弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
2控訴人敗訴部分取消にかかる被控訴人の請求を棄却する。
3訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2事案の概要
1事案の要旨
大東市の住民である被控訴人は,①大東市がA会(通称「B」)に対し,
Bの職員として採用されたCの給与等として毎年多額の金銭を補助金として
交付してきたことが公益上の必要性を欠く違法なものであるとして,平成1
6年度から平成18年度までに大東市がBに交付した補助金(原判決にいう
「本件各補助金」)のうちCの給与等相当額につき,また,②大東市がD会
E支部にアルバイト職員を派遣しその給与等を負担したことは,「公益法人
等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律」(平成18年法律第50
号による改正前のもの。原判決にいう「地方公務員派遣法」)に違反する違
法な行為であるとして,平成18年にD会E支部に配置されていたアルバイ
ト職員(原判決にいう「本件アルバイト職員」)に対して大東市が同年中に
支出した給与等につき,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第
1項4号に基づき,控訴人に対し,市長であるF及びその他の職員並びに上
記行為の相手方であるB,C及びD会に対して損害賠償等の請求すること等
を求めて住民訴訟を提起した。
2訴訟経緯
(1)原判決の要旨
【B補助金関係】
ア本件各補助金の支出の違法を理由とする請求(請求1の主位的請求及
び請求2)
(ア)本案前の争点監査請求期間徒過の正当な理由(争点1(1)ア)
控訴人が,①B,C及びFに対し,大東市に金員を支払うよう請求
することを求める主位的請求(B及びCに対する不当利得返還請求,
Fに対する不法行為に基づく損害賠償請求)のうち平成16年度及び
平成17年度の各補助金の支出に関する部分,②Fに対し,大東市に
金員を支払うよう請求することを求める予備的請求のうち平成16年
度及び平成17年度の各補助金の支出に関する部分,③Gに対し,平
成16年度補助金支出に関する賠償命令を求める請求,④Hに対し,
平成16年度補助金及び平成17年度補助金支出に関する賠償命令を
求める請求,⑤Iに対し平成17年度補助金支出に関する賠償命令を
求める請求について,法242条2項ただし書にいう「正当な理由」
があるということはできないから,適法な監査請求を経ていない不適
法なものである。
(イ)本案前の争点監査請求の対象と住民訴訟の対象の同一性(争点
1(1)イ)
平成18年度補助金支出に関しては監査請求を経ている適法なもの
である。
(ウ)本件各補助金の支出の違法性(争点1(1)ウ)
Bと大東市間の,BがCを雇用するに当たっての協定(原判決にい
う「本件協定」)は,これに付随するBとC間の雇用契約(原判決に
いう「本件雇用契約」)と併せて,法204条の2(給与条例主義),
地方公務員法24条1項(ノーワーク・ノーペイの原則),同法30
条及び35条(職務専念義務),地方公務員派遣法等の各種規定を潜
脱する悪質な脱法行為であり,違法性の強いものであるから,公序良
俗に反し無効である。
(エ)当該職員又は当該行為等に係る相手方(単に「相手方」という。
以下同様とする。)の責任の有無及び範囲(争点1(1)エ)
aF
大東市長であるFは,財務会計法規上の義務に違反し,また,補
助金交付決定が法232条の2所定の公益上の必要性を欠いている
ことは明らかであるから,違法に平成18年度補助金(Cの人件費
として交付された部分)の交付決定をしたものと認められる。
bB
補助金交付決定は本件協定と一体のものとして,公序良俗に反し
無効である。Bは,法律上の原因なくして,大東市の損失の下,平
成18年度補助金のうちCの人件費に相当する部分の交付を受けて
これを不当に利得したものであり,かつ,この不当利得につき悪意
ということができる。
cC
本件協定及び本件雇用契約はいずれも公序良俗に反し無効である
から,Cは,法律上の原因なくして,大東市の損失により,平成1
8年度補助金のうち同人の給与等相当額の利得を得,また,この不
当利得につき悪意である。
dI
Iは,平成18年度補助金につき大東市収入役として,財務会計
法規上の義務に違反して違法な支出の決裁をした。また,同人には
上記違法な支出につき重過失が認められる。
イB補助金関係にかかる本件各補助金の支出に関する共同不法行為を理
由とする損害賠償請求(請求1の予備的請求)
(ア)本案前の争点監査請求の対象と住民訴訟の対象の同一性(争点
1(2)ア)
本件訴えのうち,F,G,C及びBの共同不法行為を理由とする予
備的請求に係る部分は監査請求を経ている。
(イ)本案前の争点監査請求期間制限の有無(争点1(2)イ)
aB及びC
本件監査請求のうち,B及びCに対する共同不法行為に基づく損
害賠償請求を怠る事実(平成16年度補助金及び平成17年度補助
金に関する部分)に係る部分については,監査委員はB及びCの行
為が不法行為法上違法の評価を受けるものであるかどうか,これに
より大東市に損害が発生したといえるかなどを確定しさえすれば足
り,法242条2項の監査請求期間の制限は及ばない。
bF
Fに対する損害賠償請求を怠る事実を対象とする部分については,
法242条2項本文の監査請求期間制限の適用があるから,平成1
6年度補助金及び平成17年度補助金の交付に関し,Fに対して共
同不法行為に基づく損害賠償請求をすることを求める部分は不適法
な訴えである。
cG
平成16年度補助金の交付決定を代決したGに対する賠償命令を
することを求める請求は,適法な監査請求を経ているものとはいえ
ず不適法である。
(ウ)共同不法行為の成否(争点1(2)ウ)
B及びCは,Fらと共謀して,Cの人件費を大東市に不正に負担さ
せることを意図して,本件協定及び本件雇用契約をそれぞれ違法に締
結し,その結果,大東市からBに対する本件各補助金を支出させ,同
市にCの人件費相当額の損害を与えたものである。また,BとCは,
大東市に違法に損害を与えることにつき故意又は過失があることは明
らかである。
(エ)当該職員又は相手方の責任の有無及び範囲(争点1(2)エ)
B及びCは,平成16年度補助金及び平成17年度補助金につき不
真正連帯債務としてその損害賠償義務を負うべきである。
【アルバイト職員給与関係】(請求3及び4)
ア本件アルバイト職員はD会E支部に「派遣」されていたか否か(争点
2(1))
本件アルバイト職員は,D会E支部に派遣されていたものであり,地
方公務員派遣法に違反するから,本件アルバイト職員に対する給与等の
支出は違法である。
イ当該職員又は相手方の責任の有無及び範囲(争点2(2))
(ア)D会
D会は,法律上の原因なくして大東市から派遣された本件アルバイ
ト職員から労務の提供を受けたことにより,その給与等相当額の利得
を得,他方,大東市は本件アルバイト職員の給与等に相当する損失を
被った。
(イ)F
大東市長であるFは,本件アルバイト職員の給与等の支出に係る財
務会計行為につき,専決を任された補助職員が違法行為をすることを
阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により上記補助
職員が財務会計上の違法行為をすることを阻止しなかったと認める。
(ウ)J及びK
J及びKは,本件アルバイト職員の給与等の各支出に際して支出負
担行為及び支出命令の違法を是正すべき義務に違反することにつき重
過失があったと認めるに足りる十分な証拠はない。
(2)これに対して,控訴人が本件控訴を提起した。
したがって,当審における審判の対象は,法242条の2第1項4号に
基づき,①大東市がBにCの給与等として平成18年度補助金を支出した
ことにつき,C及びBに対し不当利得返還請求を行使することを,Fに対
し不法行為に基づく損害賠償請求を行使することを求めること(請求1の
主位的請求),②大東市がBにCの給与等として平成16年度及び平成1
7年度各補助金を支出したことにつき,C及びBに対し共同不法行為に基
づく損害賠償請求を行使することを求めること(請求1の予備的請求),
③大東市がBにCの給与等として平成18年度補助金を支出したことにつ
き,Iに対し賠償命令を求めること(請求2),④D会E支部に本件アル
バイト職員を派遣し,本件アルバイト職員に給与等を支出したことにつき,
D会に対し不当利得返還請求をすること,Fに対し不法行為に基づく損害
賠償請求をすることを求めること(請求3)の可否であり,争点は①本件
各補助金の支出の違法性並びに当該職員又は相手方の責任の有無及び範囲,
②本件アルバイト職員のD会E支部への「派遣」の有無及び本件アルバイ
ト職員への給与等の支出の違法性並びに当該職員(ただし,原判決におい
て請求が否定された者を除く。)の責任の有無である。
3前提事実(争いがない事実,もしくは,原判決文中掲記の証拠及び弁論の
全趣旨により容易に認められる事実)
原判決8頁3行目から13頁22行目までに記載のとおりであるから,こ
れを引用する。
4争点及び争点に関する当事者の主張
原判決13頁23行目から34頁18行までに記載のとおりであるから,
これを引用する。
ただし,原判決の判断中,【B補助金関係】(請求1及び2)の本件各補
助金の支出の違法を理由とする請求について,平成16年度及び平成17年
度補助金支出については適法な監査請求を経ていない不適法な請求であると
して,これに係る各請求を却下した点,請求1の予備的請求に係る訴えのう
ち,Gに対する賠償命令を求める部分を不適法として却下した点,【アルバ
イト職員給与関係】(請求3及び4)のJ及びKに対する賠償命令を求める
請求を棄却した点については,いずれも不服申立てはない。したがって,こ
れらの点については当審における争点ではないから,これらの点についての
原判決の記載を除く。
5控訴人の当審補充主張
(1)【B補助金関係】
ア本件各補助金の支出の違法性について
(ア)補助金の交付の可否については,地方公共団体の広範な裁量に属
する。Bは事実上大東市の組織の一部であり,大東市の人権施策の一
翼を担う公共的団体であり,L会(原判決にいう「L」),M会はそ
れぞれ独立した団体であるが,目的が同一であり,実質上N会(原判
決にいう「N」)の事業の3機能をそれぞれ分担し,同一体とみるべ
きものである。したがって,Cの勤務実態からすれば,Lが採用する
のが本来の姿であるが,市内の二つの人権協(α地区とβ地区)に対
する様々な支援を計画的に公平に削減し,両地区間のバランスを保つ
必要からBにおいて形式的にCを採用したにすぎない。
(イ)Cは,Lで勤務しているのであって,Cの正当な労務提供という
実質を考慮すれば,給与条例主義,ノーワーク・ノーペイの原則等各
種規定を潜脱するという原判決の判断は事実誤認である。
イ本件各補助金の支出にかかる当該職員の責任の有無及び範囲について
(ア)Fの過失
法242条の2第1項4号に基づいて執行機関又は職員個人の損害
賠償を追求する場合,そこで問題とされる「過失」は,執行機関又は
職員個人の個人的なものであり,一般人・普通人の注意程度を基準に
判断されるべきである。また,市長の市政運営は,多数の補助職員を
含む組織としてされるのであって,市長が自ら決裁する場合において
も,明白な瑕疵がない限り,補助職員の判断を信頼して決裁すること
が許され,市長の過失が否定されるべきである。さらに,法は監査委
員制度を設けているところ,監査委員から何らの指摘もされていな
かったことからすれば,Fには指揮監督上の義務違反はない。
(イ)Iの重過失
人権啓発部長であるIは大東市の補助職員にすぎず,上司である市
長の職務命令に重大明白な瑕疵がない限り,これに従う義務を負う。
本件協定締結当時,Iが,Cに対する説明の場に同席し,協定決裁に
関与していることをもって重過失を認めることはできない。
(2)【アルバイト職員給与関係】
ア本件アルバイト職員はD会E支部に「派遣」されていたか否か
D会E支部は地方公務員派遣法2条に規定する「団体」に該当せず,
しかも本件アルバイト職員は同支部に派遣されたのではなく,大東市の
仕事をしていたにすぎない。
すなわち,大東市の各課の業務は「大東市事務分掌条例施行規則」に
基づいて行われており,同和行政推進に関する地元団体等の調整事項は
人権推進部人権政策室同和企画担当の業務であり,本件アルバイト職員
の業務は人権政策室同和企画担当の課としての業務である。
イFの責任の有無
本件アルバイト職員は大東市の事務をD会E支部で処理していたにす
ぎず,違法な派遣ではないから,Fに責任はない。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,被控訴人の請求は原判決主文第2項及び第3項(1)の範囲で
認容するのが相当と判断する。その理由は,原判決説示(34頁20行目
から72頁18行目)のとおりであるから,これを引用する。ただし,上
記当審における争点から除かれた部分についての記載部分を除く。
2控訴人の当審補充主張について
(1)【B補助金関係】
ア本件各補助金の支出の違法性
(ア)控訴人は,補助金の交付は地方公共団体の広範な裁量に属するも
のであり,B,L及びM会はNの事業の3機能をそれぞれ分担し同一
体とみるべきものであって,Bにおいて形式的にCを採用したことは
違法ではない旨主張する。
確かに,補助金交付に関して公益上の必要性(法232条の2)に
ついてはそれぞれの社会的,経済的,地域的諸事情等の下において,
個々具体的に決定していかざるを得ず地方公共団体に裁量権があると
いえる。しかし,補助金の交付は,各団体からの交付申込書に基づい
て,補助事業の目的及びその内容,補助事業の実施計画,補助事業の
予算等を審査して補助事業の目的及び内容が適正であるかどうかを判
断した上で行うものであり,補助金等を当該補助事業以外の用途に使
用したときは,補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すこと
ができるのである(甲6,乙3ないし5)。すなわち,補助金の交付
は各団体の事業ごとに決定されるのであって,交付される補助金を他
の団体に流用することを想定して補助金の交付をすることは法の予定
するところではない。このことは,控訴人の主張するように,各団体
がその目的において同じくするところがあったとしても変わらない。
なお,Bは平成14年4月に設立された団体であり,同年7月に発足
したLとは,それぞれ別の場所に事務所が設置され,組織を異にする
独立した団体であり(甲5,乙24),また,M会も別個の独立した
団体である(乙18)。したがって,控訴人の上記主張は採用できな
い。
そもそも,原判決が説示(53頁2行目から55頁10行目)する
ように,本件協定は,大東市が,Nの解散後も事実上大東市の組織の
一部であったとみられるBを介してCに対して従来と同等の給与等を
保障するためのものであり,本件各補助金交付は,そのような本件協
定の義務履行行為であった。したがって,本件協定は公序良俗に反し
て違法であり,本件各補助金交付行為は財務会計法規に違反するもの
である。
(イ)Cの勤務状況
控訴人は,CはLで勤務しているのであって,勤務実態はある旨主
張する。
しかし,Cの勤務実態については原判決説示(51頁9行目から同
52頁17行目)のとおりであり,少なくとも,BがCを雇用すべき
必要性はなかったというべきである。
この点,Cは,陳述書(乙37)で,Lの仕事はB,ひいては大東
市の人権施策に密接に関係している旨述べるが,LとBとは独立した
別個の団体であることは上記説示のとおりであり,CがLの業務をし
ていたからといってBの業務をしていたと評価することはできない。
(ウ)その他,控訴人が種々主張する点は,原判決の判断を左右するに
足りるものではない。
イ本件各補助金の支出にかかる当該職員の有無及び範囲
(ア)Fの過失
控訴人は,法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求を求め
る請求における「過失」は,一般人・普通人の注意程度を基準に判断
すべきであり,市長が自ら決裁する場合においても,明白な瑕疵がな
い限り補助職員の判断を信頼してされた場合は過失が否定される,さ
らに,地方自治法が監査委員制度を設けているところ,監査委員から
の指摘がなかったから,Fには指揮監督上の義務違反はないと主張す
る。
しかし,普通地方公共団体の長は,当該地方公共団体の条例,予算
その他の議会の議決に基づく事務,その他,地方公共団体の事務を自
らの判断と責任において誠実に管理し執行する義務を負い(法138
条の2),予算についてその調製権,執行権及び執行状況調査権など
広範な権限を有し(法149条,221条),職員の指揮監督権を有
している(法154条,154条の2)ことから,財務会計法規に
則って職務を執行すべき注意義務を負うのである。これを怠ったこと
についての故意又は過失は,上記首長としての高度の職責に則して判
断されるべきであり,これについての原判決の判断は相当である。ま
た,そもそもFは,自ら本件協定書を策定したのであるから,補助職
員を信頼するとか,監査委員からの指摘を待つまでもなく,自らが財
務会計法規に則りその権限を行使すべき場合であった。よって,控訴
人の上記主張は理由がない。
(イ)Iの重過失
控訴人は,Iは大東市の補助職員にすぎず,上司である市長の職務
命令に従う義務を負うから,Cに対する説明の場に同席して本件協定
の決裁に関与していることをもって重過失を認めることはできないと
主張する。
しかし,原判決説示(49頁16行目から同50頁12行目)のと
おり,Iは平成14年2月当時人権啓発部長であり,事前に,Cに対
して本件協定の内容を説明する際に立ち会っていたのであるから,本
件協定が,実質的には,大東市がCに対し,Bを介してNと同等の給
与等を保障するためのものであることを理解していたと認めるのが相
当である。そして,乗本は,その後,会計管理者である収入役として,
平成18年度補助金の交付及び支出に関与したものであるが,収入役
は,その権限に属する事務について決裁,専決,代決することができ
(乙1),財務会計法規に則って職務を遂行すべき義務があるところ,
本件協定が法及び地方公務員法等の各種規定を潜脱することを十分知
りうる立場にいたことから,上記補助金の交付決定及び支出命令につ
き重大な過失があると判断するのが相当である。
(2)【アルバイト職員給与関係】
ア本件アルバイト職員のD会E支部への「派遣」の有無について
控訴人は,D会E支部は地方公務員派遣法2条に規定する「団体」に
該当せず,本件アルバイト職員の業務は人権政策室同和企画担当の課と
しての業務であると主張する。
しかし,本件アルバイト職員の業務については原判決説示(67頁1
5行目から68頁18行目)のとおりであり,本件アルバイト職員は大
東市から派遣されてD会E支部の業務をしていたと評価される。した
がって,大東市公益法人等への職員の派遣等に関する条例(乙11)で
は,臨時的に任用される職員の派遣を除外していることから,アルバイ
ト職員を公益法人に派遣することは許されず,本件アルバイト職員に給
与を支払うことは,財務会計法規に違反する行為である。
イFの過失の有無
控訴人は,本件アルバイト職員につき違法な派遣ではないから,Fに
責任はないと主張する。
本件アルバイト職員の使用が違法であることについてFに故意または
過失があることは原判決説示(70頁18行目から71頁17行目)の
とおりである。
(3)控訴人は,その他種々主張するが,いずれも,上記判断を左右するに足
りるものではない。
3結論
以上のとおりであって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから
これを棄却することとし,主文のとおり決定する。
大阪高等裁判所第10民事部
裁判長裁判官赤西芳文
裁判官片岡勝行
裁判官山口芳子

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