弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 論旨第一点について。
 原審判決は、所論抗弁を重大なる過失によつて、時機に後れた防禦方法であるか
ら、その内容について判断するまでもないとして、これを排斥したものであつて、
当審も本件記録に照し右の措置を正当と認める。さすれば所論の主張は原判決の判
断していない事項に帰し上告適法の理由と為すを得ない。
 第二点について。
 しかしながら、原判決は上告人の本件手形上の債務を、保証の趣旨であるとは認
定していないのであるから論旨は、前提を欠き採用できないばかりでなく、仮に所
論のように上告人の本件債務が保証であり、その主債務者である訴外会社に対し、
会社更生法による更生手続開始決定が為され、その手続が進行中であるとしても、
上告人の保証の責任には消長あるべきものではなく、被上告人が本件手形上の権利
を、即時行使するについて何ら妨げないものであるから原判決には、法律の適用を
誤つた違法ありというを得ない。
 第三点について。
 しかしながら、所論相殺の意思表示も第一審口頭弁論において主張し得べかりし
事項であるから、所論相殺債権に基づき相殺の意思表示をしなかつたことを、時機
に後れたものとして排斥した原判決の措置は、正当であつて原判決には所論の違法
はなく、論旨は採用に値しない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎

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