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(原審・東京地方裁判所平成12年(ワ)第25298号株主権確認等請求事件(原審言渡日平成13
年5月31日))
     主      文
1 控訴人らの本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。
     事実及び理由
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴人ら
 1 原判決を取り消す。
 2 控訴人Aと被控訴人株式会社そごう及び同株式会社千葉そごうとの間において、控
訴人Aが被控訴人株式会社千葉そごうの株式9万9200株の株主であることを確認する。
 3 控訴人Bと被控訴人株式会社そごう及び同株式会社千葉そごうとの間において、控
訴人Bが被控訴人株式会社千葉そごうの株式3000株の株主であることを確認する。
 4 控訴人Aと被控訴人株式会社そごうとの間において、控訴人Aが被控訴人株式会社
そごうの株式42万0823株の株主であることを確認する。 
 5 被控訴人株式会社日本興業銀行は、控訴人Aに対し、原判決添付の株券目録(一)、
(三)及び(四)記載の各株券を、控訴人Bに対し、同目録(二)記載の各株券を、それぞれ引
き渡せ。
 6 控訴人らと被控訴人株式会社千葉そごうとの間において、被控訴人株式会社千葉そ
ごうの平成12年9月26日開催の株主総会における取締役Cを解任する旨の決議並びに
D、E、F及びGをそれぞれ取締役に選任する旨の決議がいずれも存在しないこと並びに被
控訴人株式会社千葉そごうの同日開催の取締役会における取締役D及び同Gをそれぞれ
代表取締役に選任する旨の決議が無効であることを確認する。
 7 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人らの負担とする。
 との判決を求める。
二 被控訴人ら
 主文と同旨の判決を求める。
第二 事案の概要
   本件の事案の概要は、控訴人らの当審における主張を次のとおり付加するほかは、
原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要  及び争点」及び「第3 資本減少の効
力に関する争点についての当事者の主張」に記載のとおりであるから、これを引用する。
(控訴人らの当審における付加主張)
 1 民事再生法166条4項にいう「株主」は専ら当該株式会社の株主名簿に株主として記
載された者を意味し、控訴人らのように株主でありながら株主名簿に記載のない実質上の
株主は含まれないものと解すべきであるから、これらの者は、同条1項の規定による裁判
所の許可の決定に対して即時抗告をすることはできない。また、資本減少に関する条項を
定めた再生計画を認可する裁判所の決定についても、株主は、同法9条にいう「利害関係
を有する者」には当たらないから、同法175条1項の規定に基づいて即時抗告をすること
もできない。したがって、控訴人らは、民事再生手続においては資本減少の効力を争う途
を全く閉ざされているのであるから、本訴において係争株式の帰属及び資本減少の効力
について争い得るものとするのでなければならない。
 2 また、仮に控訴人らが民事再生法166条1項の規定による裁判所の許可の決定や
資本減少に関する条項を定めた再生計画を認可する裁判所の決定に対して即時抗告を
することができるとしても、これらの決定に対する即時抗告審は、本件におけるような株式
の帰属をめぐる争いの審理判断には適しないから、民事訴訟においてこれを争うことがで
きるものというべきである。
第三 当裁判所の判断
 1 当裁判所も、被控訴人株式会社千葉そごうの株主総会決議の不存在の確認及び取
締役会の無効確認を求める控訴人らの請求に係る訴えは、いずれも不適法であって却下
すべく、控訴人らのその余の請求はいずれも理由がないものとして棄却すべきものと判断
するが、その理由は、原判決の理由説示(原判決の「事実及び理由」中の「第4 当裁判所
の判断」)のとおりであるから、これを引用する。
 2 控訴人らは、民事再生手続においては資本減少の効力を争う途を全く閉ざされてい
たのであるから、本訴において係争株式の帰属及び資本減少の効力について争い得るも
のとすべきであると主張するけれども、株主名簿に記載のないいわゆる実質上の株主(も
っとも、弁論の全趣旨によれば、控訴の趣旨4項に係る被控訴人株式会社そごうの株式に
ついては、本件係争当時、株主名簿上は控訴人A名義のままであって、未だ名義書換がさ
れてはいなかったことを認めることができる。)も、民事再生法166条4項にいう「株主」に
含まれ、同条1項の規定による裁判所の許可の決定に対して即時抗告をすることができる
し、資本減少に関する条項を定めた再生計画を認可する裁判所の決定についても、株主
は、株主名簿上の記載の有無にかかわらず、同法9条にいう「利害関係を有する者」として
同法175条1項の規定に基づき即時抗告をすることができるのであるから、控訴人らの主
張は、いずれも前提を欠くものである。
 そして、資本減少に関する条項を定めた再生計画を認可する裁判所の決定が確定したと
きには、如何に当該民事再生手続に瑕疵があったとしても、もはや資本減少の効力を争う
余地はなく(民事再生法183条2項)、本件においては、控訴人らの有した被控訴人らの係
争株式は、その被控訴人株式会社そごうへの譲渡の効力の如何にかかわらず、既に再生
計画の定めるところに従って全部無償消却されたのであるから、いずれにしても控訴人ら
が被控訴人らの株主たる地位を有しないことは明らかであって、控訴人らが現に係争株式
を有することの確認を求め又はそれを前提とする請求に係る本訴において係争株式の上
記譲渡の効力の有無についての審理、判断をすべき必要はない。
 3 以上のとおりであって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄
却することとして、主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所第8民事部
     裁判長裁判官  村 上 敬 一
          裁判官  澤 田 英 雄
          裁判官  鶴 岡 稔 彦

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