弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を免訴する。
         理    由
 堀検事正の上告趣意は末尾添付の上告趣意書と題する書面、被告人弁護人の答弁
は弁護人矢生倫司、同下山四郎名義の答弁書各記載の通りでこれに対し当裁判所は
次の通り判断する。
 第三点について。
 前記改正前の物価統制令第十条第二項は所論のような内容の規定で販売行為が営
利の目的でなくても又業務に属しないときでも不当高価販売の罪が成立するのであ
る。
 故に仮りた本件売渡行為が被告人に営利の目的がなく且つ被告人の業務に属しな
かつたとしても本件販売価格が不当に高価な価格であるかどうかを判断すべきであ
る。
 そこで原判決が証拠により確定した事実によれば被告人は法定の除外事由がない
のに、昭和二十一年六月十日頃東京都港区ac丁目c番地A事務所においてBに対
し菜種油一号品ドラム罐六本合計四石九斗を昭和二十一年三月三十一日大蔵省告示
第百八十一号指定販売者価格の統制額より合計約六万九千二百八十四円を超過する
代金合計金七万三千五百円で売渡したものである。即ち本件販売は公定価格より六
万九千余円を超過する価格でなされたのである。これは法律にいわゆる不当に高価
な額であると解すべきである。
 不当高価であるかどうかは公定価格あるものについては公定価格を基準とすべき
で実際の利得額を基準とすべきでない。
 故に被告人の行為は改正前の前記物価統制令第十一条第二項第三十六条に該当す
る。しかるに原判決が無罪の言渡をしたのは適用する法律を適用しなかつた違法が
ある。しかし旧刑事訴訟法第四百三十四条第二項により職権で刑の廃止あつたかど
うかを検討すると物価統制令はその後前述のように昭和二十二年四月十五日改正せ
られ不当高価販売も営利の目的なく又は業務に属しないときは罰しないことにした
のである。
 これは経済事情の変動に伴い改正されたのでなく立法者の法律見解に変更を来た
したからだと解するのが相当である。
 蓋し改正前の法律によるといわゆる筍生活者の不当高価販売も処罰せられること
になるので立法者はこれは行き過ぎであると考え直して改正したものである、故に
物価庁告示の変更のように経済事情の変動に伴い刻々に<要旨>改正される場合と異
なり改正前の物価統制令第十一条第二項は限時法的性質を有するものでない。 旨>
 従つて本件販売は前述のように営利の目的なく且つ被告人の業務に属しない以上
本件販売は物価統制令の前記改正による処罰もなくなつたのであるから刑法第六条
により改正法を適用し刑の廃止あつたものとして免訴の言渡をなすべきものであ
る。
 しかるに原制決が無罪の言渡をしたのは違法である。
 論旨は結局理由があつて原判決は破棄を免かれない。
 叙上の理由により旧刑事訴訟法第四百四十七条第四百四十八条第四百五十五条第
三百七十三条第二号により原判決を破棄し被告人を免訴すべきものとする。
 仍つて主文の通り判決する。
 (裁判長判事 吉田常次郎 判事 保持道信 判事 鈴木勇)

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