弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人田平藤一の上告理由第一、二点について。
 原判決は、本件不動産が原判示の経過により昭和三七年九月三〇日上告人A1か
ら被上告人に贈与されたこと、上告人A2は不動産周旋業者で、不動産登記に精通
していたが、昭和三九年七月当時においては本件建物をすでに七年以上にわたり貸
借する等B家とは永年交際し、その内輪にもめごとがあることも隣家のこととて、
これを耳にしていたところ、本件不動産の賃料を上告人A1から昭和三九年六月下
旬頃二回にわたり内容証明郵便で自己に支払うよう請求されるとともに、他方Dの
代理人Eからもこれを自己に支払うよう請求されたため、同年七月二〇日頃使用人
である訴外Fを伴つて福岡にいる上告人A1を訪ねて同月分の賃料を支払い、その
際、同上告人およびその妻Hからどたどたが起きているので、この際本件不動産を
買いとつてくれと懇請され、右不動産についてされている被上告人の処分禁止の仮
処分の登記を抹消して完全な所有権とするとの確約を同人らから得たので、同人ら
との間に本件不動産を七〇万円で買い受ける契約をし、手附金一〇万円を支払い、
残額は右仮処分登記を抹消したうえ移転登記手続と同時に支払うこととしたこと、
その後上告人A2は同年八月一〇日頃再び上告人A1の求めに応じて、前記Fを同
道して福岡に赴いたうえ、同上告人と一緒に上京し、上告人A1およびFらは同月
一〇日から一四日までの間連日被上告人宅を訪ねて被上告人に対し前記仮処分の取
下を懇請したが、被上告人が応じなかつたため、被上告人を欺して仮処分取下書に
印鑑を押捺させることを企て、右Fが作成した文案どおり仮処分取下後被上告人名
義に所有権移転登記手続をすべき旨を記載した誓約書(甲第一号証)を作成して被
上告人をしてこの取下書に捺印させたこと、もつとも、上告人A2自身は右のうち
同月一一日以降は被上告人宅には赴かなかつたが、上告人A1およびFと同じ旅館
に宿泊し、帰途の車中も一緒であつて右取下書に印をもらうまでのいきさつについ
て容易に聞ける状況にあつたこと、上告人A2は昭和三九年八月一〇日頃福岡にお
いて前記売買代金の残額六〇万円のうちの二〇万円を、その後さらに東京の旅館に
おいて二〇万円を前記仮処分登記の抹消される前に上告人A1の申入れに応じて支
払つたこと、上告人A2は右仮処分登記抹消後の同月三一日の受付をもつて同月一
九日売買予約を原因とする所有権移転請求権仮登記をしたが、被上告人は右仮処分
取下書に捺印後、上告人A1に騙されたらしいから再度仮処分手続をしてくれるよ
う叔父であるEおよびGに委任し、同人らは同月三一日鹿児島地方裁判所の仮処分
決定を得て同日前同様の内容の仮処分登記を経由したが、その受付番号は上告人A
2の仮登記に遅れてそれに対抗できないものとなつたこと、その後同上告人は同年
九月三日右売買予約の二日前である同年八月一七日売買を原因とする所有権移転登
記手続をしたものであること、以上の事実を適法に認定しているのであり、この事
実認定の過程において審理不尽、理由不備の違法はない。
 ところで、右認定の事実によれば、上告人A2は、本件不動産を買い受ける際そ
の所有権の帰属につき上告人A1と被上告人とが係争中であることを知つていたば
かりでなく、上告人A1が被上告人を欺罔して前記仮処分の執行を取り消させ、本
件不動産が被上告人名義になることを妨げるにつき協力したものというべきである。
したがつて、上告人A2はいわゆる登記の欠缺を主張することができない背信的悪
意者にあたると解するのが相当であり、被上告人は上告人A2に対し登記なくして
本件不動産の所有権の取得を対抗することができるといわなければならない。それ
故、これと同趣旨の原判決の判断は正当である。原判決には所論の違法はなく、論
旨は採用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    村   上   朝   一

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