弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役一年に処する。
     被告人から金千円を追徴する。
         理    由
 本件控訴の趣意は末尾に添附してある弁護人杉本晋同大橋弘利共同作成名義の控
訴趣意書と題する書面記載の通りである。これに対し当裁判所は左の如く判決す
る。
 論旨第一点について。
 捜査官の請求によつて起訴前になした勾留等に関する書類は総て捜査官に送付
し、事件が起訴せられたら刑事訴訟規則第百六十七条第一項によつて勾留状は裁判
官に差し出すことになつているが勾留の前提である刑事訴訟法第六十一条による被
告人の陳述録取調書は検察官の手許に留め置く取扱になつている。
 <要旨第一>それ故に右録取調書が記録にない一事を以て右勾留が被告人の陳述を
聴かずしてなされた違法のものだと断<要旨第二>定することはできない
のみならず、仮に論旨のような不当の勾留であつたとしてもその間になされた第三
者であるA、B、Cに対する検察官の供述調書に影響を及ぼしたものと
は認められないから結局判決に影響を及ぼしたものということはできない。論旨は
それ故に理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 吉田常次郎 判事 保持道信 判事 鈴木勇)

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