弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人斎藤義房、同八塩弘二、同石川邦子、同古口章、同岡慎一、同坪井節
子、同伊藤重勝、同末吉宣子、同黒岩哲彦、同須納瀬学、同楠本敏行、同石橋護、
同古波倉正偉、同児玉勇二、同平湯真人、同吉澤雅子、同柴垣明彦、同森野嘉郎、
同伊藤芳朗、同村山裕の上告理由第一ないし第三及び第一〇について
 所論は、D高校女子部の、普通自動車運転免許の取得を制限し、パーマをかける
ことを禁止する旨の校則が憲法一三条、二一条、二二条、二六条に違反すると主張
するが、憲法上のいわゆる自由権的基本権の保障規定は、国又は公共団体と個人と
の関係を規律するものであって、私人相互間の関係について当然に適用ないし類推
適用されるものでないことは、当裁判所の判例(最高裁昭和四三年(オ)第九三二
号同四八年一二月一二日大法廷判決・民集二七巻一一号一五三六頁)の示すところ
である。したがって、私立学校であるD高校の本件校則について、それが直接憲法
の右基本権保障規定に違反するかどうかを論ずる余地はない。所論違憲の主張は採
用することができない。
 私立学校は、建学の精神に基づく独自の伝統ないし校風と教育方針によって教育
活動を行うことを目的とし、生徒もそのような教育を受けることを希望して入学す
るものである。原審の適法に確定した事実によれば、(一) D高校は、清潔かつ質
素で流行を追うことなく華美に流されない態度を保持することを教育方針とし、そ
れを具体化するものの一つとして校則を定めている、(二) D高校が、本件校則に
より、運転免許の取得につき、一定の時期以降で、かつ、学校に届け出た場合にの
み教習の受講及び免許の取得を認めることとしているのは、交通事故から生徒の生
命身体を守り、非行化を防止し、もって勉学に専念する時間を確保するためである、
 (三) 同様に、パーマをかけることを禁止しているのも、高校生にふさわしい髪
型を維持し、非行を防止するためである、というのであるから、本件校則は社会通
念上不合理なものとはいえず、生徒に対してその遵守を求める本件校則は、民法一
条、九〇条に違反するものではない。これと同旨の原審の判断は是認することがで
きる。論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するか、又は原判決を正解しない
でこれを論難するものであり、採用することができない。
 その余の上告理由について
 所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯する
に足り、その過程に所論の違法はない。右事実によれば、(一) D高校は、本件校
則を定め、学校に無断で運転免許を取得した者に対しては退学勧告をすることを定
めていた、(二) 上告人の入学に際し、上告人もその父親も本件校則を承知してい
たが、上告人は、学校に無断で普通自動車の運転免許を取得し、そのことが学校に
発覚した際も顕著な反省を示さなかった、(三) しかし、学校は、上告人が三年生
であることを特に考慮して今回に限り上告人を厳重注意に付することとし、上告人
に対し本来であれば退学勧告であるが今回に限り厳重注意としたことを告げ、さら
に、校長が自ら上告人と父親に直々に注意し、今後違反行為があったら学校に置い
ておけなくなる旨を告げ、二度と違反しないように上告人に誓わせた、(四) 上告
人は、それにもかかわらず、その後間もなく本件校則に違反してパーマをかけ、そ
のことが発覚した際にも、右事実を隠ぺいしようとしたり、学校の教諭らに対して
侮辱的な言辞をろうしたりする等反省がないとみられても仕方のない態度をとった、
(五) 上告人は、本件校則違反前にも種々の問題行動を繰り返していたばかりでな
く、平素の修学態度、言動その他の行状についても遺憾の点が少なくなかった、と
いうのである。これらの上告人の校則違反の態様、反省の状況、平素の行状、従前
の学校の指導及び措置並びに本件自主退学勧告に至る経過等を勘案すると、本件自
主退学勧告に所論の違法があるとはいえない。これと同旨の原審の判断は是認する
ことができる。所論は、違憲をも主張するが、その実質は本件自主退学勧告の裁量
逸脱の違法をいうものにすぎない。論旨は、帰するところ、原審の専権に属する証
拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原判決の法令違
背をいうものであって、いずれも採用することができない。
 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    井   嶋   一   友
            裁判官    小   野   幹   雄
            裁判官    高   橋   久   子
            裁判官    遠   藤   光   男
            裁判官    藤   井   正   雄

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