艦又は核兵器搭載疑惑艦であるロサンゼルス級潜水艦及びス
タージヨン級潜水艦の横須賀港入港が将来も繰り返えされることは明らかである。
3被告は、国民に対し、次に述べるとおり、核兵器搭載艦又は核兵器搭載疑惑艦に対し
て我が国領海からの退去を要求すべき公法上の義務を負つている。
(一)領海及び接続水域に関する条約(以下「領海条約」という)二三条は「軍艦が。

海の通航に関する沿岸国の規則を遵守せず、かつ、その軍艦に対して行なわれた遵守の要
請を無視した場合には、沿岸国は、その軍艦に対し領海から退去することを要求すること
ができる」旨規定している。。
右規定によれば、日本国政府は、我が国の領海を通航する外国の軍艦(以下「外国軍艦」
という)に対し、日本国の規則を遵守するように要請する権能を有し、また、右要請を。

視する外国軍艦に対しては、我が国の領海からの退去を求める権能を有している。
国際法上、すべての外国船舶は、沿岸国の平和、秩序又は安全を害しない限り沿岸国に妨
害されることなくその領海を通航する権利、いわゆる無害通航権を有しているが、同条の
規定は外国軍艦の無害通航権の制限に関するものであるすべての主権国家は、その領海を
含む領域全般に絶対的、排他的な管轄権(以下「領域主権」という)を有しており、外。

船舶に無害通航権が認められるとしても、沿岸国の主権の維持並びに平和及び安定に関す
る判断はとりわけ重視され、かつ、尊重されなければならない。外国軍艦の無害通航権も
このような見地から制限を免れないものであり、同条の解釈にあたつては、沿岸国の平和
及び安全に関する配慮を根幹に据えなければならない。
そうすると、同条にいう「沿岸国の規則」には、沿岸国の平和及び安全に関する諸原則並
びに諸法令が当然に含まれ、かつ、その根幹となるものというべきである。
(二)「核兵器を持たず、作(造)らず、持込まさ(せ)ず」とのいわゆる非核三原則
は、我が国の平和及び安全に関するものであり、
次のとおり、条理として独立した法規範といい得るものであるから、領海条約二三条にい
う沿岸国の規則に該当するものである。
(1)非核三原則は、国権の最高議決機関である国会の衆参両議院において、憲法に定
められた法律の定立手続をはるかに上回る全会一致で議決、承認されている。
(2)昭和五九年一〇月一五日現在、非核宣言自治体は、四県一一六市区五六町村の合
計一七六自治体にのぼつており、非核三原則は国政の場だけではなく、我が国の各地域に
おいても確認されている。
(3)日本国民は、誰一の核被爆体験を持つ国民として、核兵器に対して特別な感情を
有しており、非核三原則は国民的確信まで高められている。右(1)及び(2)の各議決
も、結局は右国民的確信を国政あるいは地方政治の場において認めたものである。
(4)日本国政府も、国会質疑において、非核三原則は、我が国の国是であり、これを
遵守すると確約している。
(5)非核三原則は、抽象的宣言ではなく「政府は核兵器を持たず、作らず、持込ま、

ずの非核三原則を遵守する(中略)措置をとるべきである(昭和四六年一二月二四日。」

議院本会議)として、具体的に日本国政府のとるべき義務を定めており、法規範性を有し
ている。
(三)以上のとおり、外国の核兵器搭載艦又は核兵器搭載疑惑艦が我が国の領海を通航
することは、我が国の規則である非核三原則のうちの「核兵器を持込まさ(せ)ず」に触
れるものであるから、無害通航に該当しない。
被告も非核三原則を領海条約二三条にいう沿岸国の規則に該当するとの立場をとつてい
る。
すなわち、被告は、昭和五五年八月、ソビエト連邦共和国の海軍に属する原子力潜水艦が
我が国領海を通過するに際し、核兵器搭載の有無について回答しないまま我が国の領海を
通航することは無害通航に該当しないとして、海上保安庁をして、領海条約二三条に基づ
き、右潜水艦に対し、我が国の領海からの退去を要求している。
(四)後記4のとおり、核兵器搭載艦又は核兵器搭載疑惑艦が我が国の領海を通航する
ことにより、国民に回復し難い災害が生ずるおそれがあるから、被告は、国政の信託者た
る国民との関係において、核兵器搭載艦又は核兵器搭載疑惑艦に対し我が国の領海からの
退去を要求すべき公法上の義務があるというべきである。
4原告は、横須賀市に居住し、かつ、同市内に勤務している者である。
横須賀港に外国の核兵器搭載艦又は核兵器搭載疑惑艦が入港することにより、核戦争に際
して、横須賀市が核兵器による攻撃の対象となつて、全体的破滅に見舞われる可能性が大
きい。
また、横須賀港に入港するには、東京湾口の狭い浦賀水道を通航しなければならないが、
この狭い海域には多数のタンカーを含む商船が出入りし、更に、近在の漁船も出漁してい
て、衝突の危険が多い通航の難所であり、核兵器搭載艦の衝突事故発生の危険が大きいと
ころ、核兵器搭載艦の衝突事故による災害は、一旦発生すれば、回復し難い惨憺たるもの
になることは明らかである。
したがつて、外国の核兵器搭載艦又は核兵器搭載疑惑艦が横須賀港に入港することによつ
て、原告を含む横須賀及びその周辺地域に住む住民は、その生命、身体及び財産の安全を
脅やかされている。
、、、、国民個々人の生命身体及び財産の安全は憲法上最大の保護尊重を受ける権利であり
単なる反射的ないし事実上の利益ではないから、行訴法九条にいう「法律上の利益」であ
る。
5義務付け訴訟の許容性
(一)本訴は、いわゆる無名抗告訴訟のうちの義務付け訴訟に該当するものである。
義務付け訴訟は(1)行政庁が一定の行為をすべきことが法律上明らかで、行政庁の第、

次的判断を重視する必要がない程度に明白であり(2)事前の司法審査によらなければ、

民の権利救済が得られず、回復し難い損害が生ずる緊急の必要性がある場合には、許され
るものというべきである。
(二)非核三原則は、前記3(二)記載のとおり、法規範性を有するものであり、日本
国民の総意として法解釈の重要な指導原理となつていることは明らかであるから、国民に
対する公法上の義務として、被告は、領海条約二三条に基づき、核兵器搭載艦又は核兵器
、、、搭載疑惑艦に対し我が国の領海から退去することを要求しなければならずこのことは
二義的解釈を許さないほど明白である。
ところで、被告は、右公法上の義務を履行する前提として、我が国の領海を通航しようと
する外国軍艦が核兵器を搭載しているか否かを調査しなければならない。国際法上、軍艦
には不可侵権があるとされているから、外国軍艦に対する核兵器搭載の有無の調査方法と
しては、軍艦への立入り等を伴うことのない照会という方法が適切である。そして、右調
査をする権限は、
領海条約二三条に基づく退去要求の前提として同条約上あるいは国際法上当然に認められ
るものである。したがつて、国民に対する公法上の義務として、被告が核兵器搭載疑惑艦
に核兵器搭載の有無を照会しなければならないことは、二義的解釈を許さないほど明白で
ある。
(三)前記4記載のとおり、核兵器搭載艦又は核兵器搭載疑惑艦が横須賀港に入港する
ことにより、原告を含む横須賀市及びその周辺地域に住む住民は回復し難い損害を受ける
おそれがあるところ、被告は、核兵器搭載艦又は核兵器搭載疑惑艦であるロサンゼルス級
潜水艦及びスタージヨン級潜水艦の横須賀港入港に対し、拱手傍観するに等しい態度をと
つており、事前の司法審査によらなければ、原告を含む横須賀市及びその周辺地域に住む
住民の権利救済は図られない。
(四)右(一)ないし(三)によれば、被告に対する請求の趣旨記載の義務付け訴訟は
許されるものというべきである。
(五)なお、ロサンゼルス級潜水艦及びスタージヨン級潜水艦が横須賀港へ入港すると
きは、その入港の二四時間前に我が国に通告されることになつている。したがつて、ヒユ
ーストンについては通告の時又は我が国の領海内に入つた時に退去要求をすべきである。
また、ヒユーストン以外のロサンゼルス級潜水艦及びスタージヨン級潜水艦については、
右通告の時に、核兵器搭載の有無を照会し、右照会に対して核兵器を搭載している旨回答
した場合及び何らの回答をしてこない場合には退去要求をすべきである。
6被告適格
本件訴訟は、領海条約二三条に基づいて沿岸国に認められた条約上の権限の行使を求める
ものであり、右の公権力の行使は、条約締結及び運用の主体である内閣の判断と責任にお
いてすべきものであるが、国際条約上の権限行使の主体は国であるから、行政事件訴訟法
三八条一項、一一条二項により、訴訟上の被告は国となるものと解すべきである。
二被告の本案前の主張
1法律上の利益について
(一)本件訴訟のごとき義務付け訴訟も、抗告訴訟であるから、行政事件訴訟法九条に
より法律上の利益を有する者でなければ、これを提起することはできない。そして、法律
上の利益は、当該行政法規が直接に保護を目指す個々の国民の個別的、具体的な利益をい
うものであつて、一般的、
共通的な公共の利益やその公共の利益の実現を図るためにされた行政措置によつてもたら
される反射的利益ないし間接的、事実上の利益を含むものではない。
(二)領海条約は、領海及び接続水域における国家の国際法上の権利とその限界につい
て定めたものである。そして、同条約二三条の趣旨は、旗国以外の国の管轄権に服するこ
とのない軍艦に対する沿岸国の主権行使の要件と態様とを規定したものと解されている。
したがつて、同条に基づく退去要求の利益は、主権国家が国際法上有する国家的利益であ
、、。、、り個々の国民の個別的具体的利益ではないまた国家的利益が守られた結果として
不特定の国民が何らかの利益を受けることはあり得るが、かかる利益は、反射的ないし事
実上の利益に過ぎず、行政事件訴訟法九条にいう法律上の利益には当たらない。
(三)非核三原則は、昭和四二年、当時の佐藤内閣総理大臣が国会答弁において公式に
表明して以来、歴代内閣が我が国の国是として一貫して堅持する旨表明してきたものであ
るが、これは、政府が従来から明らかにしているとおり「国民世論に支持された重要か、

基本的な政策」にほかならない。
ところで、ある規範が裁判所によつて適用されるには、それが裁判規範としての性格を有
していなければならない。そして、裁判規範は、現実的、個別的、具体的内容を有するも
のでなければならないが、非核三原則は、重要かつ基本的な政策としての抽象性を有する
政治上の指針であり、現実的、個別的内容を持つものとして具体化されているものではな
いから、裁判規範としての性格を有していない。したがつて、非核三原則の違反により、
裁判所に訴えを提起し得る法律上の利益は何人にも存しない。
また、非核三原則の運用により、一定の国民が何らかの利益を受けることがあつても、そ
れは反射的ないし事実上の利益に過ぎず、法律上の利益とはいえない。
(四)以上のとおり、原告が本件訴訟において主張している領海条約二三条、非核三原
則は、いずれも個々の国民の個別的、具体的利益を保護するものではないから、本件訴え
は、法律上の利益ないし原告適格を欠く不適法なものである。
2被告適格
義務付け訴訟は、いわゆる無名抗告訴訟であつて、抗告訴訟の一種であるから、行政事件
訴訟法一一条一項の準用ないし類推適用があることはいうまでもない。したがつて、原告
が主張する義務を有し、
その処分をすべき行政庁を被告とすべきである。そして、国は、行政庁ではなく、単に処
分の効果が帰属する主体に過ぎないから、国を被告とする本件訴えは、被告適格を欠く不
適法なものである。
3義務付け訴訟の要件の不存在
(一)本件訴訟のごとき義務付け訴訟が許されるとしても、行政庁が当該行政措置をす
べきことが法律上覊束されており、自由裁量の余地が全くないため、第一次的判断権を行
政庁に残すことが必ずしも重要でないと認められる場合であることが必要である。
(二)前記1(二)記載のとおり、領海条約二三条は、国際法上、沿岸国が軍艦に対し
てとりうる措置の限界を示したものにすぎず、沿岸国が当該軍艦に対して、照会、退去要
求をすべき国際法上の義務があることを定めたものではない。そして、沿岸国において、
同条に基づく権利を行使するか否かは、当該軍艦の属する旗国との政治的、経済的、軍事
的関係等を見定めたうえで、広範な裁量により決すべき事柄である。
(三)前記1(三)記載のとおり、非核三原則は、我が国の政策にほかならず、個々の
、、国民に対する義務を定めたものではなくかかる政治上の指針をいかに具体化させるかは
立法府ないし行政府の裁量に委ねられている事項である。
(四)我が国と米国との間には、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保
障条約(いわゆる安保条約)が締結されているが、右条約と同時に、我が国と米国との間
で取り交わされた安保条約六条の実施に関する交換公文(いわゆるA、B交換公文)及び
右条約締結交渉の当事者であつたC外務大臣とD駐日米国大使との間の口頭了解(いわゆ
るC、D口頭了解)により、米国が我が国に核兵器を持ち込む場合(潜水艦が核兵器を搭
載して我が国に寄港する場合を含む)には、米国政府には、我が国政府に対し事前に協。

をすべき条約上の義務があることが定められている。したがつて、米国海軍に属する潜水
艦に対して、核兵器搭載の有無を照会し、あるいは退去要求をすることは、米国政府が右
、、義務を履行していないことを前提とするもので右条約上全く想定されていないばかりか
日米両国間の信頼関係にも重大な悪影響を与えるおそれのある措置である。かかる措置を
とるか否かは、米国との政治的、経済的、軍事的関係、その他国内的、国際的な様々な要
素を考慮し尽くしたうえ、
慎重な裁量により決定されるべきものである。
(五)以上のとおり、本件は、行政庁が当該行政措置をすべきことが法律上覊束されて
おり、自由裁量の余地が全くないために、その第一次的判断権を行政庁に残すことが必ず
しも重要でないと認められる場合に該当しないことは明らかであるから、本件訴訟のごと
き義務付け訴訟は許されない。
三請求原因に対する認否
1請求原因1のうち、ジエーン海軍年艦が世界で最も権威のあることは不知、その余は
否認する。
2同2のうち、別紙のとおり、ロサンゼルス級潜水艦及びスタージヨン級潜水艦が横須
賀港に入港したことは認め、被告が核兵器搭載艦及び核兵器搭載疑惑艦の横須賀港への入
港を漫然と認め、これを差止める措置をとつていないことは否認し、その余は不知。
3同3のうち、衆参両議院において、非核三原則に関する全会一致の決議が成立してい
ること及び政府が国会質疑等において、非核三原則が我が国の国是であり、これを遵守す
る旨を表明していることは認め、主張は争う。
4同4ないし6は争う。
第三証拠(省略)
○理由
一本件訴訟は、無名抗告訴訟のうちの義務付け訴訟として提起されたものである。
義務付け訴訟は、行政庁に対し、一定の処分その他公権力の行使に当たる行為(以下「行
政処分」という)をすることをその判決により義務付け、行政庁をして行政処分をさせ。

ことを目的とするものであり、したがつて、行政庁の第一次判断権の尊重の要請等との関
係から、その提起につき特別の許容要件が必要とされていることは周知のところである。
しかし、その点はさておき、義務付け訴訟もまた主観訴訟である以上、法律上の利益を有
する者に限り、これを提起することができるものというべきである。そして、右の法律上
の利益を有する者とは、義務付け訴訟の判決により義務付けられるべき行政処分がされな
いことによつて、仮に当該行政処分がされたとすればその法的効果として付与されること
となる権利若しくは法律上保護された利益を、侵害され又は必然的に侵害されるおそれの
ある者をいい、右の法律上保護された利益とは、当該行政処分の根拠法規が保護している
私人等権利主体の個人的な利益をいうものと解するのが相当である。
ところで、本件訴訟において、原告は、
横須賀港に核兵器搭載艦又は核兵器搭載疑惑艦が入港することにより原告を含む横須賀市
及びその周辺地域に住む住民が核戦争に巻き込まれ、又は核兵器搭載艦の衝突事故による
災害に巻き込まれる危険があるが、この危険状態は、領海条約二三条及び非核三原則に基
づく、核兵器搭載艦又は核兵器搭載疑惑艦の我が国領海からの退去の要求等といつた行為
がされることにより解消される旨主張する。
そこで考えるに、本件訴訟における義務付けの対象となる退去要求等といつた行為がされ
たとしても、その法的効果として原告に何らかの権利が付与されるものといい難いことは
明らかである。それゆえ、右の行為がされることにより、その法的効果として、原告主張
の危険状態の解消といつた利益として原告に付与されることとなるかどうかが問題とな
る。
しかるところ、原告は、右の行為の根拠法規として、領海条約二三条及び非核三原則を援
用している。しかしながら、領海条約二三条は、外国軍艦に対する沿岸国の主権行使の要
件及び態様を規定したものであつて、私人等権利主体の個人的利益を保護する趣旨の規定
とは到底解されない。また、非核三原則は、国会の各議院における決議であつて、法律と
して定立されたものではないことは、原告の主張自体からも明らかであり、その内容から
みても、国政に関する重要かつ基本的な政策であるというほかはないから、国会における
各党、各会派がこれに賛成し、一部の地方議会で同様の議決があり、国民の多数がこれを
支持しているとしても、これをもつて法規としての性格を有するものということはできな
い。そうすると、原告の援用する領海条約二三条及び非核三原則によつては、原告に法律
上保護された利益が付与されることを基礎付けることはできず、他に原告に法律上保護さ
れた利益が付与されることを認めるに足りる根拠は見いだし難い。
したがつて、原告は、本件訴訟を提起するにつき法律上の利益を欠くものというほかはな
い。
三以上によれば、本件訴訟における義務付けの対象となる退去要求等といつた行為が行
政処分としての性格を有するか否か、本件訴訟が義務付け訴訟の特別の許容要件を満すか
否か、本件訴訟につき被告は被告適格を有するか否か等の点につき判断するまでもなく、
本件訴訟は、法律上の利益を欠く不適法な訴えであるから、これを却下することとし、訴
訟費用の負担につき、行政事件訴訟法七条、
民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官鈴木康之太田幸夫加藤就一)
別紙(省略)

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