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平成一一年(ワ)第三六五九号輸入販売差止等請求事件
            判    決
    原  告               株式会社アテックス
    右代表者代表取締役          【A】
    右訴訟代理人弁護士          筒   井       豊
    右補佐人弁理士            【B】
    被  告               有限会社天美製作所
    右代表者代表取締役          【C】
    右訴訟代理人弁護士          村   林   隆   一
    右補佐人弁理士            【D】
            主    文
      一 原告の請求をいずれも棄却する。
      二 訴訟費用は原告の負担とする。
            事実及び理由
第一 請求
 一 被告は、別紙イ号物件説明書記載の物件を輸入し、及び販売してはならな
い。
 二 被告は、原告に対し、金六七二〇万円及び内金四八三〇万円については平成
一一年四月一六日から、内金一八九〇万円については同年一一月三日からそれぞれ
支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要等
 一 前提的事実(証拠の掲記がないものは争いがない。)
  1 原告の有する実用新案権
   (一) 原告は、次の実用新案権(以下「本件実用新案権」という。)の権利
者である。
      登録番号      第三〇〇三三八五号
      考案の名称     ベッド
      出願日       平成六年四月二〇日(実願平六-五五四二号)
      登録日       平成六年八月一〇日
   (二) 本件実用新案権は、出願当初の明細書には実用新案登録請求の範囲に
請求項8まで記載されていたが、実用新案法一四条の二に基づく訂正により請求項
1、2及び7が削除され、また、被告が申し立てた無効審判請求事件(平成九年審
判第四〇〇三一号)の審決において請求項3ないし5が無効とされてこれが確定し
たため、現在、有効に存続しているのは、請求項6及び8のみである(甲一の
一)。
     本訴において問題となるのは請求項6であり、同請求項の実用新案登録
請求の範囲は、本判決添付の登録実用新案公報該当欄記載のとおりである(以下、
請求項6の考案を「本件考案」という。)。
(三) 本件考案の登録請求の範囲は次のとおり分説するのが相当である(請
求項6は請求項1の考案の従属形式であるため、両者を総合した構成要件を記載す
る。)。
    A 前ベッド半体2及び後ベッド半体3を備え、
    B 上記前ベッド半体2と後ベッド半体3を、水平展開自在、かつ該前ベ
ッド半体2の裏面2a側と該後ベッド半体3の裏面3a側が相互に近接する倒立V
字型に折畳み自在として、枢着すると共に
    C 上記倒立V字型の方向へ折畳まれるように弾発付勢する、一対の第
1・第2引張バネ33、34から成る弾発部材Sを設け、
    D 第1引張バネ33は前ベッド半体2の前端と中間支持脚12の間に張架さ
れ、かつ、第2引張バネ34は後ベッド半体3の後端と中間支持脚12の間に張架され
たことを特徴とする
    E ベッド。
   (四) 本件考案の作用効果
     前後ベッド半体は、側面視倒立V字型に折畳まれるので、前後ベッド半
体に布団を載せたまま収納・展開することができ、収納・展開の際に布団の位置が
ずれたりしない。特に、布団が広がる方向の力を自重によって受けるので、型くず
れを生じず、しわもよりにくい。したがって、別の場所に布団を収納する必要がな
く、布団収納のための手間とスペースを省くことができる。
     さらに、安価に製作できるとともに、第1・第2引張バネ33、34に関す
る構成により、水平展開状態近くで比較的大きい上昇力Fを生じて、楽に手で折畳
むことができるように有効に補助してくれる。
  3(一) 被告は、平成一〇年九月ころから現在まで、別紙イ号物件説明書記載
のベッド(以下「被告商品」という。)を輸入、販売している。
   (二) 被告商品は、本件考案の構成要件AないしC及びEを充足する(弁論
の全趣旨)。
  4 原告は、被告に対し、平成一一年三月二九日付警告書により、本件考案に
係る技術評価書を提示して、被告商品の輸入、販売行為に対して警告を行った。
二 原告の請求
   原告は、被告が被告商品を輸入、販売することは、本件実用新案権を侵害す
るとして、その差止めと損害賠償を求めている。
第三 争点
 一 被告商品は、本件考案の構成要件Dを充足するか。
 被告商品は、第一引張バネ33が前ベッド半体2の「前端」と中間支持脚12の
間に、第二引張バネ34が後ベッド半体3の「後端」と中間支持脚12の間にそれぞれ
張架されているといえるか。
 三 故意又は過失
 二 損害額
第四 争点に関する当事者の主張
 一 争点一(被告商品は、本件考案の構成要件Dを充足するか)について
 【原告の主張】
  1 本件考案の「先端」、「後端」の意義について
(一) 本件考案の「先端」及び「後端」とは、その用語本来の意味及び本件
実用新案権の実用新案登録出願の願書に添付された明細書(以下「本件明細書」と
いう。)の記載からすると、平板状のベッド半体において、端縁を含んで端縁から
ある程度の広がりを持った部分であって、かつ、当業者が「前端」、「後端」と理
解し得る範囲内の部分を指す。
   (二) 被告は、本件考案の出願前の公知技術(昭和五四年第四九二〇九号公
開実用新案公報及び昭和五三年第一四九四五二号公開特許公報)に基づいて、本件
考案の解釈を文言通りとしなければならないと主張するが、被告が摘示する公知技
術には、本件考案の構成要件の一部が開示されているにすぎず、これらによって、
本件考案が全部公知といえないことは明白である。
 したがって、上記公知技術を理由に、本件考案をその文字通りのものに
限定して解釈しなければならない理由はなく、被告の主張は失当である。
   (三) また、本件において、包袋禁反言に該当するような事情はない。
    (1) 元来、被告が引用する実験報告書(乙三)は、その内容が不正確であ
り、同報告書に基づいて被告が述べるような「前端」、「後端」に関する解釈を根
拠づけることはできない。
(2) また、右報告書は、「バネの作用点が、ベッドの最外辺に近づけば近
づくほど、折畳み上昇力が増加するという『定性的な特性』を示した実験」であ
り、「試料№2の付加パイプの位置を『中間』と定義するために作成」したもので
はなく、右報告書を根拠に、原告が本件考案のように端部にバネを取り付けたもの
は効果があり、進歩性を有していると主張したような事実はない。
  2 被告商品について
    被告商品の各ベッド半体において、第一第引張バネ33、第二引張バネ34が
張架されている位置は、各ベッド半体の端縁から約一〇・八センチメートル内側に
入った個所であり、端縁からの長さは各ベッド半体の長さの略一〇パーセント程度
である。
 したがって、被告商品の第一引張バネ33、第二引張バネ34が張架されてい
る位置は、前ベッド半体の前端、後ベッド半体の後端というべきであり、構成要件
Dを充足する。
 【被告の主張】
  1 本件考案の構成要件Dにいう「前端」、「後端」の意義について
    本件考案にいう「前端」及び「後端」の意義は、文字通り、前端とは「前
の端」を、後端とは「後の端」を指すものと解釈すべきである。
   (一) 明細書の記載からの解釈
     本件明細書の段落【0019】には、「ベッドを使用しない場合は、後
ベッド半体3の前端部と前ベッド半体2の後端部を持ち上げて、前後ベッド半体
2、3を折畳んで、ベッド収納部1に収納する。・・・・・・第1引張バネ33は前ベッド
半体2の裏面2a側に、第2引張バネ34は後ベッド半体3の裏面3a側に、夫々配
設され、前者は前ベッド半体2の前端(固定支持脚16)と中間支持脚12(の下端
縁)との間に張架され、また、後者は後ベッド半体3の後端又はベッド収納部1
と、中間支持脚12(の下端縁)との間に張架されている。」と記載されている。そ
こでは、前端部と前端、後端部と後端を使い分けをしており、また、前端は固定支
持脚16のことであり、後端はベッド収納部1のことであると明示されていることに
よって、その図面と併せ考える時、前端とは文字通り前の端であり、後端とは後の
端であると解さざるを得ない。
     ちなみに、大辞泉(小学館)及び広辞苑(第四版・岩波書店)による
と、前端とは「まえのはし」のことであり、後端とは「うしろのはし」のことであ
る。
   (二) 出願経緯からの解釈
    (1) 本件実用新案権は、実体審査を経ないで成立したものであり、かつ、
実用新案登録請求の範囲の記載(クレーム)に関し多項制によっている。そもそも
多項制のクレームは、クレームの補正を制限し、その結果、実施例と同様の技術に
ついてまでもクレームすることができる制度であり、本件考案についていえば、請
求項1ないし3のクレームが仮に無効となっても請求項6ないし8のクレームを生
かすことによって出願人の権利を認めるとともに、審査の促進に寄与しようとする
ものである。本件の場合は、まさに、請求項6及び8以外は削除又は無効となった
が、請求項6及び8のみ生き残ったものである。右の経緯から見て、請求項6はま
さに本件考案の本質的部分であり(最高裁判所平成一〇年二月二四日判決・民集五
二巻一号一一三頁参照)、均等の許されない事項であり、拡張を認めることはでき
ない。
    (2) 原告は、本件実用新案権の無効審判請求事件において、実験報告書
(乙三)を提出したが、この実験によると、原告製折畳みベッドにおいて、ベッド
の先端及び後端にバネを張架した場合(試料№1)とベッドの先端から一九五ミリ
メートルの位置及びベッドの後端から一五〇ミリメートルの位置にそれぞれパイプ
を渡し、その部分にバネを張架した場合(試料№2)とを比較して、中央部の引き
上げに要する力が、試料№1は一・五キログラムであるのに対し、試料№2は三・
二キログラムであるとしている。
      右に基づき、原告は特許庁において、「バネ端が各ベッド半体の前後
端に取付けられている試料№1のものは軽く、端部ではないパイプに一端が取付け
られている試料№2のものは重い。よって、本件考案のように端部にバネを取り付
けたものは効果があり、進歩性を有している。」と主張した。審決も、これを受け
て、「請求項6に係る考案の『前ベッド半体2の前端』及び『後ベッド半体3の後
端』、並びに請求項8に係る考案の『前ベッド半体2の前端』とは、各ベッド半体
の先端を指すものと解すべきである。」と認定した上で、本件考案は「楽に手で折
畳むことができるように有効に補助してくれる」という本件明細書記載の効果を奏
するものと認定したのである。
      このように、原告は、特許庁において、進歩性を主張するために実験
報告書を提出して右のような主張をし、これが入れられて本件実用新案権が有効で
あると判断されているのであるから、これに反する主張をすることは許されない
(包袋禁反言)。
   (三) 公知技術からの解釈
    (1) 本件実用新案権出願前に、次の公知技術が存在する。
     ① 昭和五四年第四九二〇九号公開実用新案公報(「折りたたみベッ
ド」)
       右によると、スプリング4は、床取付金物1と、中間折曲部近傍部
間のベッド台2の側面に取り付けられている。
     ② 昭和五三年第一四九四五二号公開特許公報(「格納ベッド」)
       右によると、バネ12端は連結材10の下端部と、化粧支持板9及びベ
ッド本体1の格納箱3の近傍部付近に取り付けられている。
      右①、②とも、そのバネによって折り畳みの際の上昇力を付与してい
るものである。
    (2) したがって、右の公知技術の存在にかかわらず、本件考案が有効であ
るとすると、本件考案の解釈については、公知技術を含まないように解釈しなけれ
ばならない。
      そうであるならば、請求項6は、その文字通りのものに限定しなけれ
ばならない。
  2 被告商品について
    被告商品の第一引張バネ、第二引張バネが、それぞれ前端又は後端に及ん
でいないことは明らかである。
 したがって、被告商品は、本件考案の構成要件Dを充足しない。
二 争点二(故意又は過失)について
【原告の主張】
1 被告は、本件実用新案権について無効審判を請求し(特許庁平成九年審判
第四〇〇三一号)、特許庁は、平成一〇年六月八日付で、「登録第三〇〇三三八五
号実用新案の明細書の請求項第六項、第八項に記載された考案についての審判請求
は、成り立たない。」との審決を行い、右審決書は遅くとも平成一〇年八月末まで
には被告に対し送達された。
2 したがって、被告は遅くとも平成一〇年八月末以降、本件考案が無効審判
の結果、特許庁によりその有効性が認められたことについて認識していたことが認
められ、かつ、被告商品が本件考案の技術的範囲に属することを知り又は過失によ
りこれを知らないで、被告商品の販売を継続したものであるから、被告が右の時期
以降に被告商品を販売した行為については、本件実用新案権侵害の故意又は過失が
認められる。
【被告の主張】
 【原告の主張】1の経過は認めるが、2は争う。
 三 争点三(損害)について
 【原告の主張】
   被告は、平成一〇年九月ころから平成一一年九月三〇日までの間に、被告商
品を、三万二〇〇〇台販売し、合計六七二〇万円の利益を得た。
 したがって、原告が被った損害額も六七二〇万円と推定される。
 【被告の主張】
 争う。
第五 当裁判所の判断
 一 争点一(実用新案権侵害)について
  1 本件考案の構成要件Dにおける前ベッド半体の「前端」及び後ベッド半体
「後端」の意義について
   (一) 考案の技術的範囲は、願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範
囲の記載に基づいて定めなければならないが、その場合、願書に添付した明細書の
実用新案登録請求の範囲以外の部分の記載及び図面を考慮して、実用新案登録請求
の範囲に記載された用語の意義を解釈しなければならない(実用新案法二六条、特
許法七〇条一項、二項)。
 本件明細書において、前ベッド半体2の「前端」及び後ベッド半体3の
「後端」がいかなる意味内容で使用されているかを検討すると、バネ張架位置にか
かる前ベッド半体2の「前端」及び後ベッド半体3の「後端」に関する記載につい
ては、次のとおりであり、その余の記載は存在しないことが認められる(甲一の
二)。
    (1) 【課題を解決するための手段】における、「弾発部材が一対の第1・
第2引張バネから成ると共に、第1引張バネは前ベッド半体の前端と中間支持脚の
間に張架され、かつ、第2引張バネは後ベッド半体の後端と中間支持脚の間に張架
される。」との記載(段落【0007】)
    (2) 【実施例】における、「第1引張バネ33は前ベッド半体2の裏面2a
側に、第2引張バネ34は後ベッド半体3の裏面3a側に、夫々配設され、前者は前
ベッド半体2の前端(固定支脚16)と中間支持脚12(の下端縁)との間に張架さ
れ、また、後者は後ベッド半体3の後端又はベッド収納部1と、中間支持脚12(の
下端縁)との間に張架されている。」との記載(段落【0019】)
(3) 図1、図3ないし図5の記載(なお、右各図面は、いずれも前ベッド
半体及び後ベッド半体の各先端部分と中間支持脚との間にバネが張架されている図
が記載されている。)
     右各記載から明らかなとおり、本件明細書における、バネの張架位置に
関する前ベッド半体2の「前端」及び後ベッド半体3の「後端」についての記載か
らは、実施例の図面においてバネが張架されている位置である各ベッド半体の先端
部分が含まれることは明らかであるが、その部分を超えて、前ベッド半体及び後ベ
ッド半体の一定の範囲を有する部分を指すものか、あるいは先端部分のみを指すも
のか明らかではないといわざるを得ない。
   (二) そこで、本件明細書の他の記載を検討すると、本件明細書には、支持
台枠31の位置を「ベッド全体の後端位置」としていること、「下端縁」あるいは
「左右側縁部」という用語が用いられていることが認められ(甲一の二)、このこ
とからすると、縁の部分を特定して指す場合には特別の用語を使用していると解す
る余地もなくはない。他方、本件明細書には、前ベッド半体及び後ベッド半体の一
定部分を指す場合に「前端部」及び「後端部」、あるいは「前端側」及び「後端
側」という用語が用いられている部分もあることが認められ(同号証)、一定の範
囲の広がりを持つ部分を指す場合には右のような用語を使用していると解する余地
もあるというべきである。
 したがって、本件考案において、前ベッド半体2の「前端」及び後ベッ
ド半体3の「後端」が、一定の広がりを持つ部分を指すのか、その先端部分を指す
のかは明確でないといわざるを得ない。
   (四) そこで次に、本件実用新案権の無効審判請求事件の手続経緯について
みると、甲二、乙三及び六によれば、本件実用新案権について被告が申し立てた平
成九年審判第四〇〇三一号無効審判請求事件において、請求人である被告は、実願
昭五二-一二三八三一号(実開昭五四-四九二〇九号)のマイクロフィルム、特開
昭五三-一四九四五二号公開特許公報等を先行公知技術として提出し、本件実用新
案権における請求項3ないし6及び8に係る考案は、先行技術に基づいて当業者が
極めて容易に考案できたものであるとして、本件実用新案権は無効であるとの審決
を求めていること、被請求人である原告は、平成一〇年五月一一日の口頭審理期日
において、同年五月九日付けの原告企画開発部作成の実験報告書(乙三)を提出す
るとともに、「請求項6及び請求項8における『前端』とは前ベッド半体の先端で
あり、『後端』とは後ベッド半体の先端をいう。」と陳述するなどして、被告の申
立てに対し反論していることがそれぞれ認められる。
     右実験報告書には、①バネを中間支持脚と前ベッド半体の先端部分及び
中間支持脚と後ベッド半体の先端部分にそれぞれ張架した折り畳み式ベッド(試料
№1)と、中間支持脚と平行に、かつ、枠体を横断するように、前ベッド半体の先
端位置から一九五ミリメートルの位置及び後ベッド半体の先端位置から一五〇ミリ
メートルの位置にそれぞれバネ先端部がくるようにパイプを取り付け、中間支持脚
と右各パイプとの間にバネを張架した折り畳み式ベッド(試料№2)とを用いて、
その中央部を引き上げるのに要する力の大きさを比較したこと、②試料№1は約
一・五キログラムで引き上げられたのに対し、試料№2では約三・二キログラムを
要したこと、③右実験結果に基づき、試料№1はバネ取付部材が係合された先端及
び後端に付勢力が働くものであるのに対し、試料№2のベッドに働くバネの付勢力
の大きさ及び付勢力の働く位置は試料№1とは全く異なるとの考察をしているこ
と、以上の記載があることが認められる(乙三)。
     そして、右事件の審決では、本件考案については結論として請求人であ
る被告の主張を退け、実願昭五二-一二三八三一号(実開昭五四-四九二〇九号)
のマイクロフィルムに開示されている考案とは、スプリングの個数及び張架位置が
異なること、また、特開昭五三-一四九四五二号公開特許公報に開示されている発
明は第1、第2引張バネを張架しているが、倒立V字型に折畳み可能としたもので
なく、ベッドの基本構造が相違するとともに、引張バネ自体の張架位置も、前後ベ
ッド半体の前後端に張架したものではない点が相違し、この構成と他の構成とが相
まって、本件考案は「楽に手で折畳むことができるように有効に補助してくれる」
という効果を奏するものであるとして、無効事由は存在しないと判断しているこ
と、また、審決書の末尾において、なお書きとして、本件考案の「前ベッド半体2
の前端」及び「後ベッド半体3の後端」とは、各ベッド半体の先端を指すものと解
すべきであると認定判断していること、さらに、本件実用新案権の請求項3ないし
5の考案については、請求人である被告が提出した先行公知技術から当業者が極め
て容易になし得るものであって、進歩性を欠如するものとして無効であると判断し
ていることがそれぞれ認められる(甲二。なお、請求項3ないし5は、本件明細書
の記載より明らかなとおり、バネの張架位置についての構成上の特定はない。)。
     右各事実を総合すると、原告は、無効審判請求事件において、本件考案
における前ベッド半体2の「前端」及び後ベッド半体3の「後端」とは、それぞれ
の先端部分であると主張して、それによる顕著な効果を立証し、これを受けて、審
決において本件考案における右バネの張架位置が先行公知技術と相違するものと認
められて、請求人である被告が主張する進歩性欠如の無効事由が存在しないものと
判断されたものと解さざるを得ない。
   (五) 原告は、乙三(実験報告書)は、そもそもその内容が不正確であり、
「バネの作用点が、ベッドの最外辺に近づけば近づくほど、折畳み上昇力が増加す
るという『定性的な特性』を示した実験」であり、「試料№2の付加パイプの位置
を『中間』と定義するために作成」したものではないとして、乙3を根拠に、本件
考案の「前端」、「後端」を解釈することはできないと主張するが、同主張は、前
記(四)認定の無効審判手続の経緯に照らして、到底採用することができない。
   (六) したがって、本件考案にいうバネ張架位置である前ベッド半体の「前
端」及び後ベッド半体の「後端」とは、それぞれ前後ベッド半体の先端部分を指す
ものと解釈するのが相当である。
  2 被告商品は、前ベッド半体2の先端から三九ミリメートル離れたベッドフ
レームに裏面取付金具45が固定され、当該裏面取付金具45に回動自在に補助金具
42が取り付けられ(補助金具42と裏面取付金具45は、前ベッド半体2の先端からは
一〇八ミリメートル離れた個所で接している。)、当該補助金具42の他端と中間支
持脚12との間に第一引張バネ33が取り付けられている(別紙イ号説明書第11及び
12図参照)。
 右のような被告商品の構造からすると、被告商品の第一引張バネの一端
は、補助金具42を介して前ベッド半体2の先端部分から一〇八ミリメートル離れた
位置において、前ベッド半体2に張架され、他端は中間支持脚12に張架されている
と見るのが相当である。そして、第二引張バネ34の張架態様は、第一引張バネ33と
同様であるから、被告商品の第二引張バネ34の一端は、補助金具43を介して後ベッ
ド半体3の先端部分から一〇八ミリメートル離れた位置において、後ベッド半体3
に張架され、他端は中間支持脚12に張架されていると見るのが相当である。
 そうすると、被告商品においては、前ベッド半体2及び後ベッド半体3の
各先端部分までバネが張架されているということはできず、本件考案にいう前ベッ
ド半体2の「前端」と中間支持脚12の間及び後ベッド半体3の「後端」と中間支持
脚12の間にバネを張架しているということはできない。
  3 したがって、被告商品は、本件考案の構成要件Dを充足しない。
 三 よって、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも
理由がないから、主文のとおり判決する。
(平成一二年四月一〇日口頭弁論終結)
  大阪地方裁判所第二一民事部
         裁判長裁判官   小   松    一   雄
            裁判官高   松    宏   之
            裁判官安   永    武   央
別紙
  イ号物件説明書
第1図  第2図  第3図  第4図  第5図  
第6図  第7図  第8図  第9図  第10図   
第11図 第12図

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