弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告及び附帯上告を各棄却する。
     上告費用は上告人、附帯上告費用は附帯上告人の各負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士今島廉蔵の上告理由について、
 金沢市における一流百貨店である上告会社との間にせんい製品の委託販売契約を
締結した訴外有限会社Dの代表取締役であるEは上告会社呉服部長Fを代理する何
らの権限なきにかかわらず、これあるかの如く装つてせんい製品の販売を業とする
被上告会社の番頭Gを欺罔し、上告会社の代理人として被上告会社との間にせんい
製品の売買契約を締結したうへ、右Gに対し上告会社の右F呉服部長宛に製品を出
荷するよう指示し、よつて、被上告会社より昭和三二年一〇月二五日頃から同年一
一月一七日頃迄の間に数回に亘り本件商品を出荷させ、かくて判示のような損害を
被上告会社に蒙らしめるに至つたこと、他方上告会社の右Fとしては右Eが被上告
会社をして前記出荷をなさしめるに至つた事のいきさつを知つていて、これを容認
していたばかりでなく、仮にこれを知らなかつたとしても上告会社宛になされた本
件商品の送荷は相手方を誤認したものとしてその旨被上告会社に通告すべき信義則
上の義務あるにかかわらずこれを怠り被上告会社に対し何らの通告をなさなかつた
こと、そしてFの右行為は右Eの前示の不法行為と相俟つて被上告会社の蒙つた前
示損害発生の因を成すものであるとの事実関係は原判決の趣旨として認定している
ところであつて、その認定に帰した原判決の事実上の判断は原判決挙示の証拠に照
合し首肯できなくはなく、その判断の経路に所論違法のかどあるを認められない。
所論縷説するところは要約すれば、右事実上の判断に牴触する事実関係を主張して
原審が法律上任かされている権限を自由に駆使してなした証拠の取捨判断、事実認
定を非難攻撃するに外ならないものであつて、上告適法の理由として採るを得ない。
 附帯上告代理人渋谷正俊の上告理由第一点について、
 所論の点に関する原判示の事実関係の下で本件取引について附帯上告人において
も過失の責を免れないものとした原判決の判断は正当と認める。そして、原判決は
前示Fは附帯被上告会社の呉服部長の地位にいたことを認定しているだけであつて、
同人が附帯被上告会社の責任者とも、また本件取引について附帯被上告会社を代理
する権限をもつていたとも認定していないのであるから前示Gが右Fとの間に所論
のような交渉があつたとしても、これを以て原判示の調査を尽したものとは云い得
べきかぎりではない。所論はひつきようするに、原判決に副わない事実関係を想定
して種々論議するものであつて、採るを得ない。
 同第二点について、
 しかし、原判決は附帯上告会社において取引人としての通常用いるべき注意を欠
いて所論の調査を怠つていたとの趣旨を判示しているのであつて、この点に関する
原判決認定の事実関係の下ではしかく判断できないわけのものではない。所論は原
判決認定の事実関係の枠外で独自の想定の下で彼是論議するものであつて、採るを
得ない。
 同第三点について、
 原判決が本件不法行為に基づく損害賠償債務について支払済に至るまで民事法定
利率年五分の割合による損害金の支払のみを是認したのは正当である。本件のよう
に商人間の不法行為に基づく損害賠償債務についても商法五一四条を類推適用すべ
きであるとする所論は独自の見解であつて、採るを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員の一致で主文のとおり
判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    斎   藤   朔   郎
            裁判官    長   部   謹   吾

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