弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本判決中有罪の部分を破棄する。
     被告人を懲役一年に処する。
     原審未決勾留日数中三十日を右本刑に算入する。
     昭和二十四年三月十八日附起訴状の追公訴はこれを棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は弁護人松永東、同小山胖共同作成名義控訴趣意書と題する書面
記載の通りである。これに対し当裁判所は左の如く判決する。
 論旨第一点について。
 刑事訴訟法第二百五十六条に起訴状には公訴事実を記載すべきこと、公訴事実は
訴因を明示してこれを為すべきこと、訴因を明示するには目的、場所及び方法を以
て罪となるべき事実を特定してこれを為すべきことが命ぜられてある。その趣旨は
特定した訴因を明示する意味であつて訴因が特定していなければ何が起訴せられた
か、訴訟の物体が判明せず、また被告人において再訴の抗弁をしてよいかどうか判
らないからである。従つて訴因の特定ということは絶体であつて、これが特定して
いない起訴は無効であり後日補正追完によつて有効となるべき性質のものでない。
同法第三百十二条には訴因の変更が許されているがこれは訴因の特定していること
を前提とし特定した訴因を変更するということであつて不特定な訴因を補充完追し
てその特定を許す趣旨ではない。しかうして以上の事は各訴因毎に要求せられるの
であるから数個の訴因を一括記載しその間の区別が判明しないような場合には仮令
右一括せる数個の訴因とこれ以外の犯罪事実との間には混淆の虞れのない場合で
も、右数個に記載された事実が法律上一罪を構成する場合は格別そうでない場合は
右数個の各訴因はそれ自体特定しておるということかできないのである。このこと
は判決に示すべき犯罪事実についても同一である。
 <要旨>さて昭和二十四年三月十八日附の追起訴状の記載を見るとその公訴事実と
して「被告人は昭和二十三年十二月二十八日頃及び昭和二十四年一月七日頃
の二回に亘り東京都中央区ab丁目c番地A株式会社倉庫に於て同会社所有の小型
自動車タイヤ四本バルーンタイヤ七本(合計時価三万六千円相当)を窃取したもの
である」と記載されていること論旨指摘の通りである。しかうして右公訴事実の十
二月二十八日の窃盗と一月七日の窃盗とは連続犯の規定が削除された今日では一罪
を構成しないから右起訴状には二個の窃盗の訴因が含まれていると解するのが相当
であるが、右十二月二十八日の窃盗の目的物が何であるかその数量が幾何である
か、従つて一月七日の窃盗の目的物、数量が何であるかも全く不明であるから各訴
因は特定していないというべきである。素より訴因の特定ということは全体として
の訴因の特定のことで訴因を特定させる因子ともいうべき日時、場所、方法、目的
物等の個々の特定をいうのでないからその各因子の或るものに不特定の部分があつ
ても他の因子と相待つて訴因全体として特定して他の訴因と区別できる程度に、そ
の同一性を認識させれば足るのであつてこのことは当裁判所(刑事十二部)の判例
の示すところであるが(昭和二四年(を)新第九六六号同年十一月十五日判決)本
件起訴は右判例の場合と異なつて十二月二十八日及び一月七日の窃盗の目的物が小
型自動車タイヤ四本バルーンタイヤ七本のうちの何ものかであることが判るだけで
右各窃盗の目的物は特定していない。しかも犯罪の日時も単に年月日だけを記載し
てあつて時間の点迄記載してないから仮りに右十二月二十八日の午前十時頃判示場
所で被告人が小型自動車タイヤ二本の窃取したという起訴が既にあつたとすると本
件十二月二十八日の起訴は右十二月二十八日の午前中の起訴と同一であるかどうか
区別できないのである。かようなわけであるから本件起訴状記載の訴因は不特定な
訴因というべきである。以上の理由によつて右公訴は不適法で無効なものと認め
る。これを有効なものとして受理した原判決はこの点において破棄せらるべきもの
である。
 論旨第二点は右の公訴事実に関するもので右の点で原判決を破棄する以上これに
対する判断は不必要であるから省略する。しかうして本件は自判するに適すると認
めるから刑事訴訟法第三百七十八条第二号第三百九十七条第四百条但書に従つて自
判する。原判決が証拠によつて認定した事実から前記の如く起訴の不適法によつて
公訴を棄却すべき部分を除けば、
 被告人は昭和十八年九月二十二日東京区裁判所で窃盗罪により懲役二年五年間執
行猶予、昭和十九年四月二十八日郡山区裁判所で窃盗罪により懲役一年の各判決の
言渡を受け右執行猶予の言渡は取消され前記各刑の執行を受けて昭和二十二年五月
四日出所したものであるが、金銭に窮した結果、
 (一) 昭和二十四年一月二十二日頃東京都北区d町e番地fアパート内B方か
ら同人所有の女物御召袷二枚外衣類四点を、
 (二) 同年二月二日栃木県芳賀郡g町h町i番地C方から同人所有の現今千二
百円黒羅紗二重まわし、黒ラクダ女コート各一枚八型クローム腕時計一個をそれぞ
れ窃取したものである。
 法律に照すと被告人の判示各所為は刑法第二百三十五条に該当し前科があるから
同法第五十六条第五十七条によつて各刑につき累犯の加重を為し以上は刑法第四十
五条前段の併合罪であるから同法第四十七条本文第十条により同法第十四条の制限
に従つて犯情の重い判示(一)の罪の刑に法定の加重をなしその刑期範囲内で被告
人を懲役一年二月に処し同法第二十一条によつて原審における未決勾留日数中三十
日を右本刑に算入すべきものとする。
 昭和二十四年三月十八日附起訴状による公訴の提起は前記説明の如く無効てある
から刑事訴訟法第三百三十八条四号によつてその公訴を棄却すべきものとする。よ
つて主文の如く判決する。
 (裁判長判事 吉田常次郎 判事 保持道信 判事 鈴木勇)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛