弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告訴訟代理人弁護士松尾菊太郎、堤牧太の上告理由。第一点について。
 按ずるに投票用紙に記載すべき被選挙人の氏名は必ずしも戸籍上の氏名であるこ
とを必要とせす氏だけでもよければ名だけでもよく要はその記載によつて候補者の
誰かを選ぶ趣旨が確認できるものであればその投票を有効とすべきものであること
は所論のとおりである。しかし原判決の確定するところによれば所論の投票中甲第
三一、甲第四九、甲第五〇、甲第七五、甲八九号証にはいずれも「イ」とのみ記載
されており甲第三九号証には「フ」とのみ記載されているというのであつて(投票
用紙における記載内容原判決の確定するところによる以下同じ)本件候補者中他に
イのつく者またはフのつく者はないけれども右の記載だけで岩永藤樹を選ぶ趣旨が
表明されているとは到底認めることができない、然らば原審が右投票を無効と判断
したことは正当であつて論旨は採用できない。
 同第二点について。
 所論乙第二三号証の投票には「井輪長富士木」、とあり、原審は投票者が真面目
に岩永藤樹を議員として選出する意思を欠いたもとして無効としているがわが国に
は古来萬葉仮名と稱すろ漢字の仮名があるのでこの投票者はそれに眞似て書いたも
のと思われるので多少奇を衒つたきらいがないでもないが右記載は「イワナガフジ
キ」と明らかに読みうるのであるからこれは岩永藤樹の投票として有効であると認
めるのが正当である、然らば原審がこれを無効と判断したのは違法ではあるが岩永
藤樹と竹内清吾との得票差は三票であるから右の違法は判決に影響を及ぼさないこ
と明らかである、それゆえ論旨は原判決破毀の理由とならない。
 同第三点について。
 所論甲第十三号証の投票は「イ」の一字は明らかであるがその下の文字は文字の
体をなしていないから所論の如くこれを「イワナカ」と記載したものとは認められ
ない、甲第一一二号証の投票の第一字は「イ」であるが第二字は文字の体をなして
いないから所論の如くこれを「ワ」と書いたものと認めることはできない、甲第一
二〇号証の投票は「ノフガ」又は「イマガ」と読まれるのであるから以上の投票は
いずれも無効と認めるのが相当である。
 次に甲第一一七号証の投票は「ケクナフチ」又は「クタナフチ」と読まれるので
あるからこれを岩永候補者に投した票と認めることは困難である。甲第五七号証の
投票は「イウゴ」又は「イワゴ」と読まれるのであるからこれも前と同じく岩永候
補者の得票と認めるのは困難でさる、また乙第五二号証の投票は候補者氏名欄内に
「イワナガ」とありその左欄外に「ウロシテ」と読まれる記載があるからこれは他
事を記載したものとして無効と認めるのが相当である、又次に甲第一二一号証の投
票は明らかに「イワオ」とあるからこれを岩永候補者の有効投票と認めることはで
きない。
 次に所論第一一六号証の投票の「藤永秀樹」は岩永藤樹の四字文中三文字まで符
合しているのでこれは投票者が投票記載の際誤記したものと認めるのが相当である
から原審がこれを無効と判断したことは違法である。然し岩永藤樹と竹内清吾との
得票差は三票であるから右の違法は判決に影響を及ぼさないこと明らかである、従
つて論旨はすべて理由がない。
 同第四点について。
 所論甲第四六号証には「岩永繁」甲第五八号証には「岩永岩人」甲第五九号証に
は「岩永森一」、乙第五三号証には「岩永吉次」、甲第四五証には「中島藤樹」と
記載してあるがこれらの投票はいずれも岩永藤樹を誤記したものとは到底認めるこ
とはできないから候補者に非ざる者の氏名を記したものとして無効と判定すのが相
当である、従つて論旨は採るを得ない。
 同第五点について。
 所論甲第五三、甲第五六、甲第七四号証にはいずれも「山永」と記載されており
その筆勢字形等からみて第一字の「山」が「岩」の誤記であると認めることはでき
ないから原審がこれ等の投票を無効と判定したのは正当である。また甲第八六号証
の第一字は明らかに「岩」であるがその下の一字は「不」と読まれるか更に他に「
タ」の一字を記載してあるからこれを岩永候補者の有効投票と認めることはできな
い。次に甲第四四号証には「克水」と記載してあるからこれを「岩永」と認めるこ
とはできない。それゆえ論旨は理由がない。
 よつて本件上告は理由がないから民事訴訟法第三九六条、第三八四条、第九五条、
第八九条により主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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