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平成18年(行ケ)第10210号審決取消請求事件(以下「A事件」という。)
平成18年(行ケ)第10212号審決取消請求事件(以下「B事件」という。)
口頭弁論終結日平成19年1月30日
判決
A事件原告・B事件被告エックス−レイオプティカル
(以下「原告」という。)システムズインコーポレイテッド
訴訟代理人弁理士谷義一
同阿部和夫
同新開正史
同小林武彦
A事件被告・B事件原告ユニサンティス
(以下「被告」という。)ソシエテアノニム
訴訟代理人弁護士田中伸一郎
同弁理士弟子丸健
同渡邊誠
同弁護士佐竹勝一
同小和田敦子
主文
1A事件につき
特許庁が無効2004−80232号事件について平成17年12月20日にした
審決のうち,「特許第3090471号の請求項1,3,5ないし12,14な
いし24,26ないし41,43ないし71に係る発明についての特許を無効
とする」との部分を取り消す。
2B事件につき
(1)特許庁が無効2004−80232号事件について平成17年12月20日にした
審決のうち,「特許第3090471号の請求項2,4,13に係る発明につ
いての審判請求は,成り立たない」との部分を取り消す。
(2)被告のその余の請求を棄却する。
3訴訟費用は,A事件B事件を通じてこれを4分し,その1を原告の,
その余を被告の負担とする。
4この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日
と定める。
事実及び理由
第1請求
1A事件
主文第1項と同旨
2B事件
特許庁が無効2004−80232号事件について平成17年12月20日にした審決のうち,
「特許第3090471号の請求項2,4,13,25,42,72に係る発明についての審判
請求は,成り立たない」との部分を取り消す。
第2事案の概要
原告が特許権者である後記特許に関し,被告が請求項全部(1ないし72)につ
き特許無効審判請求をしたところ,特許庁は,請求項の一部である1,3,5な
いし12,14ないし24,26ないし41,43ないし71項に係る発明についての特許を無
効とし,残部である2,4,13,25,42,72項に係る発明についての審判請求を
不成立とする審決をした。A事件は,特許を無効とされた部分につき特許権者で
ある原告が審決の取消しを求めた事案であり,B事件は,請求不成立とされた部
分について審判請求人である被告が審決の取消しを求めた事案(第2事件)であ
る。
なお,以下において引用する書証番号は,特に断らない限りA事件のものを用
い,B事件のものを用いるときはその旨を明らかにする。
第3当事者の主張
1A事件につき
(1)請求の原因(原告主張)
ア特許庁における手続の経緯
原告は,名称を「粒子,X線およびガンマ線量子のビーム制御装置」と
する発明につき,平成3年(1991年)10月31日,パリ条約による優先権主
張日を①平成2年(1990年)10月31日米国・②平成3年(1991年)4月1日米
国として,国際出願をしたところ(なお,国内公表は平成7年5月18日,
特表平7−504491号),平成12年7月21日,日本国特許庁から特許第
3090471号として設定登録を受けた(請求項の数は72。以下「本件特許」と
いう。甲9〔特許公報〕)。
ところが本件特許に対し平成16年11月18日付けで被告から特許無効審判
請求がなされ,同請求は無効2004−80232号事件として特許庁に係属した。
原告は,同事件の審理の中で,請求項1,25,53,54,72等について訂正
請求(甲10)をしたが,特許庁は,平成17年12月20日,「訂正を認める。
特許第3090471号の請求項1,3,5ないし12,14ないし24,26ないし41,
43ないし71に係る発明についての特許を無効とする。特許第3090471号の請
求項2,4,13,25,42,72に係る発明についての審判請求は,成り立た
ない。」旨の審決をし,その謄本は平成18年1月6日双方に送達された。
なお,出訴期間として90日が附加された。
イ発明の内容
審決によって上記訂正(以下「本件訂正」という。)が認められた後の
発明の内容は,別添審決写しの8頁∼12頁記載のとおりである(以下,請
求項の番号順に「本件発明1」等という。)。そのうち,請求項1∼6,
13,25,42,53.,54,72を再掲すると次のとおりである(下線部は訂正部
分)。
【請求項1】荷電粒子,中性原子,X線量子,およびガンマ量子のビーム
を制御する装置であり,複数の全外反射を提示する内面を有する複数の
チャネルと,放射源に向けて入力端と,放射受光器に向けた出力端とを
有し,上記チャネルは,支持構造体により互いに相対的にしっかりと固
定した複数の別個の毛管束で構成され,しかも,チャネルのそれぞれで
入力端の半径方向の幅Dが下記式を満足する装置:
D1≦2θDF+D
但しD1は,前記放射源の有効直径,
θDは,指定スペクトル幅での全外反射の最小臨界角,
Fは,中心軸に沿って計測したチャネルの入力端までの前記放射源の距
離。
【請求項2】支持構造体がチャネルを支持する開口を有する,請求項1の
装置。
【請求項3】複数の毛管束の間の隙間を充填する化合物で支持構造体を構
成した,請求項1の装置。
【請求項4】支持構造体の少なくとも1つが当該支持構造体の他のものに
対して中心軸に沿って選択的に平行移動できる,請求項1の装置。
【請求項5】チャネルの壁をそれらの外面において剛にリンク連結するこ
とにより,支持構造体を構成した,請求項1の装置。
【請求項6】チャネル幅をその長さに沿って変更可能とした,請求項5の
装置。
【請求項13】支持構造体を,ビーム伝播の中心軸の回りを回転するように
装架した,請求項1の装置。
【請求項25】チャネルの扇形に広がった出力端は,θ−D/L1以下であるテ
ーパ角を有しており,θは準平行ビームの指定発散角,L1は円錐形束管セ
クションの長さをそれぞれ表している,請求項23の装置。
【請求項42】最初の一連のチャネルでは捕捉できないビームの部分に,別
のチャネルの入口を複数配置し,最初の一連のチャネルの角より小さい
放射に対してチャネル壁が一定の角度になる状態で,当該追加チャネル
の入口を配置し,最初の一連のチャネルで捕捉した放射幅より小さい臨
界角を有する放射幅を当該追加チャネル入口で捕捉するようにした,請
求項41の装置。
【請求項53】準平行ビームを成形し,テーパ毛管に向ける装置であり,
当該テーパ毛管は長さに沿って幅が狭くなる,請求項1の装置。
【請求項54】d1/d2はほぼθcr/θに等しくなっており,d1は当該テーパ
毛管の幅の中で最も広い値,d2は当該テーパ毛管の幅の中で最も狭い値,
θは当該テーパ毛管に入射する準平行ビームのビーム発散,θcrは全外
反射に対する臨界角をそれぞれ示すような構成になっている,請求項53
の装置。
【請求項72】複数の支持構造体の間隔が(12El/QR1)であり,Eは当該チ1/2
ャネルの弾性係数,lは中立軸に相対的な当該チャネルの断面の慣性モ
ーメント,Qは単位長さ当りの当該チャネルの重さ,R1=2D/θDであ2
り,当該チャネルの曲がりの臨界半径であり,高透過効率が望まれる放
射スペクトルの指定高エネルギー境界で定義する値である,請求項1の
装置。
ウ審決の内容
(ア)審決の内容は別添審決写しのとおりである。その理由の要点は,下記
①∼⑧の刊行物(甲1∼8)等に基づいて,後記のとおり,特許無効又
は無効審判請求不成立の判断をしたものである。

①V.A.Arkad'ev,A.I.Kolomiitsev,M.A.Kumakhov,I.Yu.Ponomarev,
I.A.Khodeev,Yu.P.Chertov,andI.M.Shakhparonov,Wide-bandx-ray
opticswithalargeangularaperture,Sov.Phys.Usp.32(3),March
1989,p.271-276(以下「甲第1号証」という。)
②M.A.KumakhovandF.F.Komarov,Multiplereflectionfromsurface
X-rayoptics,PhysicsReports191,No.5,1990,p.289-350(以下
「甲第2号証」という。)
③特開昭62−299241号公報(以下「甲第3号証」という。)
④V.A.Arkadiev,R.F.Fayazov,andM.A.Kumakhov,Designofawide
pass-bandsystemforfocusingahardX-rayradiation,Central
ResearchInstituteforScientificInformationandEconomical
StudiesonAtomicScienceandTechnology(Atominform),1988(以
下「甲第4号証」という。)
⑤BOOKOFABSTRACTS,TheIV-thAllunionConferenceonInteraction
ofRadiationwithSolids,May15-19,1990,Elbrussettlement,
Kabardino-BalkarianASSR,USSR(以下「甲第5号証」という。)
⑥英国特許第1227929号明細書(以下「甲第6号証」という。)
⑦国際公開第88/01428号パンフレット(1988)(以下「甲第7号
証」という。)
⑧特開平1−185497号公報(以下「甲第8号証」という。)
(イ)請求項1,3,5∼12,14∼24,26∼41,43∼71について無効とした
理由
a請求項1(本件発明1)
(a)甲第1号証には,「X線のビームを制御する装置であり,繰り返
し全外反射をする多数のチャネルで作られたシステム」の発明(以
下「甲第1号証記載発明」という。)が記載されているところ,本
件発明1との一致点と相違点は,次のとおりである。
[一致点]
「荷電粒子,中性原子,X線量子,およびガンマ量子のビームを
制御する装置であり,複数の全外反射を提示する内面を有する複
数のチャネルと,放射源に向けて入力端と,放射受光器に向けた
出力端とを有し,上記チャネルは,複数の毛管で構成された装
置。」である点で一致し,以下の点で相違する。
[相違点1]
チャネルに関して,本件発明1が,支持構造体により互いに相
対的にしっかりと固定した複数の別個の毛管束で構成されたのに
対して,甲第1号証記載の発明は複数の毛管で構成された点。
[相違点2]
チャネルの入力端に関して,本件発明1が,チャネルのそれぞ
れで入力端の半径方向の幅Dが下記式を満足する装置:
D1≦2θDF+D
但しD1は,前記放射源の有効直径,
θDは,指定スペクトル幅での全外反射の最小臨界角,
Fは,中心軸に沿って計測したチャネルの入力端までの
前記放射源の距離
であるのに対して,甲第1号証記載発明にはそのような構成がな
い点。
(b)そして,本件発明1に係る支持構造体は甲第1号証に実質的に示
されているから,本件発明1の上記相違点1に係る構成は,当業者
が甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に想到し得た事項で
「この光学系におある。また上記相違点2に係る構成も,甲第1号証の
ける焦点の直径は,df=2(r+fφ)によって与えられる。ここで,rは毛
管チャネルの半径,fは焦点距離,φは放射が毛管を出る角度である」(274頁右
との記載から,当業者が容易に想到し得た事項であるか欄30∼34行)
ら,結局,本件発明1は,甲第1号証記載発明に基づいて当業者が
容易に発明をすることができたものである。
b請求項3(本件発明3)
本件発明3は,本件発明1につき「複数の毛管束の間の隙間を充填
する化合物で支持構造体を構成した」ことを限定した発明であり,甲
第1号証記載発明とは,本件発明3が複数の毛管束の間の隙間を充填
する化合物で支持構造体を構成した点で相違するところ,甲第3号証
には,パイプ相互の隙間を充填材により充填することが開示されてい
るから,甲第1号証記載発明に甲第3号証記載発明を適用して上記相
違点に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得た事項である。
c請求項5(本件発明5)
本件発明5は,本件発明1につき「チャネルの壁をそれらの外面に
おいて剛にリンク連結することにより,支持構造体を構成した」こと
を限定した発明であり,甲第1号証記載発明とは,本件発明5がチャ
ネルの壁をそれらの外面において剛にリンク連結することにより支持
構造体を構成した点で相違するところ,チャネルの壁をそれらの外面
において剛にリンク連結することにより,支持構造体を構成すること
も当業者が容易に想到し得た事項であるから,本件発明5は,甲第1
号証記載発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた。
d請求項6(本件発明6)
本件発明6は,本件発明5につき「チャネル幅をその長さに沿って
変更可能とした」ことを限定した発明であって,甲第1号証記載発明
とは,本件発明6がチャネル幅をその長さに沿って変更可能とした点
で相違するところ,甲第3号証にはチャネル幅をその長さに沿って変
化させることが示唆されているから,甲第1号証記載発明に甲第3号
証記載発明を適用して上記相違点に係る構成とすることは,当業者が
容易に想到し得た事項である。
e請求項7∼12,14∼24,26∼41,43∼71(本件発明7∼12,14∼24,
26∼41,43∼71)
これらの発明は,本件発明1,3,5,6のいずれかにおいて,構
成又は用途を限定したものであるが,いずれの限定事項も,甲第1号
証記載発明に甲第2∼8号証の記載事項を適用することによって,当
業者が容易に想到し得た事項である。
(ウ)請求項2,4,13,25,42,72につき無効審判請求不成立とした理由
a請求項2(本件発明2)
本件発明2は,甲第1号証記載発明とは,本件発明2が支持構造体
がチャネルを支持する開口を有するようにした点で相違するところ,
当該相違点に係る構成は,甲第1∼8号証のいずれにも記載も示唆も
されていない。
b請求項4(本件発明4)
本件発明4は,甲第1号証記載発明とは,本件発明4が支持構造体
の少なくとも1つが当該支持構造体の他のものに対して中心軸に沿っ
て選択的に平行移動できるようにした点で相違するところ,当該相違
点に係る構成は,甲第1∼8号証のいずれにも記載も示唆もされてい
ない。
c請求項13(本件発明13)
本件発明13は,本件発明1において,甲第1号証記載発明とは,本
件発明13が支持構造体をビーム伝播の中心軸の回りを回転するように
装架した点で相違するところ,当該相違点に係る構成は,甲第1∼8
号証のいずれにも記載も示唆もされていない。
d請求項25,42,72(本件発明25,42,72)
これらの発明が,発明の詳細な説明に記載されていないとはいえず,
明細書又は図面において当業者が容易に実施をできるように記載され
ていないとはいえない。
エ審決の取消事由(原告主張)
(ア)本件発明1につき
a本件発明1は,「複数の別個の毛管束」を有する。ここで,個々の
毛管束とは,例えば次のようなものである。
〔図1〕
単一の毛管束
本件発明1は,このように,図1のような毛管束を複数有し,それら
は,支持構造体により互いに相対的にしっかりと固定される。例えば,
以下の図2のような形態をとることもできる。また,本件特許明細書
(本件特許公報〔甲9〕に掲載された明細書及び図面をいう。以下同
じ。)の第6図や第10図のような形態をとることができる。
〔図2〕
複数の別個の毛管束
〔本件特許明細書の第6図〕
〔同第10図〕
「甲第1号証の前記摘記事項(a11)によれば,放b審決は,相違点1につき
射源に向けて入力欄と放射受光器に向けた出力端を有する複数のチャネル(毛管)が
相互に密着したパッキング構造をなしているものである。そして,図9に図示のX線
分布図も併せて参酌すれば,複数のチャネルがそれらの外面である壁において相互に
と認定し密着して配置されていることが読み取れるものである」(18頁第2段落)
た。
「図7はしかしながら,審決のいう甲第1号証の摘記事項(a11)は
本合焦システムの写真である。全体のシステムは,長さ98cmで,外径0.4mm,チャ
ネル径0.36mmからなる2000本のガラス毛管からなる。前記毛管は,断面方向において
六角形状の密着パッキング(closepacking)を形成し,チャネルの面積はシステム
というの入力端から出力端までの全面積の73%を占める」(273頁右欄22∼28行)
ものであり,この記載及びFIG.9(図9)からは,複数のチャネル(毛
管)が相互に密着したパッキング構造をなしていることは読み取れな
い。ましてや,複数のチャネルがそれらの外面である壁において相互
に密着して配置されていることは,到底読み取れない。
このように,甲第1号証において,複数のチャネルは,それらの外
面である壁において相互に密着して配置されていない。それにもかか
わらず,審決は,複数のチャネルがそれらの外面であるチャネル壁に
おいて相互に密着して配置されているという誤った前提に基づき,甲
第1号証の装置は,チャネル壁において相互に密着させる手段を実質
的に備えている等の判断を行っている。審決におけるこのような前提
の誤り,及びその誤った前提に基づく判断の誤りは,審決の結論に影
響を及ぼすものであり,明らかに違法である。
c上記のように,甲第1号証において,複数のチャネルは,それらの
外面である壁において相互に密着して配置されていない。それにもか
かわらず,審決は,「複数のチャネルがそれらの外面である壁におい
て相互に密着して配置されている」という誤った前提に基づき,支持
構造体がチャネルの壁をそれらの外面において相互に密着させて毛管
束を構成する場合は,「複数の別個」という規定は格別な技術的な意
味を持たないと判断している。したがって,審決の判断内容は,誤っ
た前提に基づくものである。
また,仮に,支持構造体がチャネルの壁をそれらの外面において相
互に密着させて毛管束を構成する場合にも,「複数の別個」という規
定は,格別な技術的な意味を持つものである。すなわち,チャネルを
複数の別個の毛管束で構成することにより,組立てが容易になる等の
利点が得られる。また,この「複数の別個の毛管束」という特徴は,
当該技術の開発及び商業化の成功の土台そのものとして貢献してきた
ものである。
そして,「複数の別個の毛管束」は,甲第1号証には開示されてい
ない。したがって,相違点1に係る構成が,甲第1号証に記載された
発明に基づいて,当業者が容易に想到し得た事項ではないことは明ら
かである。このような相違点1に関する審決の判断の誤りは,審決の
結論に影響を及ぼすものであり,明らかに違法である。
d相違点2についても,審決は,当業者が容易に想到し得た事項であ
ると判断したが,誤りである。上記のように,甲第1号証には,複数
の別個の毛管束について開示はなく,したがって,複数の別個の毛管
束に関する式も開示されていない。よって,相違点2に係る構成は,
甲第1号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に想到し得た
事項とはいえない。
(イ)本件発明3につき
単に同一技術分野に属するというのみでは,甲第1号証記載発明に甲
第3号証記載発明を適用する動機付けとしては不十分である。よって,
このことのみに基づき,甲第1号証記載発明に甲第3号証記載発明を適
用して相違点に係る構成とすることが,当業者が容易に想到し得た事項
であるとした審決の判断は誤りであり,審決の結論に影響を及ぼすもの
であるから,明らかに違法である。
(ウ)本件発明5につき
上記(ア)のとおり,甲第1号証において,複数のチャネルは,それらの
外面である壁において相互に密着して配置されておらず,したがって,
「チャネルの壁をそれらの外面において剛にリンク連結することにより,
支持構造体を構成した」という本件発明5の特徴が,甲第1号証に開示
されていないことは明らかであり,この特徴は,当業者が容易に想到し
得た事項であるとはいえない。この点に関する審決の判断の誤りは,審
決の結論に影響を及ぼすものであり,明らかに違法である。
(エ)本件発明6につき
単に同一技術分野に属するというのみでは,甲第1号証記載発明に甲
第3号証記載発明を適用する動機付けとしては不十分である。よって,
このことのみに基づき,甲第1号証記載発明に甲第3号証記載発明を適
用して相違点に係る構成とすることが,当業者が容易に想到し得た事項
であるとした審決の判断は誤りであり,審決の結論に影響を及ぼすもの
であるから,明らかに違法である。
(オ)本件発明7∼12,14∼24,26∼41,43∼71につき
これらの従属請求項に係る発明についての判断は,本件発明1が,甲
第1号証記載発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたも
のであるという前提に基づいて行われているが,上記のように,その前
提は誤りであるから,このような誤った前提に基づく判断も誤りである。
(2)請求原因事実に対する被告の認否
請求原因ア,イ,ウの各事実は認めるが,同エは争う。
(3)被告の反論
ア本件発明1についての取消事由に対し
(ア)原告は,本件発明1が,複数の別個の毛管束を形成し,チャネルの壁
をそれらの外面において相互に密着させた形態,すなわち,上記〔図
2〕に示された形態をとることができると主張し,それを根拠に本件発
明1の特許性に関する議論を展開しているが,およそ理由がない。
すなわち,そもそも,このような形態の装置は,本件特許明細書(甲
9)には開示されていない。まず,「別個の毛管束」なる用語は,本件
特許明細書には記載されておらず,「別々の束」なる用語が記載されて
いるのみである。さらに,「別々の束」なる用語は,本件特許明細書
(甲9)の11欄2∼3行,14欄27行,20欄31行に記載されているが,こ
れらはいずれも本件特許明細書の前記第6図に示すような,複数の別個
の毛管束が円板によって離間して支持される実施形態に言及した箇所で
あり,チャネルの壁をそれらの外面において相互に密着させたものでは
ない。また,チャネルの壁をそれらの外面において相互に密着させた実
施形態は,本件特許明細書の前記第10図に示されているが,この第10図
及びこれに関連した説明においては,「別々の束」に関する記載はない。
加えて,このような形態を採ることができるということは,要するに
発明はそこまで限定していないということであり,当該形態を理由に特
許性を主張することに理由はない。
(イ)原告は,相違点1についての審決の判断は,前提に誤りがあると主張
するが,以下のとおり失当である。
a確かに,審決が,甲第1号証記載の発明において「複数のチャネル
がそれらの外面である壁において相互に密着して配置されていること
が読み取れる」とした点について,根拠は認めがたい。
しかし,相違点1に係る本件発明1の構成が甲第1号証から容易に
想到できることは,以下のとおり明らかであり,審決の上記認定の誤
りは審決の結論に影響を及ぼさない。
b甲第1号証をみてもFIG.7(図7)及びFIG.10(図10)の円盤状の
部材は,支持構造体である。しかるところ,本件発明1の「複数の別
個の毛管束」には請求項5に記載された一体となった毛管束も含まれ
るのであるから,この甲第1号証の図7及び図10から,「複数のチャ
ネルを支持構造体により互いに相対的にしっかり固定して毛管束を構
成すること」との本件発明1の構成を想到することは容易である。
この点で更に指摘しておけば,請求項1の記載によれば,毛管束が
「互いに相対的にしっかりと固定」されることは支持構造体によるこ
とが限定されているが,毛管束の長さ方向の全長にわたり固定される
ことは要求されていない,そして,例えば甲第1号証の図7を見ると,
入口ないし出口の円盤状の部材は毛管束を「互いに相対的にしっかり
固定して」いるのである。
cもっとも,全長にわたり複数の一体となった毛管束を構成すること
については,甲第2号証以下で,下記のとおり何箇所も記載されてい
る。したがって,毛管束を全長にわたり複数の一体となったものに限
定しても,甲第2号証以下の記載内容から,あるいは甲第1号証と組
み合わせれば,「複数のチャネルを支持構造体により互いに相対的に
しっかり固定して毛管束を構成すること」との構成を当業者が容易に
想到できるのである。
〔甲第2号証〕
「趨勢は,複数の毛管,即ち,ミクロン及びサブミクロンの・324頁16∼18行の
直径を有する非常に多数の導波路チャネル(waveguidechannels)を備えたガラス
との記載チューブ(glasstubes)を使用することである」
*waveguidechannelを一本の毛管とすれば,tubeはそれを非常
に多数備えた毛管束であると解釈される。
・347頁のFig.48(図48)
〔甲第3号証〕
・第1図の記載
「本実施例では,このパイプ14を小口径側同士,大口径・2頁右上欄9∼13行の
側同士をそれぞれ揃えて束ね,全体として円錐台状になるようにするとともに,
小口径側同士の集合面18での各パイプ14の中心軸の延長線が一点Aで交わるよう
との記載にしたものである」
〔甲第5号証〕
・73頁の図1e,図1f
「ポリキャピラリと呼ばれるものは,シングルキャピラリの・173頁31∼33行の
束を一緒に溶かし,引っ張ることによって得られる一体となったキャピラリの束
との記載によって実現される。」
*ガラス等の管を束にした後,加熱して引っ張ることにより,
細いキャピラリが多数一体の束になったものが製造されること
を意味するものと考えられる。
「この技術によれば,X線光学システムは,平行な束が近接・177頁32∼35行の
してパックされ,ガラスが柔らかくなるまで加熱され,樽状の形状になるまで全
との記載体として引っ張られる」
「本研究の著者は,80keVまでのエネルギーのX線の伝送に関・179頁20∼28行の
する研究を行っている。この研究ではポリキャピラリと呼ばれる,厚いキャピラ
リの束を熱延伸することによって,その外面で結合された薄いキャピラリの束が
用いられている。この技術を使用することによって,外径が1mm以下,チャネル
直径が1μm以下で,チャネルがポリキャピラリ断面の50%以上を満たすポリキ
との記載ャピラリが得られている。」
〔甲第6号証〕
・3頁の図
(ウ)原告は,「複数の別個」という規定は,支持構造体がチャネルの壁を
それらの外面において相互に密着させて毛管束を構成した場合にも格別
な技術的意味を持つものであると主張しているが,失当である。すなわ
ち,本件請求項1に記載された装置が,チャネルの壁をそれらの外面に
おいて相互に密着させて毛管束を構成したものである場合には,多数の
単一の毛管を一つの束にして構成したものと,上記〔図1〕に示されて
いるような複数の別個の毛管束を形成した後,それらを一つの束にして
構成した〔図2〕のものとの間に有意な差異がないことは明らかである。
即ち,複数の別個の毛管束を多数集めることにより装置を構成した場合
においても,個々の毛管がX線等を伝達する作用は,それが別個の毛管
束を成しているか否かには無関係であり,毛管が一つの束にされている
場合でも個々の毛管の作用に変わりはない。このように,複数の別個の
毛管束を備えた装置と,単一の毛管束を備えた装置は,完成した装置と
して奏する作用効果に格別の差異がないことは明らかである。
また,原告は,「複数の別個の毛管束」を備えることの利点を主張し
ているが,そこで主張されている利点は,いずれも装置の製造時におい
て発揮されるものであり,仮に,このような利点があるとしても装置の
発明である本件請求項1の新規性,進歩性の判断に際して参酌すべきも
のではない。
(エ)原告は,相違点2について,甲第1号証には複数の別個の毛管束につ
いての開示はないから,複数の別個の毛管束に関する式も開示されてい
ないと主張する。
しかし,請求項1記載の数式(D1≦2θDF+D)の各パラメータは,
いずれも,毛管(チャネル)が複数の別個の毛管束を形成しているか否
かには無関係であり,上記の数式が,複数の別個の毛管束が形成されて
いる場合にも,各毛管が単一の束を形成している場合と同様に成り立つ
ことは,当業者には自明の事項である。したがって,当業者が,上記数
式を容易に想到できることは明らかである。
イ本件発明3についての取消事由に対し
原告は,審決における本件発明3の進歩性に関する判断について,甲第
1号証記載発明に甲第3号証記載発明を適用する動機付けとして,同一技
術分野に属するというだけでは不十分であると主張する。
しかし,毛管束を何らかの手段によって支持する必要があることは自明
であり,かかる自明な課題に直面した当業者が,同一技術分野である甲第
「この場合,パイプ24を束ねて円錐台状とした場合,X線20の入射面となる面3号証の
積の広い側の集合面ではパイプ24相互の間に隙間ができるので,適当な充填剤によりそれ
との記載を参照したとらの隙間を埋めるようにすればよい」(2頁右下欄4∼8行)
き,これを本件発明1に適用することには十分な動機付けがある。したが
って,原告の主張は失当である。
ウ本件発明5についての取消事由に対し
原告の,チャネルの壁を全長にわたってそれらの外面において相互に密
着させた構成についての議論に理由がないことは,本件発明1について述
べたところと同じである。
エ本件発明6についての取消事由に対し
原告は,審決における本件発明6の進歩性に関する判断について,甲第
1号証記載発明に甲第3号証記載発明を適用する動機付けとして,同一技
術分野に属するというだけでは不十分であると主張する。
しかし,原告が本件発明6によって解決された課題であると主張する
「焦点サイズを小さくすること」は,本件各発明のようにビームを収束さ
せることを目的とする装置においては,最も基本的かつ一般的な課題であ
る。このような一般的な課題に直面した当業者が,甲第3号証の第1図,
第4図等を参照したとすれば,これを甲第1号証記載発明に適用すること
により焦点サイズを小さくすることができると考えるのは当然であり,甲
第3号証記載発明を甲第1号証記載発明に適用することには十分な動機付
けがある。したがって,原告の主張は失当である。
オ本件発明7∼12,14∼24,26∼41,43∼71についての取消事由に対し
本件発明1についての取消事由に対して述べた前記アのとおりである。
2第2事件につき
(1)請求の原因(被告の主張)
ア(特許庁における手続の経緯)
イ(発明の内容)
ウ(審決の内容)
いずれもA事件のそれと同じ。
エ審決の取消事由(被告主張)
(ア)本件発明2につき
「本件発明2は……甲第1号証記載の発明とは,本件発明2が支持構造体審決は,
とがチャネルを支持する開口を有するようにした点で相違している」(19頁第5段落)
「甲第1ないし8号証のいずれにも上記相違点に係る構成が記載も示唆もさした上,
と判断した。れていない」(19頁第6段落)
「毛管の位置は,フォトリソグラフィー法による銅しかし,甲第2号証には,
フォイルで作られた5枚のスクリーンによって剛に固定されている」(329頁18∼20行。
との記載があり,スクリーンを用いて毛管を支審決14頁にいう摘記事項(b7))
持するには,当然,スクリーンに開口を設けその開口に毛管を通すこと
によって,毛管を支持する必要がある。また,審決は摘記していないが,
「キャピラリの剛固定は,その中をキャピラリが通るM個の穴を有する甲第4号証の
ディスクの形態のスペーサーによって提供される。これらのディスクは,同心状に,互
との記載は,チャネル(キいに或る距離を隔てて配置される。」(19頁4∼6行)
ャピラリ)を支持(固定)する開口(穴)を備えた支持構造体(スペー
サー)を開示していることは明白である。
審決が,甲第2号証,甲第4号証の上記記載等について何ら具体的な
検討をなさないまま,上記相違点に係る構成が甲第1∼8号証のいずれ
にも記載も示唆もされていないと判断したことは,誤りである。
(イ)本件発明4につき
「本件発明4は,……甲第1号証記載の発明とは,……支持構造体の少な審決は,
くとも1つが当該支持構造体の他のものに対して中心軸に沿って選択的に平行移動でき
るようにした点で相違する」(20頁第2段落)「甲第1ないし8号証のいとした上,
と判断ずれにも上記相違点に係る構成が記載も示唆もされていない」(同第3段落)
した。
「システムの調整は,ディスクをシステムの軸線方しかし,甲第4号証には,
向に沿って移動させることによって……達成される。」(19頁11∼13行。審決16頁の摘
との記載があり,上記の「ディスク」は,本件発明4の「支記事項(d1))
持構造体」に相当する。
審決が,甲第4号証の上記記載等について何ら具体的な検討をなさな
いまま,上記相違点に係る構成が甲第1∼8号証のいずれにも記載も示
唆もされていないと判断したことは,誤りである。
(ウ)本件発明13につき
「本件発明13は……甲第1号証記載の発明とは,……支持構造体を,ビー審決は,
とム伝播の中心軸の回りを回転するように装架した点で相違する」(23頁下第4段落)
「甲第1ないし8号証のいずれにも上記相違点に係る構成が記載も示唆もさした上,
と判断した。れていない」(同下第3段落)
「システムの調整は,ディスクを……軸線の周りでしかし,甲第4号証には,
回転させることによって達成される」(19頁11∼13行。審決16頁にいう摘記事項(d1))
との記載があり,上記の「ディスク」は,本件発明4の「支持構造体」
「ニードル3は,に相当する。また,審決は摘記していないが,甲第6号証の
2つのベアリング4,5によって適所に保持されている。ピニオン6は,モータ7を,
アセンブリ2に剛に固定された歯付リング8に連結し,この歯付リング8は,ニードル
3に平行な歯付リング8自体の軸線を中心に回転することができる。」(1頁右欄89行
等の記載は,ビーム伝搬の中心軸(歯付リングの軸線)の∼2頁左欄5行)
周りを回転するように装架した支持構造体(ベアリング)を開示するも
のである。
審決が,甲第4号証,甲第6号証の上記記載等について何ら具体的な
検討をなさないまま,上記相違点に係る構成が甲第1∼8号証のいずれ
にも記載も示唆もされていないと判断したことは,誤りである。
(エ)本件発明25につき
a本件審決は,請求項25について,「θ−DL1」を「θ−D/L1」とす
る訂正(訂正事項b)を認めると判断した。そして,その理由として
は,本件特許明細書(甲9)の22欄18行∼19行に「θ−D/L」との11
記載があり,「θ」,「L」は「θ」,「L1」に相当することは明11
らかである,としている。
しかし,仮に出願人の内心の意思が「θ−D/L1」にあって特許登録
時の請求項25の記載「θ−DL1」が誤記であるとしても,後者(乗算)
を前者(除算)に変更することは,実質上特許請求の範囲を変更する
ものであり,かかる訂正は認められるべきでない。
b被告は,本件審判手続において提出した平成17年9月1日付け口頭
審理陳述要領書(B事件甲11)において次のとおり主張した。
すなわち,特許権者(原告)が訂正の根拠として挙げている本件明
「束管1の出力端にフレアリング円錐形セクシ細書22欄15行目以下の記載は,
際のテーパ角の値についての記載である。しかョン15(第14図)を設ける」
し,請求項25は請求項23を介して請求項1に従属しているところ,請
求項1は本件訂正によってチャネルが「複数の別個の毛管束」で構成
されるものに限定されており,「複数の別個の毛管束」と「フレアリ
ング円錐形セクション」の両方を備えることは不可能である。したが
って,同記載に基づく訂正は特許法36条5項2号に違反する。
訂正を認めるのであれば,被告の上記主張についても判断する必要
があるが,審決は何らの判断を示していない。
(オ)本件発明42につき
「特許明細書の第28欄第25行∼第46行,第21A図,第21B審決は,本件発明42は
図の記載により,発明の詳細な説明に記載されていないとはいえない」(38頁下第2段
と判断したが,審決の指摘する本件特許明細書の記載及び図面を参照落)
しても,「最初の一連のチャネル」,「追加チャネル」等の用語の意味
するところを確定し,特許請求の範囲の記載の意味を確定することはで
きない。
(カ)本件発明72につき
a審決は,請求項72について,「(12E1/QR1)1/2」を「(12E1/QR1)
」と(訂正事項e),また「R1=2D/Q2」を「R1=2D/θD」と1/22
(訂正事項f)する訂正を認めると判断した。そして,その理由とし
ては,本件特許明細書の19欄44∼47行に「(12E1/QU)」との記載1
1/2
があり,「U」は「R1」に相当することは明らかであり,また同欄341
∼37行に「R=2D/θ」との記載があり,「R」「θ」は1D1D
22
「R1」「θD」に相当することは明らかである,としている。2
しかし,本件特許明細書19欄34∼37行の記載においては「θ」とD

なっておらず,また同欄44∼47行の「(12E1/QU)」における1
1/2
「U」が本件訂正請求eの「R1」に,また同欄34∼37行の「R=11
2D/θ」における「R」「θ」が本件訂正請求eの「R1」D1D
22
「θD」に,それぞれ相当することが明らかであるか否かは一旦措く2
として,仮に出願人の内心の意思が「(12E1/QR1)」,「R1=1/2
2D/θD」にあり,特許時の請求項72の記載「(12E1/QR1)1/2」,2
「R1=2D/θQD2」が誤記であるとしても,数式の意味するところが異
なる以上,この変更は明らかに実質上特許請求の範囲を変更するもの
であり,訂正は認められない。
b被告は,本件審判手続において提出した平成17年9月1日付け口頭
審理陳述要領書(B事件甲11)において次のとおり主張した。
すなわち,訂正後の請求項72の式は,支持構造体の間のチャネルが
チャネルの自重によってたわんだ場合に,チャネルの最大曲率半径を
臨界半径よりも大きくするための,最大の支持構造体の間隔1を,初
等的な材料力学を用いて計算したものであり,当業者は,容易にこれ
を想到することができるから,訂正後の請求項72は,特許法29条2項
に違反する。また,本件発明1が,複数の毛管束が互いに物理的に接
触して固定される形態を含むとすれば,支持構造体の間には間隔が存
在せず,支持構造体の間隔を必要とする本件発明72の構成を実現する
ことができないから,請求項72の発明は,請求項1に従属して記載で
きない構造を規定しているので,新たに特許法36条5項2号により無
効とされるべきである。
訂正を認めるのであれば,被告の上記主張についても判断する必要
があるが,審決は何らの判断を示していない。
(2)請求原因事実に対する原告の認否
請求原因ア,イ,ウの各事実は認めるが,同エは争う。
(3)原告の反論
ア本件発明2についての取消事由に対し
被告の指摘する甲第4号証の記載事項は,審判手続において審理判断の
対象となったものでないから,本件訴訟において審決の取消事由の根拠と
することはできない。また,甲第4号証の当該記載は,本件発明2の構成
を開示又は示唆するものではない。
イ本件発明4についての取消事由に対し
被告の指摘する甲第4号証の記載事項は,審判手続において審理判断の
対象となったものでないから,本件訴訟において審決の取消事由の根拠と
することはできない。また,甲第4号証の当該記載は,本件発明4の構成
を開示又は示唆するものではない。
ウ本件発明13についての取消事由に対し
被告の指摘する甲第6号証の記載事項は,審判手続において審理判断の
対象となったものでないから,本件訴訟において審決の取消事由の根拠と
することはできない。また,甲第6号証の当該記載は,本件発明13の構成
を開示又は示唆するものではない。
エ本件発明25についての取消事由に対し
(ア)訂正前の請求項25に記載された「θ−DL1」に相当する記載が本件特許
明細書(甲9)の発明の詳細な説明には存在しないこと,及び「θ−
DL1」という演算は物理量の次元の観点から不合理であることからみて,
「θ−DL1」が誤記であることは明白である。一方,訂正後の「θ−
D/L」は,本件特許明細書の22欄19行に記載されており,次元の点から1
みても整合性を有する。したがって,「θ−DL1」を「θ−D/L」に変1
更する訂正は,誤記の訂正であって,これを認めた審決の判断に誤りは
ない。
(イ)被告は,被告が審判手続で行った特許法36条5項2号違反の主張に対
する判断を審決が示していないのは不当であると主張する。
しかし,当該主張は,審判請求書(B事件乙1)に記載されていなか
ったものであって,かかる主張を審判請求後に追加することは実質上審
判請求書の要旨を変更する補正をすることに等しい。そのような補正を
認めるか否かは審判長の裁量権に服するから,審決において当該主張に
対する判断が示す必要はない。
オ本件発明42についての取消事由に対し
原告は,本件特許明細書(甲9)には「最初の一連のチャネル」「追加
チャネル」等は一切説明されておらず,これらの用語の意味するところを
確定することはできないと主張する。しかし,本件特許明細書の28欄25∼
46行並びに第21A図及び第21B図は,「最初の一連のチャネル」及び「追
加チャネル」という表現そのものを用いて記載してはいないが,これらの
記載及び図面から請求項42の記載内容が読み取れることは明らかである。
よって,本件発明42は,発明の詳細な説明に記載されているといえる。
カ本件発明72についての取消事由に対し
(ア)訂正前の請求項72の記載に相当する記載が本件特許明細書(甲9)の
発明の詳細な説明には存在しないこと,及びこの記載どおりの演算は物
理量の次元の観点から不合理であることからみて,訂正前の請求項72の
記載が誤記であることは明白である。一方,訂正後の数式は,本件特許
明細書の19欄36行,46行の記載に根拠を有し,次元の観点からも整合性
を有する。請求項72についての訂正は,誤記の訂正であって,これを認
めた審決の判断に誤りはない。
(イ)被告は,被告が審判手続で行った特許法29条2項違反及び36条5項2
号違反の主張に対する判断を審決が示していないのは不当であると主張
する。
しかし,当該主張は,審判請求書(B事件乙1)に記載されていなか
ったものであって,かかる主張を審判請求後に追加することは実質上審
判請求書の要旨を変更する補正をすることに等しい。そのような補正を
認めるか否かは審判長の裁量権に服するから,審決において当該主張に
対する判断が示す必要はない。
第4当裁判所の判断
1A事件について
(1)請求原因ア(特許庁における手続の経緯),イ(発明の内容),ウ(審決
の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。
そこで,以下,原告主張の取消事由について順次判断する。
(2)本件発明1につき
ア甲第1号証記載発明についての審決の認定の誤りの有無
(ア)審決は,本件発明1は進歩性を欠くと判断するに当たり,本件発明1
「請求項5の記載にもあるように,チャネルの壁をそれらのの「支持構造体」は,
外面において剛にリンク連結したものも含むものである」「甲第1号証に,とした上,
複数のチャネルの壁を相互に密着して毛管束構造とするための支持構造体が実質的に示
されている以上,本件発明1のように複数のチャネルを支持構造体により互いに相対的
にしっかりと固定して毛管束を構成することは,当業者が甲第1号証に記載された発明
と判断した。上記判断に基づいて容易に想到し得た事項である」(18頁第3段落)
「甲第1号証に,複数のチャネルの壁を相互に密着して毛管束構造とするたのうち,
との認定の根拠は,甲第1号証記載発めの支持構造体が実質的に示されている」
「甲第1号証の前記摘記事項(a11)によれば,放射源に向けて入明についての,
力欄と放射受光器に向けた出力端を有する複数のチャネル(毛管)が相互に密着したパ
ッキング構造をなしているものである。そして,図9に図示のX線分布図も併せて参酌
すれば,複数のチャネルがそれらの外面である壁において相互に密着して配置されてい
との解釈に基づくものであることが読み取れるものである」(審決18頁第2段落)
「図7は本合焦システムの写真である。全体のり,実質的には,甲第1号証の,
システムは,長さ98cmで,外径0.4mm,チャネル径0.36mmからなる2000本のガラス毛管
からなる。前記毛管は,断面方向において六角形状の密着パッキング(closepacking)
を形成し,チャネルの面積はシステムの入力端から出力端までの全面積の73%を占め
の記載と,図9る」(273頁右欄22∼28行。審決13頁にいう摘記事項(a11))
(FIG.9)とを,根拠とするものである。
しかし,審決が,甲第1号証の摘記事項(a11)と図9とを根拠に,
「甲第1号証に,複数のチャネルの壁を相互に密着して毛管束構造とするための支持構
と認定したことは,以下のとおり誤りである。造体が実質的に示されている」
(イ)摘記事項(a11)につき
審決は,摘記事項(a11)に「密着パッキング」との用語があること
を上記認定の根拠としているが,その原語は「closepacking」であると
ころ,一般的な英和辞典において「close」の訳語としては「密集した,
……,近い,接近した」(小学館ランダムハウス英和大辞典第2版),
「近い,間近の,接近した」(研究社リーダース英和辞典初版)等の
訳語が掲げられており,「close」が「密着した」を意味すると解するこ
「図7は本合焦システムの写真でとはできない。また,摘記事項(a11)は,
というものであって,甲第1号証の図7ある。全体のシステムは,………」
(FIG.7)のシステムについて述べたものであるところ,甲第18号証(A
の2006年6月19日付け陳述書)の項目4gの記載によって甲第1号証の
「図7」と同一の被写体に係る写真であると認められる甲第18号証の図
3bを参照すると,装置を通して後ろ側のスクリーンが見えているが,
チャネルが相互に密着していれば後ろ側のスクリーンは見えないはずで
あるから,この点からしても,摘記事項(a11)から,チャネル(毛
管)が相互に密着していると認めることはできない。
(ウ)図9について
「図9は,本システムの出力端から異なる甲第1号証の図9は,甲第1号証の
位置で撮影されたX線写真である」(274頁左欄8∼9行。審決13頁にいう摘記事項
(a13))「図9.合焦システムの軸からの距離に対するX線分布」(275頁。審決14,
との記載にかんがみれば,装置の出口(出力端)頁にいう摘記事項(a16))
から離れた種々の位置におけるX線分布を示したものと認められる。し
たがって,図9のX線分布から,装置内の複数のチャネル(毛管)の位
置関係を認定するのは,そもそも不合理である。
「甲第1号証に,(エ)審決が,甲第1号証の摘記事項(a11)及び図9を根拠に
複数のチャネルの壁を相互に密着して毛管束構造とするための支持構造体が実質的に示
と認定したことは,上記のとおり誤りである。したがって,されている」
かかる誤った認定を前提として,審決が,「支持構造体」の構成として,
請求項5に記載されたようにチャネルの壁をそれらの外面において剛に
リンク連結したものは当業者が容易に想到でき,このようなものを包含
する本件発明1も進歩性を欠くと判断したことは,誤りである。
イ被告の主張に対する判断
「甲第1号証に,複数のチャネルの壁を相互に密着して毛管束構(ア)被告は,審決が
と認定したことが誤りであ造とするための支持構造体が実質的に示されている」
るとしても,本件発明1が進歩性を欠くとした判断には影響を及ぼさな
いと主張し,その理由として,甲第1号証の摘記事項(a11)及び図9
以外の記載や,甲第2∼8号証の記載を指摘する。しかし,審決の本件
発明1についての判断は,甲第1号証の摘記事項(a11)及び図9に基
づく上記認定にのみ依拠していることが明らかであり,審決は,被告の
指摘する甲号各証の記載事項に基づく本件発明1の容易想到性の検討を
行っていないのであるから,審決の上記認定の誤りは,結論に影響を及
ぼすものであるといわざるを得ない。
また,以下の(イ)∼(オ)に述べるとおり,甲第1∼8号証に基づく被告
の主張は,審決の論理構成とは大きく異なるものであり,これらの主張
に対する判断は,審決には示されていない。したがって,これらの主張
については,審判手続において改めて審理判断がなされるべきものであ
る。
(イ)被告は,甲第1号証の図7(FIG.7)及び図10(FIG.10)の円盤状の部材は,
支持構造体であり,これらの円盤状の部材の開示から,「複数のチャネ
ルを支持構造体により互いに相対的にしっかり固定して毛管束を構成す
ること」との本件発明1の構成を想到することは容易であると主張する。
被告の上記主張は,実質的には,当該円盤状の部材に複数のチャネル
を固定したものが「支持構造体がチャネルを支持する開口を有する,請
求項1の装置」という本件発明2の構成となるから,本件発明2を包含
する本件発明1も進歩性を欠く,というものであると解される。しかる
に,前記のとおり,審決の論理構成は,「支持構造体」の構成として,
請求項5に記載されたようにチャネルの壁をそれらの外面において剛に
リンク連結したものを包含する本件発明1は進歩性を欠く,というもの
であるから,被告の上記主張は,審決の論理構成とは著しく異なってお
り,その当否についての判断は,審決には全く示されていない。
(ウ)被告は,本件発明1における「チャネルは,支持構造体により互いに
相対的にしっかりと固定した複数の別個の毛管束で構成され」との構成
には,「毛管束の長手方向の全長にわたり」という限定が付されていな
いところ,甲第1号証の図7及び図10には,(装置の入口部と出口部)
においては「相対的にしっかりと固定」されていることが示されている
と主張する。
しかし,審決の前記認定判断は,本件発明1の「チャネルは,支持構
造体により互いに相対的にしっかりと固定した複数の別個の毛管束で構
成され」という構成が,毛管束の長手方向の全長にわたるものであると
の前提に立って行われているものと解され,被告の上記主張のように,
毛管束の両端部におけるチャネルの固定方法に着目したものではないし,
甲第1号証の図7及び図10における両端部のチャネルの固定方法につい
ては何らの認定判断も示されていない。このように,被告の上記主張も,
審決の論理構成とは著しく異なっており,その当否についての判断は,
審決には全く示されていない。
(エ)被告は,毛管束の長手方向の全長にわたって,複数の一体となった毛
管束を構成することは,甲第2∼8号証に開示されていると主張する。
しかし,複数の一体となった毛管束を構成することが甲第2∼8号証
に開示されているとしても,本件発明1は,複数の一体となった毛管束
を「支持構造体により互いに相対的にしっかりと固定する」ことを構成
に含むものであり,原告の指摘する甲第2∼8号証の記載は,当該構成
を開示又は示唆するものではない。支持構造体による固定についての当
該構成の容易想到性の判断は,支持構造体の具体的態様に関する本件特
許明細書の記載(請求項2,3,5等及び発明の詳細な説明の記載)を
踏まえて本件発明1にいう「支持構造体」の技術的意義を明らかにした
上で,甲第1∼8号証等の公知文献におけるチャネルの支持方法につい
て開示又は示唆する記載から,支持構造体による固定についての本件発
明1の構成に想到することが容易か否かを判断する,という手法によっ
て行うべきであるところ,そのような検討は,審決においては全くなさ
れていない。
(オ)被告は,「複数の別個」という規定は格別な技術的意味を持たないと
の審決の判断は相当であると主張し,当該規定の技術的意味についての
原告の主張は,装置の製造時に発揮されるものであって,装置の発明で
ある本件発明1の新規性・進歩性の判断には影響しないと主張する。
しかし,「複数の別個の毛管束」を「外面において剛にリンク連結し
たもの」が原告主張のような装置の製造上の利点を生ずるとした場合に,
かかる作用効果が発明の進歩性を基礎付けるものとなるか否かについて
も,審決は何らの判断を示していない。
(3)本件発明3につき
本件発明3は,本件発明1の「支持構造体」の構成を,「複数の毛管束の
間の隙間を充填する化合物で支持構造体を構成した」と特定したものである。
「甲第3号証には,パイプ相互の隙間を充填剤により充填することが開示されて審決は,
と認定し,甲第1号証記載発明に甲第3号証記載発明いる」(19頁下第2段落)
を適用することによって上記特定事項に相当する構成とすることは,当業者
が容易に想到できたと判断した。
原告は,取消事由として,甲第3号証が甲第1号証と同一技術分野に属す
るというだけで,上記の適用が容易であるとすることはできないと主張する。
「甲第1号証及び甲第3号証記載の発明は,いずれも………量子のビーム確かに,審決の
」との認定自体にを制御する装置という点で同一技術分野に属する(19頁下第2段落)
は誤りは認められない。しかし,甲第3号証記載発明は「パイプ」相互の隙
間の充填についてのものであるところ,ここにいう「パイプ」は本件発明3
の「毛管束」と必ずしも構造等が同一ではない上,甲第3号証のパイプ同士
の隙間を充填することと本件発明3において毛管束同士の隙間を充填するこ
ととの技術的意義の異同についても検討されていない。さらに,甲第1号証
記載発明に甲第3号証記載の事項をどのように適用すれば本件発明3の構成
に至るのかも,定かではない。
そうすると,審決が説示するような意味で両者が同一技術分野に属すると
しても,それだけでは,甲第1号証記載発明に甲第3号証記載発明を適用し
て本件発明3の構成を得ることが容易であるとはいえない。したがって,審
決は,理由付けが不十分であるといわざると得ず,原告の上記主張は,この
点をいうものとして理由がある。
(4)本件発明5につき
本件発明5は,本件発明1の「支持構造体」の構成を,「チャネルの壁を
それらの外面において剛にリンク連結することにより,支持構造体を構成し
た」と限定したものであり,当該構成を甲第1号証の摘記事項(a11)及び
図9から当業者に容易に想到し得たとの審決の判断が誤りであることは,本
件発明1について上記(2)に述べたとおりである。
(5)本件発明6につき
本件発明6は,本件発明5において「チャネル幅をその長さに沿って変更
可能とした」ことを限定した発明であるところ,本件発明5の容易想到性に
ついての審決の判断に上記(4)のとおり誤りがある以上,本件発明5に従属す
る本件発明6についても,審決の判断は誤りである。
(6)本件発明7∼12,14∼24,26∼41,43∼71につき
これらの発明の請求項は,請求項1を直接又は間接に引用する従属請求項
であるところ,本件発明1の容易想到性についての審決の判断に上記(2)のと
おり誤りがある以上,本件発明1に従属するこれらの発明についても,審決
の判断は誤りである。
(7)以上(1)∼(6)によれば,本件特許の請求項1,3,5∼12,14∼24,26∼
41,43∼71について無効とした審決の判断はすべて誤りであるから,同部分
に関する審決は無効として取り消すべきである。
2B事件について
(1)請求原因ア(特許庁における手続の経緯),イ(発明の内容),ウ(審決
の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。
そこで,以下,被告主張の取消事由について順次判断する。
(2)本件発明2について
ア本件発明2は,本件発明1において「支持構造体がチャネルを支持する
開口を有する」ことを限定した発明であるところ,審決は,当該限定事項
に係る構成は,甲第1∼8号証のいずれにも記載も示唆もされていないか
ら,本件発明2は,甲第1∼8号証に基づいて当業者が容易に発明をする
ことができたものとはいえないと判断した。
「毛管の位置は,フォトリソグラフィー法による銅フォイルしかし,甲第2号証の
で作られた5枚のスクリーンによって剛に固定されている。」(329頁17∼20行。審決14頁
との記載は,「フォトリソグラフィー法」によってスクにいう摘記事項(b7))
リーンの所定位置に複数の開口部を設けたものを「支持構造体」としてチ
ャネルを支持する形態を少なくとも示唆しているというべきである。した
がって,甲第2号証の上記摘記事項(b7)の検討を欠いている点において,
審決の認定判断には誤りがある。
イ原告は,本件訴訟において被告が甲第2号証の上記箇所に加えて指摘し
「キャピラリの剛固定は,その中をキャピラリが通るM個の穴を有するた甲第4号証の
ディスクの形態のスペーサーによって提供される。これらのディスクは,同心状に,互い
との記載につき,審決においに或る距離を隔てて配置される。」(19頁4∼6行)
ては訳文も提出されておらず審理判断の対象とされたものではないから,
本件訴訟において審決の違法事由として審理することはできないと主張す
る。
しかし,甲第2号証の上記摘記事項(b7)は審決において摘記されている
のであり,これを本件発明2の進歩性の判断に当たって看過した審決の判
断が誤りであることは上記アのとおりであるから,審決を取り消すべきで
あるとの結論は,甲第4号証の上記記載を本件訴訟において審理の対象と
することができるか否かによって左右されるものではない。
(2)本件発明4につき
本件発明4は,本件発明1において「支持構造体の少なくとも1つが当該
支持構造体の他のものに対して中心軸に沿って選択的に平行移動できる」こ
とを限定した発明であるところ,審決は,当該限定事項に係る構成は,甲第
1∼8号証のいずれにも記載も示唆もされていないから,本件発明4は,甲
第1∼8号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはい
えないと判断した。
「システムの調整は,ディスクをシステムの軸線方向に沿ってしかし,甲第4号証の
移動させることによって……達成される。」(19頁11∼13行。審決16頁にいう摘記事項
との記載は,本件発明4の上記限定事項に係る構成を少なくとも示唆し(d1))
ているというべきである。したがって,甲第4号証の上記摘記事項(d1)を看
過している点において,審決の認定判断は誤りである。
(3)本件発明13について
ア本件発明13は,本件発明1において「支持構造体を,ビーム伝播の中心
軸の回りを回転するように装架した」ことを限定した発明であるところ,
審決は,当該限定事項に係る構成は,甲第1∼8号証のいずれにも記載も
示唆もされていないから,本件発明13は,甲第1∼8号証に基づいて当業
者が容易に発明をすることができたものとはいえないと判断した。
「システムの調整は,ディスクを………軸線の周りで回転さしかし,甲第4号証の
とのせることによって達成される。」(19頁11∼13行。審決16頁にいう摘記事項(d1))
記載は,本件発明13の上記限定事項に係る構成を少なくとも示唆している
というべきであるから,甲第4号証の上記摘記事項(d1)の検討を欠いてい
る点において,審決の認定判断は誤りである。
イこれに対し原告は,本件訴訟において被告が甲第4号証の上記箇所に加
「ニードル3は,2つのベアリング4,5によって適所にえて指摘した甲第6号証の
保持されている。ピニオン6は,モータ7を,アセンブリ2に剛に固定された歯付リング
8に連結し,この歯付リング8は,ニードル3に平行な歯付リング8自体の軸線を中心に
等の記載につき,審決に回転することができる。」(1頁右欄89行∼2頁左欄5行)
おいては訳文も提出されておらず審理判断の対象とされたものではないか
ら,本件訴訟において審決の違法事由として審理することはできないと主
張する。
しかし,甲第4号証の上記摘記事項(d1)は審決において摘記されている
のであり,これを本件発明13の進歩性の判断に当たって看過した審決の判
断が誤りであることは上記アのとおりであるから,審決を取り消すべきで
あるとの結論は,甲第6号証の上記記載を本件訴訟において審理の対象と
することができるか否かによって左右されるものではない。
(5)本件発明25につき
被告は,本件発明25について審決が本件訂正請求を認めたのは誤りである
と主張するが,採用することができない。その理由は以下のとおりである。
ア本件訂正請求の訂正事項のうち,本件発明25に関するものは審決にいう
訂正事項b(甲10〔訂正請求書〕にいう訂正事項②)であり,その訂正の
内容は,特許請求の範囲の請求項25における「θ−DL1」を「θ−D/L1」と
訂正するものである。
イ本件訂正請求前の請求項25は,「チャネルの扇形に広がった出力端は,
θ−DL1以下であるテーパ角を有しており,θは準平行ビームの指定発散角,
L1は円錐形束管セクションの長さをそれぞれ表している,請求項23の装
置。」というものである(本件特許明細書〔甲9〕)。
ここで,上記のとおり「θ」は準平行ビームの指定発散角,「L1」は円
錐形束管セクションの長さとされ,「D」は入力端の半径方向の幅である
(請求項25において引用される請求項23においてさらに引用される請求項
1)から,テーパ角を条件付ける「θ−DL1」は,無次元である角度θから,
長さの次元を有するDとL1とを乗じたもの(単位としてはmとなる。)2
を減算したものとなるが,そのように次元の異なる物理量の間で減算を行
うことの技術的な意味は理解が困難である。
ウこれに対して,本件特許明細書(甲9)の発明の詳細な説明には,出力
「ビームを成形する個々のチャネルからの放射発散は,全外端のテーパ角について,
反射の臨界角θを超えない。放射発散を減少させる必要がある場合,束管1の出力端にフD
11レアリング円錐形セクション15(第14図)を設ける。その際,テーパ角は,θ≦θ−D/L
となる。この式で,θは準平行ビームで必要な発散角,Lは円錐形セクション15の長さを1
それぞれ示す。フレアリングアウトチャネルを透過するビームは,ビームの発散がテーパ
との記載がある。角まで減少する。」(11頁22欄15行∼22行)
上記記載においては,テーパ角は,「θ≦θ−D/L」とされ,ここで,11
「D/L」は,長さの次元を有するDを同じく長さの次元を有するLで除算11
したものであるから,無次元であり,同じく無次元の「θ」からこれを減
算することにより,テーパ角の条件を規定するものとして合理的である。
エそうすると,本件特許明細書の上記記載に接する当業者(その発明の属
する技術の分野における通常の知識を有する者)が,訂正前の請求項25の
「θ−DL1」を,「θ−D/L1」の誤記であるとして理解できることは明らか
である。したがって,本件発明25に係る訂正事項bは,誤記の訂正を目的
とするものであって,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範
囲内の訂正であり,これと同旨の審決の判断に誤りはない。
オ被告は,仮に本件訂正請求前の請求項25の記載が誤記であるとしても,
本件訂正により各請求項の記載が意味するところは変更されているのであ
るから,上記各訂正事項は,実質上特許請求の範囲を変更するものである
旨主張する。しかし,上記ア∼エで検討したとおり,当業者であれば,本
件訂正請求前の請求項25の記載を誤記と認識し,その意味するところを理
解し得るものであるから,訂正の前後を通じて,各請求項の意味内容は変
更されておらず,上記各訂正事項は,実質上特許請求の範囲を変更するも
のではない。したがって,被告の上記主張は,採用することができない。
カ被告は,審判手続における平成17年9月1日付け口頭審理陳述要領書
(B事件甲11)において被告(審判請求人)が行った特許法36条5項2号
違反の主張について,審決が判断しなかったのは誤りであると主張する。
しかし,審判手続における被告の当該主張は,無効審判請求書(B事件
乙1)に記載のない新たな無効理由を追加するものであって,実質上,審
判請求書の要旨を変更する補正に該当する。このような補正は,審判長の
許可がある場合等でなければ許されないのであるから,審決が,当該主張
に対する判断を示していないことが誤りであるとはいえない。
なお,被告の当該主張は,本件訂正により請求項1の内容が変更された
ことに伴うものであって,特許法131条の2第2項1号にいう「当該特許無
効審判において第134条の2第1項の訂正の請求があり,その訂正の請求に
より請求の理由を補正する必要が生じたとき」に該当するものであるとい
うことはできる。しかし,特許法131条の2第2項各号に該当する事由があ
っても,補正を許可するか否かは審判長の裁量権に服する事項であるから
(同項柱書き),審判長が当該補正を許可せず,審決が当該主張に対する
判断を行っていないことが,誤りであるとはいえない。
(6)本件発明42につき
ア被告は,本件特許の請求項42のうち,「最初の一連のチャネル」,「追
加チャネル」等の用語の技術的意義は本件特許明細書中に一切説明されて
おらず,これらの用語の意味するところを確定することはできないから,
請求項42に係る発明は発明の詳細な説明に記載されたものではない旨主張
する。
しかし,以下のとおり,被告の上記主張は採用することができない。
イ本件特許明細書(甲9)には,以下の記載がある。
「第21A図について説明する。初期平行ビームImが面口または毛管面にθ角で衝00
突した場合,θcritical>θを有する光子が反射し,それより高いエネルギー,す0
なわち,θcritical<θを有する光子は通過する。したがって,第21B図に示すよ0
うなスペクトル分布を有するIとIの2つのビームが得られる。12
上記の技術を複数回使用すると,狭い帯域幅を修正することができる。例えば,第
21A図に示すビームIは,別の毛管,平面,または毛管システムに入射角θ(最初21
に衝突した面より少し小さい角度)で衝突すると,θ<θcritical<θを有する光10
子は,Iとして反射する。Iのスペクトル分布は第21B図に示す。同様にしてこの33
操作を繰り返すと,複数の帯域幅が選択できる。例えば,第21B図のIがそうである。5
1つのシンクロトロンビームから複数の準モノクロビームを得ることができる。この
ビーム幅は,エネルギー幅/エネルギー率が数10であり,エネルギーのビーム強度
−2
の損失が50%しかない。このようにして修正した帯域幅を使用すると,結晶モノクロ
メータから得られるモノクロビームよりはるかに流量の多い準モノクロビームを得る
ことができる。」(14頁28欄25行∼46行)
また,本件特許明細書(甲9)の第21A図には,ビームIが,毛管の入0
力端で反射して毛管内を伝わるビームIと透過するビーム(符号は付され1
3ていない。)とに分かれ,透過したビームがさらに別の毛管の入力端でI
とIとに分かれ,さらにビームIがIとIとに分かれる様子が示され4456
ている。
本件特許明細書の上記各記載によれば,最初に毛管面に入射角θで衝突0
した初期平行ビームIm(第21A図においては「I」で示される。)の00
うち,θcritical>θを有する光子をビームIとして当該毛管で補足し,01
当該毛管で補足されなかったビームIがθ角より少し小さい入射角θで201
衝突するように配置した別の毛管で,θ<θcritical<θを有する光子10
をビームIとして補足し,この操作を繰り返すとIのように複数の帯域35
幅が選択できることが記載されているものと認められる。
ウ本件特許明細書の上記各記載を請求項42の記載と照らし合わせると,上
記各記載における,最初の毛管で補足されなかったビームIがθ角より20
少し小さい入射角θで衝突するように別の毛管を配置する構成とは,請求1
項42の「最初の一連のチャネルでは捕捉できないビームの部分に,別のチ
ャネルの入口を複数配置し,最初の一連のチャネルの角より小さい放射に
対してチャネル壁が一定の角度になる状態で,当該追加チャネルの入口を
配置し」との構成に相当し,別の毛管でθ<θcritical<θを有する光10
子をビームIとして補足する構成は,請求項42の「最初の一連のチャネル3
で捕捉した放射幅より小さい臨界角を有する放射幅を当該追加チャネル入
口で捕捉するようにした」との構成に相当することは明らかであり,請求
項42に記載された事項は,実質的に本件特許明細書の上記記載において説
明されているものといえる。
なお,初期平行ビームIが最初に入射角θで衝突する毛管が,請求項00
42の「最初の一連のチャネル」に相当し,ビームIが入射角θで衝突す21
るように配置した別の毛管が,請求項42の「別のチャネル」「追加チャネ
ル」に相当することは明らかである。
したがって,「最初の一連のチャネル」,「追加チャネル」等の用語が
本件特許明細書にみられないとしても,請求項42に係る発明は,実質的に
発明の詳細な説明に記載されているといえるから,被告の主張は理由がな
い。
(7)本件発明72につき
被告は,本件発明72について審決が本件訂正請求を認めたのは誤りである
と主張するが,採用することができない。その理由は以下のとおりである。
ア本件訂正請求の訂正事項のうち,本件発明72に関するものは審決にいう
訂正事項e及びf(甲10〔訂正請求書〕の2頁にいう訂正事項の④及び
⑤)であり,その訂正の内容は,それぞれ,特許請求の範囲の請求項72に
おける「(12EI/QR1)1/2」を「(12EI/QR1)」と訂正し,訂正事項fは,同1/2
請求項における「R1=2D/Q2」を「R1=2D/θD」と訂正するものである。2
イ本件特許明細書〔甲9〕によれば,本件訂正請求前の請求項72は,「複
数の支持構造体の間隔が(12EI/QR1)1/2であり,Eは当該チャネルの弾性係
数,Iは中立軸に相対的な当該チャネルの断面の慣性モーメント,Qは単
位長さ当りの当該チャネルの重さ,R1=2D/Q2であり,当該チャネルの曲が
りの臨界半径であり,高透過効率が望まれる放射スペクトルの指定高エネ
ルギー境界で定義する値である,請求項1の装置。」というものである。
ここで,弾性係数Eは力を長さの2乗で除した次元(単位としてはN/
24
mとなる。),慣性モーメントIは長さの4乗の次元(単位としてはm
となる。),単位長さ当りの当該チャネルの重さQは力を長さで除した次
元(単位としてはN/mとなる。),チャネルの曲がりの臨界半径Rlは長
さの次元(単位としてはmとなる。)を,それぞれ有するものと解される
(本件審判請求書〔B事件乙1〕47頁)。そうすると,上記
「(12EI/QR1)1/2」を「12EI/QR1」に「1/2」を乗じたものとすると,その
結果得られた量は,長さの2乗の次元を有するものとなり,長さの次元を
有するべき「支持構造体の間隔」を意味するものとして理解することは困
難である。
また,臨界半径Rlは長さの次元を有するものと解されるところ,上記
「2D/Q2」を,「2D」(「D」は入力端の半径方向の幅であり,長さの次元
を有するものである。前記(5)イ)を「Q」に「2」を乗じたもので除した
ものとすると,その結果得られた量は,無次元のものとなり,長さの次元
を有するべき「臨界半径Rl」を意味するものとして理解することは困難で
ある。
ウ(ア)これに対して,本件特許明細書には,チャネルの曲がりの臨界半径に
「Dサイズのチャネルを有する束管1を均一に曲げ,束管1に平行放射ビーついて,
ムを入射すると,ゼロからθmaxの範囲の角度でチャネル壁に衝突する。なお,θmax=
(2D/R)であり,Rは束管1の曲がり半径である。その結果,それぞれの放射に固
1/2
有の種類とエネルギーレベルは,いわゆる臨界曲げ半径がR1=2D/θという特長を有す

との記載がある。る。」(10頁19欄31行∼37行)
まず,上記記載中の「θ」について検討するに,「」は添字とされ2
DD
る一方,本件特許明細書には,「θは,必要なスペクトル幅で放射するD
臨界全外反射角の最小値である。」(5頁9欄47行∼48行)との記載が
あることからして,「θ」が「θ」を2乗したものを意味することは2
DD
明らかである。また,このような解釈は,上記「θmax=(2D/R)」か1/2
ら「R」を求めると「R=2D/θmax」となることとも符合する。2
さらに,長さの次元を有する「2D」を無次元である「θ」で除したD

結果として得られる量は,長さの次元を有するものであり,「臨界半径
Rl」を規定するものとして理解可能である。
「制(イ)また,本件特許明細書(甲9)には,支持構造体の間隔について,
御ビームに沿って曲がり束管1を固定している開口5を含む蜂の巣状のパターンを有す
る円板4は,それぞれL≦(12EI/QU1)という間隔で配置することが望ましい。こ
1/2
の式で,Eは束管1の弾性係数,Iは束管の中立軸に相対的な断面の慣性モーメント,
Qは単位長さ当りの束管の重さである。なお,R1は放射の高エネルギー境界で定義され
との記載がある。ている束管1の臨界曲げ半径である。」(10頁19欄44行∼50行)
まず,上記記載中の「U1」について検討するに,これを説明する記載
は,本件特許明細書中に見いだすことはできず,上記記載において,
「なお,R1は放射の高エネルギー境界で定義されている束管1の臨界曲
げ半径である。」として「R1」の説明があること,請求項72には,
「(12EI/QR1)」との記載があることを考慮すれば,上記「U1」が「R1」
の誤記であることは明らかである。
さらに,「(12EI/QR1)」が示す量は,上記イと同様に検討すると,1/2
長さの次元を有するものであり,「支持構造体の間隔」を規定するもの
として理解可能である。
エそうすると,本件特許明細書の上記各記載に接した当業者は,本件訂正
請求前の請求項72の「(12EI/QR1)1/2」,「R1=2D/Q2」の各記載が,それぞ
れ,「(12EI/QR1)」,「R1=2D/θ」の誤記であることを理解できるも1/22

のというべきである。
オなお,訂正事項fは,「R1=2D/θD」と訂正するものであるが,上記で2
検討したところからして,ここでいう「θD」が上記「θ」を意味する22

ことは,当業者であれば当然理解し得るものというべきである。
カ以上検討したところによれば,請求項72に関する訂正事項e及び訂正事
項fは,誤記の訂正を目的とするものであって,願書に添付した明細書又
は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。これと同旨の審決の判断に,
被告主張の誤りはない。
「臨界曲げ半径がR1=2D/なお,上記ウ(ア)のとおり,本件特許明細書には,
θという特長を有する。」「特許明細書の第19欄第34行

Dと記載されており,審決が
∼第37行には,『その結果,それぞれの放射に固有の種類とエネルギーレベルは,いわゆ
る臨界曲げ半径がR1=2D/θという特長を有する。』と記載されていて,『R1』,D

と認定『θ』が『R1』,『θD』にそれぞれ相当する」(4頁下2行∼5頁3行)D
22
判断した点は正確を欠くものの,結論を左右するものではない。
キ被告は,仮に本件訂正請求前の請求項72の記載が誤記であるとしても,
本件訂正により各請求項の記載が意味するところは変更されているのであ
るから,上記各訂正事項は,実質上特許請求の範囲を変更するものである
旨主張する。しかし,被告の上記主張が採用できないことは,本件発明25
について前記(5)オに説示したところと同様である。
ク被告は,審判手続における平成17年9月1日付け口頭審理陳述要領書
(B事件甲11)において被告(審判請求人)が行った29条2項違反及び特
許法36条5項2号違反の主張について,審決が判断しなかったのは誤りで
あると主張する。しかし,被告の主張が採用できないことは,請求項25に
ついて上記(5)カに説示したところと同様である。
(8)以上(1)ないし(7)によれば,本件特許の請求項2,4,13について無効審
判請求を不成立とした審決の判断に誤りがあるから,その部分は違法として
取り消すべきである。しかし,請求項25,42,72について無効審判請求不成
立とした審決の判断は正当として是認することができる。
3付言
(1)本件発明1を,甲第1∼8号証の記載とを対比すると,本件発明1の主た
(注:この『チャネル』が複数であるか単数であるかも国際出る特徴は,①「チャネル
が「複数の別個の毛管束」で構成さ願の原文を踏まえて確定されるべきである。)」
れること,②「複数の別個の毛管束」が「支持構造体により互いに相対的に
しっかりと固定」されること,の2点にあることがうかがわれる。
「X線のビームを審決は,主たる引用発明となる「甲第1号証記載発明」を,
制御する装置であり,繰り返し全外反射をする多数のチャネルで作られたシステム。」(14
という漠然とした概念のレベルで認定した上で,①と②の点をひ頁第5段落)
とまとめにして「相違点1」として検討しているが,このことが,誤りの原
因であったものと考えられる。
(2)上記①の点,すなわちチャネルが「複数の別個の毛管束」で構成されるこ
との容易想到性の検討に際しては,「複数の別個の毛管束」という用語の技
術的意義を本件特許明細書の記載に基づいて確定した上,被告が指摘する甲
2∼8号証の各記載等が参酌されるべきである。
(3)上記②の点,すなわち支持構造体の構成については,まず「支持構造体」
の具体的内容を検討する必要がある。
この点につき,本件特許の請求項2以下を見ると,支持構造体の構成を直
接に規定するのは主として以下の4つであると考えられる。
【請求項2】支持構造体がチャネルを支持する開口を有する,請求項1の装置。
【請求項3】複数の毛管束の間の隙間を充填する化合物で支持構造体を構成した,請求項
1の装置。
【請求項5】チャネルの壁をそれらの外面において剛にリンク連結することにより,支持
構造体を構成した,請求項1の装置。
【請求項34】支持構造体が積み重ね可能なクレードル部材で構成されている,請求項1の
装置。
そこで,これらの構成の「支持構造体」の技術的意義を本件特許明細書に
基づいて確定した上,当該「支持構造体」の構成が甲号各証に記載又は示唆
されているかを検討し,もし記載又は示唆されているのであれば,当該構成
を,チャネルを複数の別個の毛管束で形成した上記①の特徴を有する装置に
適用することが容易か否か,等の検討が行われるべきである。
4結論
以上のとおりであるから,
(1)A事件につき,請求項1,3,5∼12,14∼24,26∼41,43∼71に係る
発明について特許を無効とする旨の審決の取消しを求める原告の請求はす
べて理由があり,
(2)B事件につき,請求項2,4,13に係る発明について無効審判請求不成
立とした審決の取消しを求める被告の請求は理由があるが,その余(本件
発明25,42,72に係る発明について)は理由がない
ことになる。
よって,訴訟費用の負担については,A,B事件を通じた訴訟費用の4分の
1を原告に,4分の3を被告に負担させるのを相当と認めて,主文のとおり判
決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官中野哲弘
裁判官岡本岳
裁判官上田卓哉

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激動の時代に
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