弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人坂根徳博の上告理由第一点について
 都道府県警察の警察官がいわゆる交通犯罪の捜査を行うにつき故意又は過失によ
つて違法に他人に損害を加えた場合において国家賠償法一条一項によりその損害の
賠償の責めに任ずるのは、原則として当該都道府県であり、国は原則としてその責
めを負うものではない、と解するのが相当である。けだし、警察法及び地方自治法
は、都道府県に都道府県警察を置き、警察の管理及び運営に関することを都道府県
の処理すべき事務と定めている(警察法三六条一項、地方自治法二条六項二号(昭
和四四年法律第二号による改正前は同条五項二号)等参照)ものと解されるから、
都道府県警察の警察官が警察の責務の範囲に属する交通犯罪の捜査を行うこと(警
察法二条一項参照)は、検察官が自ら行う犯罪の捜査の補助に係るものであるとき
(刑訴法一九三条三項参照)のような例外的な場合を除いて、当該都道府県の公権
力の行使にほかならないものとみるべきであるからである。都道府県警察の警察官
の行う捜査が司法警察職員としての職務にあたるものであることは、前記警察法及
び地方自治法の規定の趣旨にかんがみると、その捜査が国の事務にあたるものとす
べき根拠とするには足りず、また、検察官の一般的指示権又は一般的指揮権(刑訴
法一九三条一項、二項参照)は公訴の遂行を全うするため又は捜査の協力を求める
ためにされるものであるにとどまるものと解すべきであるから、このような権限が
国の公務員である検察官に認められているからといつて、都道府県警察の警察官の
行う捜査を国の公権力の行使であるとすることはできない。公権力を違法に行使し
た警察官が警視正以上の階級にある者ではない場合、その者の任免及びその者に対
する指揮監督の権限が国家公安委員会によつて任免され法制上国家公務員の身分を
有する警視総監又は道府県警察本部長によつて行使されるものであることは、所論
の指摘するとおりであるが、右の権限は、都道府県警察の職員として都道府県に置
かれる警視総監又は道府県警察本部長(地方自治法一八〇条の九第二項、第四項、
警察法四八条、五五条一項、二項等参照)が、都道府県公安委員会の管理の下にあ
る都道府県警察(警察法三八条一項、三項参照)の本部の長として、その所属の警
察職員につき行使するもの(警察法四八条、五五条三項参照)にほかならないもの
というべく、したがつて、所論指摘のことがあるからといつて、前記のように都道
府県の処理すべき事務にかかる警察の事務を都道府県警察の警察官において執行す
ること(警察法六三条参照)自体までが国の公権力の行使にあたることになるもの
と解すべきではない。
 そうすると、原審の確定した事実関係のもとにおいて、本件の損害について、以
上と同趣旨の見解のもとに、被上告人国につき国家賠償法一条一項による損害賠償
責任を否定した原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の
違法はなく、論旨は採用することができない。
 同第二点について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審
の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用するこ
とができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意
見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    服   部   高   顯
            裁判官    江 里 口   清   雄
            裁判官    高   辻   正   己
            裁判官    環       昌   一
            裁判官    横   井   大   三

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