弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人両名の弁護人中込=尚の上告趣意について。
 所論は、憲法三九条違反をいうが、刑罰法令上、一の犯罪に対する法定刑として
主刑および犯罪にかかる物の没收又はこれに代わる追徴を併科しうべき旨の規定が
ある場合において、右規定に従い、一の裁判によりその一個の犯罪につき、法定の
主刑および没收または追徴を併科することは、憲法三九条(後段)の禁止するとこ
ろではないと解すべきことは、当裁判所の判例(昭和三四年(あ)第二六六号、同
三七年一一月七日大法廷判決)とするところであるから、論旨は採るをえない。
 また、記録を調べても、刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、同四〇八条により主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官入江俊郎、同石坂修一、同斎藤朔郎の補足意見、同河村大助、
同奥野健一、同山田作之助の少数意見があるほか、裁判官全員一致の意見によるも
のである。
 裁判官斎藤朔郎の補足意見は次のとおりである。
 追徴の点に関する私の補足意見は、昭和三四年(あ)第一二六号、同三八年五月
二二日大法廷決定の補足意見と同一であるから引用する。
 裁判官入江俊郎、同石坂修一は、右斎藤裁判官の補足意見に同調する。
 裁判官河村大助の少数意見は次のとおりである。
 追徴の点に関する私の意見は、昭和三四年(あ)第一二六号、同三八年五月二二
日大法廷決定における裁判官奥野健一の少数意見と同一であるから引用する。
 裁判官奥野健一の少数意見は次のとおりである。
 職権により調査するに、本件没收に係る貨物は被告人ら以外の第三者であるA冷
房株式会社の所有に属するものであることは記録上明白であり、その所有者である
第三者に対し告知、弁解、防禦の機会を与えることなく没收することは憲法上許さ
れないことは当裁判所の判例とするところであるが、被告人Bは第一審当時本件貨
物の所有者である右会社の代表取締役であつたことが記録上明らかであるから、右
会社は実質的に本件没收につき告知、弁解、防禦の機会が与えられていたというべ
きである。しかし、行為当時の代表者は同被告人でなく、当時の代表者が関税法一
一八条一項一号に該当するか否かにつき何ら審理判断することなく、本件貨物の没
收の言渡をなした第一審判決およびこれを是認した原判決は違法たるを免れない(
昭和二六年(あ)第一八九七号、同三二年一一月二七日大法廷判決(C事件)、刑
集一一巻一二号三一三二頁参照)。
 また、追徴については、被告人らは全然本件貨物の所有者でなかつたこと記録上
明白であるから、被告人らに対して没收に代わる追徴の言渡をすることは許されな
いものと解すべきである。その理由は昭和三四年(あ)第一二六号、同三八年五月
二二日当裁判所大法廷決定において述べた私の少数意見と同一であるから引用する。
よつて原判決及び第一審判決はこれらの点につき破棄を免れない。
 追徴の点に関する裁判官山田作之助の少数意見は次のとおりである。
 わたくしは、関税法一一八条所定のいわゆる犯罪貨物の没收に代わる追徴は、被
告人がその貨物につき、所有権を有した場合に限つて科せらるべきものと解するか
ら(その理由は、昭和二九年(あ)第五六六号、同三七年一二月一二日言渡大法廷
判決において旧関税法八三条の追徴の規定につき述べたわたくしの意見と同趣旨で
あるからこれを引用する。)、本件において起訴されていないA冷房株式会社(被
告人らはその代表者または従業者)の所有であつた貨物につき、被告人らに対して
没收に代わる追徴を言い渡した原判決は違法であつて破棄を免れない。
  昭和三八年五月二九日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    横   田   喜 三 郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    斎   藤   朔   郎
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
 裁判官池田克は退官につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    横   田   喜 三 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛