弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人大島正義の上告趣意第一、二、点について。
 窃盗罪の成立に必要である故意ありとするには、法定の犯罪構成要件たる事実に
つき認識あるだけでは不充分であつて、かかる認識の外なお不正領得の意思あるこ
とを要することは所論のとおりである。しかし、不正領得の意思とは単に物を毀棄
又は隠匿する意思ではなく、権利者を排除して他人の物を恰も自己の所有物のごと
くその物の経済的用法に従つて利用又は処分する意思をいうものであつて、かかる
経済的支配意思が独り自己の利益のためにするものに限らず専ら第三者の利益のた
めにするものをも含むものであることは刑法二三六条、二四六条、二四九条各二項
後段の規定に照らし明らかである。されば、原判決が被告人において第一審相被告
人Aと共謀の上判示会社の命令又は承諾なくして第三者たる土木建築請負業Bに対
し判示資材を売却してこれを同人のため搬出することを決意したと判示した以上不
正領得の意思の判示として欠くるところはないといわなければならない。そして、
原判示の認定は、挙示の証拠によつて肯認することができる。されば、原判決には
所論の違法がなく、論旨は、いずれも採ることができない。
 同第三点について。
 しかし、原判決は、本件資材が判示会社の所有で、判示製鉄所倉庫に保管してあ
るものであること並びに第一審相被告人Aは該資材の処分について何等の権限を持
たず、被告人は倉庫番として鍵を預つているに過ぎないので、いずれも会社の命令
又は承諾がなければ倉庫内の資材の搬出ができないことを判示している。されば、
原判決には窃盗罪の目的物の所持に関する判示について所論のような違法は認めら
れない。論旨はそれ故に採用できない。
 同第四点について。
 しかし、本件が他人の権利を売買の目的とした場合でないことは判示自体によつ
て明白である。そして、原判決の判示が窃盗の判示として欠くるところがないこと
は前論旨で説明したとおりである。されば、所論は、原判示に副わない独自の見解
であつて、採ることができない。
 同第五点について。
 しかし、所論原審第一回の公判調書は、単に一〇二二丁と一〇二三丁の綴り違い
に過ぎないものであることが記録上明らかであるばかりでなく、原審はその後第四
回公判及び第七回公判においてそれぞれ適式に公判手続を更新し原判決にはその第
七回の公判における口頭弁論に基きその口頭弁論における被告人の供述その他を証
拠として判決をしたものであるから、原判決は所論のような証拠上の違法は認めら
れない。それ故本論旨も採用できない。
 同第六点乃至八点について。
 しかし、被告人の窃盗の意思、共謀の事実、倉庫番人であることその他原判示の
事実認定は、被告人の予審判事に対する第二回乃至第五回の訊問調書の供述記載そ
の他原判決挙示の証拠によつて肯認することができる。されば、所論は、原審の裁
量に属する証拠の判断につき独自の見解を加えて事実誤認を主張するものであるか
ら、上告適法の理由ではない。
 よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 安平政吉関与
  昭和二五年五月一八日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    小   谷   勝   重

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛