弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は,控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決中控訴人の訴えを却下した部分を取り消す。
2中野区α×地区における建築物の制限に関する条例(平成21年中野区条例
第32号。平成23年中野区条例第53号による改正後の現行のもの。)を取
り消す。
3訴訟費用は,第1審,第2審を通じ被控訴人の負担とする。
第2事案の概要
1本件は,東京都が平成21年6月22日付けで告示した東京都市計画地区計
画α×地区地区計画の変更の決定及び平成23年8月19日付けで告示した同
地区計画の変更の決定に係る地区計画の区域と区画道路を挟んだ西側に位置す
る場所に居住する控訴人が,被控訴人が制定した建築基準法68条の2第1項
の規定に基づく条例である中野区α×地区における建築物の制限に関する条例
(平成21年中野区条例第32号。平成23年中野区条例第53号による改正
後の現行のもの。)の制定行為が行政事件訴訟法3条2項に規定する処分の取
消しの訴えの対象に当たることを前提として,その取消しを求める事案である。
なお,以下,本判決(原判決記載の引用部分を含む。)における略称は,原
判決の例による。
2原審においては,控訴人のほか,A及びBが原告であったところ,Aに係る
訴えは,同人が平成▲年▲月▲日に死亡したことにより終了した。
原審は,控訴人及びBの訴えをいずれも却下する旨の判決をし,控訴人が,
これを不服として控訴した。
3本件に関する法令の定め及び前提事実は,以下のとおり補正するほかは,原
判決「事実及び理由」欄の第2,2(原判決別紙を含む。)及び3に記載のと
おりであるから,これを引用する。
(1)原判決2頁23行目の「原告らは,いずれも,」を「控訴人は,」と改
める。
(2)原判決3頁12行目の「原告らは,」を「控訴人は,」と改める。
(3)原判決26頁18行目の「区域6」を「区域5」と改める。
第3争点及びこれに関する当事者の主張の要点
本件の争点及びこれに関する当事者の主張の要点は,「原告ら」とあるのを
いずれも「控訴人」と改め,以下のとおり当審における主張を補充するほかは,
原判決「事実及び理由」欄の第2,4及び5に記載のとおりであるから,これ
を引用する。
1当審における控訴人の主張
(1)特定人に向けられた個別的な(一回的な)効果が生じる条例でなければ,
処分性は認められないと考えるのは,処分性が認められる範囲を必要以上に
狭めるものである。
仮にそうであるとしても,本件条例は,仮に土地所有者の変更があれば,
地区計画が変更され,本件条例も変更される可能性が十分考えられるのであ
るから,本件条例は,その法的性格上,特定人を名宛人とし,効果が一回的
であるといえる。
(2)処分性の判断にあたっては,国民の権利利益の実効的救済の確保という
観点を重視すべきであるが,後行行為である建築確認の取消訴訟によっては
現実的な救済は不可能であり,条例段階で処分性を認めて周辺住民の実効的
な権利救済を実現する必要がある。
(3)地区計画の策定手続を定める運用基準及び運用基準実施細目は,都市計
画法12条の5第3項,13条1項柱書第2文,同項14号ロを具体化した
ものであって,事実上の運用に過ぎないものではないのであるから,再開発
等促進区を定める地区計画を前提とする本件条例の処分性判断の際には,法
令と同視して考慮すべきである。
2当審における被控訴人の主張
当審における控訴人の主張は,いずれも失当である。
第4当裁判所の判断
1争点1に対する当裁判所の判断は,「原告ら」とあるのをいずれも「控訴人
」と改めるほかは,原判決「事実及び理由」欄の第3,1に記載のとおりであ
るから,これを引用する。当審における控訴人の主張をそれぞれ検討しても,
本件条例の制定行為が,他に行政庁の法令の執行行為という処分を待つことな
く,その施行により特定の個人の権利義務や法的地位に直接影響を及ぼし,行
政庁の処分と実質的に同視し得ることができるようなものに当たるということ
はできない。周辺住民の権利利益の実効的な救済のため本件条例制定行為の処
分性を認めるべきとの控訴人の主張は,特定の個人の権利義務や法的地位に直
接影響を及ぼさない条例の制定行為であっても処分性を認めるべきとの趣旨で
あれば,これを採用することはできない。
2したがって,控訴人の本件訴えは,不適法である。
第5結語
よって,原判決中,控訴人の訴えを却下した部分は相当であって,本件控訴
は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第24民事部
裁判長裁判官三輪和雄
裁判官小池喜彦
裁判官松村徹

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