弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1本件各訴えをいずれも却下する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
1平成28年法律第49号及び平成29年法律第58号により改正された公職
選挙法(以下「公職選挙法」という。)別表第一に基づいて行われる衆議院選
挙区選出議員選挙(以下「本件選挙」という。)の東京都第5区における選挙
を無効とする。
2被告は,本件選挙の東京都第5区における選挙事務を行ってはならない。
第2事案の概要
本件は,本件選挙の東京都第5区の選挙人である原告が,被告に対し,公職
選挙法の衆議院議員定数配分規定が,憲法前文,1条,43条1項,14条1
項,15条1項に反して違憲無効であると主張して,公職選挙法204条に基
づき,予め,本件選挙の東京都第5区における選挙を無効とすること及び本件
選挙の東京都第5区における選挙事務の差止めを求めた事案である。
第3当裁判所の判断
1本件各訴えは,原告が,本件選挙の選挙人の資格に基づき,公職選挙法20
4条を根拠に,本件選挙の東京都第5区における選挙を無効とすること及び本
件選挙の東京都第5区における選挙事務の差止めを求め,東京高等裁判所に提
起した訴えであるから,行政事件訴訟法5条の民衆訴訟として提起されたもの
と認められる。しかし,民衆訴訟は,行政事件訴訟法42条により,法律に定
める場合において,法律に定める者に限り,提起することができるところ,国
会議員の選挙に関する民衆訴訟について,本件訴えのような選挙の終了前に,
選挙の無効又は差止めの訴訟の提起を認める旨の法律の規定は存しない(選挙
の差止めの訴訟の提起につき,最高裁平成24年11月30日第一小法廷決定
(同年(行ツ)第371号,同年(行ト)第70号))。したがって,現行の
法制度の下において,本件各訴えはいずれも不適法であるといわざるを得ない。
2これに対し,原告は,「最高裁昭和51年4月14日大法廷判決(以下
「最高裁昭和51年判決」という。)は公職選挙法204条の規定が選挙の
効力を争うことを明文で認めた唯一の規定であることから,同条が本来予定
する選挙無効訴訟とは異質の定数是正訴訟についても,同条に基づく手続の
中で審理判断することを認めたところ,定数是正訴訟は,定数配分規定それ
自体を判断の対象とし,実際の選挙の結果とは何ら関連を有しないから,最
高裁昭和51年判決は,選挙結果と何ら関係のない事情に基づく定数是正訴
訟を同条に基づく訴訟として審理判断することを認めたものである。このこ
とは,同条が,国民に対して定数是正訴訟を提起する権利を認めたものであ
ることを意味する。そして,定数配分規定の違憲性は,実際の選挙の結果に
は全く関係がなく,選挙結果と何の関係もなく審理判断できる事項であるか
ら,選挙が行われた後でなければ提訴できないと考える理由はない。」と主
張する。
しかし,最高裁昭和51年判決は,公職選挙法204条という法定の訴訟
類型である選挙無効訴訟において,無効原因として主張し得る事由の範囲に
ついて判断したものであり,国会議員の選挙に関する民衆訴訟について,公
職選挙法の定める訴訟類型以外の訴訟の提起を認めたものではないから,原
告の上記主張は採用することができない。
原告は,公職選挙法204条には,選挙無効訴訟が選挙の後でなければな
らないとする明文の規定はないと主張する。
しかし,公職選挙法は,①国会議員の選挙について,選挙の効力に関する
訴訟の出訴期間を当該選挙の日から30日以内に限定し(同法204条),
②同訴訟において,裁判所は,当該選挙が選挙の規定に違反していた場合で
あっても,選挙の結果に異動を及ぼすおそれがある場合に限り,その選挙の
全部又は一部を無効とする判決をすべきものとし(同法205条1項),③
同訴訟の判決は,事件を受理した日から100日以内にするように努めなけ
ればならず(同法213条1項),裁判所は,同訴訟については,他の訴訟
の順序にかかわらず速やかにその裁判をしなければならないものとする(同
条2項)。このような公職選挙法の規定に照らし,公職選挙法204条は,
選挙の効力は選挙の終了後に争わせることとしたものであり,選挙の終了前
に同条所定の訴訟を提起することは認めていないと解するのが相当である。
したがって,原告の上記主張は採用することができない。
原告は,公職選挙法204条の明文には差止めの訴えを認める記載はない
が,違憲無効の選挙が行われようとしている場合に,裁判所がこれを救済す
るために当該国家行為を禁止することは当然認められるべきであるから,同
条によって,選挙の差止めの訴訟の提起もできると解すべきであると主張す
る。
しかし,前記1で説示したとおり,民衆訴訟は,法律に定める場合におい
て,法律に定める者に限り,提起することができるのであり,このような民
衆訴訟の性質等に照らせば,民衆訴訟として法律の定めを欠く訴訟類型を認
める余地はない。したがって,原告の上記主張は採用することができない。
3以上によれば,原告の本件各訴えはいずれも不適法であり,その不備を補正
することはできないから,口頭弁論を経ることなくいずれも却下することとし
て,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第2民事部
裁判長裁判官白石史子
裁判官大垣貴靖
裁判官矢作泰幸

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