弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人畔柳達雄の上告理由について。
 論旨は、要するに、弁理士法八条二号に違反する訴訟行為は、弁理士の職務規律
違反として、同法一七条等による制裁の原因となることはありえても、当該訴訟行
為自体の効力には影響がないものと解すべきであり、このことは、とくに、出訴期
間の制限を受ける審決取消訴訟の提起行為自体について然りである、と主張する。
 よつて検討するのに、弁理士法八条は弁護士法二五条に類似する規定であるが、
弁護士法二五条については、同条は弁護士の品位の保持と当事者の保護とを目的と
するもので、同条違反の訴訟行為については、相手方たる当事者は、これに異議を
述べ、裁判所に対してその行為の排除を求めることができるものと解すべきである
が、他面、右当事者が、弁護士に同条違反のあることを知りまたは知りうべかりし
にかかわらず、なんら異議を述べることなく訴訟手続を進行させ、事実審の口頭弁
論を終結させたときは、当該訴訟行為は完全にその効力を生じ、もはや、その無効
を主張することは許されないものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところ
である(昭和三五年(オ)第九二四号同三八年一〇月三〇日大法廷判決、民集一七
巻九号一二六六頁)。そして、右大法廷判決の事案は、具体的には、弁護士法二五
条一号違反の訴訟行為に関するものであるが、その理は同条四号違反の場合にも異
なるものでないことは、すでに判例の明示するところである(昭和四一年(行ツ)
第六一号同四二年三月二三日第一小法廷判決、民集二一巻二号四一九頁)。そして、
叙上の弁護士法二五条違反の訴訟行為の効力に関する判例の趣旨とするところは、
また、所論弁理士法八条違反の場合についても妥当するものと解すべきである。
 これを本件についてみるに、原判決の確定するところによれば、本訴は、上告人
から訴訟委任を受けた弁理士Dによつて提起されたものであるが、同弁理士は、特
許庁に審判官として在任中、昭和三九年六月九日、本訴においてその審決の取消し
が求められている当該審判事件について、合議体を構成すべき審判官に指定され、
同四〇年三月末日退官するに至るまで、その任にあつたもので、同弁理士は、けつ
きよく、本件審決自体には関与しなかつたにせよ、前記期間中、右審判事件の主任
審判官として審理に関与し、現実にその職務を行なつていたものであつて、相手方
たる被上告人において、同弁理士の違反行為に異議を述べ、終始その効力を争つて
いる、というのである。
 したがつて、本訴の提起は、弁理士Dが、弁理士法八条二号の規定により「特許
庁ニ在職中取扱ヒタル事件」についてはその業務を行なうことを禁ぜられているに
もかかわらず、あえて右の規定に違反してしたもので、被上告人において異議を述
べている以上、これを無効と解するのほかなく、上告人の本訴を不適法として却下
した原審の判断は正当である。
 原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠

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