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裁判例


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(原審・東京地方裁判所平成12年(ワ)第7372号(以下「①事件」という。以下同じ),同第7373
号(②事件),同第11813号(③事件),同第11834号(④事件),同第13134号(⑤事件),同第
14713号(⑥事件),同第18788号(⑦事件),同第19712号(⑧事件)各供託金還付請求権確
認請求及び譲受債権請求事件(原審言渡日平成13年11月13日))
     主      文
1 原判決主文1を取り消す。
2 上記取消しに係る被控訴人の請求(原審④,⑦事件)をいずれも棄却する。
3控訴人の請求(原審①ないし③,⑤,⑥,⑧事件)についての控訴を棄却する。
4訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを2分し,その1を控訴人の負担とし,その余を被
控訴人の負担とする。
     事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 控訴の趣旨
(1)原判決を取り消す。
(2)控訴人と被控訴人との間で,供託者株式会社ケンウッド,同日本たばこ産業株式会
社,同ヤマハ株式会社,同住金物産株式会社,同ヤマハ発動機株式会社及び同川鉄商
事株式会社がそれぞれ供託した別紙供託目録(1)ないし(6)記載の各供託金について,控
訴人が還付請求権を有することを確認する。
(3)被控訴人の請求をいずれも棄却する。
(4)訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
2 控訴の趣旨に対する答弁
(1)本件控訴を棄却する。
(2)控訴費用は控訴人の負担とする。
第2 事案の概要
1本件事案の概要は次のとおりである。
(1)訴外株式会社海外生活総合情報センター(以下「訴外情報センター」という。)は,訴外
株式会社ケンウッド,同日本たばこ産業株式会社,同ヤマハ株式会社,同住金物産株式
会社,同ヤマハ発動機株式会社及び同川鉄商事株式会社の合計6社(以下併せて「訴外
ケンウッドら6社」という。)に対し,海外赴任に関するサービス等を提供した対価としての報
酬債権を有していた。
控訴人及び被控訴人は共に訴外情報センターの債権者であり,いずれも訴外情報センタ
ーとの間で債権譲渡契約を締結し,その旨を債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等
に関する法律(以下「債権譲渡特例法」という。)に基づき登記した。そして,控訴人及び被
控訴人の双方が自らの債権譲渡が他に優先すると主張しているため,訴外ケンウッドら6
社は,真の債権者が誰であるか不確知であるとして,別紙供託目録(1)ないし(6)記載のと
おり報酬債務について供託した。
そこで,控訴人と被控訴人の双方は,前記各供託金の還付請求権は自分の方にあるとし
て,その確認を求めて本訴を提起した(なお,供託者が訴外株式会社ケンウッドの事件が
①及び④事件であり,供託者が訴外住金物産株式会社の事件が②及び④事件であり,供
託者が訴外ヤマハ発動機株式会社の事件が③及び④事件であり,供託者が訴外日本た
ばこ産業株式会社の事件が④及び⑤事件であり,供託者が訴外ヤマハ株式会社の事件
が④及び⑥事件であり,供託者が訴外川鉄商事株式会社の事件が⑦及び⑧事件であ
る。)。
(2)1審判決は,訴外情報センターから被控訴人への債権譲渡は,訴外情報センターが被
控訴人に対して負担する被担保債務を完済するまでに発生する訴外情報センターの訴外
ケンウッドら6社に対する将来の債権を譲り受けたものであるが,その対象となった将来の
債権は,終期の定めがない,もしくは被担保債務の弁済を完了したとき(不確定期限)とし
て定められたものであって将来の債権として特定しており,有効であると判断したうえで,
被控訴人がした債権譲渡の登記は控訴人のした債権譲渡登記に先行しており,「債権譲
渡登記令第七条三項の規定に基づく法務大臣が指定する磁気ディスクへの記録方式に関
する告示(平成十年法務省告示第二百九十五号)」(以下「本件告示」という。)の3,(5)債
権個別事項ファイルの項番25「債権発生年月日(終期)」の記載を欠いているが,この記
載は任意とされているから,記載がない場合に同項番24に記載された「債権発生年月日
(始期)」の時点の債権のみを公示していると解することは困難であり,終期の定めのない
期間に発生した債権を譲渡の対象としていることを公示しているとみるのが相当であるとし
て,上記の登記により被控訴人は訴外情報センターから譲渡された将来にわたる報酬債
権全部について譲渡の対抗力を有していると判断して,被控訴人の請求(④及び⑦事件)
をすべて認容し,控訴人の請求(①ないし③事件,⑤事件,⑥事件,⑧事件)をすべて棄却
した。
2 前提事実(証拠等により認定した事実については,末尾に証拠等を掲記した。)
(1) 訴外情報センターの株式会社ケンウッド等に対する債権
 ア(ア) 訴外情報センターは,訴外ヤマハ発動機株式会社,同日本たばこ産業株式会社,
同ヤマハ株式会社及び同川鉄商事株式会社との間で,別紙第三債務者一覧表の「契約
日」欄記載の各契約日に,前記4社が所定の入会金及び年会費を支払って会員となり,訴
外情報センターがこの4社に対して同社の社員らの海外赴任に関するサービス(カウンセ
リングサービス,代行サービス,研修サービス,その他各種サービス)を提供し,これら4社
が訴外情報センターに対し,前記サービスについての報酬を支払う旨の法人会員契約を
締結した(乙1,3,5,9,弁論の全趣旨)。
  (イ) 訴外情報センターは,訴外株式会社ケンウッド及び同住金物産株式会社との間
で,別紙第三債務者一覧表の「契約日」欄記載の各契約日に,訴外情報センターが海外
人事関連業務,海外赴任者支援に関する各種情報,助言及び各種サポート業務を提供
し,前記2社において提供を受けた業務について業務委託料を支払う旨の業務委託契約
を締結した(乙7,8)。
イ訴外情報センターは,前記法人会員契約,業務委託契約に基づき,訴外ケンウッドら6
社に対し,各種サービス,情報を提供し,別紙供託目録(1)ないし(6)記載の各供託日時点
で,別紙第三債務者一覧表の「残債務額」欄記載のとおりの報酬債権を有しているところ,
これらの各報酬債権は平成10年4月1日から同12年3月31日までの間に発生したもの
である(以下,これら各債権を併せて「本件報酬債権」という。甲9,12,15,18,21,乙2
0ないし24,弁論の全趣旨)。
(2) 被控訴人と訴外情報センターとの間の債権譲渡担保契約及び登記
 ア 被控訴人は,平成11年2月10日,訴外情報センターとの間で,訴外情報センターの
被控訴人に対する下記債務を担保するため,訴外情報センターから下記債権の譲渡を受
ける旨の債権譲渡担保契約を締結した(以下「被控訴人の債権譲渡担保契約」という。乙
9,10の2ないし4,10の6ないし14)。
(債務の表示)
  別紙リース契約一覧表記載のリース契約に基づき訴外情報センターが被控訴人に対し
負担する一切の債務(被担保債務)。
(譲渡債権の表示)
  訴外情報センターと別紙第三債務者一覧表記載の第三債務者との間の契約(契約日
及び契約名称は同表「契約日」欄及び「契約書」欄記載のとおり。)に基づいて,訴外情報
センターが第三債務者らに対して現在有し,または将来有する債権(債権の内容について
は,同表「譲渡債権の内容」欄記載のとおり)のうち,債務残高に充つるまでの金額部分
(被譲渡債権)。
(その他の条項)
 (ア) 当該債権譲渡担保契約による債権譲渡については,この契約の締結後直ちに債権
譲渡特例法に基づく債権譲渡登記を行なう(第3
条1項)。
 (イ) 6条の規定により,被控訴人が債権譲渡の通知を発信するまで,被控訴人は訴外
情報センターに譲渡債権の請求,取立,回収,受
領等を委託し,訴外情報センターは,その任意により譲渡債権の請求,取立,回収,
受領等をし,その受領した金銭を,担保が解除され
るか,又は被控訴人から引渡請求を受けるまで保管する(第4条)。
 (ウ)訴外情報センターが,支払を停止し,又は,手形,小切手の不渡りを発生させたとき
は,被控訴人は第三債務者に対し,債権譲渡に
係る債権譲渡登記について通知をすることができる(第6条1項5号)。
 (エ) 被控訴人が第三債務者に前記通知をした後は,被控訴人は譲渡債権を直接第三
債務者から回収,受領し,受領した金額からそれに    要した費用を控除した後の残額
を,被控訴人の定める順序及び方法により被担保債務の弁済に充当することができる(第
6条2項)。
 イ 被控訴人は,平成11年3月4日14時46分,前項の債権譲渡担保契約に基づき,次
のとおり債権譲渡登記(以下「被控訴人の債権譲  渡登記」という。)をした(甲8)。
  (ア) 概要事項の表示
      登記番号   第1999ー485号
      譲渡人    訴外情報センター
      譲受人    被控訴人
      登記原因   平成11年2月10日譲渡担保
      債権の総額  1億0027万2215円
      登記の存続期間の満了年月日 平成15年1月1日
  (イ) 債権個別事項の表示
      債務者 別紙第三債務者一覧表「会社名」欄記載のとおり      
債権の種類  その他の報酬債権
      債権の発生年月日(始期) 別紙第三債務者一覧表「債権の発生年月日」欄記
載のとおり
      発生時債権額      別紙第三債務者一覧表「発生時債権額」欄記載のと
おり
      譲渡時債権額       別紙第三債務者一覧表「譲渡時債権額」欄記載のと
おり
(3) 被控訴人の第三債務者に対する対抗要件の具備
 ア 訴外情報センターは,平成11年8月4日,自らが振り出した手形を不渡りとした。
 イ 被控訴人は,前記ア当時,訴外情報センターに対し,別紙リース契約一覧表記載の
各契約に基づく債権として合計金9099万5844円を有していた。
 ウ 被控訴人は,平成11年8月4日,前記(2)ア(ウ)に基づき,別紙第三債務者一覧表
「会社名」欄記載の訴外ケンウッドら6社に対し,債権譲渡特例法第2条2項に従って,同
法第8条2項の定める登記事項証明書を交付して通知し,右通知はそれぞれ同一覧表の
「到達日」欄記載の到達日に到達した。
   (乙11,13,15,16,18,19の各1ないし4,弁論の全趣旨)
(4) 控訴人と訴外情報センターとの間の債権譲渡担保契約及び登記
 ア 控訴人は,平成11年5月26日現在,訴外情報センターに対して貸金債権1億1500
万円及び立替金債権などの合計1億6970万円の債権を有していた(甲2の1ないし4)。
 イ 控訴人は,平成11年5月26日ころ,訴外情報センターとの間で,前項アの債務の弁
済に充てるため,訴外情報センターから下記債権の譲渡を受ける契約を締結した(以下
「控訴人の債権譲渡契約」という。甲3,4,弁論の全趣旨)。
  (ア) 譲渡債権   訴外情報センターの別紙第三債務者一覧表「会社名」欄
記載欄の各会社に対する売掛金債権
  (イ) 債権の発生年月日  始期  平成10年4月1日
                終期  平成12年3月31日
  (ウ) 債権総額   1億6970万円
  (エ) 限度額   訴外株式会社ケンウッドについては1500万円
             訴外住金物産株式会社については500万円
             訴外ヤマハ発動機株式会社については2000万円
訴外日本たばこ産業株式会社については500万円
訴外ヤマハ株式会社については650万円
             訴外川鉄商事株式会社については1000万円
 ウ 控訴人は,平成11年5月28日13時57分,前項イの控訴人の債権譲渡契約の内容
を,債権譲渡特例法2条1項により登記した(以下「控訴人の債権譲渡登記」という。甲4)。
(5) 控訴人,被控訴人間の争いと第三債務者の供託
   ア 控訴人,被控訴人双方は,本件報酬債権の譲渡について,互いに自らの債権譲
渡が相手の債権譲渡より優先するとして争っている。
   イ そこで,別紙第三債務者一覧表の「会社名」欄記載の訴外ケンウッドら6社は,本
件報酬債権について,真の債権者を確知することができないとして,別紙供託目録(1)ない
し(6)記載のとおり供託をした。
3 争点
(1)被控訴人の債権譲渡担保契約における被譲渡債権は特定しているといえるか。
 ア被控訴人の主張
  (ア)被控訴人の債権譲渡担保契約の内容は前記2,(2)に記載のとおりであり,被控訴
人は,「本債務残高に充つるまでの金額部分」すなわち,被担保債権残高を限度額として,
訴外情報センターが被控訴人に対し被担保債務を完済するまでに発生する将来の債権を
譲り受けたものであって,最高裁判所平成12年4月21日第2小法廷判決の判示する債権
の特定性要件に欠けるところはない。最高裁判所平成11年1月29日判決においても,そ
の債権は「適宜の方法により」期間の始期と終期を明確にする「などして」と判示されてい
るのであって,終期は例示された要件の1つであり,必ずしも必須の要件とはされていな
い。
  (イ)被控訴人の債権譲渡担保契約が締結された平成11年2月10日の時点で訴外情
報センターは被控訴人に対して9892万7603円のリース料債務を負担しており,当然そ
のことを認識していた。また,上記時点で訴外情報センターは第三債務者(十分な資力を
有する者)に対して1億0027万2215円の債権を有していた。そこで,被控訴人及び訴外
情報センターは,情報センターの上記第三債務者に対する個別の報酬債権は将来的に消
滅,発生するとしても,総額の点では今後もそのまま推移するものと考え,被控訴人の債
権譲渡担保契約時における債務残高に相当する額の現在及び将来債権(総額1億0027
万2215円)として譲渡対象債権としたものである。
そして,訴外情報センターは,被控訴人と協力して,債権譲渡特例法に基づき債権譲渡登
記をし,その共通事項中の「債権の総額」を「1億0027万2215円」とし,債権個別事項中
の「譲渡時債権額」については上記時点における各債権額を登記して,これを公示した。
以上における被控訴人と訴外情報センターの合理的な意思は,被控訴人の債権譲渡担保
契約時における債務残高に相当する額の譲渡対象債権を譲渡し,それに沿った債権譲渡
登記をするといった点にあったと解すべきである。
  (ウ)上記の場合,被控訴人が第三債務者から譲渡債権を回収した場合に,その回収
額がその時点における債務残高を超過しているという事態が生じ得るが,その場合には被
控訴人において超過分について精算義務をおうから,この点は上記(イ)の解釈の妨げとは
ならない。
  (エ)また,第三債務者は,登記事項証明書の送付を受けることによって,例えば本件に
おける訴外株式会社ケンウッドの場合を例にとると,
   ①債権発生年月日(始期)平成10年8月31日
   ②発生時債権額金12,636,215円
   ③譲渡時債権額金12,636,215円
との通知により,①平成10年8月31日以降に発生した債権のうち,譲渡債権額1263万
6215円に達するまでの部分が譲渡されたことを容易に知ることができる。③の譲渡時債
権額は,将来債権の場合は見積額であるが,登記事項には「譲渡時債権額」と記載されて
いる以上はそのような理解は困難であろうから,第三債務者はこの譲渡時債権額の範囲
で現存する債権額を支払えば足りると解される。この譲渡時債権額の記載は,この時点に
おいて譲渡の対象となった個別債権を,譲渡債権額に達するまでの分をそれ以外の分か
ら区別することによって,具体的に特定するのに役立つことになる。
第三債務者は,民法467条による債権譲渡通知の場合に比して特段過重な負担を強いら
れるわけではない。
 イ控訴人の主張
将来債権の譲渡においては「適宜の方法により右期間の始期と終期を明確にするなどし
て譲渡の目的とされる債権が特定される」必要がある(最高裁判所平成11年1月29日第
3小法廷判決)。しかし,被控訴人の債権譲渡担保契約における譲渡債権は終期の定め
はないし,これを被担保債権の弁済が完了したとき(不確定期限)と解するのでは,債権譲
渡担保契約においては当然のことであって,終期の定めがないに等しく,終期の定めとし
ては不十分である。
なお,最高裁判所平成12年4月21日第2小法廷判決は,債権譲渡予約の効力が問題と
なった事案であり,利害関係が対立する他の譲受人や差押債権者等との関係で債権譲渡
の効力が問題となった事案についての判示ではないから,本件では妥当しない。
(2)控訴人の債権譲渡契約における譲渡債権は特定しているといえるか。また,控訴人の
債権譲渡登記は本件報酬債権の譲渡を公示しているといえるか。
 ア控訴人の主張
  (ア)一般的経済取引界において,純粋に物品等の売買取引によって生ずる債権だけを
売掛金債権と称するのではなく,取引関係より生じる未回収金銭債権を売掛金債権と称す
る例は多い。訴外情報センターが第三債務者に対して有する債権は,あらゆる性質を有す
る債権が一体として成立する混合的債権だけであるから,一般的な用法である売掛金債
権という特定で,他の債権と混同して識別できないということはなく,その他の債権の発生
時期,限度額の定めと相まって債権は十分に特定されている。
訴外情報センターも,上記の債権については,その確定申告書及び決算報告書(甲24の
1・2)では包括的に売掛金債権として扱っているし,訴外情報センターの有する上記債権
の中には種々の性質のものがあるから,被控訴人の主張する「その他の報酬債権」でも正
確かどうか疑問である。
  (イ)債権譲渡登記における「債権の種類コード」では,15種類しか債権を分類していな
いし,「9999その他の債権」という種類もあり,債権の種類の表示に決定的な意味がある
わけではないから,その分類にそれほどの厳密さを求めているわけではない。控訴人のし
た「売掛債権」という表示で訴外情報センターの訴外ケンウッドら6社に対する上記(ア)記載
の債権の譲渡を公示するものとして十分である。
 イ被控訴人の主張
  (ア)控訴人の債権譲渡契約においては,「別紙債務者に対する」,「現在および将来発
生する売掛金債権」との記載しかなく,債権の発生原因が記載されていないし,譲渡債権
の発生期間,限度額の定めもなく,このような合意では譲渡債権が特定されているとはい
えない。
仮に債権としての特定があるとしても,それは「売掛金債権」であるから,本件報酬債権を
譲り受けたということにはならない。
  (イ)控訴人の債権譲渡登記は,訴外情報センターから譲渡を受けた債権を「売掛債
権」として公示しているが,訴外情報センターが訴外ケンウッドら6社に対して有していた債
権は報酬債権であり両者の間に同一性がない。すなわち,本件告示の「付録」,「コード
表」,「4.債権の種類コード」においては,債権を分類しており,これにいう「売掛債権」はい
わゆる物品等の売買取引によって生じた債権を意味しているから,控訴人の債権譲渡登
記は訴外情報センターの訴外ケンウッドら6社に対する本件報酬債権の譲渡を公示するも
のとはいえない。
(3)被控訴人の債権譲渡登記は,本件報酬債権のうち債権発生日(始期)の時点で存在
した債権にしか登記の対抗力はないのか,それともそれ以降に発生した債権を含み,本件
報酬債権全部について対抗力を有するのか。
 ア被控訴人の主張
  (ア) 債権譲渡特例法第5条1項によれば,債権譲渡登記の方法について,磁気ディス
クをもって調製する債権譲渡登記ファイルに記録する方法によるものとされ,その記録方
式等は本件告示によって定められている。本件告示によれば,将来発生すべき債権の記
録の方法については,既存債権か将来債権かを区別する項目,あるいは将来債権として
独自に記録する項目は設けられておらず,既存債権と兼用して同一の項目を用いる方式
とされている。
  (イ) 被控訴人は,その債権譲渡登記において,「債権の発生年月日(始期)」欄につい
ては,いずれも別紙第三債務者一覧表「債権の発生年月日」欄記載のとおり記録した。ま
た,被控訴人は「債権の発生年月日(終期)」については記録をしていないが,これは,被
担保債権が完済されるまでに発生する被譲渡債権が譲渡の対象となっているから,被譲
渡債権の終期については「定めがない」または「不確定期限」であるからである。
  (ウ)本件告示により債権個別事項ファイル項番25「債権の発生年月日(終期)」の記録
は任意とされているものであり,項番24「債権の発生年月日(始期)」とは異なって必ず記
録する必要は存しないとされているのも,前記のような事情があり得ることを考慮したから
である。
あえて記録するとすれば,「終期」として「訴外情報センターが被控訴人に対し,訴外情報
センターが負担するリース契約に基づく残債務の弁済が完了したとき」と記録することにな
ろうが,本件告示により「発生年月日(終期)」の磁気ファイルの記録については「文字数
八」,「文字種類半角数字」との記録方法が指定されているのであるから,このような不確定
期限を記録することはできないのである。
本件告示における登記共通事項ファイルの項番32及び35,債権個別事項ファイル項番2
6の各「条件」欄にも「任意」との記載があるが,これらに関する注記では,一定の場合には
「記録しなければならず」と明確に記録すべきことを定めているのに対して,本件で問題と
なっている債権個別事項ファイル項番25では,そのような注記はされていないのであるか
ら,上記項番25「債権発生年月日(終期)」については,その記録をするか否かは文字ど
おり「任意」と理解するか,「終期を定めたときは(に限り),その末日の年月日を記録す
る。」と理解すべきであり,「終期を定めなければ,記録することを要しない。」と素直に反対
解釈をすべきである。
将来債権は,終期を定めなくても金額と発生原因により特定されるはずであり,それにもか
かわらず債権譲渡登記において譲渡対象債権について「必ず終期を記載しなければなら
ない」とすれば,事実上,終期を定めない将来債権の譲渡は(少なくとも債権譲渡特例法
上では)認められないことになって,取引を阻害することになる。
 イ控訴人の主張
  (ア) 被控訴人の債権譲渡登記は,控訴人の同登記に先立つものであるが,被控訴人
の債権譲渡登記内容及び債権譲渡担保契約によると,譲渡を受ける債権の発生につい
て,別紙第三債務者一覧表「債権の発生年月日」欄記載のとおり,訴外ヤマハ発動機株式
会社については平成10年9月30日,同日本たばこ産業株式会社については同年8月27
日,同ヤマハ株式会社については同年9月18日,同川鉄商事株式会社については同年6
月19日,同株式会社ケンウッドについては同年8月31日,同住金物産株式会社について
は同年8月5日の各始期の記載があるのみで,期間としての定めがないため,当該各登記
に記載された債権発生日に存在した債権にしか登記の対抗力はない。
したがって,被控訴人と訴外情報センターとの間の債権譲渡は,控訴人と訴外情報センタ
ー間の債権譲渡に対抗できない。
  (イ)本件告示3,(5)債権個別事項ファイル項番24「債権発生年月日(始期)」の注4に
は「債権の発生日が一つの年月日であるときはその年月日を,債権の発生日が数日に及
ぶときは,その初日の年月日を記録する。将来発生すべき債権についても,同様である。」
との注記があり,項番25の注5には「債権発生日が数日に及ぶときに限り,その末日の年
月日を記録する,将来発生すべき債権についても,同様である。」との注記がある。
上記の注記を総合的に判断すれば,債権の発生が1つの日であるものを対象にするとき
は,始期の項にその年月日を記録し,一定期間内に発生する債権を対象にするときは,始
期の項に発生の初日を,終期の項に発生の末日を記録するものとし,それは将来発生す
る債権の場合も同様であるとの趣旨であり,終期は記載しても記載しなくてもいいといった
解釈は生まれない。
  (ウ)本件告示により債権個別事項ファイル項番25「債権の発生年月目(終期)」の「条
件」欄に「任意」とされているのは,終期を記載することが「任意」ということではなく,債権
の発生が1つの日である場合には記録する必要がないという意味で「任意」とされているに
すぎず,債権の発生が数日に亘るときに終期を記録しなければ一定期間に発生する債権
の公示としては扱われないものである。
したがって,任意ということの意味は,記録があれば記録どおりの意味を有するが,記録が
なければ不完全な登記として無効となることはないというだけであり,記録しても,記録しな
くても意味が変わらないということではない。
第3 当裁判所の判断
1 争点(1),すなわち,被控訴人の債権譲渡担保契約における譲渡債権は特定していると
いえるか否かについて判断する。
(1)被控訴人の債権譲渡担保契約における債権譲渡担保契約書(甲7,乙9)によれば,
1999(平成11)年2月10日に行われた上記契約の内容は,前記第2,2(前提事実)
の(2)に記載のとおりである。これによれば,
 ア被担保債務は,「別紙リース契約一覧表記載のリース契約に基づき訴外情報センタ
ーが被控訴人に対し負担する一切の債務」であり,被担保債務の発生原因は特定されて
いるが,被担保債務額は上記リース契約の継続及びリース料の支払によって増減すること
が予定されていたものと認められ,その意味では被担保債務額は確定していない。
 イ譲渡対象債権は,「訴外情報センターと別紙第三債務者一覧表記載の第三債務者と
の間の契約(契約日及び契約名称は同表「契約日」欄及び「契約書」欄記載のとおり。)に
基づいて,訴外情報センターが第三債務者らに対して現在有し,または将来有する債権
(債権の内容については,同表「譲渡債権の内容」欄記載のとおり)のうち,債務残高に充
つるまでの金額部分」であり,第三債務者及び債権発生原因は特定されているが,そのう
ちのどの債権が譲渡の対象となるのかという点に関しては「債務残高に充つるまでの金額
部分」ということであり,その特定性に問題がある(この点については,再度検討する。)。
また,譲渡の対象となる将来債権については発生時期による限定はない。この点について
は,被控訴人の債権譲渡担保契約は,被控訴人が訴外情報センターに対して有する債権
を担保するためのものであることからすると,当該被担保債権が存在する限り,その間に
発生する将来債権のすべてが譲渡の対象となるものと認められる。
 ウ譲渡の態様は,上記アの債権を担保するために,上記イの債権を譲渡するというも
ので,いわゆる停止条件付き譲渡契約や譲渡予約契約ではなく,いわゆる債権譲渡の本
契約である。
ただし,①契約の締結後,直ちに債権譲渡特例法に基づく債権譲渡登記を行なうものの,
訴外情報センターが支払を停止し,又は手形,小切手の不渡りを発生させたとき等一定の
事由が生じるまでは,被控訴人は第三債務者に対して,民法467条による通知及び承諾
を得ることはせず,また債権譲渡登記の通知は行わないこと,②上記債権譲渡登記の通
知をするまでの間においては,被控訴人は訴外情報センターに譲渡債権の請求,取立,
回収,受領等を委託し,訴外情報センターは,その任意により譲渡債権の請求,取立,回
収,受領等をし,その受領した金銭を,担保が解除されるか,又は被控訴人から引渡請求
を受けるまで保管すること,③一方,第三債務者に債権譲渡登記の通知をした後は,被
控訴人は譲渡債権を直接第三債務者から回収,受領し,受領した金額からそれに要した
費用を控除した後の残額を被控訴人の定める順序及び方法により被担保債務の弁済に
充当することができ,訴外情報センターは第三債務者から譲渡債権についての支払を受
領することができないことが併せて合意されている。
(2)以上の契約内容を契約文言どおりに解釈する限り,被控訴人は被担保債権の「債務
残高に充つるまでの金額部分」に相当する訴外情報センターが第三債務者に対して上記
契約締結日に有し,又将来有する債権を譲り受けたものと解するほかはないが,「債務残
高に充つるまでの金額部分」との限定が付されているために,訴外情報センターが第三債
務者に対して現在有し,また将来有する債権が被担保債務を超えた場合に,多数いる第
三債務者のうちのどの第三債務者に対する債権が,いかなる限度で譲渡されたことになる
のかが明らかでない。現実に,被控訴人の債権譲渡担保契約が締結された平成11年2月
10日の時点で訴外情報センターは被控訴人に対して9892万7603円のリース料債務を
負担しており,上記時点で訴外情報センターは第三債務者(十分な資力を有する者)に対
して1億0027万2215円の債権を有していたことは被控訴人の自認するところであるが,
この場合にどの第三債務者に対する債権が,いかなる限度で譲渡されたことになるのかを
判断する基準はない。
被控訴人の債権譲渡担保契約では,譲渡対象債権の特定に関する大きな不確定要素と
して,被担保債務自体が増減するという点と第三債務者が複数いるという点が挙げられる
が,被担保債務の「債務残高に充つるまでの金額部分」の第三債務者に対する債権を譲
渡対象とするとの合意の下で,これら両要因が相まって譲渡債権の特定を困難なものにし
ている。例えば,訴外情報センターの譲渡対象となった第三債務者に対する債権総額が被
担保債務残高を超えるといった事態になった場合に,上記第三債務者に対する債権のうち
のどの債権が譲渡の対象となるのか,その場合に先発債権の総額が債務残高を超えるこ
とになった後の後発債権は先発の債権の回収の有無に関わらず譲渡の対象とはならない
のか,その後に被担保債務額が増加した場合には上記後発債権はその時点で譲渡の対
象となるのかといった問題点を解決することができない。もう少し具体的にいうならば,前
記のとおり,被控訴人の債権譲渡担保契約が締結された平成11年2月10日の時点で訴
外情報センターは被控訴人に対して9892万7603円のリース料債務を負担しており,そ
の時点で訴外情報センターは第三債務者(十分な資力を有する者)に対して1億0027万
2215円の債権を有していたのであるから,この1億0027万2215円の債権のいずれか
9892万7603円に充つるまでの部分が譲渡され(この点が特定されないことは前記のと
おり),これに遅れる債権は譲渡の対象とならないものと考えられるが,譲渡債権が順次回
収され,その一部しか被担保債権に充当されないとすると(後記のとおり,当面はこのよう
な運用が予定されていたものと推認される。そうでなければ,上記の債権譲渡で被担保債
権は完済され,将来債権の譲渡等は問題とならない。),その時点で被担保債権に充つる
だけの債権が譲渡されていないことになる。この場合に,前記の後発の債権は,その時点
で譲渡されることになるのか,ならないのか判然としない。そして,訴外情報センターの営
業が継続されている限りは,第三債務者に対する債権が被控訴人1社のみに対する債務
(被担保債務)を超えるという事態は,前記契約締結時を別にしても,将来的にも度々生じ
得ることと推測されるし,少なくてもその可能性を否定することはできない。
また,これを第三債務者の立場からみれば,当該債権が譲渡されるのか否かは,他の第
三債務者からの債権の回収,またその充当方法といった第三債務者の関知しない事情の
有無によって左右されることになり,第三債務者としては合理的にこれを判断することは困
難といわなければならない。
(3)以上のことからすれば,被控訴人の債権譲渡担保契約においては譲渡の対象となり
得る将来債権は当事者及び債権の種類のみは一応特定されているが,個別債権毎にみ
れば,それが譲渡されたのか否か,将来発生した時点で譲渡されるのか否か,さらには譲
渡される場合の債権額の範囲といったことが特定していないから,同契約に基づく債権譲
渡は少なくとも対外的には無効と解せざるを得ない(契約時に存在した債権ですら特定さ
れていないことは前述のとおりである。)。
しかしながら,上記(1),ウのただし書きで認定した①ないし③といった合意内容からすれ
ば,被控訴人の債権譲渡担保契約においては,同契約締結の時点で訴外情報センターが
第三債務者に対して有していた債権は被控訴人に譲渡されるものの,その事実を第三債
務者に通知することはせず,訴外情報センターが被控訴人からの委託に基づき譲渡債権
の請求,取立,回収,受領等をし,訴外情報センターに同契約6条に定める事由等が発生
しないで,その経営がそれなりに推移している間は,その受領した金銭について,被控訴
人において訴外情報センターの経営のために一部又は全額について担保を解除して訴外
情報センターがこれを営業資金等に利用するといった運用が想定されていたものと推測さ
れる。
このような運用を前提とする限りは,上記のような債権譲渡当事者の意思にかんがみれ
ば,債権譲渡の合意といっても最終的に被控訴人が第三債務者に対する債権を回収する
という確定的なものではなく,被控訴人の債権を担保するために一応は訴外情報センター
の有する債権はすべて被控訴人に譲渡し,「債務残高に充つるまでの金額部分」という限
定文言は譲渡対象債権を特定するための終期(不確定期限)を定めたものというより,譲
渡担保権実行時における債権譲渡の限度額を画し,当事者間の精算を合意したにすぎな
いものと解される。被控訴人の債権譲渡担保契約の趣旨をこのように認めることができる
とすると,譲渡債権の特定,識別といった問題は譲受人ないし譲渡人が第三債務者に債
権譲渡登記の通知をする必要が生じたと判断し,これを実行する際に通知すべき第三債
務者及びそれに対する譲渡対象債権を具体的に選択,特定して通知することによって最
終的に譲渡債権の特定,識別をすることを予定し合意しているものと解することができ,こ
のような措置をとることになれば,多数いる第三債務者や他の利害関係の競合する差押
債権者や他の債権譲受人は,譲渡債権の特定,識別ができないことに起因する問題は回
避することができる。この場合,債権譲渡当事者の上記のような処理による予定合意は,
将来債権の譲渡の「終期」として登記する方法はないから,上記登記の有益的記載事項と
して「各第三債務者に対して債権譲渡登記の通知をするまでの間に発生した将来債権のう
ち,同通知の時点で残存する債権」などと記録して,将来債権が譲渡対象に含まれている
ことを明確にし,第三債務者や利害関係者に不測の不利益を及ぼさないような措置を執る
ことが必要であると解される。
このように解して,上記のように有益的記載事項による登記方法を講じ,第三債務者に対
する債権譲渡登記の通知をすることによって譲渡債権を特定する方法を認めることは,不
特定の将来債権の譲渡の予約の登記を債権譲渡特例法が認めていないのにこれを認め
たのと類似した機能を認めたのと同様の結果になる。しかしながら,不特定の将来債権譲
渡の予約自体は私法上有効であり,その予約完結時に譲渡対象債権を具体的に特定し,
第三債務者に通知することも,第三債務者や他の差押債権者,競合する債権譲受人に対
抗関係として処理すれば,譲渡対象債権の不特定の不合理の問題は解消されるので,こ
れを無効視する必要はない。これと同様の結果をもたらすだけの上記のような将来の不特
定債権の確定的譲渡契約も,将来の一定の時点で譲渡対象債権を特定し,これを第三債
務者に債権譲渡登記の通知をすることによって,不測の結果をもたらさないようなことにな
っておれば,債権譲渡の対外的順位だけを確保する機能を債権譲渡登記制度に持たせる
意義があるから,その契約を無効とすべき理由はない。また,このように解することが債権
譲渡特例法に基づく債権譲渡の対抗要件の制度を不特定の将来債権の譲渡のために実
務的に活用することを可能ならしめるものである。そして,被控訴人が第三債務者に対して
債権譲渡登記の通知をするといった事態が生じるまでの間は,被控訴人と訴外情報センタ
ーとの間で譲渡債権の特定,識別が問題となることはなく,第三債務者も債権譲渡の事実
を知らされていないのであるから,被控訴人が第三債務者に債権譲渡登記の通知等をす
る時点で譲渡の対象となる債権が特定,識別されるのであれば,このような債権譲渡担保
契約を譲渡対象債権が特定されていないとの理由で対外的にも無効とするまでの必要は
ない。
〈要旨〉しかし,被控訴人の債権譲渡担保契約について上記のような譲渡対象債権の特定
についての予定合意があるものと認めるとしても,同契約については前述した第三債務者
を始め,差押債権者や他の債権譲受人との関係で,これを公示する方法としての債権譲
渡登記の記録が不適切であるために,その債権譲渡登記のあることを第三債務者に通知
しても,登記をした時点で存在した債権を特定し,その譲渡を通知しただけのことで,その
後に生じた債権についての対抗要件とはならないものと解される。その理由は以下の(4)で
述べるとおりである。
(4)ア本件告示では,譲渡債権を特定するについて,それが既存債権か将来債権かを区
別する項目,あるいは将来債権として独自に記録する項目は設けられておらず,既存債権
と兼用して同一の項目を用いる方式とされている。そして,譲渡債権の特定に関して,債権
個別事項ファイルでは項番24で「債権発生年月日(始期)」を記録し,同項番25で「債権
発生年月日(終期)」を記録することになっており,この終期の記載は「債権の発生日が数
日に及ぶときに限り,その末日の年月日を記録する。将来発生すべき債権についても,同
様である。」とされている(本件告示の3,(5),注5)。
したがって,被控訴人の債権譲渡担保契約のように「将来,数度にわたって繰り返し発生
する債権」を対象にする場合には,債権の発生の初日を始期として記録し,最後に債権が
発生する日を終期として記録することが基本的に想定されているものといえる。
 イ被控訴人は,上記項番25の「債権発生年月日(終期)」の記載が任意とされている
(同項番の条件欄)されていることから,同項番の記録は,記載されれば債権発生の終期
を示すことになるが,記載がなくても,すなわち項番24の「債権発生年月日(始期)」の記
載のみがある場合でも,債権発生年月日時点の債権のみを公示するものではない,すな
わち「債権発生年月日(始期)」のみの記載がある場合には,当該年月日に発生した債権
のみを公示している場合と,当該年月日を始期とする将来債権を公示する場合の両方が
ある旨主張する。
 ウしかし,被控訴人の主張のように理解するときは,債権個別事項ファイルを見ただけ
では,それが発生日が1つの債権を公示しているのか,発生日が数日に及ぶ債権を公示
しているのかが判明しないことになり,不都合を来すことは明らかであるし,そもそも記載
があってもなくても同様の法的効果を生じるというようなことは公示制度として異例のことで
あり,わざわざ「債権発生年月日(終期)」といった項番を設けた意義を減殺するものといわ
なければならない。
 エ本件告示には,記載事項につき「任意」とされている項目が幾つかあるが,例えば,
3,(2)登記共通事項ファイルの項番1の「譲渡人の代理人の氏名」も条件欄では任意とされ
ているが,その注1では「代理人により申請する場合には,必ず記録しなければならない。
その他の場合には,記録することができない。」とされているし,同項番35の「被担保債権
の額」も条件欄には任意とされているが,その注8では「質権設定登記の場合(『登記種別
コード』の項に『02』を記録した場合)には,質権の被担保債権の額又は価格を記録しなけ
ればならず,債権譲渡登記の場合(『登記種別コード』の項に『01』を記録した場合)には,
記録することができない。」と説明されており,このような例は少なくない。このような本件告
示における「任意」との用語の使用方法をみると,それは債権譲渡ないし債権譲渡登記に
おいて当該記録事項に対応する事実が存在する場合と存在しない場合とがあるときに,記
録する事実がない場合には記載する必要がない,記載しなくても登記が受け付けられない
ということはないという意味で「任意」とされているもので,該当事実が存在する場合でも,
記載してもしなくてもいい,記載しなくても法的効果に変わりがないとという意味で「任意」と
されているのではないことが明らかである。
 オ以上によれば,本件告示3,(5)の項番25「債権発生年月日(終期)」の記録が任意とさ
れ,これについての注5で「債権の発生日が数日に及ぶときに限り,その末日の年月日を
記録する。将来発生すべき債権についても,同様である。」と説明されているのは,「債権
の発生日が1つの日である場合は記録する必要はないが,債権の発生日が数日に及ぶと
きは記録しなければならない。」との趣旨に理解すべきである。確かに,この注5では,先
に例に挙げた場合のように「記録しなければならない」とせず,「記録する」との表現が用い
られているが,この点に特別の意味があるとまでは解されない。
 カなお,被控訴人の前記主張の実質的な論拠は,将来に発生すべき債権については
終期を年月日で特定できないものがあり,上記項番25については本件告示により,8バイ
ト,文字数8の半角文字で記録することとされているから,このような制限の下では終期を
記録できない場合があるということにあるものと思われる。
しかし,いずれにしても譲渡される債権は特定されているはずであるから,実際的には当
事者間で一応想定される終期を合意し,これを記録することがそれほど困難とも思われ
ず,譲渡時債権額の記録と相まって特段の問題も生じない場合も多いのではないかと推
測される。そして,このような便宜的な方法を用いるのが困難な場合,あるいは適切でない
場合には,債権譲渡登記規則(平成十年法務省令第三十九号)13条1項2号,9条2項,
本件告示3,(5)の項番32に基づき,債権を特定するために必要な事項を有益事項として記
録すべきである(これを本件についていえば,「債務残高に充つるまでの金額部分」といった
ことでは複数の第三債務者にとって譲渡部分が判明しないから,「譲渡債権の終期」の代
わりに有益事項として「本債権譲渡登記についての通知をするまでの間に発生した将来債
権のうち同通知の時点で残存する債権」といった記録をすることが考えられ,このような記
録があれば,その限度でその債権譲渡については対抗力を認めるべきである。)。被控訴
人指摘の上記問題点は前記の結論を左右するものではない。
 キ以上のとおり,被控訴人の債権譲渡登記は結局終期の記録がないことにより,項番
24に記載された債権発生年月日に発生した訴外ケンウッドら6社に対する債権の譲渡を
公示し,その限度で対抗力を有しているにとどまるものであり,上記債権と別紙供託目
録(1)ないし(6)記載の供託に係る債権とが同一であるとの証拠はないから,結局のところ被
控訴人の請求(④事件及び⑦事件)はいずれも理由がないことになる。〈/要旨〉
2争点(2)について判断する。
(1)控訴人の債権譲渡における譲渡債権の特定について
控訴人の債権譲渡にかかる訴外情報センターと控訴人との間の平成11年5月26日付の
債権譲渡契約書(甲3)によれば,その1条には「基本合意」として,「訴外情報センターの有
する別紙の債務者に対する現在及び将来発生する売掛金債権を控訴人に譲渡する。」旨
が記載されており,同契約書2条,5条,6条の規定からすれば,訴外情報センターはその
時点で控訴人に対して負担していた消費貸借契約による借入金債務等の債務を担保する
趣旨で上記債権譲渡の合意をしたものと認められる。
もっとも,同契約書には別紙として第三債務者の一覧表が添付され,債権の種類として上
記のとおり「売掛金債権」と記載されているほかには,譲渡する債権の限度額や発生期間
を限定する趣旨の記載はない。しかし,上記の債権譲渡契約書による合意がされた翌々
日である同月28日にされた控訴人の債権譲渡登記の債権個別事項では,訴外ケンウッド
ら6社にかかる譲渡債権については,いずれも「債権発生年月日(始期)」として平成10年
4月1日,「債権発生年月日(終期)」として平成12年3月31日と記録され,発生時債権額
及び譲渡時債権額についても,訴外株式会社ケンウッドについては1500万円,訴外住金
物産株式会社については500万円,訴外ヤマハ発動機株式会社については2000万円,
訴外日本たばこ産業株式会社については500万円,訴外ヤマハ株式会社については65
0万円,訴外川鉄商事株式会社については1000万円とそれぞれ記録されていることが認
められるから(甲4),債権譲渡登記は譲渡人及び譲受人が共同して申請するものとされて
いること(債権譲渡特例法5条1項)も併せ考えると,上記契約書作成に引き続いて訴外情
報センターと控訴人の間で譲渡債権の範囲について,上記債権譲渡登記に記録されてい
る内容のより詳細な合意がされたものと推認するのが相当であり,このような合意内容を
前提とすれば,控訴人の債権譲渡における譲渡債権は他の債権と識別が可能な程度に
特定されていると認められる。
なお,被控訴人は,上記の債権譲渡において債権の種類が「売掛金債権」と表示されてい
るから譲渡されたのは売掛金債権に限られ,本件報酬債権は含まれていないと主張する。
確かに,訴外情報センターが訴外ケンウッドら6社に対して有していた債権の内容は前記
第2,2,(1)で認定したとおりであり,物品等の売買による売掛金債権は含まれておらず,報
酬債権と称するのが正確である。しかし,訴外情報センターの有する上記債権の内容につ
いては,訴外情報センター自身は当然のことながら,それまでの金銭消費貸借契約等の
経過からして控訴人においても十分に知っていたものと推認され,上記の債権譲渡契約に
おいては,報酬債権を指すものとして売掛金債権という簿記会計上用いられている一般的
な用語を用いたにすぎないものと推測されるから,この両当事者間においては売掛金債権
という表現が本件報酬債権を含む報酬債権を指すものであることは当然の前提であったと
認めるのが相当である。したがって,売掛金債権という用語が用いられていることを理由に
控訴人の債権譲渡契約では本件報酬債権譲渡の合意がなかったとする被控訴人の上記
主張は採用できない。
(2)控訴人の債権譲渡登記による対抗力について
控訴人の債権譲渡登記の内容は,前記第2,2の(4),イに記載のとおりである。
被控訴人は上記債権譲渡登記は債権の種類を「売掛債権」としているので,譲渡債権とし
て本件報酬債権を公示しているとはいえない旨主張する。
債権譲渡特例法5条1項によれば,「債権譲渡登記は,譲渡人及び譲受人の申請により,
磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含
む。)をもって調整する債権譲渡登記ファイルに,次に掲げる事項を記録することによって
行う。」とされ,その6号で「譲渡に係る債権の債務者その他の譲渡に係る債権を特定する
ために必要な事項で法務省令で定めるもの」とし,これを受けた債権譲渡登記規則(平成
十年法務省令第三十九号)6条1項3号に「貸付債権,売掛債権その他の債権の種別」が
掲げられ,本件告示により,磁気ディスクに記録する方式として,債権個別ファイルの項番
22「債権の種類コード」の項目に同告示付録の表の項番4に掲げるところにより,債権の
種類を示すコードを記録することとされ,付録コード表には住宅ローン債権,消費者ローン
債権等その他の債権を含めて15種類の債権が挙げられ,そのコードが示されている。
以上の諸規定によれば,債権譲渡登記における債権の種類の記録は,これをもって譲渡
債権を特定するために必要な事項とされ,その表示は上記15種類に分類された債権のい
ずれかをもって行うべきものである。そして,債権譲渡の登記がされたときは,当該債権の
債務者以外の第三者については民法467条の規定による確定日付のある証書による通
知があったものとみなされ(同法2条1項),当該債権の譲渡及びその譲渡につき債権譲渡
登記がされたことについて,譲渡人若しくは譲受人が当該債権の債務者に登記事項証明
書を交付して通知をし,又は当該債務者が承諾をしたときは,当該債務者についても同様
とされる(同条2項)のであるから,譲渡債権は譲渡人と譲受人の間だけでなく,第三債務
者その他の第三者でも客観的に特定し得ることが要請される。このようにみてくると,控訴
人の債権譲渡登記における債権の種類についての「売掛債権」という記録は,訴外情報セ
ンターの事業内容,その有する債権の内容等の諸事情等を知悉した状況にない第三債務
者その他の第三者にとっては,商品等の売買代金債権と理解されるのが普通であると認
められ,殊に債権譲渡登記における債権の種類についての記録は本件告示の付録コード
表に示された15種類の債権の中から選択されたものとして表示されていると認識されるで
あろうから,余計にその傾向は顕著なものと考えられる。
債権譲渡特例法が登記の対象とする債権には様々なものがあり,上記の15種類(「その
他の債権」を除くと14種類)の分類では必ずしも適切なものがない等の場合も想定され,
その場合にすべて「その他の債権」として記録するのが適切とも思われないから,債権の
種類の表示が適切でない登記の効力についても一概に対抗力がないと解するのは相当で
はないが,その齟齬の程度等にかんがみて譲渡債権の識別に支障を来すと認められる場
合には,譲渡債権について公示がないものとして対抗力を否定するのが相当である。控訴
人の債権譲渡登記の場合,本件報酬債権の性質を売掛債権と理解する余地はなく,「売
掛債権」と「その他の報酬債権」とは明らかに性質を異にする債権であることからすれば,
本件報酬債権につき債権の種類を売掛債権とした控訴人の債権譲渡登記は,その譲渡
債権を特定するための記録に誤りがあり,本件報酬債権を公示しているものとは認められ
ないものと解するのが相当である。
なお,控訴人の債権譲渡につき,債権譲渡登記とは別に平成11年7月23日付で債務者
たる訴外情報センター名で民法467条所定の譲渡人による通知であるかのような通知が
された事実が認められる(甲5,6,10,11,13,14,16,17,19,20,22,23)が,こ
れらの通知に記載された譲渡債権の内容は,前記控訴人の債権譲渡登記の前提として当
事者間で合意された内容とは,譲渡されたとする債権の発生期間や譲渡額についての限
定がない点で明らかに齟齬しているし,債権譲渡登記を了していながら更にこの時期に債
権譲渡の通知をする理由も不明であることからすれば,これらの通知が譲渡人である訴外
情報センターによってされたものとまで認めるには至らない。
また,これらの通知でも譲渡債権を売掛金債権としており,譲渡されたとする債権の発生
期間や譲渡額につき看過し得ない齟齬があることからすれば,控訴人の債権譲渡につい
ての有効な債権譲渡の通知とは認め難く,いずれにしても,この譲渡通知によって控訴人
の債権譲渡について対抗力が付与されたということはできない。
(3)以上によれば,控訴人の請求(①ないし③事件,⑤事件,⑥事件,⑧事件)はいずれも
理由がない。
3 以上の次第であるから,控訴人及び被控訴人の各請求はいずれも理由がない。したが
って,原判決中,控訴人の請求を棄却した部分は正当であるが,被控訴人の請求を認容し
た部分は相当でない。
よって,原判決中の被控訴人の請求を認容した部分を取り消し,その請求を棄却し,控訴
人の請求を棄却した部分についての控訴は棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 鬼頭季郎 裁判官 慶田康男 裁判官 河村吉晃)
   供 託 目 録 (1)
1 供託者  株式会社ケンウッド
2 供託日  平成11年12月24日
3 供託所東京法務局
4 供託番号平成11年度金第86680号
5 供託金額651万3199円
   供 託 目 録 (2)
1 供託者  日本たばこ産業株式会社
2 供託日  平成12年1月11日
3 供託所東京法務局
4 供託番号平成11年度金第89956号
5 供託金額78万2652円
   供 託 目 録 (3)
1 供託者   ヤマハ株式会社
2 供託日   平成12年1月24日
3 供託所  東京法務局
4 供託番号 平成11年度金第93355号
5 供託金額 43万8329円
   供 託 目 録 (4)
1 供託者  住金物産株式会社
2 供託日  平成12年3月21日
3 供託所大阪法務局
4 供託番号平成11年度金第42045号
5 供託金額180万4205円
   供 託 目 録 (5)
1 供託者  ヤマハ発動機株式会社
2 供託日  平成12年4月25日
3 供託所東京法務局
4 供託番号平成12年度金第5195号
5 供託金額1013万2811円
     
   供 託 目 録 (6)
1 供託者  川鉄商事株式会社
2 供託日  平成12年8月21日
3 供託所東京法務局
4 供託番号平成12年度金第40846号
5 供託金額13万3297円
第三債務者一覧表
会社名契約日
契約書
(乙号証)
譲渡債権の内容
債権の発

年 月 日
発生時債権

   (円)
譲渡時債権

   (円)
到達日残債務額
   (円)
ヤマハ発動機㈱H2.5.1法人会

入会に

する覚書
(乙1)
年会費債権,登録費債権,カ
ウンセリングサービス,代行
サービス,研修サービス,そ
の他各種サービスのサービス
料債権,立替払費用の償還債
権,その他一切の金銭債権
H10.9.3019,885,920
19,885,920
H11.8.510,132,811
(供託済)
日本たばこ産業

H4.4.1特別法

会員入

に関する
覚書
(乙5)
〃H10.8.274,543,200
4,543,200
H11.8.5782,652
(供託済)
ヤマハ㈱H2.5.1法人会

入会に

する覚書
〃H10.9.183,704,783
3,704,783
H11.8.6438,329
(供託済)
川鉄商事㈱H1.11.22
H9.4.1
特別法

会員入

に関する
覚書
(乙3)
覚書

引越業務,査証手配・取得業
務,日本食・書籍等の代行取
得,海外送付業務等の業務報
酬債権,立替払費用の償還債
権,その他一切の金銭債権
H10.6.193,730,559
3,730,559
H11.8.5133,297
(遅延損害金
を含む。
供託済)
㈱ケンウッドH9.9.30業務委

契約書
(乙7)
情報提供,助言およびサポー
ト業務ならびにコンサルティ
ング業務等の委託費用債権,
各種海外赴任者支援サービス
のサービス費用債権,立替払
費用の償還債権,その他一切
の金銭債権
H10.8.3112,636,215
12,636,215
H11.8.56,513,199
(供託済)
住金物産㈱H10.10.1業務委

契約書
(乙8)
〃H10.8.522,856,307
22,856,307
H11.8.61,804,205
(供託済)
リ ー ス 契 約 一 覧 表
№契約番号契約日代表リース物件
期間
(月)
平成11年8月4
日現在の残リース
料(円)
月額リース料(1
回あたり,消費税
込み)(円)
残回数
(回)
1CLA64891994年8月31日電話設備60(解約済)
2CLA69941994年12月2日ハードウェア602,714,526301,6149
3CLA69951994年12月2日第一次開発602,559,116182,79414
41HD543A1995年8月31日リコーコピーCF250
/DF61/P
60※ 1,016,91961,59417
61H4A1111996年5月31日パンフレット表示板
(W360)
726,724,252176,95438
71H4A1361996年9月25日ホームページ業務用機器602,740,83091,36130
81H4A1931996年10月31日サーバー関連システム608,228,361265,43131
91H4A2581997年3月24日IBMパソコン601,319,22036,64536
101H4A2601997年3月24日ソフトウェア6033,075,000918,75036
111CE84EK1997年8月29日リコーファクシミリ
HL5200
60383,04010,08038
121CE57EM1997年9月30日リコーーコピーボード
EB10
60171,9904,41039
131H4A4261997年9月30日受注発注管理システム6031,306,590745,39542
142EE492Q1998年1月1日IBMパソコン60756,00016,80045
合計
  
90,995,844円

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採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

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