弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 弁護人町田正男、同武田博孝、同林千春の上告趣意は、憲法三一条、三三条、三
五条違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑訴
法四〇五条の上告理由に当たらない。
 なお、被告人三名に対する逮捕並びに被告人Aの籠手(こて)及び被告人B、同
Cの各所持品に対する差押えの適法性について、職権により判断する。
一 被告人三名に対する逮捕の適法性について
  原判決の認定によれば、被告人Aについては、本件兇器準備集合、傷害の犯行
現場から直線距離で約四キロメートル離れた派出所で勤務していた警察官が、いわ
ゆる内ゲバ事件が発生し犯人が逃走中であるなど、本件に関する無線情報を受けて
逃走犯人を警戒中、本件犯行終了後約一時間を経過したころ、被告人Aが通り掛か
るのを見付け、その挙動や、小雨の中で傘もささずに着衣をぬらし靴も泥で汚れて
いる様子を見て、職務質問のため停止するよう求めたところ、同被告人が逃げ出し
たので、約三〇〇メートル追跡して追い付き、その際、同被告人が腕に籠手を装着
しているのを認めたなどの事情があったため、同被告人を本件犯行の準現行犯人と
して逮捕したというのである。また、被告人B、同Cについては、本件の発生等に
関する無線情報を受けて逃走犯人を検索中の警察官らが、本件犯行終了後約一時間
四〇分を経過したころ、犯行現場から直線距離で約四キロメートル離れた路上で着
衣等が泥で汚れた右両被告人を発見し、職務質問のため停止するよう求めたところ、
同被告人らが小走りに逃げ出したので、数十メートル追跡して追い付き、その際、
同被告人らの髪がべっとりぬれて靴は泥まみれであり、被告人Cは顔面に新しい傷
跡があって、血の混じったつばを吐いているなどの事情があったため、同被告人ら
を本件犯行の準現行犯人として逮捕したというのである。
 以上のような本件の事実関係の下では、被告人三名に対する本件各逮捕は、いず
れも刑訴二一二条二項二号ないし四号に当たる者が罪を行い終わってから間がない
と明らかに認められるときにされたものということができるから、本件各逮捕を適
法と認めた原判断は、是認することができる。
二 被告人Aの籠手及び被告人B、同Cの各所持品の差押えの適法性について
 1 刑訴二二〇条一項二号によれば、搜査官は被疑者を逮捕する場合において必
要があるときは逮捕の現場で捜索、差押え等の処分をすることができるところ、右
の処分が逮捕した被疑者の身体又は所持品に対する捜索、差押えである場合におい
ては、逮捕現場付近の状況に照らし、被疑者の名誉等を害し、被疑者らの抵抗によ
る混乱を生じ、又は現場付近の交通を妨げるおそれがあるといった事情のため、そ
の場で直ちに捜索、差押えを実施することが適当でないときには、速やかに被疑者
を捜索、差押えの実施に適する最寄りの場所まで連行した上、これらの処分を実施
することも、同号にいう「逮捕の現場」における捜索、差押えと同視することがで
き、適法な処分と解するのが相当である。
 2 これを本件の場合についてみると、原判決の認定によれば、被告人Aが腕に
装着していた籠手及び被告人B、同Cがそれぞれ持っていた所持品(バッグ等)は、
いずれも逮捕の時に警察官らがその存在を現認したものの、逮捕後直ちには差し押
さえられず、被告人Aの逮捕場所からは約五〇〇メートル、被告人B、同Cの逮捕
場所からは約三キロメートルの直線距離がある警視庁町田警察署に各被告人を連行
した後に差し押さえられているが、被告人Aが本件により準現行犯逮捕された場所
は店舗裏搬入口付近であって、逮捕直後の興奮さめやらぬ同被告人の抵抗を抑えて
籠手を取り上げるのに適当な場所でなく、逃走を防止するためにも至急同被告人を
警察車両に乗せる必要があった上、警察官らは、逮捕後直ちに右車両で同所を出発
した後も、車内において実力で籠手を差し押さえようとすると、同被告人が抵抗し
て更に混乱を生ずるおそれがあったため、そのまま同被告人を右警察署に連行し、
約五分を掛けて同署に到着した後間もなくその差押えを実施したというのである。
また、被告人B、同Cが本件により準現行犯逮捕された場所も、道幅の狭い道路上
であり、車両が通る危険性等もあった上、警察官らは、右逮捕場所近くの駐在所で
いったん同被告人らの前記所持品の差押えに着手し、これを取り上げようとしたが、
同被告人らの抵抗を受け、更に実力で差押えを実施しようとすると不測の事態を来
すなど、混乱を招くおそれがあるとして、やむなく中止し、その後手配によって来
た警察車両に同被告人らを乗せて右警察署に連行し、その後間もなく、逮捕の時点
からは約一時間後に、その差押えを実施したというのである。
 以上のような本件の事実関係の下では、被告人三名に対する各差押えの手続は、
いずれも、逮捕の場で直ちにその実施をすることが適当でなかったため、できる限
り速やかに各被告人をその差押えを実施するのに適当な最寄りの場所まで連行した
上で行われたものということができ、刑訴法二二〇条一項二号にいう「逮捕の現場」
における差押えと同視することができるから、右各差えの手続を適法と認めた原判
断は、是認することができる。
 よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、
主文のとおり決定する。
  平成八年一月二九日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    千   種   秀   夫
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    可   部   恒   雄
            裁判官    大   野   正   男
            裁判官    尾   崎   行   信

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