弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
一 被告は原告らに対し、別紙認容金額一覧表記載の各金員を支払え。
二 原告らのその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用はこれを一〇分し、その九を被告の負担、その余を原告らの負担とす
る。
四 この判決は原告ら勝訴部分に限り仮に執行することができる。
       事   実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告は原告らに対し、別紙請求金額一覧表記載の各金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 仮執行宣言
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1(一) 原告らは、生コンクリート(以下「生コン」ともいう)の製造販売等を
業とする箕島興産株式会社(以下「箕島社」という)に雇用され、生コンミキサー
車の運転に従事してきた。
(二) 原告らは昭和五七年三月から五月にかけて、全日本運輸一般労働組合関西
地区生コン支部(以下「生コン支部」という)に加盟し、現在同労働組合の組合員
である。生コン支部は同五九年三月五日関西地区生コン支部労働組合と名称を変更
した。
(三) 被告は、同五二年三月三日中小企業等協同組合法に基づいて設立された事
業協同組合で、大阪市内の生コン製造業者で構成され、生コンクリートの共同販売
を主たる目的としている。箕島社は被告の員外利用者(準会員)である。
2 箕島社は、昭和五七年一〇月二八日工場を閉鎖して事業を廃止し、従業員全員
を解雇した。箕島社から、原告a(仮名、以下同じ。)は同月三〇日以降就労を拒
否されて実質上解雇され、その余の原告らは同年一一月一〇日解雇された。
3 生コン支部は昭和五七年一二月一三日、被告との間において、次の内容の確認
書を取り交わした(以下「第一次確認書」という)。
(一) 被告は原告らの雇用保障を行う。
(二) 被告は原告らに対し、被告の斡旋により同人らが再就職するまでの間、箕
島社の最低保障額三〇万円に各人の交通費、労働者負担分の社会保険料等を加えた
賃金相当額を毎月二八日限り支払い、かつ、夏季及び冬季一時金相当額を支払う。
4 原告らの右賃金相当額、並びに労使協定によって定められた一時金相当額及び
その支払日は各別紙請求内訳一覧のとおりである。
5 被告は使用者の団体であり、第一次確認書は労働協約であって、その効力は生
コン支部の組合員である原告らに及ぶ。そうでないにしても、生コン支部は原告ら
の代理人として第一次確認書を取り交わし、原告らは生コン支部に対し、それに先
立ってその代理権を授与した。
6 第一次確認書取り交わしに至る経緯は次のとおりである。
(一) 被告は、構成員の生コン業者の共存共栄を図るため、被告の販売区域であ
る大阪市内の生コン需要はすべて被告が注文を受け、それを予め決められた割合
(以下「シェア」という)に従い、正会員各社及び員外利用者(以下併せて「加盟
各社」という)に割り当て、加盟各社は右シェアの範囲内でのみ生コンを販売する
ことができ、その代金は被告が集金して加盟各社に分配するという、共同受注、共
同販売、共同集金の完全共販体制をとっている。生コン製造能力も右シェアに応じ
て制限され、被告の同意なくして拡大することはできない。
(二) 加盟各社が廃業するときは、シェアを被告に返上し、被告がそれを他に割
り当てるのであり、被告を除外して、加盟各社間の直接取引によりシェアを変更す
ることはできず、生産設備、労働者、債権等を含む有機的組織体としての営業も原
則として自由に譲渡できない。そのため加盟各社が廃業する場合には、被告が労働
者を含めた右有機的組織体としての営業の損失を保障することになっている。労働
者を含めるのは、企業設備は労働者が存在することにより価値が生ずるものであ
り、また、円滑に廃業手続を進めるためには廃業により失業する労働者の雇用先を
確保することが必要だからである。
(三) 被告は、甲有限会社(仮名、以下「甲会社」という。)から加盟申込を受
け、それを認めるためには、同社にシェアを割り当てる必要があったため、シェア
調整の方法として加盟各社からプラント廃業希望者を募った。箕島社はこれに応募
し、前記のとおり工場を閉鎖して廃業し、従業員全員を解雇した。したがって、原
告らはいわば被告の犠牲となって失業したものであり、被告は前記趣旨により、原
告らの就職先を確保する義務がある。
(四) 原告らは、大阪地方裁判所に箕島社を相手方とし解雇無効を理由として、
従業員たる地位確認の仮処分申請を行い、他方生コン支部は、箕島社及び被告に対
し、企業閉鎖及び従業員の解雇を撤回するよう要求し、それぞれ数回の団体交渉を
行った結果、第一次確認書が取り交わされたものである。なお、原告らはその後、
右仮処分申請を取り下げた。
7 よって、原告らは被告に対し、第一次確認書に基づき、各別紙請求内訳一覧記
載のとおり、昭和五八年六月から同五九年三月までの賃金相当額、同五八年の夏季
と冬季、同五九年の夏季の各一時金、右各金員に対する弁済期の翌日から支払ずみ
まで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金、並びに同五九年四月以降被告の
斡旋により就職するまで、毎月二八日限り賃金相当額の支払を求める。
二 請求原因に対する認否
1(一) 請求原因1(一)、(三)の事実は認める。
(二) 同1(二)の事実のうち、原告らが現在生コン支部の組合員であること、
生コン支部が関西地区生コン支部労働組合と名称を変更したことは否認し、その余
は認める。生コン支部が分裂して右労働組合が結成されたものである。
2 同2の事実は認める。
3 同3の事実のうち、生コン支部と被告間において昭和五七年一二月一三日、被
告が原告らの雇用保障を行うこと、被告が原告らに一定の金銭を贈与する旨の確認
書が取り交わされたことは認めるが、その余は否認する。右確認書は、被告が原告
らの就職を斡旋をするまで金銭を贈与するとの内容であった。
4 同4は否認する。
5 同5は否認する。第一次確認書は、生コン支部を要約者、被告を諾約者、原告
らを受益者とする第三者のためにする契約と解すべきである。なお、第一次確認書
を労働協約と解した場合、原告らは昭和五八年一〇月ころ、生コン支部から分離独
立した総評全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部に加盟し、生コン支部
を脱退したので、原告らには第一次確認書の効力は及ばないことになった。
6(一) 同6(一)の事実は認める。
(二) 同6(二)の事実のうち、シェアに関する事項は認め、その余は否認す
る。
(三) 同6(三)の事実のうち、原告らが被告の犠牲となって失業したこと、被
告は原告らの就職先を斡旋する義務があることは否認し、その余は認める。
(四) 同6(四)の事実のうち、生コン支部と被告間で団体交渉を行ったことは
否認し、その余は認める。
三 抗弁
1(一) 生コン支部は昭和五八年四月一三日被告との間において、原告らの雇用
保障については、被告の責任において甲会社に就職させるものとし、その賃金、労
働条件については当該労使間で協議決定するものとする旨の確認書を取り交わした
(以下「第二次確認書」という)。
(二) 第一及び第二次確認書(以下併せて「本件各確認書」ということがある)
における被告の債務は、甲会社に原告らの就職を斡旋すること、右就職斡旋まで被
告は原告らに金員を贈与することの二点となった。
2(一) 被告は甲会社に、原告らの採用試験を依頼し、甲会社は同年五月二一日
と同年六月八日の二回原告らの採用試験を実施したが、同人らを不採用とした。
(二) 右のとおり、被告は本件各確認書に基づく就職斡旋債務を尽くした。
3 本件各確認書における被告の債務が、原告らを甲会社に現実に就職させること
であるとしても、以下のとおり、原告らは甲会社に就職する意思がなく、そのため
甲会社は原告らの採用を拒否したので、被告は原告らに対し、条件成就とみなす旨
の意思表示をした。したがって民法一三〇条に基づき、被告の原告らに対する金銭
贈与債務は消滅した。
(一) 甲会社は同和問題について熱心な企業であるところ、昭和五八年五月二一
日の採用試験において、原告らが、同和問題を正しく理解し、同和問題に独断と偏
見を抱いていないかを問う問題を提出した。しかるに原告らには同和問題の正しい
認識及び理解が欠けていたため、甲会社は同人らを不採用とした。
(二) 被告は、甲会社に再度の採用試験を依頼するとともに、生コン支部に対
し、原告らが甲会社に就職を望む以上同和問題の正しい認識と理解が不可欠である
から、この点原告らに十分に説明し、原告らは右正しい認識と理解をもったうえで
採用試験に臨むよう申し入れた。
(三) 甲会社は同年六月八日、再度の採用試験を実施し、同和問題について出題
したが、原告らは、前回同様に同和問題の正しい認識及び理解に欠け、そのため甲
会社は原告らに就職の意思なきものと判断して不採用とした。
四 抗弁に対する認否
1 抗弁1(一)の事実は認め、(二)は否認する。第二次確認書は、原告らの就
職先の第一候補として甲会社を選定したものにすぎず、就職先を同社に限定する趣
旨ではない。
2 同2(一)の事実は認め、(二)は争う。
3 同3冒頭部分は否認又は争う。
(一) 同3(一)の事実のうち、甲会社は同和問題について熱心な企業であるこ
と、昭和五八年五月二一日の採用試験において同和問題に関する問題が出されたこ
と、甲会社は原告らを不採用としたことは認めるが、その余は否認する。
(二) 同3(二)の事実のうち、被告は甲会社に再度の採用試験を依頼したこと
は認めるが、その余は否認する。被告は生コン支部に対し、採用試験において原告
らに一問でも二問でも答えてもらいたいと述べたにすぎない。
(三) 同3(三)の事実のうち、甲会社は同年六月八日、再度の採用試験を実施
し、同和問題について出題したこと、原告らは不採用となったことは認めるが、そ
の余は否認する。
五 再抗弁
1 被告の債務が就職斡旋にとどまるとしても、右斡旋先は、労働条件が箕島社と
同等又はそれに準ずる企業に限定されていた。
2 甲会社は原告らに対し、労働条件としてミキサー車の運転のみならず、箕島社
では従事していなかった同和問題に関する活動、社会党の選挙活動への応援に従事
するよう提示した。
3 したがって、甲会社の労働条件は箕島社と同等又はそれに準ずるものとはいえ
ず、甲会社を斡旋しても被告は斡旋債務を尽くしたことにはならない。
六 再抗弁に対する認否
 否認する。
第三 証拠(省略)
       理   由
一 当事者など
1 原告らは、生コンクリート製造販売等を業とする箕島社に雇用され、生コンミ
キサー車の運転に従事し、昭和五七年三月から五月にかけて生コン支部に加盟した
こと、被告は、同五二年三月三日中小企業等協同組合法に基づいて設立された事業
協同組合で、大阪市内の生コン製造業者により構成され、大阪市内を販売区域と
し、生コンの共同販売を主たる目的としていること、箕島社は被告の員外利用者
(準会員)であること、被告は、構成員の生コン業者の共存共栄を図るため、被告
の販売区域の生コン需要はすべて被告が注文を受け、それを予め決められたシェア
に従い加盟各社に割り当て、加盟各社は右シェアの範囲内でのみ生コンを販売する
ことができ、その代金は被告が集金して加盟各社に分配するという、共同受注、共
同販売、共同集金の完全共販体制をとっていること、生コン製造能力も右シェアに
応じて制限され、被告の同意なくして拡大することはできないこと、加盟各社が廃
業するときは、シェアを被告に返上し、被告がそれを他に割り当てること、被告を
除外して、加盟各社間の直接取引によりシェアを変更することはできないことは、
当事者間に争いがない。
2 証人b、同cの各証言によれば、昭和五七年当時被告の正会員は一七社、員外
利用者は四社で、正会員は理事と実務担当者各一名を被告に派遣し、員外利用者は
理事を派遣していなかったが、四社で一名の実務担当者を派遣していたこと、シェ
アは加盟各社のプラント規模、従業員数、ミキサー車の保有台数、加盟前の実績等
により決められていたことが認められる。
二 本件各確認書取り交わしの経緯
1 被告は、甲会社から加盟申込を受け、それを認めるためには同社にシェアを割
り当てる必要があったため、シェア調整の方法として加盟各社からプラント廃業希
望者を募ったところ、箕島社がこれに応募し、昭和五七年一〇月二八日工場を閉鎖
して事業を廃止し、従業員全員を解雇したこと、箕島社から、原告aは同月三〇日
以降就労を拒否されて実質上解雇され、その余の原告らは同年一一月一〇日解雇さ
れたこと、原告らは、同社を相手方とし大阪地方裁判所に解雇無効を理由として、
従業員たる地位確認の仮処分申請を行い、他方生コン支部は、箕島社及び被告に対
し、企業閉鎖及び従業員の解雇を撤回するよう要求したこと、生コン支部と被告間
において昭和五七年一二月一三日、被告が原告らの雇用保障を行うこと、被告が原
告らに一定の金銭を贈与する旨の確認書を取り交わしたこと、右取り交わし後、原
告らは右仮処分申請を取り下げたことは、当事者間に争いがない。
2 右争いのない事実、成立に争いのない甲第二ないし八号証、証人b、同cの各
証言を総合すれば、以下の事実が認められ、この認定を左右するに足りる証拠はな
い。
(一) 甲会社は生コンクリート工場を新設し、昭和五七年七、八月ころ被告に対
し加盟を申し入れた。被告は理事会で協議し、加盟を承認することはシェアの減少
をもたらすため消極的な意見もあったが、中小企業等協同組合法上加盟を拒否する
ことはできず、行政当局からの指導もあったため、甲会社の加盟を認めることと
し、いわゆるスクラップアンドビルド方式(既存の設備を廃棄し、同規模の新しい
生産設備を別に設ける方式、以下「S・B方式」という)により、被告の加盟各社
から廃業者を募って、そのシェアを甲会社に割り当てることとした。箕島社は同年
一〇月二七日右募集に応じ同日被告との間で、箕島社は廃業し所有する生コンクリ
ート製造プラントを撤去すること、被告は箕島社に廃業費用を支払うこと、箕島社
の廃業により離職した原告ら外五名の従業員については、被告の責任において雇用
保障することなどの内容の覚書を取り交わした。その後被告は箕島社に約四〇〇〇
万円の廃業費用を支払った。甲会社は同年一一月ころ員外利用者として被告に加盟
した。
(二) 箕島社が原告らを解雇した後、原告ら及び生コン支部は、箕島社に対し団
体交渉を申し入れ、被告に対し抗議や交渉を申し入れた。原告らの言い分は、被告
が甲会社を加盟させるため廃業企業を募ったことにより、箕島社が閉鎖し原告ら従
業員は解雇されたのであり、箕島社のシェアにつき他の加盟企業が代わって出荷し
利益を得ることから、被告が解雇従業員の雇用先を確保すべきであるということで
あった。
(三) 当時、生コンクリート業界において適正な生産量に縮小するため構造改善
事業が進行中であり、過剰なプラント工場が閉鎖されていたところ、生コン支部は
甲会社のプラント工場の新設は、構造改善事業の基本精神に反するとともに、箕島
社の従業員が失業するとして、当初箕島社の廃業及び甲会社の被告加盟に反対した
が、その後被告に対し、箕島社の廃業と原告らの解雇を認めるかわりに、原告らの
就職を保障するとともに、就職までの間箕島社から得ていた賃金相当額を支払えと
要求した。
(四) 生コン支部は被告と交渉を重ねた結果、同年一二月一三日被告との間で、
「①協同組合は箕島社の労働者である原告ら外三名の雇用保障を行う。②年末一時
金の差額については、一二月一七日に支払う。③一一月分賃金差額ならびに工組連
合会通達による一〇月、一一月の最低保障については、一二月二一日に支払う。た
だし、一〇月、一一月の最低保障については、地位保全仮処分決定により箕島社よ
り支払われた場合は返還する。なお九月分については解決後に精算する。④一二月
よりの賃金は、三〇万円プラス交通費、社会保険負担分(七割)を加算した額を毎
月二八日に支払う。⑤ダンプ一台は協同組合が買い上げる。額については別途協議
する。⑥その他については、協組・労組において継続して協議を行う。」との内容
の第一次確認書を取り交わした。生コン支部は、被告は、原告らを同業他社へ就職
させる責任があり、就職させるまでの間箕島社から得ていた賃金相当額を原告らに
支給すべきであるとして、その意味で雇用保障という言葉を用いるよう求め、被告
はそのことを了解して右確認書が取り交わされた。被告は、S・B方式からして原
告らの就職先は甲会社が適切であると考えていたが、生コン支部が甲会社の被告加
盟に反対しており、原告らの雇用につき甲会社の了解を得ていなかったこともあ
り、右取り交わし当時、具体的な就職先については話合われなかった。
(五) 甲会社は昭和五八年一月二〇日ころ生コン工場の操業を開始し、同月末こ
ろから被告の受注してきた生コンの販売を開始した。被告は甲会社に対し、S・B
方式であるから原告ら箕島社の従業員を雇用するよう交渉を継続していたところ、
甲会社は同年三月末ころ原告らの採用試験を行うことを了承した。生コン支部も甲
会社の被告加盟を認め、原告らの就職先は甲会社とすべきだと主張した。
(六) 生コン支部と被告は同年四月一三日、「①箕島社の廃業に際し、当該社が
事前協議を行わなかったことについての確認を怠ったこと、および当協組が労組と
の間で事前に充分な協議を行わなかったこと、ならびに甲会社の員外利用に絡む諸
問題で業界に混乱が生じたことについて陳謝する。②甲会社のミキサー能力一七五
〇リットルと箕島社のミキサー能力五〇〇リットルとの差、すなわち過剰能力一二
五〇リットルについては、昭和五八年八月末日までに当協組全体の責任において解
決する。なお、この措置の受け皿となる会社のシェアは、このことをもって変動さ
せない。③箕島社に在籍した九名の雇用保障は、当協組全体の責任において、甲会
社に就職させるものとし、その賃金、労働条件については当該労使間で協議決定す
るものとする。④退職等に関する諸問題については、委員会を設け、別途協議決定
するものとする。」との内容の第二次確認書を取り交わした。生コン支部は右取り
交わし当時、原告らは甲会社に就職できるものと考えており、被告も同様の考えを
持ち、被告と生コン支部間では甲会社が採用しなかった場合の措置や、入社には同
和問題の理解が必要であるとの話は何らされなかった。
三 本件各確認書における被告の債務
1 第一次確認書は、被告が箕島社の廃業に伴い失業する原告らの就職先の確保に
責任を持ち、原告らに失業による不利益を生ぜしめないとの趣旨で作成されたもの
であることは前認定のとおりであり、同確認書一項に「被告は雇用保障を行う」
と、第二次確認書三項に「被告全体の責任において、甲会社に就職させるものと
し」と各記載されておりその文言からしても、本件各確認書は、被告が、単に原告
らに就職先を斡旋することをもって足りるのではなく、原告らと就職先との間で雇
用契約を成立させる債務を負うとの趣旨で取り交わされたものであるが、雇用契約
を締結するのは原告らと就職先であって、両者のささいな条件の不一致や原告らの
恣意などの事情から、雇用契約が成立しないことも予想され、このような場合にも
被告は就職させる債務を尽くしていないとするのは不合理であるから、本件各確認
書における被告の債務は、被告において、箕島社と大差のない労働条件のもとで原
告らが承諾さえすれば雇用契約が成立するような生コン製造業者を斡旋することで
あり(以下右内容の被告の債務を「本件就職斡旋債務」という)、本件就職斡旋債
務を尽くすまでの間、被告は原告らに対し、原告らが箕島社から得ていた賃金相当
額(一時金について後述のとおり)を支給する義務を負う。前認定のとおり被告は
昭和五七年当時大阪市内の二一社の生コン製造業者で構成され、各社から派遣され
た理事や実務担当者によって運営されていること、証人bの証言によれば、加盟各
社の労働条件は工場の大小によって差はあるものの大差とはいえないこと、箕島社
は小規模の企業であり他の大規模の企業と比ベて労働条件は劣っていたことが認め
られ、これらの事実からすれば、被告としては原告らを箕島社と大差のない労働条
件で加盟各社に就職させることは十分可能であり、被告に本件就職斡旋債務を負わ
せても不合理であるとはいえない。そして、第二次確認書三項(原告らの再就職先
を甲会社に特定した条項)は、被告が原告らに対し就職斡旋する先を具体的に明示
しているが、前記本件各確認書の趣旨からして、甲会社と箕島社が労働条件を大き
く異にし、被告が本件就職斡旋債務を果たしたと認められない場合には、被告は依
然として、他の就職先への斡旋債務を負うと解するのが相当であり、就職斡旋先を
甲会社に限定したものとは解されない。
2 本件各確認書の法的性格について検討する。原告らは労働協約であると主張す
る。労働協約の当事者となりうるのは、労働組合と使用者又はその団体であるとこ
ろ、前述のように原告らは箕島社に雇用されていた者であり、被告は原告らの使用
者には該当しない。労働協約の当事者となる使用者の団体とは、構成員たる使用者
のために労働組合と統一的な団体交渉を行って労働協約を締結することが、規約や
慣行により予定されている団体をいうが、被告がそのような団体であることを認め
るに足りる証拠はないし、使用者の団体が当事者となり、労働条件や労働者の待遇
について定めた労働協約は、各使用者とその雇用する労働者を規律するところ、本
件各確認書は被告の構成員たる加盟各社とその雇用する労働者間を規律するもので
はなく、原告らと被告間に直接的な権利義務関係を発生させるものであることから
しても、労働協約と認めることはできない。原告らは右各確認書は生コン支部が原
告らの代理人として締結したものであるとも主張するが、前記認定のとおり、生コ
ン支部は原告らの代理人としてではなく、当事者本人として締結したものであり、
その中には、生コン支部自体に関する事項も含まれているから、右原告らの主張を
認めることはできない。そうすると、本件各確認書中原告らに関する部分は、生コ
ン支部を要約者、被告を諾約者、原告らを受益者とする第三者のためにする契約で
あると解するのが相当であり、原告d(仮名、以下同じ。)本人尋問の結果による
と、原告らは昭和五七年一二月中には被告に対し契約の利益を享受する意思を表示
したものと認められる。
四 被告が本件就職斡旋債務を尽くしたか否か検討する。
1 成立に争いのない甲第一七号証、一九号証、弁論の全趣旨により真正に成立し
たもの認められる乙第七号証、証人b、同cの各証言、原告d本人尋問の結果を総
合すれば、次の事実が認められ、この認定を左右するに足りる証拠はない。
(一) 甲会社社長のe(仮名、以下同じ。)は被差別部落出身であり、同社及び
同人が経営する乙株式会社(仮名)の従業員に対し、同和問題について十分な認識
と理解を持つことを要求し、従業員の大多数は部落解放運動に積極的に取り組んで
おり、会社内では定期的に同和問題や人権問題の学習会が開催されている。
(二) 甲会社は正当な手続きにより被告に加盟したものであり、箕島社の廃業や
原告らの失業について何ら法的責任はないと考えており、生コン支部は甲会社が被
告に加盟することに反対してきたこと、当時生コン支部は共産党の指導下にあった
が、共産党はeの実践する社会党系の部落解放運動に激しい批判を加えていたこと
からして、当初甲会社は原告らを採用することをためらった。しかしながら、甲会
社は、被告の熱心な要請を受け、失業している原告らを気の毒に思い、同人らが特
定政党に偏頗することなく、部落解放運動を十分認識及び理解し、しかも賃金等の
労働条件が合致するのであれば面談の上採用することとし、被告に対し、同人らの
採用面接を行うと連絡した。甲会社は、原告らを採用するか否かは自由であると考
えていた。被告は原告らの箕島社における賃金等の労働条件を甲会社に伝えた。
(三) 原告らは昭和五八年五月二一日、甲会社へ就職面接を受けに行った。同人
らは、本件各確認書の趣旨からして、箕島社と同様の労働条件で甲会社にすんなり
就職できると思っていた。面接の際、eは原告らに対し、甲会社に入社したいのな
ら同和問題を正しく認識、理解すること、特定政党に偏らないことが必要不可欠で
ある等述べ、同和問題に関し約二時間にわたって説明し、その後個別面接を行って
同和問題に関する各種の質問をしたが、原告らは殆ど答えられなかった。甲会社
は、原告らが同和問題を正しく認識、理解しようとする姿勢に欠けるとして同人ら
を不採用とした。
(四) 原告らは右面接後、甲会社は当初から同人らを雇う意思はないものと考
え、生コン支部の役員と共に、被告に対し抗議行動を行った。被告は甲会社に対し
再度原告らの採用試験を実施するよう依頼し、甲会社はこれを了承した。被告は生
コン支部に対し、同和問題について認識と理解を深めたうえで再度の採用面接に臨
むよう原告らに伝えてほしいと依頼したが、生コン支部は本件各確認書の趣旨から
して原告らは当然甲会社に採用されるべきだとの考えから、同人らには伝達しなか
った。
(五) 原告らは同年六月八日甲会社に再度の就職面接を受けに行った。甲会社は
筆記試験を実施し、同和問題や人権に関する事項について説明せよとの問題が五〇
問出題された。原告らは、当然採用されるものと思い、同和問題に関する出題がな
されると思っていなかったため、答案用紙に自分の名前のみ書き、解答が分からな
いため数分後白紙で提出した。甲会社は、前回同様原告らには同和問題を正しく認
識、理解しようとする姿勢がないとして不採用とした。
2 右認定のとおり、甲会社は原告らを採用するか否かは全く自由であるとの見地
から採用試験を行い、原告らに対し部落解放運動についてeの支持する立場に立っ
た認識と理解を要求し、原告らは同和問題を正しく認識、理解しようとする姿勢に
欠けるとして、同人らを不採用としたものであって、甲会社は前述のとおり、原告
らが承諾さえすれば箕島社と大差のない労働条件で原告らを雇用する企業ではない
から、被告が本件就職斡旋債務を履行したとはいえないし、原告らが甲会社に就職
する意思がないために、同社との間の雇用契約が成立しなかったものでもない。し
たがって、被告は本件就職斡旋債務を履行するまで原告らに対し、賃金相当額を支
給する義務を有する。
五 成立に争いのない甲第一二号証によれば、第一次確認書に基づき被告が原告ら
に対し毎月二八日に支払うべき賃金相当額は各別紙認容内訳一覧のとおりであるこ
とが認められる。右各金員の弁済期は毎月二八日であり、遅延損害金の起算日は毎
月二九日であるから、遅延損害金は同内訳一覧記載のとおりである。被告は商人で
はないし、右賃金相当額の債務は商行為によって生じた債務であるとはいえないか
ら、遅延損害金の利率は民法所定の年五分である。
 原告らは、昭和五八年夏季、冬季、同五九年夏季の各一時金も請求しているとこ
ろ、第一次確認書一項は「原告らの雇用保障を行う」と規定し、同規定に基づき被
告が原告らに支給すべき金員の額及び支払日については、二項以下において具体化
されているところ、一時金については昭和五七年年末の一時金の差額に関する支払
い条項はあるものの、それ以外の一時金に関する条項はないことからして、被告が
昭和五八年以降の一時金の支払い義務を負うと認めることはできないし、他に右事
実を認めるに足りる証拠はない。
六 よって、原告らの請求は、昭和五八年六月以降被告が本件就職斡旋債務を尽く
すまでの間、毎月二八日限り各別紙認容内訳一覧記載の各賃金相当額、並びに同内
訳一覧記載の同月以降昭和五九年三月分までの右各金員に対する弁済期日の翌日か
ら支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度におい
て理由があるからこれを認容し、その余は失当であるからこれを棄却し、訴訟費用
の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条一項を、仮執行の宣言につき同法
一九六条一項をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 蒲原範明 土屋哲夫 大竹昭彦)
〔編注〕 事件関係人の人名は一部仮名にした。
請求内訳一覧No.1~6(省略)
  認容金額一覧表
(1) 原告dに対し、
 金三三八万三二八三円及び内金三二六万六四七〇円に対する昭和五九年八月一日
から完済まで年五分の割合による金員、並びに昭和五九年四月以降、同原告が被告
の斡旋により就職するまで、または被告が同原告に対し同原告が承諾すれば箕島興
産株式会社と大差のない労働条件で雇用契約が成立するような生コン製造業者を斡
旋するまで、毎月二八日限り金三二万六六四七円宛。
(2) 原告f(仮名、以下同じ。)に対し、
 金三四九万七六五〇円及び内金三三七万六八九〇円に対する昭和五九年八月一日
から完済まで年五分の割合による金員、並びに昭和五九年四月以降、同原告が被告
の斡旋により就職するまで、または被告が同原告に対し右(1)と同様の生コン製
造業者を斡旋するまで、毎月二八日限り金三三万七六八九円宛。
(3) 原告g(仮名、以下同じ。)に対し、
 金三四一万〇二六四円及び内金三二九万二五二〇円に対する昭和五九年八月一日
から完済まで年五分の割合による金員、並びに昭和五九年四月以降、同原告が被告
の斡旋により就職するまで、または被告が同原告に対し右(1)と同様の生コン製
造業者を斡旋するまで、毎月二十八日限り金三二万九二五二円宛。
(4) 原告h(仮名、以下同じ。)に対し、
 金三三七万二三一一円及び内金三二五万五八八〇円に対する昭和五九年八月一日
から完済まで年五分の割合による金員、並びに昭和五九年四月以降、同原告が被告
の斡旋により就職するまで、または被告が同原告に対し右(1)と同様の生コン製
造業者を斡旋するまで、毎月二八日限り金三二万五五八八円宛。
(5) 原告i(仮名、以下同じ。)に対し、
 金三三二万五七四六円及び内金三二一万〇九二〇円に対する昭和五九年八月一日
から完済まで年五分の割合による金員、並びに昭和五九年四月以降、同原告が被告
の斡旋により就職するまで、または被告が同原告に対し右(1)と同様の生コン製
造業者を斡旋するまで、毎月二八日限り金三二万一〇九二円宛。
(6) 原告aに対し、
 金三四八万二八五〇円及び内金三三六万二六〇〇円に対する昭和五九年八月一日
から完済まで年五分の割合による金員、並びに昭和五九年四月以降、同原告が被告
の斡旋により就職するまで、または被告が同原告に対し右(1)と同様の生コン製
造業者を斡旋するまで、毎月二八日限り金三二万六二六〇円宛。
 認容内訳一覧
(1) d
 支払日 賃金相当額 遅延損害金
昭和五八年
 六月二八日 三二万六六四七円 一万七八二七円
 七月二八日 三二万六六四七円 一万六四八五円
 八月二八日 三二万六六四七円 一万五〇九八円
 九月二八日 三二万六六四七円 一万三七一一円
一〇月二八日 三二万六六四七円 一万二三六八円
一一月二八日 三二万六六四七円 一万〇九八一円
一二月二八日 三二万六六四七円 九六三九円
昭和五九年
 一月二八日 三二万六六四七円 八二五五円
 二月二八日 三二万六六四七円 六八七二円
 三月二八日 三二万六六四七円 五五七七円
 小計三二六万六四七〇円 小計一一万六八一三円
 賃金相当額及び遅延損害金の合計三三八万三二八三円
(2) f
 支払日 賃金相当額 遅延損害金
昭和五八年
 六月二八日 三三万七六八九円 一万八四三〇円
 七月二八日 三三万七六八九円 一万七〇四二円
 八月二八日 三三万七六八九円 一万五六〇八円
 九月二八日 三三万七六八九円 一万四一七四円
一〇月二八日 三三万七六八九円 一万二七八六円
一一月二八日 三三万七六八九円 一万一三五二円
一二月二八日 三三万七六八九円 九九六四円
昭和五九年
 一月二八日 三三万七六八九円 八五三四円
 二月二八日 三三万七六八九円 七一〇四円
 三月二八日 三三万七六八九円 五七六六円
 小計三三七万六八九〇円 小計一二万〇七六〇円
 賃金相当額及び遅延損害金の合計三四九万七六五〇円
(3) g
 支払日 賃金相当額 遅延損害金
昭和五八年
 六月二八日 三二万九二五二円 一万七九六九円
 七月二八日 三二万九二五二円 一万六六一六円
 八月二八日 三二万九二五二円 一万五二一八円
 九月二八日 三二万九二五二円 一万三八二〇円
一〇月二八日 三二万九二五二円 一万二四六七円
一一月二八日 三二万九二五二円 一万一〇六九円
一二月二八日 三二万九二五二円 九七一六円
昭和五九年
 一月二八日 三二万九二五二円 八三二一円
 二月二八日 三二万九二五二円 六九二六円
 三月二八日 三二万九二五二円 五六二二円
 小計三二九万二五二〇円 小計一一万七七四四円
 賃金相当額及び遅延損害金の合計三四一万〇二六四円
(4) h
 支払日 賃金相当額 遅延損害金
昭和五八年
 六月二八日 三二万五五八八円 一万七七六九円
 七月二八日 三二万五五八八円 一万六四三一円
 八月二八日 三二万五五八八円 一万五〇四九円
 九月二八日 三二万五五八八円 一万三六六六円
一〇月二八日 三二万五五八八円 一万二三二八円
一一月二八日 三二万五五八八円 一万〇九四五円
一二月二八日 三二万五五八八円 九六〇七円
昭和五九年
 一月二八日 三二万五五八八円 八二二八円
 二月二八日 三二万五五八八円 六八四九円
 三月二八日 三二万五五八八円 五五五九円
 小計三二五万五八八〇円 小計一一万六四三一円
 賃金相当額及び遅延損害金の合計三三七万二三一一円
(5) i
 支払日 賃金相当額 遅延損害金
昭和五八年
 六月二八日 三二万一〇九二円 一万七五二四円
 七月二八日 三二万一〇九二円 一万六二〇四円
 八月二八日 三二万一〇九二円 一万四八四一円
 九月二八日 三二万一〇九二円 一万三四七七円
一〇月二八日 三二万一〇九二円 一万二一五八円
一一月二八日 三二万一〇九二円 一万〇七九四円
一二月二八日 三二万一〇九二円 九四七五円
昭和五九年
 一月二八日 三二万一〇九二円 八一一五円
 二月二八日 三二万一〇九二円 六七五五円
 三月二八日 三二万一〇九二円 五四八三円
 小計三二一万〇九二〇円 小計一一万四八二六円
 賃金相当額及び遅延損害金の合計三三二万五七四六円
(6) a
 支払日 賃金相当額 遅延損害金
昭和五八年
 六月二八日 三三万六二六〇円 一万八三五二円
 七月二八日 三三万六二六〇円 一万六九七〇円
 八月二八日 三三万六二六〇円 一万五五四二円
 九月二八日 三三万六二六〇円 一万四一一四円
一〇月二八日 三三万六二六〇円 一万二七三二円
一一月二八日 三三万六二六〇円 一万一三〇四円
一二月二八日 三三万六二六〇円 九九二二円
昭和五九年
 一月二八日 三三万六二六〇円 八四九八円
 二月二八日 三三万六二六〇円 七〇七四円
 三月二八日 三三万六二六〇円 五七四二円
 小計三三六万二六〇〇円 小計一二万〇二五〇円
 賃金相当額及び遅延損害金の合計三四八万二八五〇円
(遅延損害金は、いずれも各賃金相当額に対する各支払日の翌日から昭和五九年七
月三一日までの年五分の割合による金員)
 請求金額一覧表
1 原告dに対し、
 金五一六万七、八八三円及び内金四九六万六、四七〇円につき昭和五九年八月一
日以降完済まで年六分の割合の金員及び昭和五九年四月二八日以降被告の斡旋によ
り原告dが就職するまで毎月二八日限り金三二万六、六四七円宛。
2 原告fに対し、
 金五二八万三、〇七一円及び内金五〇七万六、八九〇円につき昭和五九年八月一
日以降完済まで年六分の割合の金員及び昭和五九年四月二八日以降被告の斡旋によ
り原告fが就職するまで毎月二八日限り金三三万七、六八九円宛。
3 原告gに対し、
 金五一九万五、〇五八円及び内金四九九万二、五二〇円につき昭和五九年八月一
日以降完済まで年六分の割合の金員及び昭和五九年四月二八日以降被告の斡旋によ
り原告gが就職するまで毎月二八日限り金三二万九、二五二円宛。
4 原告hに対し、
 金五一五万六、八三四円及び内金四九五万五、八八〇円につき昭和五九年八月一
日以降完済まで年六分の割合の金員及び昭和五九年四月二八日以降被告の斡旋によ
り原告hが就職するまで毎月二八日限り金三二万五、五八八円宛。
5 原告iに対し、
 金五一〇万九、九三三円及び内金四九一万九二〇円につき昭和五九年八月一日以
降完済まで年六分の割合の金員及び昭和五九年四月二八日以降被告の斡旋により原
告iが就職するまで毎月二八日限り金三二万一、〇九二円宛。
6 原告aに対し、
 金五二六万八、一六三円及び内金五〇六万二、六〇〇円につき昭和五九年八月一
日以降完済まで年六分の割合の金員及び昭和五九年四月二八日以降被告の斡旋によ
り原告aが就職するまで毎月二八日限り金三二万六、二六〇円宛。

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◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
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◎事務所事件の共同受任可

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