弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴は之を棄却する。
     控訴費用は控訴人の負担とする。
         事    実
 一、 控訴人は「原判決を取消す破産者白玉興業株式会社と被控訴人との間に昭
和三十三年三月二十五日原判決添附目録記載の物件につき締結した売買契約は無効
なること確認する。被控訴人は控訴人に対し右目録記載の物件中(一)、(四)
(五)、(六)(七)、(九)及(二)の内一台半を引渡せ。被控訴人が控訴人に
対し右物件に対する強制執行不能の場合は同目録下欄記載の金員を支払え、訴訟費
用は第一、二審共被控訴人の負担とする。」との判決並物件引渡請求の部分に対す
る予備的請求として同目録下欄記載の金員を支払えとの判決を求め、被控訴代理人
は主文同旨の判決を求めた。
 二、 当事者双方の事実上の陳述、証拠の提出援用書証の認否は左記に補充する
外原判決事実摘示の通りであるからここに之を引用する。即ち、
 (1) 控訴人は
 (イ) 会社更生法第五十六条は更生開始決定があつても直ちに管財人の事業経
営及財産管理に完全に切り換えることが出来ない。この間に会社が従来の経営機構
を以てなした行為について管財人の利益主張のために弾力性をもたせた規定に過ぎ
ない。従つて管財人が事業経営及財産管理に着手した後は本条の適用がないもので
ある。仮に此の規定が更生手続中継続的に適用せられるとしても管財人たる控訴人
が被控訴人に対し本件売買目的物中の残存品の引渡を拒否し処分行為の効力発生を
阻止した事実に徴するも本件売買行為が有効となるべき理由がない。而して、更生
手続が破産手続に移行したとしても右主張は許さるべきである。
 (ロ) 本件売買契約は更生手続開始決定後その終了までの間に行われた会社の
処分行為で而も更生のため会社が事業経営をするには原動力となるべき機械設備の
全部を処分するものであつて事業の廃止をなすにひとしくかかる場合会社法は株主
総会の特別決議を要求しているのであるから之を無権原者が擅に譲渡すれば無効で
あること明白である
 (ハ) 控訴人が本訴において引渡を求めている物件を被控訴人が他に譲渡し現
在既に之を回復することを得ざることになつている場合のために予備的に請求の趣
旨記載の如き損害賠償の請求をなすと述べた。
 (2) 被控訴代理人は控訴人の右主張事実は之を争うと述べた。
         理    由
 一、 成立に争のない甲第一、二号証同第七号証原審証人Aの証言によれば訴外
白玉興業株式会社はその事業に蹉跌を来したので昭和三十年五月四日同訴外会社の
申立により更生手続開始決定がなされ控訴人及訴外Bの両名が更生会社の管財人に
選任せられ昭和三十一年三月十二日その更生計画案に対し認可決定がなされるに至
つたこと、その後右訴外会社は本件物件の売買その他の不当行為を敢行したため更
生計画の遂行の見込がないこと明となつたので昭和三十三年四月三十日会社更生法
第二百七十七条に基き更生手続廃止の決定がなされ次いで同年六月二十三日右訴外
会社に対し破産の宣告がなされ同時に控訴人がその破産管財人に選任せられたこと
を認めることが出来る。而して、右訴外会社は同会社に対する更生手続中なる昭和
三十三年三月二十五日同会社所有の原判決添附目録記載の物件(但し(二)につい
ては分解した部品一台半分)につき被控訴会社との間に代金百五十万円で売買契約
を結んだことは当事者間に争がなく、原審証人Cの証言、同証言により成立を是認
すべき乙第一号証によれば右売買契約は右訴外会社代表取締役Dが同会社を代表し
て締結したものなること、並右売買物件中には前記目録記載の(二)の物件全部が
包含されていたことを認めることが出来る。
 二、 控訴人は本件売買契約は更生手続中に訴外会社代表者Dがほしいままにな
した行為であるから無効であると主張するからこの点について判断する。成程会社
更生法(以下単に更生法と称する。)第五十三条は「更生手続開始決定があつたと
きは会社の事業の経営並財産の管理及処分をする権利は管財人に専属する。」旨規
定し同法第五十六条第一項は之を受けて「更生手続開始後に会社のなした法律行為
は更生手続の関係にお<要旨>いてはその効力を主張することが出来ない。」と規定
している。然しながら更生法第五十六条第一項の規定は右の会社のなした行
為は単に「更生手続の関係においてその効力を主張することが出来ない。」という
に止まり更生手続が廃止せられた以上更生手続中の会社の行為の効力に何等の影響
のないことその立言の趣旨より見て明であるといわねばならない。このことは更生
法第二十四条が「前条第一項の規定(更生手続廃止等のありたる後破産に移行した
場合の規定)により破産の宣告のあつたときは破産法第一編の適用については更生
手続開始決定・・・・・・はその前に支払の停止又は破産の申立がないときはこれ
を支払の停止又は破産の申立とみなし・・・・・・」と規定し更生法第二十三条第
一項の場合に更生手続中の会社の法律行為を一応有効として取扱い之を破産法上の
否認権の問題として解決せんとする趣旨がうかがわれるところから見ても明である
といわねばならない。(尚此の点につき破産法第五十三条第一項に関する昭和六年
五月二十一日大審院判決法律新聞第三二七七号一六頁参照)。而して、本件の場合
において本件売買契約は訴外会社の更生手続中になされたものであるがその後更生
手続が廃止せられ次いで訴外会社に破産の宣告がなされたことは前記認定により明
であるから控訴人は右売買契約につき破産法上の否認権を行使して売買物件の返還
を求める場合は格別単に控訴人が本訴において主張する如く本件売買契約の無効を
主張して売買物件の返還を求めることが出来ないものといわねばならない。
 控訴人は更生法第五十六条は更生手続開始決定後管財人が事業及財産の管理に着
手するまでの暫定的の措置として規定されたものに過ぎない旨主張しているが同条
の右の場合に限つて適用せらるべきものと解すべき何等の根拠がないから控訴人の
右主張はその理由がない。
 控訴人は更に被控訴人に対し本件売買目的物中の残存品の引渡を拒否し処分行為
の効力発生を阻止した事実に徴するも本件売買契約が有効となるべき理由なく且更
生手続が廃止せられ破産手続に移行したとしても右主張は許さるべきであると主張
するからこの点について判断する。成程更生法第二百七十九条は「第二百七十七条
の規定による更生手続の廃止は更生計画の遂行及この法律の規定によつて生じた効
力に影響を及ぼさない。」と規定しているが、右の規定は本件において控訴人が主
張する如く更生管財人たる控訴人が売買物件の引渡を拒否することによつて本件売
買契約の効力を否認する場合には適用がないものといわねばならない。けだし更生
法第五十六条第一項を前記の如く解すべき以上同法第二百七十九条を右の如く解す
べきは当然の帰結というべきだからである。従つて、本件売買契約は前にも説明し
た如く破産法上否認の対象になり得るに過ぎないものというべきであるから控訴人
の右主張もその理由がない。
 三、 控訴人は本件売買は営業の譲渡又は営業の廃止に比すべき重大なる法律行
為であるから株主総会の特別決議を経てなすべきものなるに拘らず之を経ていない
から無効であると主張する。而して、成立に争のない甲第八号証原審証人Aの証言
によれば訴外会社が織物の整理、繊維原料及製品の染色等の事業を営む会社なるこ
と、本件物件を売却すれば訴外会社の事業の継続が困難となるべきこと本件売買契
約締結後右会社代表取締役Dが代金の一部を持つたまま行方不明となつたことを認
めることが出来るが右事実あればとて直ちに営業の譲渡は勿論営業の廃止ありたる
ものと認めることが出来ないし他に営業譲渡又は営業の廃止を認めるに足る証拠は
ない。従つて、営業の譲渡又はその廃止ありたることを前提する控訴人の主張はそ
の理由がない。
 四、 控訴人は更に原判決添附目録記載の(一)乃至(三)の物件は訴外会社が
一宮信用金庫に根抵当権を設定した物件であるから本件売買契約は無効であると主
張するがその主張の理由なきこと並その理由については原判決に記載する通りであ
るからここに之を引用する。
 五、 予備的請求に対する判断
 以上に説明した如く本件売買契約が有効なること明であるから本件売買契約が無
効であつて本件売買物件が訴外会社に帰属することを前提とする予備的請求の理由
のないこと多言を要しないところである。
 六、 されば本件売買契約の無効確認並売買物件の一部の返還等を求める控訴人
の本訴請求は爾余の点に判断をなすまでもなく失当として棄却すべきものである。
 以上の理由により右と同趣旨の原判決は正当であるから本件控訴を棄却し民事訴
訟法第三百八十四条、第八十九条、第九十五条を適用し主文の如く判決する。
 (裁判長裁判官 県宏 裁判官 越川純吉 裁判官 奥村義雄)

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