弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人加藤虎之丞、同淵辰吉の上告理由第一点について。
 原審の適法に確定した事実によれば、訴外Dは、昭和四三年一月二一日午後一時
三〇分頃津久見市bc番地の上告会社E作業所において、上告会社がその事業用に
使用中であつた上告会社従業員訴外Fの運転する上告会社所有にかかるシヨベルロ
ーダ(道路運送車両法二条二項にいう自動車)(以下本件ローダという。)に轢か
れて死亡したものであるところ、本件ローダは、自動車損害賠償保障法二条一項に
いう自動車であることが明らかであり、そして、同条二項にいう運行とは、道路運
送車両法二条五項にいう運行よりも範囲が広く、工場敷地内や公園等道路以外の場
所のみで自動車を当該装置の用法に従い用いる場合をも含むものと解すべきである
から、上告会社がその主張のごとく本件ローダを上告会社の作業所内のみにおいて
用いていたものであるとしても、前記事実のもとにおいては、上告会社は、その所
有の本件ローダを自己のため運行の用に供していたものであり、かつ、その運行に
よつて右Dの生命を害したものであることが明らかであつて、上告会社は、これに
よつて生じた損害につき、自動車損害賠償保障法三条所定の責に任ずべきものとい
わなければならない。もつとも、同法一〇条によると、道路以外の場所のみにおい
て運行の用に供する自動車については、同法五条の規定(自動車損害賠償責任保険)
の適用はないけれども、そのことと同法三条の損害賠償責任とは別個の問題であつ
て、右の自動車について同法三条の適用が排除さるべきいわれはない。さらに、上
告会社が主張するように本件ローダにつき、その運転に免許は不要であり、自動車
登録も必要でなく、そして、本件ローダが税法上減価償却資産中の機械設備として
取り扱われているとしても、そのことは、同法三条の適用を左右するものではない。
 これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違
法はない。それゆえ、論旨は採用することができない。
 同第二点について。
 口頭弁論を再開すると否とは裁判所の自由裁量に委せられているところであるか
ら、原審が上告会社の所論申立を容れず、ひいて、所論書証の取調をしなかつたか
らといつて、原判決に所論の違法があるとはいえない。それゆえ、論旨は採用する
ことができない。
 同第三点、第四点について。
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決の挙示する証拠に照らして首肯する
に足り、その過程に所論の違法は認められないから、論旨は採用することができな
い。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    小   川   信   雄
            裁判官    大   塚   喜 一 郎

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