弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
1原判決中,所有権保存登記抹消登記手続請求に関す
る部分を次のとおり変更する。
第1審判決主文第1項を次のとおり変更する。
(1)上告人は,被上告人らに対し,第1審判決別紙
物件目録記載の建物につき,高知地方法務局いの
支局平成19年3月28日受付第2350号をも
ってされた所有権保存登記を,被上告人Xの持1
分を2分の1,被上告人Xの持分を4分の1,2
上告人及びAの持分を各8分の1とする所有権保
存登記に更正登記手続をせよ。
(2)被上告人らのその余の請求を棄却する。
2上告人のその余の上告を棄却する。
3訴訟の総費用はこれを20分し,その19を上告人
の負担とし,その余を被上告人らの負担とする。
理由
第1上告人の上告理由について
民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは,民訴法312条
1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告理由は,違憲をいうが,その
実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって,上記各項に規定する
事由に該当しない。
第2職権による検討
1原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1)第1審判決別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)は,も
とBが所有していたが,Bは,平成9年6月14日に死亡し,本件建物につき,そ
の妻である被上告人Xが持分2分の1を,子である被上告人X及びAが持分各412
分の1を相続により取得した。
(2)しかるに,本件建物につき,高知地方法務局いの支局平成19年3月28
日受付第2350号をもって,上告人の持分を2分の1,被上告人Xの持分を41
分の1,被上告人X及びAの持分を各8分の1とする所有権保存登記(以下「本2
件保存登記」という。)がされている。
2本件は,上記事実関係の下において,被上告人らが,本件建物につき,上告
人は何らの持分を有していないのに,上告人の持分を2分の1とする本件保存登記
がされている旨主張して,上告人に対し,共有持分権に基づき,本件保存登記のう
ち上告人の持分に関する部分(以下「本件登記部分」という。)の抹消登記手続等
を求める事案である。
3原審は,上告人に対して本件保存登記全部の抹消登記手続を命じた第1審判
決を是認したが,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のと
おりである。
(1)原審の上記判断は,被上告人らが本件登記部分のみの抹消登記手続を求め
ているにもかかわらず,上告人に対し,これを超えて本件保存登記全部の抹消登記
手続を命ずるものであって,当事者が申し立てていない事項についてまで判決をし
たものといわざるを得ない。また,仮に,第1審判決の主文第1項中の「高知地方
法務局いの支局平成19年3月28日受付第2350号の所有権保存登記」との記
載が本件登記部分を表示するに当たっての明らかな誤記であり,原審は,被上告人
らの本件登記部分の抹消登記手続請求を認容すべきものとしたにとどまると解し得
るとしても,そのような判断は,1個の登記の一部のみの抹消登記手続を命ずるも
のであって,不動産登記法上許容されない登記手続を命ずるものといわざるを得な
い。
(2)被上告人らの本件登記部分の抹消登記手続請求が意図するところは,上告
人が持分を有するものとして権利関係が表示されている本件保存登記を,上告人が
持分を有しないものに是正することを求めるものにほかならず,被上告人らの請求
は,本件登記部分を実体的権利に合致させるための更正登記手続を求める趣旨を含
むものと解することができる(最高裁昭和35年(オ)第1197号同38年2月
22日第二小法廷判決・民集17巻1号235頁参照)。
そして,共有不動産につき,持分を有しない者がこれを有するものとして共有名
義の所有権保存登記がされている場合,共有者の1人は,その持分に対する妨害排
除として,登記を実体的権利に合致させるため,持分を有しない登記名義人に対
し,自己の持分についての更正登記手続を求めることができるにとどまり,他の共
有者の持分についての更正登記手続までを求めることはできない(最高裁昭和56
年(オ)第817号同59年4月24日第三小法廷判決・裁判集民事141号60
3頁参照)。したがって,被上告人らの請求は,被上告人Xの持分を2分の1,1
被上告人Xの持分を4分の1,上告人及びAの持分を各8分の1とする所有権保2
存登記への更正登記手続を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理
由がないから棄却すべきである。
第3結論
以上の次第で,原判決中,所有権保存登記抹消登記手続請求に関する部分には,
判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるから,原判決中上記部分を主
文第1項のとおり変更することとし,その余の上告を棄却することとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官近藤崇晴裁判官堀籠幸男裁判官那須弘平裁判官
田原睦夫)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛