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裁判例


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          主    文
      原判決を取り消す。
本件を名古屋地方裁判所に差し戻す。
          事実及び理由
第1 控訴の趣旨
   主文同旨
第2 事案の概要
 1 本件は,愛知県西加茂郡に属する三好町の住民である控訴人が,同町
が行った長野県木曽郡に属する三岳村に対する自動車2台(以下「本件
各車両」という。)の寄贈(以下「本件寄贈」という。)は違法であるなどとし
て,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下「法」と
いう。)242条の2第1項4号に基づき,同町に代位して,同町の町長であ
った被控訴人に対し,本件各車両の購入代金並びに本件各車両の取得
に際して必要となる車両登録手数料,自動車損害賠償責任保険料及び
自動車重量税(以下,これら購入代金以外の費用を「本件各諸費用」とい
う。)に相当する額として941万9750円の損害賠償を請求している事案
である。
 前提事実及び本案に関する控訴人の主張は,第1審判決の「事実及び
理由」の「第二 事案の概要」の「一」及び「二」に摘示のとおりである。
 2 第1審である名古屋地方裁判所及びその控訴審である名古屋高等裁判
所(以下「原審」という。)は,控訴人の請求に係る訴えは不適法であると
してこれを却下した(以下「原判決」という。)。
 原審が確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
  (1) 三好町は,三岳村に寄贈する目的で平成10年4月2日に本件各車両
を代金合計915万0750円で購入したうえ,同年5月11日に本件各車
両を三岳村に寄贈することを決定し,同月15日に三岳村において贈
呈式を行って本件各車両を引き渡した。
  (2) 三好町は,平成10年6月5日及び同月25日に本件各諸費用を支出し
た。
  (3) 控訴人は,平成12年2月16日,三好町の監査委員に対し,本件寄贈
は,地方公共団体相互間の経費の負担区分を乱すものであり,地方
財政法28条の2に反する違法な行為であるとして,三好町長に対して
車両購入費915万円を同町に返還させるよう求める監査請求(以下
「本件監査請求」という。)を行ったが,監査委員は,同年3月9日,本
件監査請求を却下した。
  (4) 本件寄贈は三好町の町制施行40周年記念「水の感謝」事業として行
われたものであるところ,同町の平成10年度予算書,予算審議の町
議会議事録,同町の広報誌「広報みよし」,「三好町制施行40周年記
念事業基本計画」及び「三好町制施行40周年記念事業のご案内」に
本件寄贈は記載されておらず,同年度の予算説明書にも単に町制施
行40周年記念「水の感謝」事業とのみ記載され本件寄贈は記載され
ていないが,これらは本件寄贈を隠ぺいする趣旨でされたものとはい
えない。また,予算審議を行った総務委員会の会議録及び三好町制施
行40周年記念事業推進委員会の会議録にも本件寄贈は記載されて
おらず,平成10年3月議会における町長の施政方針演説においても
本件寄贈には触れられておらず,本件各車両は三好町の備品台帳に
も記載されていないが,これらも本件寄贈を隠ぺいする趣旨でされたも
のとはいえない。
  (5) 本件寄贈の事実は,平成10年6月3日発行の日刊紙「長野日報」,同
年7月10日発行の三岳村の広報誌「広報みたけ」に掲載されている
が,前者は長野県南西部を対象としたローカル紙,後者は三岳村民を
対象とした広報誌であり,三好町の住民がこれらを目にする機会はな
かった。本件各車両の購入,本件寄贈,贈呈式のための出張等に関し
ては,支出負担行為及び支出命令並びに出張命令等の手続が通常ど
おり執られていたが,三好町の住民は一般的にはそれを知り得なかっ
た。
   この判決に不服である控訴人が上告した。
 3 最高裁判所は,次のとおりの理由で,原判決を全部破棄したうえ,三好町
の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をす
るに足りる程度に本件寄贈の存在及び内容を知ることができたと解され
る時期について審理を尽くしたうえで,法242条2項ただし書にいう正当
な理由があるか否かについて判断させるため,本件を名古屋高等裁判所
に差し戻した。
  (1) 上記事実関係等によれば,本件監査請求は,本件寄贈が地方財政法
28条の2に反する違法な行為であるとしてされたものであり,控訴人
は,本訴において,三好町の住民は,本件寄贈当時,相当の注意力を
もって調査しても客観的にみて本件寄贈の事実を知ることができなか
ったものであり,控訴人自身は三好町議会議員である控訴人補助参加
人が平成12年1月に発行した「議会だより」を見てその事実を初めて
知った旨主張しているところ,三好町の住民が相当の注意力をもって
調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本件寄贈の
存在及び内容を知ることができたと解される時期は,原審の確定する
ところではなく,記録上も明らかではない。しかるに,原審はこれを確定
することなく,本件寄贈が秘密裡にされたものといえないというだけで
直ちに本件監査請求に法242条2項ただし書にいう正当な理由がない
と判断しており,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があ
る。
  (2) 控訴人は,本訴提起後,本件寄贈に際しては,本件各諸費用の支出
(以下「本件各支出」という。)がされていることが判明したとして被控訴
人に対する請求額を増額して請求を拡張したが,上記請求の拡張は,
訴訟物の同一性が認められる範囲で請求する損害額を拡張したもの
であるから,監査請求の経由の点はもとより,出訴期間の遵守の点に
おいても欠けるところがないというべきである。しかるに,原審は本件
各支出が本件監査請求の対象とされていたとは認められないとして,
本件訴えのうち本件各支出に関する26万9000円の支払を求める部
分は,監査請求を経ていない不適法な訴えであると判断しており,判
決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
 4 以上を前提とする差戻し後の当審における争点並びに争点に関する控
訴人・同補助参加人(以下「控訴人ら」という。)及び被控訴人・同参加人
(以下「被控訴人ら」という。)の主張は,次のとおりである。
  (1) 三好町の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査
請求をするに足りる程度に本件寄贈の存在及び内容を知ることができ
たと解される時期はいつか。
(被控訴人らの主張)
   ア 主位的主張
 三好町と三岳村との間では従前から各種行事や各種贈り物の贈
呈が行われており,昭和58年度から平成9年度までの間に,町制2
5周年記念,友好提携記念,愛知用水完工30周年記念,友好提携
10周年記念,国体開催記念及び友好提携15周年記念として,消防
指令車,ワゴン車,リフトカー,村長車(クラウン),福祉バス,村公用
車(カルディナ),その他の物品を寄贈した実績があった。三好町が
三好町制40周年記念事業を行うことは,三好町の住民全体に対す
る広報活動によって広く知れわたっていたところであり,同事業のな
かの一つである「水の感謝」事業として,本件各車両を三岳村に寄
贈することは,三好町における各界代表者のなかから委嘱され,そ
の氏名も公表されている29名の委員をもって構成されている推進
委員会において,平成10年2月27日に承認されたものである。推
進委員会が作成し,その名称が記載されている「三好町制40周年
記念事業のご案内」が三好町内全戸に配布されていることから,三
好町の住民は推進委員会の存在とその事業目的を知っていたとい
うべきであり,更に三好町では過去において,各種記念事業の際に
は三岳村に対し,感謝の意を表明し,友好親善を促進するために各
種贈り物を贈呈し,三岳村からも各種贈り物の贈呈を受けたことが
種々の方法で広報されていたので,三好町の住民はこの事実を知っ
ていたというべきである。
 そうすると,三好町の住民は,三好町制40周年記念事業の一つと
して三岳村に対して何らかの贈り物を贈呈することが推進委員会に
おいて審議決定されたであろうことは十分に推察することができたと
いうべきであり,推進委員会の委員に尋ねたり,推進委員会事務局
に問い合わせるなどすることによって,本件寄贈の事実を知ることが
できたものである。この程度の調査が「相当な注意力をもってする調
査」以前のものであることは,常識上明らかであるから,三好町の住
民は,推進委員会において審議決定された平成10年2月27日ころ
には,本件寄贈の存在及び内容を知ることができたものというべき
である。
イ 第1次予備的主張
 A秘書課長(当時)は,平成10年3月12日,第1回三好町議会定
例会の総務委員会における平成10年度一般会計予算の提案説明
において,「水の感謝」事業として本件各車両を寄贈することを説明
した。総務委員会は,非公開ではなく,「三好町議会委員会に関する
条例」16条1項で,傍聴の取扱いについて,「委員会は,議員のほ
か,委員長の許可を得た者が傍聴することができる。」とされている
うえ,同条例27条2項の規定により,委員会の会議録は,議長が保
管するものと定められており,住民から閲覧等の請求があった場合
には,議長が当該委員会の委員長と協議して,個別具体的に許否
を決定しているところであるから,会議録も非公開ではない。
 そして,B助役(当時)は,同月5日に開会した定例会の本会議に
おいて,平成10年度一般会計予算の提案説明の中で,総務費の主
要事業の一つとして,特に「水の感謝」事業を挙げて説明しているか
ら,三好町の住民は,総務委員会を傍聴し,又はその会議録を閲覧
して担当者に具体的内容を尋ねる等の簡単な方法によって,容易に
本件寄贈の事実を知ることができたものというべきである。この程度
の調査が「相当な注意力をもってする調査」以前のものであること
は,常識上明らかであるから,三好町の住民は,議会総務委員会に
おいて「水の感謝」事業が具体的には本件各車両の寄贈であること
の説明があった平成10年3月12日ころには,本件寄贈の存在及び
内容を知ることができたものというべきである。
   ウ 第2次予備的主張
 三好町は,平成10年3月18日,平成10年度一般会計予算につ
いて,歳出に係る「款」10・総務費,「項」5・総務管理費,「目」54・
国内交流費,「節」18・備品購入費として,931万6000円を計上
し,説明欄には「長野県三岳村との友好親善費1660万4000円」
そのうち「町制施行40周年記念『水の感謝』事業958万5000円」と
記載されている予算書及び予算説明書を三好町役場内の総務部総
務課窓口において住民の閲覧に供する方法によって公表している。
 三好町が三好町制施行40周年記念事業を行うこと及び各種記念
事業等として友好都市三岳村に贈り物を贈呈することが当時の慣習
となっていたことは,いずれも住民の間に広く知れわたっていたとこ
ろであるから,本件についても,従来からの慣習に従って三岳村に
対してしかるべき贈り物が寄贈されるであろうことは,当然推察でき
たところである。したがって,三好町住民は,何らかの端緒があれ
ば,僅かばかりの労を厭わず調査することによって容易に本件寄贈
の事実を知ることができたものというべきであり,上記予算書及び予
算説明書を閲覧すれば,三好町が958万5000円を支出して「水の
感謝」事業として,何らかの記念事業を行うことを知ることができたも
のであり,更に三好町職員に尋ねることによって,記念事業が具体
的には本件各車両の寄贈であることを知ることも,極めて容易に可
能であったものである。この程度の調査が「相当な注意力をもってす
る調査」以前のものであることは,常識上明らかであるから,三好町
の住民は,予算書及び予算説明書を公表した平成10年3月18日こ
ろには,本件寄贈の存在及び内容を知ることができたものというべき
である。
   エ 第3次予備的主張
 C秘書課長は,平成11年12月13日及び同月14日に開催された
平成10年度一般会計歳入歳出決算を審議するための第4回三好
町議会定例会の総務委員会において,「款」10・総務費,「項」5・総
務管理費,「目」54・国内交流費について詳細に説明し,上記委員
会委員である控訴人補助参加人の質問に対して本件各車両を寄贈
した旨回答し,審議の結果,控訴人補助参加人を含む全員の賛成
によって,当該決算認定が承認された。三好町の住民は,上記総務
委員会を傍聴し,又は会議録を閲覧したり,同委員会の委員や三好
町の担当職員に問い合わせる等の方法によって,極めて容易に本
件寄贈の事実を知ることができたものである。この程度の調査が「相
当な注意力をもってする調査」以前のものであることは,常識上明ら
かであるから,三好町の住民は,議会総務委員会において「水の感
謝」事業が具体的には本件各車両の寄贈であったことの説明があっ
た平成11年12月13日ころには,本件寄贈の存在及び内容を知る
ことができたものというべきである。
   オ 第4次予備的主張
 三好町は,平成11年12月17日に,総務課窓口において,平成1
0年度一般会計歳入歳出決算に係る決算書,実績並びに主要施策
報告書を住民の閲覧に供した。したがって,前記ウにおいて予算書
について述べたところと全く同様の理由により,三好町の住民は,決
算書,実績並びに主要施策報告書が公表された平成11年12月17
日ころには,本件寄贈の存在及び内容を知ることができたものという
べきである。
(控訴人らの主張)
 控訴人補助参加人は,年4回行われる定例議会後,住民に議会活動
を報告するため,「控訴人補助参加人議会だより」を発行していた。控
訴人補助参加人は,平成11年12月に開催された三好町議会総務委
員会において,町制施行40周年記念水の感謝事業の内容を問い質し
たところ,C秘書課長が本件各車両の寄贈を回答したため,その事実
を知った。控訴人補助参加人は,住民に知らせることなく,三岳村に1
000万円近い車両を友好交流と称し寄贈することには問題があると考
え,これを「控訴人補助参加人議会だより(第19号)」で取り上げること
にし,同月の議会終了後記事内容を検討し,同年12月末に編集者に
記事の概略の説明と資料の手渡しを行い,平成12年1月10日ころ文
面が完成したため,約8000部印刷したのち,町内に戸別配布を始め
た。
 控訴人は,同月20日ころ上記「控訴人補助参加人議会だより」を受
け取って読み,初めて本件寄贈の事実を知った。しかし,「控訴人補助
参加人議会だより」は,三好町が作成したような公的文書ではなく,三
好町内では受け取っていない住民が多数存在する。
 本件寄贈の事実は,控訴人のような一般住民はもとより,三好町内
の公職者でさえ知り得るものではなく,これを知り得たのは被控訴人の
周囲にいるごく限られた取り巻きにすぎなかった。上記総務委員会に
おける控訴人補助参加人の質問によって,初めて本件寄贈の事実が
明らかとされたが,これによって当然に三好町の住民が本件寄贈の事
実を知ることができたとはいえない。
 したがって,三好町の住民は,少なくとも上記「控訴人補助参加人議
会だより」が配布された平成12年1月20日ころ以前においては,相当
な注意力をもって調査をしたとしても,本件寄贈の存在及び内容を知る
ことはできなかったものというべきである。
  (2) 控訴人は,被控訴人ら主張の上記(1)の各時期において,相当の注意
力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本
件寄贈の存在及び内容を知ることができたといえるか(当審における
被控訴人らの補足的主張)。
(被控訴人らの主張)
控訴人が提出した本件住民監査請求の事実証明書には,「判例自治
121号抜粋」として,地方自治体間のミニパトカー寄付事件に係る判決
及び「平成5年10月22日下野新聞に記載の記事」を添付し,監査請
求書において,地方自治体間の寄付行為が裁判で争われた上記事件
が新聞でも大きく報道されており,三好町は地方自治体として当然承
知していなければならない旨の記載がある。このことから,控訴人は,
車両寄贈行為が「地財法第28条の2の規定に反する違法行為にあた
る」との疑念を抱いていたものであり,本件寄贈が住民監査請求の対
象行為であることは,少なくとも控訴人がいう下野新聞に報道された平
成5年10月22日ころには了知していたことを知ることができる。
 更に,前記事実証明書には,「平成6年度三好ものしり百科抜粋」とし
て,「友好町村提携」に関する事項(抜粋)が添付されている。これは三
好町が平成6年度に発行し,公表している資料であり,記載内容は,友
好提携から平成5年度までの間に,記念として三好町から三岳村へ寄
贈した物品を紹介したものである。このことから,三好町では記念事業
として慣習的に物品寄贈行為が行われてきた事実を容易に知り得るこ
とができたこと,少なくとも三好町が発行した「平成6年度三好ものしり
百科」により,物品の寄贈事実及び内容を容易に知ることが可能であ
ったことを知ることができる。
 そのうえ,控訴人は控訴人補助参加人との密接な関係があったこと
から,控訴人補助参加人を通じて,推進委員会の委員,三好町の担当
者,三好町議会の議長その他の議員等に尋ねたり,予算書や決算書
等を閲覧し,委員会の傍聴,会議録の閲覧等の許可を得たりすること
が一般住民の場合と比較して容易であったことも,極めて容易に推測
し得る。そうすると,控訴人が相当の注意力をもって調査すれば客観
的にみて監査請求をするに足りる程度に本件寄贈の事実を知ることが
できたと解される時期は,上記(1)の三好町の一般住民に関する主位
的主張及び各予備的主張における時期より早いことはあり得ても,遅く
なることはあり得ないところであるから,仮に,これらの各時点において
は三好町の一般住民は相当の注意力をもって調査すれば客観的にみ
て監査請求をするに足りる程度に本件寄贈の事実を知ることができな
かったとしても,控訴人において可能であった以上,これらの各時点を
基準として,法242条2項ただし書にいう正当な理由があるか否かに
ついて判断すべきである。
(控訴人らの主張)
 控訴人は,平成12年1月20日ころ,「控訴人補助参加人議会だよ
り」を読んで,このような物品寄贈は許せない,何とかやめさせる方法
はないかと考え,それまで面識のなかった控訴人補助参加人に相談を
持ちかけ,控訴人補助参加人の協力を得て本件監査請求を行ったの
である。したがって,控訴人が,それ以前に控訴人補助参加人と密接
な関係があったなどということはなく,控訴人が同日以前に本件寄贈の
事実を知ることはあり得なかった。
 なお,一般論として,町会議員が,支援者に対し,問題も表面化して
いないにもかかわらず,各種委員会委員や町の担当者,町議会議長
等に尋ねるよう指示を出したり,予算書や決算書の閲覧や委員会の傍
聴,会議録の閲覧等を薦めたりすることはしない。
  (3) 控訴人が本件監査請求をするについて監査請求期間を徒過したこと
について,法242条2項ただし書所定の正当な理由があるか。
(控訴人らの主張)
 控訴人は,平成12年1月20日ころに本件寄贈の事実を知ったため,
控訴人補助参加人に事実関係を確かめるとともに,控訴人補助参加
人の協力を得て同年2月16日に郵送で三好町監査委員宛に住民監
査請求書を提出し,本件監査請求を行った。この間は約28日間にす
ぎず,極めて短期間であるから,控訴人は,三好町の住民が相当の注
意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在
及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請
求をしたことは明らかであり,本件監査請求は適法なものである。
(被控訴人らの主張)
 法242条2項ただし書き所定の正当な理由があるといえるために
は,普通地方公共団体の住民は,当該財務会計行為の事実を知って
から相当な期間内に監査請求をする必要があるが,上記相当な期間と
は一般的に30日程度をもって妥当とすべきである。
 仮にそうでないとしても,少なくとも本件においては,本件寄贈の性
格,控訴人を取り巻く環境等の具体的事情から勘案して30日程度を
相当とすべきである。すなわち,①三好町の三岳村への物品寄贈は,
友好交流を開始して以来節目の年を記念して慣行的に行ってきたもの
であり,広く住民に周知されており,本件寄贈についても住民が予測す
ることが十分に可能であり,しかも具体的な事実内容の調査も極めて
容易であったこと,②控訴人は,住民監査請求に関する法的な知識及
び本件寄贈に関する情報をはじめとし,三好町政に関する情報を,一
般住民より早くかつ詳細に入手しており,少なくとも入手し得る立場に
あったから,本件寄贈については何らの能動的な調査,準備を要する
ものではなく,仮に若干の調査,準備を要するとしても,極めて短期間
のうちにこれを完了し得たこと,③本件監査請求をするために必要な
調査は,本件各車両寄贈の事実があったことのみであって,その内容
を調査して把握することは極めて容易であり,しかも監査請求の対象と
なる行為を他の行為と区別するために格別の配慮を払う必要もなく,こ
れを証する書面も三好町が議会の議決後速やかに公表した当該事業
に係る予算または決算が記載された予算書,決算書の写しで足りるも
のであり,住民監査請求をするための準備は極めて短期間で可能であ
ったこと,④控訴人は,本件監査請求の証拠書類として,那須郡小川
町におけるミニパトカー寄付事件に関する新聞報道を添付しており,こ
のことからすれば,控訴人は以前(少なくとも上記新聞報道のあったこ
ろ)から地方自治体間の車両寄贈が地方財政法28条の2に抵触する
ものではないかとの知識を有していたことが明らかであること,などの
事情に照らせば,本件においては,上記相当な期間は通常の事例の
場合よりも短期間で十分であるというべきであり,30日程度の期間と
するのが正当である。
 そして,三好町の住民は,前記のとおり遅くとも平成11年12月17日
までには相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求を
するに足りる程度にその存在及び内容を知ることができたと解される
から,本件監査請求は,上記相当な期間内にされたものとは到底認め
られず不適法である。
第3 当裁判所の判断
 1 争点(1)について
  (1) 前記第2の2の事実,甲第7号証,丙第1号証の1ないし3,第3,第4
号証,第9号証の1ないし3,第11,第12号証,第13号証の1ないし
6,第14号証の1ないし6,第15号証の1ないし3,第16号証の1ない
し3,第17,第18号証,第21ないし第24号証,第27号証,証人Aの
証言及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。
   ア かつて水不足に苦しんでいた三好町は,昭和36年9月30日に長野
県木曽郡三岳村所在の牧尾ダムを水源とする愛知用水が通水し,
その恩恵を受けることとなったが,同ダム建設に伴い水没した184
戸のうち7戸が三好町に移住したことから,その家族を通じ,三好町
と三岳村との間で交流が開始されることとなり,その後両町村間に
おいて,数々の贈り物がされるようになった。
 三好町は,平成10年度に町制施行40周年を迎えることから,平
成7年10月13日に,各層の代表により組織された「三好町制施行4
0周年記念事業検討委員会」(以下「検討委員会」という。)を設置す
ることとし,計7回に及ぶ検討委員会の審議を経て,平成8年8月13
日に検討委員会から三好町長に対し記念事業に係る基本計画につ
いての最終報告がされた。三好町は,この基本計画に基づき,その
記念事業の円滑な推進を図るため,「三好町制施行40周年記念事
業推進委員会」(以下「推進委員会」という。)を設置することとし,
「三好町制施行40周年記念事業推進委員会設置要綱」を定めて,
平成8年11月12日から施行することとした。推進委員会は,同日
(第1回),平成9年2月20日(第2回),平成10年2月27日(第3
回)に開催された。
   イ 三好町は,平成10年1月中旬から2月中旬にかけて「三好町制施行
40周年記念事業基本計画」と題する冊子を国,愛知県及び三好町
の関係諸団体並びに三好町公職者に郵送等で配布を行った。また,
各種記念事業の概要をPRするため,同年4月15日号の「広報みよ
し」に併せ,「三好町制40周年記念事業のご案内」と題するパンフレ
ットを町内全戸に対し配布を行った。
   ウ 三好町は,推進委員会における審議を経たうえで,本件各車両を三
岳村に寄贈することとし,平成10年度一般会計特別会計予算説明
書において,歳出に係る「款」10・総務費,「項」5・総務管理費,
「目」54・国内交流費,「節」18・備品購入費として,931万6000円
を計上し,説明欄には「長野県三岳村との友好親善費1660万400
0円」そのうち「町制施行40周年記念『水の感謝』事業958万5000
円」と記載したものを「議案27号」として,平成10年第1回三好町議
会定例会に上程した。
 上記予算案は,同月16日総務委員会において,同月18日定例会
本会議において,それぞれ原案どおり可決承認され,平成10年度
一般会計予算の成立に伴い,法219条1項の規定に基づき,平成1
0年3月18日に三好町議会議長から三好町長へ当該予算に係る議
決の送付があり,三好町長は,同条2項の規定に基づき,同日より
総務課窓口において予算書及び予算説明書を公表し,住民の閲覧
に供するとともに,同月25日付けで愛知県知事にその報告を行っ
た。
   エ 三好町は,上記予算の成立により,寄贈先である三岳村の希望する
車種の車両2台を購入することとし,まず,乗用車クラウンマジェスタ
の車両購入については,同年4月1日に予算執行伺及び見積合わ
せ執行,同月2日に支出負担行為決議及び契約書締結,同年5月1
5日に物品検収,同月20日に支出命令,同年6月5日に支払を行
い,一方,タウンエースノアの車両購入については,同年4月1日に
予算執行伺及び入札執行,同月2日に支出負担行為決議及び契約
書締結,同年5月15日に物品検収,同月28日に支出命令,同年6
月15日に支払を行った。また,乗用車クラウンマジェスタの車両登
録手数料,自動車損害賠償責任保険料及び自動車重量税について
は,同年5月20日に支出負担行為決議兼支出命令がされ,同年6
月5日に支払が行われ,タウンエースノアの車両登録手数料,自動
車損害賠償責任保険料及び自動車重量税については,同年6月1
日に支出負担行為決議兼支出命令がされ,同月25日に支払が行
われた。これらの一連の事務処理手続は,三好町における物品購
入に係る通常の手続と同様に行われた。
   オ 三好町は,同年5月15日,三岳村において上記車両の贈呈式を行
い,この贈呈式については,日刊紙である同年6月3日発行の「長野
日報」及び三岳村の広報紙である同年7月10日発行の「広報みた
け」によって報道された。
   カ 本件各車両の購入費の支出を含む平成10年度一般会計歳入歳出
決算は,平成11年12月6日に開会した第4回三好町議会定例会に
おいて認定に付され,同月13日及び14日の2日間で開催された総
務委員会では,同月13日にC秘書課長が,「款」10・総務費,「項」
5・総務管理費,「目」54・国内交流費の説明を行った。同月14日に
委員である控訴人補助参加人から「町制40周年記念水の感謝事業
は何を行いましたか。」という質疑があり,同秘書課長は,友好の森
管理用自動車及び公用車を贈呈した旨の回答をし,審議を経て,同
日全員の賛成により当該決算認定が承認された。
 上記決算認定は,同月16日開催の本会議において可決承認さ
れ,三好町長は,平成10年度一般会計歳入歳出決算認定につい
て,監査委員の意見と併せて同月17日より総務課窓口において決
算書,実績並びに主要施策報告書を公表し,住民の閲覧に供すると
ともに,同月22日付けで愛知県知事にその報告を行った。
   キ 控訴人補助参加人は,自ら発行している「控訴人補助参加人議会だ
より」の第19号に,三好町が「町政40周年記念水の感謝事業」と称
し,三岳村にタウンエースノア1台とクラウンマジェスタ1台,合計91
5万円の車を贈呈した旨の記事を掲載することとし,平成12年1月1
0日ころ文面が完成したことから,約8000部印刷した後,三好町内
に戸別配布をした。
  (2) 被控訴人らの主位的主張について
 甲第14号証の1ないし3,第15ないし第17号証,丙第3ないし第8
号証及び弁論の全趣旨によれば,推進委員会の会議及びその会議録
は三好町の住民に公開されたものではないこと,本件訴訟において提
出された同会議録にも本件寄贈について言及された部分はなく,第3
回委員会において資料とされた「三好町制施行40周年記念事業実施
計画」にも「長野県三岳村への水の感謝事業」との記載があるにとどま
ること,また,三好町が作成し各家庭に配布した「広報みよし」や「三好
町制施行40周年記念事業のご案内」にも,三好町が「三好町制施行4
0周年『水の感謝』事業」を行う旨の記載はあるものの,本件寄贈につ
いての記載はなく,更に,国,愛知県及び三好町の関係諸団体並びに
三好町公職者に郵送等で配布され,住民にとっては通常入手が困難
であった「三好町制施行40周年記念事業基本計画」にも,本件寄贈に
ついての記載はないことが認められる。
 そうすると,三好町の住民が上記情報から知り得たことは,三好町が
「三好町制施行40周年『水の感謝』事業」を実施するということのみで
あり,過去において三好町が三岳村に物品を寄贈した実績があったか
らといって,そのことから当然に本件各車両の寄贈がされることを予想
することができたものとはいい難く,三好町の住民が上記情報をもとに
相当の注意力をもって調査をしたとしても,本件寄贈の存在及び内容
を知ることは不可能であったといわざるを得ない。
 したがって,被控訴人らの主位的主張は採用できない。
  (3) 被控訴人らの第1次予備的主張について
 被控訴人らは,A秘書課長は,平成10年3月12日,第1回三好町議
会定例会の総務委員会における平成10年度一般会計予算の提案説
明において,「水の感謝」事業として本件各車両を寄贈することを説明
したと主張し,証人Aも,上記委員会において,水の感謝事業として行
われる予算額,予算内容について述べるとともに,水の感謝事業とし
て本件寄贈を行う旨説明したと供述する。しかし,丙第11号証によれ
ば,上記総務委員会会議録には,同課長が,「款」10・総務費,「項」
5・総務管理費,「目」54・国内交流費について詳細に説明したとの記
載があるにすぎず,本件寄贈の存在及び内容について言及した旨の
記載はないことが認められる一方,甲第19号証によれば,三好町議
会議員で総務委員として上記総務委員会に出席したは,上記総務委
員会においてA秘書課長から上記のような説明は受けていないと述べ
ていることが認められ,これらに照らすと,被控訴人の上記主張は採用
できない。
 そして,丙第26,第28号証によれば,三好町議会委員会に関する
条例16条1項は,委員会は,議員のほか,委員長の許可を得た者が
傍聴することができるものと定めていること,また,同27条2項は,委
員会の会議録は,議長が保管するものと定めており,住民から閲覧等
の請求があった場合には,議長が当該委員会の委員長と協議して,個
別具体的に許否を決定していることが認められるものの,これらによっ
ても,総務委員会の議事については,これに特別の関心を持った住民
が,所定の手続を経たうえで初めて了知し得る情報であるにとどまり,
いつでも自由に取得し得るものとはいい難いうえ,仮にこれらによって
上記総務委員会における議事の内容を知り得たとしても,上記のとお
り,A秘書課長が本件寄贈の存在及び内容について言及したものとは
認められない以上,結局,三好町の住民が本件寄贈について知り得た
ものとは認められない。
 また,丙第12号証によれば,B助役は,平成10年3月5日開催の第
1回定例会において,平成10年度三好町一般会計予算について説明
をしたが,その際,「町制施行40周年記念『水の感謝』事業費」につい
ては言及しているものの,本件寄贈については何ら触れていないこと
が認められるから,これのみによっては,上記(2)について認定したのと
同様,三好町の住民が上記情報をもとに相当の注意力をもって調査を
したとしても,本件寄贈の存在及び内容を知ることは不可能であったと
いわざるを得ない。
 したがって,被控訴人らの第1次予備的主張は採用できない。
  (4) 被控訴人らの第2次予備的主張について
 丙第9号証の1,2によれば,三好町の平成10年度一般会計特別会
計予算説明書の,歳出「款」10・総務費,「項」5・総務管理費,「目」5
4・国内交流費の説明欄に「町制施行40周年記念『水の感謝』事業95
8万5000円」との記載があるのみで,その事業の具体的内容の記載
はないこと,また,同欄の「節」18・備品購入費として931万6000円
が計上されているが,町制施行40周年記念「水の感謝」事業に対応す
るという形の記述ではないことが認められる。そうすると,仮に,三好町
の住民がこれらを閲覧したとしても,そこから知り得ることは,三好町が
「三好町制施行40周年『水の感謝』事業」を実施すること及びそのため
に計上された予算の額についてのみであり,過去において三好町が三
岳村に物品を寄贈した実績があったからといって,そのことから当然に
本件各車両の寄贈がされることを予想することができたものとはいい
難く,三好町の住民が上記情報をもとに相当の注意力をもって調査を
したとしても,本件寄贈の存在及び内容を知ることは不可能であったと
いわざるを得ない。
 したがって,被控訴人らの第2次予備的主張は採用できない。
  (5) 被控訴人らの第3次予備的主張について
 前記(1)カのとおり,平成11年12月13日,総務委員会において,C
秘書課長が,「款」10・総務費,「項」5・総務管理費,「目」54・国内交
流費の説明を行い,同月14日,控訴人補助参加人からの「町制40周
年記念水の感謝事業は何を行いましたか」との質疑に対し,同課長
は,友好の森管理用自動車及び公用車を贈呈した旨の回答をしたこと
が認められる。
 しかし,前記(2)ないし(4)のとおり,上記定例会以前においては,三好
町の住民は本件寄贈の事実について知り得る状況にはなかったという
べきであるうえ,前記(3)のとおり,総務委員会の傍聴や会議録の閲覧
は,三好町の住民がいつでも自由に行い得るものではないことからす
れば,C秘書課長の上記回答があったからといって,これによって三好
町の住民が一般に本件寄贈の事実について了知し得る状況に置かれ
たものとはいい難く,三好町の住民が相当の注意力をもって調査をし
たとしても,本件寄贈の存在及び内容を知ることは不可能であったとい
わざるを得ない。
 したがって,被控訴人らの第3次予備的主張は採用できない。
  (6) 被控訴人らの第4次予備的主張について
 甲第4号証,第25,第26号証によれば,三好町の平成10年度一般
会計特別会計決算書には「国内交流費」の「物品購入費」に相当する
「支出済額」欄に915万0750円との記載はあるが,本件各車両の購
入等のために支出がされたことを明らかにする記載はないこと,また,
平成10年度決算実績並びに主要施策報告書にも,「国内交流費」の
事業の概要欄に「町制40周年記念水の感謝事業915万円,町制40
周年を迎えるにあたり,三好町の発展の基礎となった愛知用水とその
水源地である三岳村への感謝の意を表する事業を実施しました。」と
の記載があるだけで,本件寄贈についての記載はないことが認められ
る。
 そのうえ,甲第24号証,丙第47ないし第52号証及び弁論の全趣旨
によれば,三好町の住民であるD,E,F,G,Hは,本件寄贈の事実を
本件訴訟に関する記事が載った新聞報道や「広報みよし」を見て知っ
たこと,同じく三好町の住民であるIは本件寄贈の事実を知っていた
が,それは,同人が三岳村出身であり,三岳村に住む親戚の者から聞
いて本件寄贈の事実を知ったというものであることが認められ,これら
によれば,三岳村と個人的な繋がりのあるIのような者を除けば,三好
町の住民の間では一般には本件寄贈の事実は知られていなかったも
のと推認され,そうすると,過去において三好町が三岳村に物品を寄
贈した実績があり,かつ,三好町の住民が,三好町が「水の感謝」事業
を行うことを知ったうえで上記各書面を閲覧したとしても,上記各記載
のみでは,「水の感謝事業」の中に本件各車両の寄贈が含まれている
ことを具体的に認識し得たものとはいい難く,住民が上記各書類を相
当の注意力をもって調査したとしても,客観的にみて本件各車両が三
岳村に寄贈されたことについて監査請求をするに足りる程度にその存
在及び内容を知ることができたということはできない。
 そして,被控訴人らの主張する全事実を考慮しても,平成11年12月
17日において,三好町の住民が,相当の注意力をもって調査しても,
客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本件寄贈の存在及び内
容を知ることができたとは認められない。
 したがって,被控訴人らの第4次予備的主張は採用できない。
  (7) 三好町の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査
請求をするに足りる程度に本件寄贈の存在及び内容を知ることができ
たと解される時期について
 本件寄贈の記事が掲載された「控訴人補助参加人議会だより(第19
号)」は,平成12年1月10日ころ文面が完成し,その後印刷のうえ三
好町内の家庭に配布されたのであるから,控訴人がこれを読んだとす
る平成12年1月20日ころは,同じくその配布を受けた他の三好町の
住民も本件寄贈の事実を知り得たものと認められる。そして,上記平成
11年12年17日以降,平成12年1月20日ころまでの間に三好町の
住民が本件寄贈の事実を知ることができた事情を窺わせる証拠は見
当たらない。
 そうすると,三好町の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観
的にみて監査請求をするに足りる程度に本件寄贈の存在及び内容を
知ることができたと解される時期は,控訴人らの主張のとおり,平成12
年1月20日ころとするのが相当である。
 2 争点(2)について
 被控訴人らは,控訴人が本件監査請求において,地方自治体間のミニ
パトカー寄付事件に係る判決や「平成6年度三好ものしり百科」を資料と
して添付していることや,控訴人が控訴人補助参加人と密接な関係があ
ったと考えられることから,控訴人は,少なくとも,争点(1)に関する被控訴
人らの各主張の時期には,相当の注意力をもって調査すれば客観的に
みて監査請求をするに足りる程度に本件寄贈の存在及び内容を知ること
ができたと主張する。
 しかし,この点について,控訴人は,平成12年1月20日ころ,「控訴人
補助参加人議会だより」を読んで,それまで面識のなかった控訴人補助
参加人に相談を持ちかけ,控訴人補助参加人の協力を得て本件監査請
求を行ったと主張しており,その主張自体には格別不自然な点はないし,
また,控訴人がそれ以前に控訴人補助参加人と面識があったことを窺わ
せる事情は証拠上何ら見当たらない。
 したがって,上記被控訴人らの主張は採用できない。
 3 争点(3)について
 上記認定のとおり,三好町の住民が相当の注意力をもって調査すれば
客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本件寄贈の存在及び内容
を知ることができたと解される時期は平成12年1月20日ころであると認
められるところ,控訴人は,その約28日後である同年2月16日に本件監
査請求を行っていることからすれば,控訴人は上記の程度に本件寄贈の
存在及び内容を知ることができた時期から相当な期間内に監査請求をし
たものと認めるのが相当であり,本件監査請求が監査請求期間を徒過し
た点について,法242条2項ただし書にいう正当な理由があるものという
べきである。
 4 結語
 以上の次第で,本件監査請求は適法にされたものと認められるから,
本件訴えの提起もまた適法であるというべきである。したがって,これとは
異なる原判決を取り消し,本件寄贈及び本件各支出の違法性の有無に
ついて更に審理を遂げさせるため,本件を名古屋地方裁判所に差し戻す
べきである。
 よって,主文のとおり判決する。
     名古屋高等裁判所民事第4部
        裁判長裁判官   小   川   克   介
           裁判官   鬼   頭   清   貴
           裁判官   濱   口       浩

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