弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人田村徳夫、同松田安正の上告理由第一点について。
 上告人は、原審口頭弁論において、所論の代物弁済予約完結権の消滅時効を主張
していないこと記録上明らかであるから、これをもつて原判決を非難することは許
されない。
 つぎに、上告人は、本件代物弁済予約完結権は久しきに亘り行使されなかつたの
であるから、いわゆる権利失効の原則により、右予約完結権は消滅し、その行使は
許されないと主張する。
 原判決の確定するところによれば、本件土地の前所有者訴外Dは、昭和一六年三
月一三日訴外有限責任E信用組合(昭和二五年頃E信用金庫と商号変更)から五万
円を弁済期昭和一七年三月一三日の約定で借り受け、本件土地につき代物弁済予約
契約を締結し、右予約完結による所有権移転請求権保全の仮登記手続をなしたので
あるが、右弁済期経過後も債務の弁済がなく経過したところ、被控訴人(被上告人)
は、昭和三二年六月一二日右E信用金庫からDに対する前記貸金債権および代物弁
済予約上の権利を譲り受け、その頃右譲渡につきDの承諾を得、同月二五日右所有
権移転請求権保全仮登記の移転登記を経由した上、同月二八日右Dに対し代物弁済
予約完結権を行使して本件土地所有権を取得し、同年七月一日前記仮登記の本登記
として所有権移転登記手続をなした。一方、本件土地につき、昭和三元年五月一五
日Dから第一審被告Fへ、同年一一月一二日右Fから第一審被告Gへ、昭和三二年
三月五日右Gから控訴人(上告人)A工業株式会社へそれぞれ所有権取得を原因と
して所有権移転登記がなされたというのである。右確定事実によれば、前記代物弁
済予約完結権の行使は、通常予想される期間を遙かに経過した後に行使されたもの
ということができるが、本件土地については右予約完結による所有権移転請求権保
全の仮登記が依然として登記簿上存在していたのであるから、上告人A工業株式会
社としては、本件土地の所有権取得に際し、右登記簿によつて公示された代物弁済
予約完結権がいずれ行使されるかも知れないことを予想すべきであつたのであり、
他に特段の事情の認められない前示事実関係の下においては、上告人において右代
物弁済予約完結権がもはや行使されないものと信頼すべき正当の理由があるとはい
えない。
 原判決に所論の違法がなく、論旨はいずれも採用できない。
 同第二点について。
 原判決は、本件土地の判示固定資産課税評価価格のほか、本件土地につき訴外D
において多額の税滞納のため滞納処分がなされている事実、本件土地につき数名の
第三者が賃借権を有するといつて、それぞれ地上に家屋を所有している事実を参酌
し、訴外Dより被上告人への本件債権、抵当権、代物弁済予約上の権利譲渡の判示
対価をもつて必ずしも不当でなかつた旨判示したものであつて、右判断は相当であ
る。右のように原判決は、右固定資産税評価価をもつて直ちに本件土地の時価と判
断したものでないこと、右判示により明らかである。原判決に所論の違法がなく、
論旨は採用できない。
 同第三点について。
 原判決確定の事実関係の下においては、被上告人の判示代物弁済予約完結権の行
使をもつて公序良俗違反、権利濫用に当ると解することができない。原判決に所論
の違法がなく、論旨は採用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六

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