弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人鍛治利一同山村利宰平上告趣意第一点について。
 しかし所論原判示、第三の事実の判示は被告人等が荷主の所有に係り且つ判示の
貨車から蹴落し隠匿していた窃盗犯人の占有に属する判示物品を更らに窃取したこ
とを認定したものであつて、所論のごとく占有離脱物を領得したと認定したもので
ないことは判文上明白である。されば原審が被告人等の判示所為に対し刑法二三五
条を適用したのは正当である。所論は、原判示に副わない独自の事実見解の下に原
判決に擬律錯誤の違法あるものと非難するものであるから、採ることができない。
 同第二点について。
 しかし、本件起訴状並びに第一審判決摘示事実には牛皮五枚約一万円を窃取しと
の記載があり、被告人は原審公判廷において右犯罪事実を解示されて「其の通り相
違ありません」と自認している。なおAの提出した被害始末書中に「……牛皮百個
積貨車……の封印がなく内六個をa、b間のc橋梁附近に何者かの為に投下され…
…」の記載があり更に所論司法警察官の聴取書中にも論旨摘録の記載の他に「……
何もなかつたので生の牛皮を五個落したと云うので……」の記載があるからこれ等
の証拠によつて原審が所論判示事実の認定をしたからといつて原判決をもつて証拠
に反する認定をした違法のものということはできない。それ故論旨は理由がない。
 同第三点について。
 所論のA提出の被害始末書は論旨に指摘の昭和二三年六月九日附の三通(記録三
六丁乃至三八丁)だけではなく、なお、他に同年五月一八日附一通(記録一九丁)
の存することは記録上明らかなところである。そして判示第二の事実は昭和二三年
六月九日附被害始末書(記録三七丁)記載の事実と、又判示第四の事実は同年五月
一八日附被害始末書(記録一九丁)記載の事実とそれぞれ照応しその内容において
大体符合していることが認められる。そして、原判決は右始末書の外被告人の原審
公判廷における判示同趣旨の供述を綜合して判示事実を認定したものであるから、
原判決には所論のような証拠上の違法は存しない。論旨はそれ故理由がない。
 同第四点について。
 しかし、論旨指摘の記録一八丁以下を閲するに同丁の書類は昭和二三年五月一六
日附牛窓町警察から照会の窃盗被疑事件について同月一八日附岡山管理部業務課公
安係から岡山車掌区長Aの提出した被害始末書を牛窓町警察署長に送附する旨の書
類の写であつて所論のように牛窓町警察署からの報告書ではない。又一九丁の書類
はAの被害始末書の原本を録取したものである旨の認証のある写であつて、所論の
ように警察官の報告書の内容をなすものでなく、従つて被害始末書の原本と同一の
証拠能力を有する書類である。されば原審公判調書中の証拠調をした書類として記
載された各始末書(記録一六四丁)とあるのはこの被害始末書の写をも含む趣旨と
解すべきは当然である。それ故、原審が右被害始末書写を証拠としたからといつて、
証拠調を経ていない証拠を断罪の資に供したとはいえない。論旨は理由がない。
 同第五点について。
 しかし所論のCは起訴状によるも第一審判決によるも原判示第一の事実の共謀者
として起訴されていないのであるから原判決がこれを認定しなかつたのは当然であ
るし、また、同人が共謀者であることを認定することは被告人の犯情を定める上に
格別重要な関係のある事柄とも思われない。それ故論旨は採ることができない。
 弁護人山村利宰平の上告趣意について。
 論旨第一点は弁護人鍛治利一、同山村利宰平の上告趣意第一点と同趣意であるか
らその理由のないことは前記第一点についての説明によつて了解すべきである。論
旨第二点は結局量刑不当の主張であるから、上告適法の理由とならぬ。
 よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 安平政吉関与
  昭和二五年四月二七日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

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