弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決中被告人に関する部分を破棄する。
     被告人を懲役六月に処する。
     押収にかかる現金四千円(東京地方裁判所昭和三八年押第九〇〇号、当
庁同年押第六九六号の1)、現金四万九千五拾円(同16)、花札参箱、寺袋壱
枚、受皿壱個、盆布壱枚、毛布壱枚、止め鋲二拾四本、替銭札弐拾枚、海綿壷弐
個、メモ帳五冊、メモ紙片七枚、二色鉛筆弐拾五本、寺箱壱個及び小刀壱挺(同1
7ないし29)は、これを没収する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、弁護人遠山丙市提出の控訴趣意書に記載されたとおりである
から、ここにこれを引用する。
 職権により調査すると、原判決は、その理由中において、押収にかかる現金五千
百円(東京地方裁判所昭和三八年押第九〇〇号の2、4)は被告人の本件賭場開張
図利の犯行を組成したもので、犯人以外の者に属しないから、刑法第十九条第一項
第一号第二項によりこれを没収することとする旨説明し、主文において、右現金と
被告人の右犯行により得た現金五万三千五十円(同1、16)(いわゆる寺銭)と
を合算した現金五万八千百五十円を没収する旨の言渡をした。しかし、司法警察員
の現行犯人逮捕手続書及び捜索差押調書に被告人の当審公廷における供述を総合す
ると、右現金五千百円中四千円(同2)は被告人が司法警察員により本件の開張中
の賭場に臨検され捜索を受けた当時、該賭場に集り賭博に参加した客が賭博に供す
る目的でその手もとに所持していたいわゆる場銭であり、千百円(同4)は、当時
右客が現に行なつている賭博に賭したいわゆる賭銭である<要旨>ことが認められ
る。しかして、賭場開張図利罪は、利益を得る目的で自らの主宰のもとに賭博をさ
せる場所を開設する行為があることによつて成立し、現実に賭博が行われた
ことを必要とするものではないから、右のごとき場銭及び賭銭は、法律上同罪の構
成要素をなすものとはいえず、したがつて、本件犯罪行為を組成したものには当ら
ないというべきであり、他に右各金銭の没収を適法かつ相当ならしめるべき事由を
認めることができない。されば、原判決がこれを没収したのは、法令の解釈適用を
誤つたものであり、この誤は、判決に影響を及ぼすことが明らかである。
 よつて、控訴趣意(量刑不当の主張)に対する判断は、ここではこれを省略し、
刑事訴訟法第三百九十七条第一項第三百八十条により原判決中被告人に関する部分
を破棄し、同法第四百条但書により当裁判所は右部分につき次のとおり判決する。
 原判決が適法に認定した被告人に対する罪となるべき事実に法令を適用すると、
被告人の所為は、刑法第百八十六条第二項に該当するのでその所定刑期範囲内で量
刑すべきところ、情状を検討すると、記録によれば、被告人は、昭和三十年頃東京
都台東区a界隈を根城とする博徒A一家の身内となり、昭和三十四年頃から貸元と
してb町一帯を縄張りに持ち、賭場の開張を渡世としていたものであることが認め
られ、以上の点に記録に現われている被告人の境遇、年令、性行、前科関係、犯罪
後の情況その他諸般の事情を総合して考量したうえ、被告人を懲役六月に処し、主
文第三項掲記の物件中現金四千円(東京地方裁判所昭和三八年押第九〇〇号の一)
及び現金四万九千五十円(同16)は、本件犯罪行為により得たものであり、その
余の物件(同17ないし29)は、本件犯罪行為に供したもので、いずれも被告人
以外の者に属しないから、同法第十九条第一項第三号第二号第二項によりこれを没
収することとし、主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 坂間孝司 判事 栗田正 判事 有路不二男)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛