弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告人代理人甲斐・の上告理由第一点の一について。
 論旨は、原判決が本件物件の時価を確定することなく損害額の算定をした点に、
差戻を受けた裁判所として上告裁判所の示した破棄理由の判断に従わないことによ
る民訴法四〇七条二項但書違反があるという。
 しかし、原判決は、挙示の証拠関係から、被上告人の上告人に対する本件売買契
約の代金額を三五〇万円と認定し、本件物件の訴外Dに対する売却代金を二六五万
円と認定して、その差額金八五万円の得べかりし利益を被上告人が失い同額の損害
を被つたのは、特別事情によるものであるとし、且つ上告人は本件売買代金債務不
履行当時すでに、原審認定の状況のもとで、原判示の特別事情すなわち、上告人の
右債務不履行の結果本件売買契約が解除せられるならば、被上告人は債務整理の必
要上早急に本件物件を処分しなければならない立場にあり、そのために本件物件が
本件売買の場合より不利な条件で処分せられ、被上告人において損害を被るおそれ
があるという事情を予見し得べかりしものであつたと認定判断し、右債務不履行と
被上告人の被つた前記損害との間に因果関係を認め、以て特別事情による損害賠償
請求権の発生を判定したのである。従つて、かかる特別事情の予見を前提とする損
害賠償の範囲を確定するについて当該売却物件の時価の確定は所論のように必要と
はならない。
 所論破棄判決(昭和三二年(オ)七一〇号、第一小法廷昭和三五年四月一四日判
決)は、その判文上明らかなように、通常生ずべき損害として損害額を算定するに
ついては時価の確定が必須であることを云つているにすぎないから、本件原判決の
如く特別事情に基づくものとした以上は、時価の確定は必要でないことになる。従
つて時価の確定の必要を前提として、民訴法四〇七条二項但書違背をいう所論は、
所論破棄判決ないし原判決の判文を正解しないことによる見解であつて採用できな
い。
 同第一点の二について。
 所論は、訴外Dに対し被上告人が本件物件を売却した代金額が時価相当であつた
とすれば、被上告人は原状回復を得ているのであるから何らの損害を被つたことに
ならないとか、民法四一六条の「損害」とは時価と売値の差額であるというが、該
所論は、原判決が前示のとおり本件につき特別事情による損害賠償請求を認容した
ことを正解しないことによるか、ないしは独自の見解に基づくものであつて、すべ
て採用できない。
 同第二点について。
 所論は、売買契約の解除により売主が原状回復として売渡物件の返還を受けた場
合、時価の変動がない限り売主に解除による損害を生ずる余地がないことをいうが、
右は独自の見解を述べるにすぎず、挙示の大審院判例は本件に適切なものではない
から、所論は採用できない。
 又本件特別事情と損害との間に相当因果関係があるとした原審判断は、判交なら
びに記録に徴し、首肯できるところであり、原判示の特別事情のもとで被上告人が
本件物件を時価と関係のない判示価格で前示訴外人に売却したことをもつて相当因
果関係のないことを云々する所論は、原審認定外の事実関係を前提とするか、独自
の見解に基づいて原判決の正当な判断を非難するにすぎないもので、採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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