弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人山崎一雄の上告理由第一点について。
 本件土地について上告人Aと被上告会社間に売買契約が成立したものである旨の
原審の認定、判断は、その挙示の証拠関係に照らして正当なものとしてこれを肯認
することができる。したがつて、原審の右の判断の過程に所論のような違法はなく、
論旨は理由がない。
 同第二点について。
 原審の確定した事実によれば、本件売買契約は、昭和三三年九月二九日締結され
たものであるが、被上告会社は、元来上告人Aの個人営業であつたものを株式会社
組織としたものであつて、右売買契約締結当時においては、上告人Aがその株式全
部を所有していたものであるが、同会社はその後営業不振となり、そのため、昭和
三七年に上告人Aは、当時所有していた同会社の四五パーセントの株式全部を手放
して代表取締役を辞任し、全く被上告会社と無関係となり、その後、昭和三八年三
月九日被上告会社取締役会は、右売買契約を事後承認のうえ追認したというもので
ある。
 原審の確定した右事実関係のもとにおいては、本件売買契約締結当時には、被上
告会社は株式会社の形態をとつているとはいえ、その営業は実質上、上告人Aの個
人経営のものにすぎないから、被上告会社の利害得失は実質的には上告人Aの利害
得失となるものであり、その間に利害相反する関係はない。したがつて、上告人A
がその所有の本件土地を被上告会社に売り渡すことについて、両者の間に実質的に
利害相反の関係を生じるものではないというべきである。
 ところで、商法二六五条が、会社と取締役との間の同条所定の取引について取締
役会の承認を要するものとしている趣旨は、取締役個人と株式会社との利害相反す
る場合において取締役個人の利益を図り、会社に不利益な行為が行なわれることを
防止するにあるのであるから、会社と取締役間に商法二六五条所定の取引がなされ
た場合でも、前段説示のように、実質的に会社と当該取締役との間に利害相反する
関係がないときには、同条所定の取締役会の承認は必要ないものと解するのが相当
である。したがつて、被上告会社とその取締役であつた上告人Aとの間になされた
本件売買契約は、被上告会社取締役会の承認の有無によつてその効力が左右される
べきものではないから、原審の確定した取締役会の事後承認の効力の有無を争う論
旨は、帰するところ原審のした余論に対する攻撃にすぎず、採用することができな
い。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠
            裁判官    大   隅   健 一 郎

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