弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、被告人提出の控訴趣意書(弁護人笹岡竜太郎提出の控訴趣意
補充書を含む)記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。
 これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。
 控訴趣意中、事実確認の主張について、
 所論は、被告人は原判示Aと最初取引をした際、同人をして住所、氏名、年令、
職業を自署させたうえ、指紋を押捺させて保存していたのであるから、これは昭和
三十二年十月十日愛知県条例第三十一号金属くず取扱業に関する条例(以下単に条
例と略称する)第十一条所定の確認手続を経たものというべきであるのに、原判決
は被告人が右確認手続をしなかつたとの事実を認定したのは事実を誤認したもので
あつて、被告人に対する同条違反の点は無罪である。もし右Aの住所、氏名、年令
の自署、指紋の押捺をもつて同条所定の要求を満すものでないとしても、これによ
つて被告人は同条所定の要件を満すものと解していたのであるから、同条違反につ
いては、被告人には犯意が存しなかつたものであるというのである。
 <要旨>思うに、条例第十一条の規定の趣旨は、住所、氏名、年令等の不確実な者
が賍物等を販売のため持ち込むことのある危険に備え、これを防止すると共
に、延いて盗犯等の防止を図る目的から、金属くずの取扱を業とする者に対して、
販売者の住所、氏名、年令等を確認すべきものとしたものである。同条のかかる規
定の趣旨に徴すればそこで要求されている販売者の身許確認の方法としては、その
身許を確認するについて客観的に相当と認められる方法、例えば、自ら出向きもし
くは電話をかけ相手方の住所を確めるとか、相手方の告知にかかる氏名、住所等が
偽りのものでないことを確認するに足りる手段を講ずること、すなわち、身分証明
書、主要食糧通帳、定期乗車券等の呈示を求める等の方法を用いることをいうもの
である。(古物営業法施行規則二十一条参照)従つて、被告人が単に相手方をして
住所、氏名、年令を自署させ、指紋を押捺させたとしても、それはひつきよう相手
方の申告をそのまま受け取つて書面の上に明確にしたというだけのことであつて、
未だ前記第十一条の所期する相手方の身許確認について客観的に相当な手段を尽し
たものとはいえない。この点の論旨はいずれも独自の議論であつて採用できない。
 次に、被告人か相手方の自署、指紋の押捺をもつて同条の身許確認の方法として
必要にして充分なものと考えていたとしても、それは結局同条の解釈を誤つたもの
であり、被告人がそのように誤信したことについて相当な事情があつたものとは、
記録上とうてい認められないから、右の事由があつても、未だ本件条例第十一条違
反罪の故意を阻却するものとはなし難い。この点の論旨も理由がない。
 控訴趣意中量刑不当の主張について
 本件記録を精査し、原裁判所が取り調べたすべての証拠を検討してみるのに、被
告人の本件各犯行(条例第十一条違反―確認義務違反の罪と条例第十二条違反―帳
簿不記載の罪)の態様、特に本件において、正規の帳簿に記載しなかつた取引の状
況、目的物の性質、数量、取引回数、その他被告人の経歴等諸般の情状を勘案する
と、原審が被告人に対し罰金二千円(右罰金不完納の場合は金二百円を一日に換算
した期間労役場留置)に処したことは相当であつて、原判決には量刑の不当はない
から論旨は理由がない。
 よつて刑事訴訟法第三百九十六条に従い、本件控訴を棄却することとし、主文の
とおり判決する。
 (裁判長判事 影山正雄 判事 谷口正孝 判事 中谷直久)

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