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神戸地方裁判所 平成14年10月22日判決 平成13年(わ)第516号,第6
46号 住居侵入,強盗殺人,強盗強姦未遂,現住建造物等放火,死体損壊,窃
盗,窃盗未遂被告事件
主  文
被告人を無期懲役に処する。
未決勾留日数中400日をその刑に算入する。
押収してあるドライバー2本(平成14年押第105号の1の1及び
2),ラジオペンチ1本(同押号の2),簡易ライター1個(同押号の3)を没収
する。
理  由
(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 平成12年7月2日午後7時30分ころ,兵庫県洲本市Aa丁目b番c号所
在のB事務所敷地内において,同所に駐輪中の前記B所有に係る自転車1台(時価
5000円相当)を窃取した
第2 平成13年4月27日ころ,かつて居住していた兵庫県三原郡三原町Cd番
地e所在のDビルf号室に無断で入り込んで過ごすうち,向かいの同ビルg号室に
居住するかねて顔見知りのVを見かけるなどして同女に対し劣情を催し,同女を強
姦するとともに同女から金品を強取し,さらには犯行を隠ぺいするため,同女を殺
害した上,同女方居室に放火して前記Dビルとともに同女の死体を焼損しようと企
て,
 1 同年5月4日午後8時10分ころ,前記強姦等の目的で,前記Dビルg号室
のV方に同室南側ベランダの掃き出し窓から侵入し,同所において,前記V(当時
35歳)の帰宅を待ち伏せ,帰宅した同女に対し,左手でその口を塞いでベットに
押し倒して馬乗りになり,同女の両手を押さえ付けながら右手でその首を強く絞
め,「暴れるな。殺したないから,声は出すなよ。」と申し向け,同女の口及び目
に所携のガムテープを貼り付け,同女の両手首及び両足首をビニール紐で縛り上
げ,ガムテープがはずれたため,さらにタオルで同女の目及び口を塞ぐなどの暴
行,脅迫を加え,同女の反抗を抑圧した上,強いて同女を姦淫しようとしたが,陰
茎が勃起しなかったため,姦淫の目的を遂げず,引き続き同女のバック内の財布か
ら,その所有又は管理に係る現金3円及びキャッシュカード等カード3枚及び鍵2
本付きキーホルダー(時価合計1880円相当)を強取し,さらに,同月5日午前
3時ころ,同所において,同女がその両手足等を縛り上げていたビニール紐やタオ
ルを解いて逃走しようとするや,同女に対し,その左腕を掴み左手でその顔を押さ
え付けてベッドに押し倒し,馬乗りになって右手で同女の首を強く絞めながら,
「黙れ。騒ぐな。また思い切り首を絞めるぞ。」と申し向け,再びタオルで目と口
を塞ぐとともにその両手首をビニール紐で縛る等の暴行,脅迫を加え,同女の反抗
を抑圧し,再度,強いて同女を姦淫しようとしたが,同女が大声でうなる等して激
しく抵抗したため,その目的を遂げず,同日午後3時ころ,同所において,同女を
ベッドに押し倒し,両足首をビニール紐で縛り,左手で同女の首を押さえ付ける等
しながら「静かにしとけ。大きな声出したら首絞めるぞ。」と申し向けて,三度,
強いて同女を姦淫しようとしたが,同女が大きなうなり声を上げて暴れたため,そ
の陰部に手指を挿入したに止まり,その目的を遂げず,同女の激しい抵抗にあった
め最終的に同女を強姦することを諦め,当初からの計画どおり犯行隠ぺいのため同
女を殺害しようと決意し,同日午後6時ころ,同所において,殺意をもって,その
背後からベッドにうつ伏せにした同女の両手首を掴んで引っ張り上げながら両膝に
全体重をかけて同女の頭部を挟み付けつつ押さえてその顔面を枕に強く押さえ続
け,よって,そのころ同所において,同女を窒息させて殺害した
 2 同月6日午前5時40分ころ,同ビルg号室において,同室中央部のこたつ
の周囲にロールティッシュを解いて撒くとともにベッド上の前記Vの死体の周辺に
灯油に浸した布きれや枕を置いた上,座椅子の上にタオル片を置き,これにマニキ
ュア液をかけ,さらにその上に丸めたティッシュペーパー数枚を置いて,その上に
点火したタバコを乗せ,その座椅子をこたつに入れる等して火を放ち,そのタバコ
の火を前記タオル片,こたつ布団,ベッド等を介して同居室内及び前記Vの死体に
燃え移らせ,よって,Oら4名が現に住居として使用する前記Dビル(鉄骨造瓦葺
高床式3階建,床面積合計742.86平方メートル)の一部約70.74平方メ
ートルを焼損するとともに前記Vの死体を焼損させて損壊した
第3 同月6日午前10時10分ころから同日午前10時24分ころまでの間,兵
庫県三原郡三原町Eh番地所在のF内G信用金庫H支店キャッシュコーナーにおい
て,同コーナーに設置された現金自動預払機に,前記第2の1の強取に係る前記V
名義のキャッシュカードを挿入して同機を作動させ,同機から同支店長I管理に係
る現金を窃取しようとしたが,被告人が入力した暗証番号が誤っていたため同機が
作動せず,その目的を遂げなかった
 ものである。
(証拠の標目)―括弧内の数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号―
 省略
(補足説明)
第1 弁護人は,判示第2の各犯行につき,被告人は,当初は単に被害者を強姦し
ようと企て同女方に侵入して強姦行為に及んだものであり,その余の金員の強取並
びに犯行隠ぺいのための同女の殺害や判示Dビルに対する放火及び死体損壊は,段
階的に犯意を発展させて順次敢行したに過ぎず,同女方に侵入する前からの犯行計
画に基づくものではない旨,また,本件では被告人に本件各犯行とりわけ第2の各
犯行につき自首が成立する旨主張し,被告人も当公判廷でこれに沿う供述をする。
   当裁判所は,被告人は事前に立案した犯行計画に基づき判示第2の各犯行に
及んだものと優に認められ,また,被告人には自首が成立しないと判断したのであ
るが,以下,若干補足する。
第2 犯行の計画性について
   被告人の前掲各供述調書中には,被告人は,判示第2の各犯行前に,要旨,
「被害者方にそのベランダのサッシ戸を破って侵入し,被害者の帰宅を待ち伏せ,
首を絞めるなどして同女を襲って強姦し,同女から現金等を強奪する,犯行後は同
女を絞殺痕の残らない方法で窒息死させて殺害する,その後同女方に放火して判示
Dビルごと死体を燃やして逃走する」との犯行計画を立案し,これを実行したもの
である旨の供述部分があるが,この供述部分は,具体的かつ詳細な供述であって高
度の信用性が認められ,加えて,その供述内容が,薬剤部分を除去した多数のマッ
チ棒の入ったマッチ箱が被告人の手荷物から発見されており,事前に自動発火装置
を準備していたことを裏付けていること,被告人が,判示第2の各犯行の際,一方
で手袋を着用したり自己のタバコの吸い殻や被害者を緊縛したビニール紐等を持ち
帰ったりするなど周到な罪証隠滅工作をしながら,他方で,被害者と顔見知りであ
るにもかかわらず,自らの顔を隠すことなく犯行に及んでいることからすると,事
前に被害者の殺害を計画していたものというほかはないことなどを併せ考慮する
と,いずれもその信用性は十分である。これに対し,被告人の前記公判供述は,そ
れ自体が極めてあいまいな供述であり,金員強取の点は事前に企てたことを自認し
たりもする等不自然に変遷しているのであって,到底信用できるものではない。
   そうすると,信用性の十分な被告人の前掲各供述調書によれば,判示第2の
各犯行は事前の犯行計画に基づき敢行された犯行であると認めるに十分であり,弁
護人の主張は理由がない。
第3 自首の不成立について
   前掲関係各証拠並びに証人Mの当公判廷における供述,第2回公判調書中の
証人Jの供述部分,Kの検察官に対する供述調書(91),Lの司法警察員に対す
る供述調書(92),司法警察員(1,94ないし98,148,149)及び司
法巡査(93)作成の各捜査報告書によれば,被告人は,判示第3の犯行後,実兄
である前記Kに電話して本件放火を自認し,前記Lが三原警察署にその旨通報した
後,自ら洲本警察署にも電話して本件放火等を自認し,その後数度の電話を介して
被告人の所在場所を明らかにし,任意同行を経て本件逮捕に至ったのであるが,被
告人が前記Kに電話をした時点においては,同人から警察に出頭するよう勧められ
ながらこれに応じなかったことなど,その通話内容に照らし,被告人が捜査機関に
自己の犯罪事実を申告してその処分を司直の手に委ねる意思を有していなかったこ
とは明らかであり,また,被告人が洲本警察署に電話した時点においては,それま
での捜査により判明した事実に加えて,被告人が本件放火犯人である旨の電話があ
ったとする前記Lからの通報がすでになされていたことに照らすと,被告人が本件
放火等を犯したことが捜査機関に発覚していたことは明白であるから,本件各犯行
のいずれについても被告人に自首が成立する余地はなく,弁護人の主張は理由がな
い。
(法令の適用)
 被告人の判示第1の所為は刑法235条に,判示第2の1の所為のうち,住居侵
入の点は同法130条前段に,強盗殺人の点は同法240条後段に,強盗強姦未遂
の点は同法243条,241条前段に,判示第2の2の所為のうち,現住建造物等
放火の点は同法108条に,死体損壊の点は同法190条に,判示第3の所為は同
法243条,235条にそれぞれ該当するが,判示第2の1の強盗殺人と強盗強姦
未遂は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であり,住居侵入と強盗殺人及び強盗
強姦未遂との間にはそれぞれ手段結果の関係があるから,同法54条1項前段,後
段,10条により結局以上を1罪として最も重い強盗殺人罪の刑で,判示第2の2
は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,同法54条1項前段,10条
により1罪として重い現住建造物等放火罪の刑でそれぞれ処断することとし,各所
定刑中,判示第2の1の罪については無期懲役刑を,判示第2の2の罪については
有期懲役刑をそれぞれ選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるが,判示第2
の1の罪につき無期懲役刑を選択したので,同法46条2項本文により他の刑を科
さないで,被告人を無期懲役に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中400
日をその刑に算入し,押収してあるドライバー2本(平成14年押第105号の1
の1及び2),ラジオペンチ1本(同押号の2)は判示第2の1の住居侵入の犯行
の用に供した物であり,簡易ライター1個(同押号の3)は判示第2の2の現住建
造物等放火の犯行の用に供した物であって,いずれも被告人以外の者に属しないか
ら,それぞれ同法19条1項2号,2項本文を適用して同法46条2項ただし書に
よりこれらを没収し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被
告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
1 本件は,被告人が,自転車を盗んだ窃盗の事案(第1),被害者方居室に不法
に侵入した上,同女に対し,暴行脅迫を加え,前後3回にわたり強姦行為に及んだ
がいずれも未遂に止まり,その間同女から金品を強取し,その後,犯行隠ぺいのた
め同女を殺害した住居侵入,強盗殺人,強盗強姦未遂の事案(第2の1),犯行隠
ぺいのため被害者方居室に放火して判示ビルを一部焼損するとともに同女の死体を
損壊した現住建造物等放火,死体損壊の事案(第2の2)及び強取した被害者名義
のキャッシングカードを使用して現金自動預払機から現金を窃取しようとしたが未
遂に止まった窃盗未遂の事案(第3)である。
2 第2の各犯行を中心にその犯情を検討すると,被告人は,平成11年勤務先会
社を退職するとともに同年7月別居中の妻と離婚し,退職金や離婚に伴う解決金と
して約1000万円を手にするや,高級クラブで豪遊するなどして約1年間でこれ
らの金員を使い果たした挙げ句,野宿生活をしたり,偶然知り合った資産家の女性
の経済的援助を受けるなどして生活し,平成12年11月ころには知人の好意で判
示Dビルf号室に入居し,その資金援助を得てレストランを開店しその経営に当た
ったものの,平成13年3月にはその経営に行き詰まり閉店し,Dビルf号室の鍵
を取り上げられて,以後住居もなく食事にも事欠く生活を送っていたものである
が,かつて居住していた同室に忍び込んで,同所で数日過ごすうち,かねて顔見知
りの被害者を見かけるなどして同女に劣情を催し,自らの性的欲望を満たすため同
女を強姦しようと企図し,被害者方居室にその南側ベランダのサッシ戸を破って侵
入し,被害者の帰宅を待ち伏せ,首を絞めるなどして同女を襲って強姦するととも
に,同女から現金等を強奪する,犯行後は同女を絞殺痕の残らない方法で窒息死さ
せて殺害する,その後同女方に放火して判示Dビルごと死体を燃やして逃走する旨
の犯行計画を立案し,これを実行したものであるところ,その動機に酌むべき事情
は全く認められない。
  なお,弁護人は,被告人は犯行当時精神の平衡を失して心神耗弱に近い状態で
あった旨主張するが,被告人が本件各犯行に及んだ動機,犯行計画の内容,その犯
行時の挙動,逮捕後の供述内容等に照らすと,被告人の事理弁識能力や行動制御能
力が障害されていたことを窺わせる事情は全く見当たらないから,弁護人の主張は
理由がない。
  その犯行態様をみるに,被告人は,一連の犯行を決意するや,被害者の留守を
狙って同女方に侵入して待ち伏せ,帰宅した同女に対し,突如襲いかかりベッドに
押し倒して同女の首を絞めたり,同女の手足をビニール紐等で緊縛する等の執拗か
つし烈な暴行を加え,約10時間の間に前後3回にわたり強姦行為に及び,その間
に被害者から判示金品を強取しキャッシュカードの暗証番号を聞き出すなどしたの
であり,さらに,いずれの場合も同女の思いのほか強い抵抗にあって結局同女を強
姦することを諦めたものの,犯行を隠ぺいするため,犯行前からの計画どおり,同
女を殺害することとし,強固な確定的殺意に基づき同女の顔面を枕に押し付ける等
して窒息死させたばかりか,いったんf号室に戻って時を待った後,再び同女方居
室に侵入して同所で点火したタバコを利用した時限発火装置を仕掛けて放火し,判
示ビル及び同女の死体を焼損させたものであるところ,第1の犯行を除く本件各犯
行が,事前に準備された犯行計画に基づき実行された計画的犯行であって,犯行発
覚を防ぐため事前に相当な準備をした上で敢行されたものであることは,事前に時
限発火装置の実験をしていること,被害者や他の入居者の生活状況を子細に観察し
た上犯行計画を立案したこと,犯行発覚を防ぐため,第2の各犯行の際には指紋を
残さないように手袋を着用していること,被害者を窒息死の方法で殺害する際はそ
の痕跡を首などに残さないよう枕や毛布を使用したこと,死体の焼損を図るべく,
被害者方居室に放火するに当たり,同女の死体を動かして燃えやすいように灯油を
浸したタオル片等をその周囲に置いたこと,自己のタバコの吸い殻等を持ち帰った
ほか,逃走時間を稼ぐため早朝に時限発火装置を利用して放火したこと等により明
らかであって,判示第2の各犯行は大胆かつ巧妙で,また,執拗,卑劣かつ冷酷な
計画的犯行であり,その犯情は極めて悪質である。
  被害者は,最も安全であるべき自宅において,何らの落ち度もないのに,前後
3回にわたり強姦未遂の被害を受けるとともに金品を強取され,約22時間にわた
って手足を緊縛されるなどして著しい恐怖感や屈辱感を加えられた挙げ句,強姦行
為に対しては激しく抵抗しつつ,自らの生命を守るため被告人を刺激しないよう的
確な対応を続けたにもかかわらず,一顧だにされず,いまだ35歳の若さで無惨に
もその生命を奪われ,さらにはその遺体を焼損される等その尊厳を踏みにじられた
のであり,被害者の被った心身の苦痛やその無念さは想像するに難くなく,その心
情を思うと深い同情の念を禁じ得ない。また,実父,実兄らの遺族や被害者の交際
相手は,遺体が著しく損傷を受けていたため最後の対面も十分に果たせなかったの
であり,遺族や交際相手が受けた衝撃と悲しみは誠に深刻であって,その被害感情
は極めて厳しく,いずれもが被告人の極刑を望んでいるのは,被害者遺族の被害感
情としては当然のことといわねばならない。以上の諸事情に加え,現住建造物等放
火により判示ビルの入居者らに著しい恐怖感を与えたこと,その財産的被害も多額
に及んだこと,いずれの犯行についても,何ら慰謝の措置が講じられていないこ
と,本件各犯行が社会一般に与えた衝撃や不安感など社会的影響は甚大であること
をも併せ考慮すると,本件犯行の結果は誠に重大であるというほかはない。
  また,被告人は,第2の各犯行後,判示ビルから逃走し,その逃走資金等を得
るため第3の犯行を敢行したほか,強取品を遺棄隠匿するなどの罪証隠滅行為に及
ぶなど,犯行後の行状も芳しくない。
  以上の点に加え,被告人が公判廷において第2の各犯行の計画性を否定し自己
の責任を軽減しようとする態度に出たことに照らすと,犯情は誠に悪質であり,被
告人の刑事責任は極めて重大である。
3 検察官は,本件は被告人を死刑に処すべき事案である旨主張するところ,以上
のような本件の罪質,動機,犯行の計画性及び態様,罪証隠滅工作,遺族らの被害
感情,社会的影響などに照らすと,被告人の刑事責任には極めて重大なものがあ
り,本件は被告人を死刑に処することの当否を慎重に検討すべき事案であるという
べきであるので,所論にかんがみ,殺害された被害者が1名である本件事案の死刑
の当否について,さらに検討を加えることとする。
  被告人のために酌むべき情状,ことに死刑に処することを躊躇させる事情とし
て,第2の各犯行については,被告人は強姦を主たる目的として本件各犯行に及ん
だものであり,利欲的な面は必ずしも大きい事案とは認められないこと,被害者殺
害の方法が被害者の生命をいたずらに弄ぶような極めて残虐なものであるとまでは
いえないこと,強姦の点はいずれも未遂に止まり,強盗の被害額は低額であるこ
と,現住建造物等放火による人的被害はなかったこと,犯行当時59歳の被告人に
は前科はなく,前認定のとおり平成11年に勤務先会社を退職するまで同社で約2
8年間継続して稼働していたのであり,その間,社会的にも家庭的にも格別の問題
も起こさず生活していたこと,前認定のとおり第2の各犯行は計画的犯行であると
認められるが,理由はともかくも,殺害実行を長時間躊躇し,強姦を結局断念する
など,事前の犯行計画を冷徹に確実に実行したものとは必ずしも認めがたいこと,
その真意はともかくも,本件各犯行後間もなく親族や警察署に電話して本件各犯行
を告白し,被告人が自ら警察署に通報したことを契機に逮捕され,捜査段階から本
件各犯行を概ね認め,その後自らの罪責の重大性に対する自覚を深め,捜査官にも
知られていなかった犯行状況も含めて詳細な供述をするに至ったこと,前記のとお
り刑罰の軽減を願う心情を隠せないなど必ずしも十分とはいえないものの,当公判
廷において反省服罪の態度を示していることなどの事情も認められる。これらの事
情は,被害者や遺族の立場を考えれば過大に評価すべき事柄ではないが,被告人の
反社会性の程度や改善の可能性,ひいては死刑の選択の当否を判断するに当たって
は,無視することができない事情というべきである。
4 以上の諸事情を前提に,死刑の適用に関する最高裁判決(昭和58年7月8日
最高裁判所第2小法廷判決)の趣旨や,検察官が論告で引用する裁判例その他近時
の死刑求刑事案に関する量刑の動向などをも十分比較検討し,総合勘案すると,被
告人の負うべき刑事責任は誠に重大であるが,本件が死刑をもって処断するのが相
当な事案であるとまでは認められないから,被告人を無期懲役に処するのが相当で
あると判断した。
  よって,主文のとおり判決する。
   平成14年10月22日
神戸地方裁判所第1刑事部
  裁判長裁判官   杉森研二
     裁判官   橋本 一
     裁判官   林 史高

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