弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 論旨第一点は、結局民訴二五五条、二三二条に関する原審の解釈適用を論難する
に帰着するが、元来訴変更の有無、その許否は裁判所の職権調査事項に属し斯かる
事項につき民訴二五五条一項本文の適用が全面的に排除されることは同項但書に明
かであるから、被上告人が第一審口頭弁論に於て始めて所論異議の主張を為したこ
とを目して違法とはいえない。又記録に拠れば、上告人が第一審に於て為した訴の
変更は、従前の請求の趣旨並に原因を全く変更しその請求の基礎を変更するものと
認められるから、右交換的訴の変更はその要件を欠き許さるべきではない。されば、
右点につき上告人の為した訴の変更を許さないとした第一審の判断を是認したこと
を前提とする原審に所論違法ありと為し難い。
 論旨第二点は、原審に民訴一八六条違背及び判断遺脱の違法があると主張するが、
上告人の為した訴の変更が許さるべきでない以上、原審が訴変更前の請求の当否に
ついてのみ認定判断を為し変更後の請求の当否につき認定判断を為さないことは当
然であつて、所論の点につき原審に何等の違法もない。論旨は理由がない。
 論旨第三点は違憲をいうが、原審は「地方公共団体の財産を神社が使用すること
は憲法八九条及び地方自治法二一二条の規定に違反するけれども、(かかる違憲又
は違法の結果におちいることを避ける途は他にも存するのであるから、)その当然
の結論として、地方公共団体は当該財産を神社に無償譲与する義務がある、と解し
なければならないということはない。また他にもかかる義務を課する法律上の根拠
はない。それ故かかる義務の存在を前提とする原告の本訴請求はその余の判断をま
つまでもなく失当である」との趣旨を判示しているのであつて、所論のように憲法
違反を是認する趣旨を含むものではない。従つて、所論違憲の主張はその前提を失
い採用することができない。なおこの点については、当裁判所の判例(昭和二九年
(オ)第三五一号同三一年六月一九日第三小法廷判決)参照。
 論旨中その余の主張はすべて原判決に影響を及ぼすことの明かな法令の違背を主
張するものと認められない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    河   村   又   介
            裁判官    島           保
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    垂   水   克   己

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