弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人岸本静雄の上告理由二について
 記録によつて認められる原審における訴訟手続の経過に徴すれば、上告人が原審
でした昭和四二年一二月八日付の期日指定の申立は、上告人控訴に係る原審昭和四
二年(行コ)第三号事件のみならず、被上告人控訴に係る同第四号事件をも対象と
したものと認めるのが相当であるから、原審が右両事件につき口頭弁論期日を指定
したうえ審理判断したことに所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
 同三のうち地方税法一一条の六の適用の誤りをいう論旨について
 所論の点に関する原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。所論
引用の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。論旨は、採用することができな
い。
 同三のその余の論旨について
 所論は、第二次納税義務の納付告知を受けた者は右納付告知の取消訴訟において
本来の納税義務者の納税義務(以下「主たる納税義務」という。)の存否又は数額
を争うことができないとした原審の判断は誤りであり、原判決には審理不尽、理由
不備の違法がある、と主張する。
 按ずるに、国税徴収法及び地方税法の定める第二次納税義務は、主たる納税義務
が申告又は決定もしくは更正等(以下「主たる課税処分等」という。)により具体
的に確定したことを前提として、その確定した税額につき本来の納税義務者の財産
に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合に、
租税徴収の確保を図るため、本来の納税義務者と同一の納税上の責任を負わせても
公平を失しないような特別の関係にある第三者に対して補充的に課される義務であ
つて、その納付告知は、形式的には独立の課税処分ではあるけれども、実質的には、
右第三者を本来の納税義務者に準ずるものとみてこれに主たる納税義務についての
履行責任を負わせるものにほかならない。この意味において、第二次納税義務の納
付告知は、主たる課税処分等により確定した主たる納税義務の徴収手続上の一処分
としての性格を有し、右納付告知を受けた第二次納税義務者は、あかたも主たる納
税義務について徴収処分を受けた本来の納税義務者と同様の立場に立つに至るもの
というべきである。したがつて、主たる課税処分等が不存在又は無効でないかぎり、
主たる納税義務の確定手続における所得誤認等の瑕疵は第二次納税義務の納付告知
の効力に影響を及ぼすものではなく、第二次納税義務者は、右納付告知の取消訴訟
において、右の確定した主たる納税義務の存否又は数額を争うことはできないと解
するのが相当である。
これと同旨の原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。諭旨は、採
用することができない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官
全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    小   川   信   雄
            裁判官    吉   田       豊

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