弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成13年(行ケ)第202号 審決取消請求事件(平成13年12月4日口頭弁
論終結)
          判      決
     原      告     シオノギクオリカプス株式会社
     訴訟代理人弁理士     小  島  隆  司
同            西  川  裕  子
     被      告     ワーナー・ランバート・インク有限会社
     訴訟代理人弁理士     津  国     肇
     同            束  田  幸四郎   
     同            齋  藤  房  幸
           主      文
  特許庁が平成11年審判第35221号事件について平成13年3月29日に
した審決を取り消す。
  訴訟費用は各自の負担とする。
           事実及び理由
第1 原告の請求
  特許庁が平成11年審判第35221号事件について平成13年3月29日に
した審決を取り消す。
  訴訟費用は被告の負担とする。
第2 前提となる事実(当事者間に争いがないか証拠により認められる事実)
 1 特許庁における手続の経緯
 原告シオノギクオリカプス株式会社(旧名称 日本エランコ株式会社)は、名称
を「非フォーム状ハードゼラチンカプセル」とする特許第2139734号(以下
「本件特許」という。)の発明(平成1年7月4日特許出願、同6年2月16日出
願公告、同11年1月8日登録、以下「本件発明」という。)の特許権者である。
被告は、平成11年5月14日に原告を被請求人として本件発明につき無効審判を
請求し、平成11年審判35221号事件として審理された結果、同13年3月2
9日に「特許第2139734号の請求項に係る発明について特許を無効とす
る。」との審決(以下「審決」という。)があり、その謄本は同年4月11日に原
告に送達された。
 原告は、本件訴訟提起後の平成13年8月3日に本件特許明細書(以下「本件明
細書」という。)の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の各記載の訂正(以下
「本件訂正」という。)を請求する訂正審判を請求し、訂正2001-39124
号事件として審理された結果、同年10月9日に「本件訂正を認める。」旨の審決
(以下「本件訂正審決」)があった。
2 本件審決の理由の要旨
 本件審決の理由は、要するに、本件明細書の記載には不備があり、本件請求項1
及び2に係る特許は、特許法36条3項及び4項の規定を満たしていない、とする
ものである。
 3 本件訂正による訂正の内容
  (1) 本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲は、次のとおりである。
「1.分子量1000、1500、1540、4000、6000又は20000
から選ばれたポリエチレングリコールの1種もしくは2種以上の混合物を、ゼラチ
ンに配合して得られるハードゼラチンカプセルであって、そのポリエチレングリコ
ールの含有量がゼラチンに対して下記のいずれかであることを特徴とする水感応性
物質を充填するための非フォーム状ハードゼラチンカプセル。
イ.ポリエチレングリコールの分子量が1000-1540である場合:1~50
重量%。
ロ.ポリエチレングリコールの分子量が4000である場合:0.5~15重量
%。ハ.ポリエチレングリコールの分子量が6000である場合:0.5~10重
量%。ニ.ポリエチレングリコールの分子量が20000である場合:0.1~5
重量%。2.ポリエチレングリコールの含有量がゼラチンに対して下記のとおりで
ある請求項1記載の非フォーム状ハードゼラチンカプセル。
イ.ポリエチレングリコールの分子量が1000-1540である場合:10~5
0重量%。
ロ.ポリエチレングリコールの分子量が4000である場合:3~15重量%。
ハ.ポリエチレングリコールの分子量が6000である場合:3~10重量%。
ニ.ポリエチレングリコールの分子量が20000である場合:0.3~5重量
%。」
  (2) 本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲は、次のとおりである。
「1.ポリエチレングリコールをゼラチンに配合して得られるハードゼラチンカプ
セルであって、前記ポリエチレングリコールとして分子量1000のポリエチレン
グリコールのみを用い、かつその含有量がゼラチンに対して10~50重量%であ
ることを特徴とする吸水性又は吸湿性物質を充填するための非フォーム状ハードゼ
ラチンカプセル。」
第3 原告主張の審決取消事由
 審決は、本件発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲の記載のとおり認定する
と共に、このように認定した発明について、「本件明細書の記載には不備があり、
本件請求項1及び2に係る特許は、特許法第36条第3項及び第4項の規定を満た
していない」という理由で、本件特許を無効にすると審決したものである。しかし
ながら、本件発明の要旨は、本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲の記載の
とおりとなったものであるから、審決は、本件発明の要旨の認定を誤ったことに帰
する。また、本件訂正審決(甲第14号証)に記載されているように、訂正後の本
件明細書は、もはや記載不備はなく、特許法36条3項、4項の規定を満たすもの
であるから、審決における明細書の記載不備の判断も誤りである。
 したがって、審決は取り消されるべきである。
第4 当裁判所の判断
 甲第12号証、第14号証及び弁論の全趣旨によれば、本件特許については、特
許法36条3項、4項の規定に違反してなされた特許であることを理由に特許を無
効とした審決の取消訴訟の係属中に、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の
釈明を目的として、本件明細書の特許請求の範囲の記載及び発明の詳細な説明の記
載を訂正する訂正審判が請求され、訂正を認める本件訂正審決がなされて、確定し
たことが認められる。
 そうすると、審決は、結果として、判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤
ったことになり、この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、
審決は取り消されるべきである。
 よって、原告の請求は理由があるから、これを認容し、訴訟費用の負担につい
て、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法62条を適用して、主文のとおり判決する。
 東京高等裁判所第18民事部
        裁判長裁判官   永   井   紀   昭
           裁判官  塩   月   秀   平 
   裁判官   古   城   春   実

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛