弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人内藤功、同加藤雅友の上告理由第一について。
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決の挙示する証拠に照らして首肯する
に足り、その過程に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 同第二について。
 所論の点に関し原審の適法に確定した事実関係によれば、
 (一) 本件手形(約束手形)はすべて上告人が仮空人である「D製作所代表E」
の名称を使用して振り出したものであり、上告人が本件手形の振出人として右のよ
うな名称を使用したのは、受取人として記載された訴外有限会社F商店(以下、F
商店という。)が被上告人らに本件手形を裏書する際、第三者振出のいわゆる商業
手形であるかのように見せかけて、その信用をたかめるためであつた。
 (二) 本件手形は、受取人であるF商店から被上告人らに対し商品取引代金の支
払または手形割引のために裏書交付されたものであるところ、上告人は、その際、
F商店が振出人から商取引の代金決済のためにこれを取得したものである旨説明し、
被上告人らも、振出人と受取人とは別人であると考えて本件手形を取得したもので
ある、というのである。
 右事実関係のもとにおいては、上告人は、本件手形振出にあたり、仮空人である
「D製作所代表E」名義を冒用したものであつて、偽造手形を振り出したものと認
めるべきものであるところ、偽造手形を振り出した者は、手形法八条の類推適用に
より手形上の責任を負うべきものと解するのが相当である。けだし、手形法八条に
よる無権代理人の責任は、責任負担のための署名による責任ではなく、名義人本人
が手形上の責任を負うかのように表示したことに対する担保責任であると解すべき
ところ、手形偽造の場合も、名義人本人の氏名を使用するについて何らの権限のな
い者が、あたかも名義人本人が手形上の責任を負うものであるかのように表示する
点においては、無権代理人の場合とかわりはなく、したがつて、手形署名を作出し
た行為者の責任を論ずるにあたり、代理表示の有無によつて本質的な差異をきたす
ものではなく、代理表示をせずに直接本人の署名を作出した偽造者に対しても、手
形法八条の規定を類推適用して無権代理人と同様の手形上の担保責任を負わせて然
るべきものと考えられるからである。そして、このように解すると、手形の偽造署
名者に対しては、不法行為による損害賠償請求という迂遠な方法によるまでもなく
直接手形上の責任を追求し得るし、また、手形偽造者が本来の手形責任を負うべき
債務者として追加されることによつて、善意の手形所持人は一層手厚く保護され、
取引の安全に資することにもなるものと思われるのである。
 以上の次第であつて、上告人は、本件手形につき手形上の責任を免れることはで
きないものというべく、これと同旨の原審の判断は正当として首肯するに足り、原
判決に所論の違法はない。それゆえ、論旨は採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    小   川   信   雄
            裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    吉   田       豊

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