弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人藤沼武男の上告理由について。
 本件農地はもと、上告人の先代亡Dの所有であつたが、同人は昭和二四年九月一
四日これを被上告人に贈与したこと、右贈与については被上告人は栃木県知事に対
し、農地調整法施行令第二条第一項に基き、これが許可の申請をなし、同年一二月
二日附をもつて同知事から許可せられたことは原判決の確定するところである。従
つて、右農地の贈与はその許可によつて、許可のあつたときから効力を生じたもの
と解すべきである。原判決は、右許可により贈与契約成立のときに遡つて効力を生
ずるものと判示しているけれども、許可は右贈与の効力発生の要件であることは、
農地調整法第四条の規定するところであり、原判決のごとき効力の遡及を認めるべ
き法的根拠はないのであるから、この点に関する原判決の判断はあやまりであると
いわなければならない。しかしながら、本件贈与契約は亡Dの生前に成立したこと
は前段説示のとおりであつて、右許可が同人死亡後に受贈者たる被上告人に対しな
されたという事実は右贈与の効力の発生を妨げるものではない。論旨は右許可の当
時Dは既に死亡していたのであるから、贈与は遂にその効力を発生せずに終つたの
であると主張するけれどもかかる見解を採ることはできない。けだし、この許可は
贈与の有効要件であつてその成立の要件でないのみならず、この許可は所論のよう
に必ずしも贈与の成立前になされなければならないものと解すべき根拠はないから
である。ただ、その効力は許可のときから将来に向つて発生すべきことは所論のと
おりであつて、この点に関する原判決の判断のあやまりであることは前説示のとお
りであるけれども、右許可のときに、贈与者の死亡せることはその効力の発生を妨
げるものではなく、被上告人は右贈与に因り本件農地の所有権を取得したものと解
する以上、原判決の前示解釈上のあやまりは結局において、右結論に影響するとこ
ろないものと云わざるを得ない。
 次に、右贈与に因る本件農地の所有権移転登記については昭和二五年一月一四日、
権利者、被上告人名義に登記のなされていることは原判決の確定するところである。
しかして右登記が当時既に死亡していたDを登記義務者としてなされたことも原判
決の確定するところであるけれども、右贈与についてはDの相続人たる上告人にお
いても異議のなかつたところであり、被上告人が前記知事の許可の申請をするにあ
たつても、これに添付すべき上告人名義の同意書については、被上告人は上告人か
ら、その作成方を依頼され、その印章をも預けられ、その委託にもとずいてこれを
作成提出した事情関係にあることは、これまた、原判決の確定するところである。
して見れば、特段の事情のみるべきもののない本件においては被上告人が、亡D名
義を以てした前示所有権移転の登記は、亡Dの意思はもとより、上告人の意思にも
反するものでないと解するのが相当であつて、もとより、所論の如く不正無効の登
記を以て目すべきかぎりでない。しかして、右登記が、贈与に因る本件農地の所有
権移転の実体と吻合するものであることは原判示のとおりであるから、かくの如き
場合、上告人は被上告人に対し右登記抹消請求の権利はないものと判断して、上告
人の右請求を排斥した原判決は正当であつて、これと反対の見地に立つ論旨は理由
なきものと云わなければならない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、全裁判官一致の意見を以て主文
のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
 裁判長裁判官霜山精一は退官につき署名押印することができない。
            裁判官    栗   山       茂

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛