弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人中村領策の上告理由一の(1)ないし(4)について。
 原判決は、被上告人の上告人Aに対する昭和三四年四月六日発信同月七日到達の
内容証明郵便の内容が、第一次的に、本件土地賃貸借契約は昭和二六年七月一三日
に期間の満了によつて終了しているとして、昭和三四年四月二〇日までに本件土地
の明渡を求め、かつ、昭和二六年七月一三日までの賃料四、八〇〇円と同月一四日
以降本件土地明渡までの賃料同額の損害金の支払を求める趣旨のものであり、第二
次的に、もし本件土地賃貸借契約が存続しているとすれば、昭和三四年四月二〇日
までに昭和二五年七月一四日(原判決に昭和二六年七月一四日とあるのは誤記と認
める)以降の九年間分の賃料四三、二〇〇円の支払を求める旨の催告をするもので
あることを当事者間に争いのない事実として確定したうえ、右第二次的になされた
賃料の催告も、その履行を求めている債務の内容は明白であつて何らあいまいな点
はなく、これによつて上告人Aとしては何ら不利益を受けることはないから、催告
としての効力に欠けるところはないと判断しているのである。そして、この判断は、
上告人Aが右予備的催告に応じて前示賃料を提供しても被上告人においてこれを受
領する意思があると認められないような特段の事情が認定されていない原判示のも
とでは、正当というべきである。この点の原審判断に所論の法令違反ないし条理違
背、審理不尽の違法があるとする論旨は、独自の見解であつて採用できない。
 同一の(5)について。
 所論は、原審認定外の事実をまじえ、あるいはその認定にそわないことをもつて、
原判決の審理不尽、条理違反ないし法令適用の誤りをいうものであつて、上告理由
として採用できない。
 同二について。
 所論は、原審認定の事実関係に独自の解釈をほどこして、上告人の履行提供の不
可能をいい、また、原審認定外の事実を推定して、被上告人の受領不能を云為する
にすぎず、原判決には審理不尽、民法四九四条適用の誤りなど所論の違法は存しな
いから、論旨は採用できない。
 同三について。
 論旨は、原判決が上告人の所論抗弁について判断を遺脱し理由不備の違法がある
と主張するが、ひつきよう、原審の認定にそわないことを前提として原判決の正当
な判断を論難するに帰着し、上告理由として採用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六

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