弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人橘川光子の上告理由第一点について。
 所論は、まず、原判決の認定が前後矛盾すると主張するが、原判文を精読すれば
明らかなとおり、原判決は挙示の証拠関係により、本件建物は昭和一三年五月一九
日成立の裁判上の和解によつてDから所論Fに賃貸されることになつたものである
が、右建物にはFの内縁の妻Gが既にその父Hの時代から長年に亘り居住して同女
の営業名義で旅人宿を営み、父Hが死亡しFを内縁の夫として迎え入れた後も、同
様同女名儀の右営業をつづけ、かつ前記Dに対する右建物の賃料の支払いも同女に
よつてなされてきたなど原判示の経緯を認定したうえ、賃貸人DとしてはFの死亡
(昭和一九年一一月九日)後は同女に本件建物を賃貸し、これを同女売り渡すまで
の間その賃料の支払を同女から受けてきたことを認定判示し、反面、挙示の証拠な
らびにそれによつて認定した判示事実関係から、所論Iにおいてその死亡(昭和二
八年一一月二五日)当時本件建物につき賃借権を有し、かつ、上告人らにおいて右
Iの死亡後右建物につき賃借権を取得し現在に及んでいるものと認めなければなら
ないものではなく、他にこれを認めるべき証拠はない旨判示している。
 原判文中、前叙認定の事実関係から、Fの死亡により即時同人の内縁の妻GがF
の有していた前記Dに対する本件建物についての賃借権を承継したものと認めるの
を相当とする旨判示している部分の措辞は、妥当を欠くきらいがないでもないが、
該部分の判示は、次いで記載されている「その後において本件建物に居住し、かつ、
選定家督相続人であるとしてFの家督相続をしたIは、仮りに右相際端が適法であ
つたとしても、その一事によつて、当然に前記賃借権を承継したものとなすことは
できない云々」の前提として掲げられているところであつて、原判文を前後通続す
れば、前叙認定と異る趣旨をここに判示しているものとは見られず、従つて、所論
のようにこの点について原審認定の矛盾をいうのは当らない。
 また、原判決は、前示のごとく、DはFの死後Gに本件建物を賃貸したものであ
り、仮りにIが相続によりFの賃借権を承継したとしても、昭和二二年九月六日成
立の所論調停においてIはGに対し本件建物の賃借権を放棄したから、Gのみが適
法な賃借権者であると認定判示しており、右原審の認定判断は首肯できるところで
あつて、この点の非をいう論旨も採用できない。
 なお、所論は、内縁の妻はその夫の死亡と同時に夫の有する賃借権を承継できな
いことを云為して、原判決の法律解釈適用の誤りをいうが、原判決は、前記のとお
り、Fの死亡後賃貸人Dにおいて本件建物をGに賃貸してきた事実を認定しており、
原判文中、Fの死亡により即時同人の内縁の妻GがFの有していたDに対する本件
建物の賃借権を承継したものと認める旨の判示は、前叙のとおりに解すべきである
以上、右論旨は、ひつきよう原判決を正解しないことによるものというのほかなく、
すでに前提を欠き、採用の余地がない。
 同第二点について。
 所論は、原判決の採証法則違反、審理不尽をいうが、その実質は、すべて、原審
の専権たる証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに尽き、上告理由として採用で
きない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛