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平成15年(ネ)第3005号不正競争行為差止等請求控訴事件(原審・大阪地方裁
判所平成15年(ワ)第1105号)
判    決  
           控訴人(1審被告)   株式会社永光
           同訴訟代理人弁護士   斎  藤      浩
           同訴訟復代理人弁護士  塚  田   朋  子
           被控訴人(1審原告)  株式会社サンファミリー
           同訴訟代理人弁護士   西  口      徹
           同訴訟復代理人弁護士  奥  村   太  朗
主    文  
1 本件控訴を棄却する。       
2 控訴費用は、控訴人の負担とする。 
事実及び理由  
第1 控訴の趣旨
 1 原判決中、控訴人敗訴部分を取り消す。
 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。
 3 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。
第2 事案の概要
 1 本件は、「トリートメント イオンブラシ」という商品を販売している被控
訴人が、控訴人に対し、控訴人が被控訴人の商品の形態を模倣した商品を販売して
おり、このことは不正競争防止法2条1項3号の不正競争に該当すると主張して、
同法3条1項に基づき、控訴人商品の譲渡、貸渡し、譲渡若しくは貸渡しのための
展示、輸出若しくは輸入の差止めを求め、また、同法4条に基づき、損害賠償とし
て239万1291円及びこれに対する不正競争の後である平成15年2月20日
(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害
金の支払を求めた事案である。
   原判決は、被控訴人の請求のうち、控訴人商品の譲渡、貸渡し、譲渡若しく
は貸渡しのための展示、輸出若しくは輸入の差止請求を認容し、損害賠償請求を5
0万3276円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で一部認容したと
ころ、控訴人が本件控訴を提起した。
  (以下、控訴人を「被告」、被控訴人を「原告」という。また、原判決引用部
分の「別紙」とあるのをいずれも「原判決別紙」と読み替える。)
 2 当事者の主張は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決2頁8行目から
15頁18行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。
  (1) 3頁末行の「原告商品について、」の次に「業界紙、」を加える。
  (2) 12頁18行目の「9月3日」を「9月2日」と、同19行目の「仕入
れ、同月4日」を「輸入し、同月3日」と、同20行目の「同日又は同月5日」を
「同日」と各改める。
  (3) 14頁21行目冒頭から15頁9行目末尾までを次のとおり改める。
  「(2) 善意・無重過失
    ア 被告は、取引先である台湾の業者「TOPWANTINDUSTRIAL」(以下「ト
ップウオント」という。)から売込みを受けて、初めて被告商品の存在を知り、平
成14年8月22日ないし23日ころ、トップウオントと売買契約を締結して、同
年9月2日、テスト販売の目的で3000個を輸入し、同月3日、株式会社イトウ
ほかに販売したが、それまで原告商品の存在を知らなかった。
      その際、トップウオントの担当者は、「東亜インダストリーの社員C
氏からOEM(委託生産)で頼まれて被告商品を作ったが売れないので、被告にお
いて売ってほしい。C氏の了承は既に得ている」と説明していた。そのため、被告
は、被告商品に日本語のパッケージが付いていることについて、不審を抱かなかっ
た。
      被告は、Cが東亜インダストリーを退社して連絡が取れなかったた
め、被告代表者と営業社員5名が、4日間かけて、取引先の問屋や電器店を回り、
類似品の有無等を調査したが、類似品は発見できなかった。
    イ(ア) 原告は、原告商品を平成14年8月20日までに11万1955
個販売したと主張するが、ヒットすれば100万個以上の販売も珍しくない業界に
おいて、上記程度の販売個数では、原告商品の存在が広く認知されることはない。
     (イ) 原告は、原告商品を業界紙、通信販売カタログ、新聞折込チラシ
及びテレビショッピング番組により宣伝広告したと主張する。
       しかし、業界紙及び通信販売カタログは、発行部数が少なく、購読
者は特定の者に限られるものであるし、新聞折込チラシも配布地域が限られるもの
である。テレビショッピング番組も、平成14年8月22日までの放映回数は非常
に少ない。したがって、被告がこれらの宣伝広告を目にする機会はなかった。
     (ウ) 原告商品が関東エリアを対象とする雑誌「TOKYO1週間」に
掲載されたとしても、大阪市に所在する被告がこれを知ることはできない。フジテ
レビ系列の番組「めざましテレビ」の放映は、1回限りの早朝のものであり、被告
関係者はこれを視聴していないし、その放映日時は、平成14年8月26日である
から、被告が被告商品の譲渡を受けた後である。
    ウ 被告製品を販売していた有限会社ダイセンが原告商品のパンフレット
を使用していたとしても、上記パンフレットは、被告ではなく株式会社イトウが添
付したものであると考えられる。
    エ 以上によれば、被告は、被告商品の譲渡を受けた時に、被告商品が原
告商品の形態を模倣した商品であることを知らず、かつ、知らなかったことにつき
重大な過失がないから(不正競争防止法12条1項5号)、被告商品の販売等につ
いては、不正競争防止法2条1項3号は適用されない。」
  (4) 15頁12行目冒頭から同18行目末尾までを次のとおり改める。
  「(2) 抗弁(2)(善意・無重過失)の事実は否認し、主張は争う。
    ア 被告は、家庭用電化製品や雑貨等の輸入、卸売及び販売等を業として
いるのであり、原告は前記1(2)ウ(ア)、(イ)主張のとおり原告商品を広告媒体で宣
伝していたのであるから、被告は容易に原告商品が販売されていることを知ること
ができた。
    イ 被告商品のようにアジア諸国で生産された商品のパッケージが日本語
で印刷されている場合は、その商品は日本をマーケットとしているので、日本の他
の会社の版権を侵害しているのではないか、不正競争防止法上の問題がないかを調
べるというのは、雑貨等の貿易に携わる者の常識である。
      また、被告代表者は、事前に被告商品のパッケージを見ていたのだか
ら、本来パッケージ背面の発売元、販売元又は製造元を記載すべき欄が空白になっ
ていること、パッケージ内に入っているべき保証書が入っていないことを知ってい
たはずである。
    ウ 被告から被告商品を譲り受けた株式会社イトウは、遅くとも平成14
年8月末には、被告商品が原告商品の形態を模倣した商品であることを知ってい
た。
    エ 以上によれば、被告は、被告商品が原告商品の形態を模倣した商品で
あることを知っていたというべきであり、仮に知らなかったとしても、取引上当然
に払うべき通常の注意義務を尽くせば、被告商品が原告商品の形態を模倣した商品
であることを容易に知ることができたから、被告には重大な過失がある。」
第3 当裁判所の判断
 1 当裁判所も、原告の請求は原判決主文第1、2項記載の限度で理由があるも
のと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決15頁20
行目から21頁15行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。
  (1) 16頁16行目から17行目にかけての「9月3日」を「9月2日」と、
同行目の「仕入れ、同月4日」を「輸入し、同月3日」と、同18行目の「同日又
は同月5日」を「同日」と、同22行目の「中国」を「台湾」と各改める。
  (2) 18頁16行目の「8月末ごろ」を「9月初旬」と改める。
  (3) 19頁5行目冒頭から同17行目末尾までを次のとおり改める。
  「(ア) 乙第1号証の1ないし3、第4号証の1ないし3、第8号証、第9号
証、被告代表者の供述によれば、被告は、平成14年8月22日ないし23日こ
ろ、トップウオントとの間で被告商品の売買契約を締結し、被告商品は、同年9月
2日、輸入されたことが認められる。
     してみると、本件において、不正競争防止法12条1項5号にいう「そ
の譲り受けた時」は、被告商品の輸入された日である平成14年9月2日というの
が相当である。
   (イ) 前記(2)ウ(ア)、(イ)の認定のとおり、原告は、原告商品について、平
成14年5月から同年8月26日までの間、業界紙、通信販売のカタログ、新聞の
折込広告及びテレビショッピング番組により宣伝広告し、また、原告商品は、トレ
ンド商品として、雑誌及びテレビで紹介された。
   (ウ) 前記(2)エ(ア)、(イ)の認定のとおり、平成14年4月23日の販売開
始から同年8月20日までの間の原告商品の販売数は、11万1955個であっ
た。
   (エ) 甲第2号証の1ないし8、検甲第2号証及び弁論の全趣旨によれば、
被告商品は、台湾で製造されたものであるにもかかわらず、日本語で印刷されたパ
ッケージが付いており、パッケージ背面の通常であれば発売元、販売元又は製造元
が記載されている欄は空白になっており、パッケージ内に保証書など発売元等を明
示した書類は入っていないことが認められる。
     また、被告代表者の供述によれば、被告代表者は、平成14年9月2日
の時点で、被告商品のパッケージのデザイン及び被告商品のパッケージ内に保証書
が入っていないことを了知していたことが認められる。
     そして、甲第33号証及び証人Dの証言によれば、アジア諸国で生産さ
れた商品のパッケージが日本語で印刷されている場合は、その商品は日本をマーケ
ットとしているので、日本の他の会社の知的財産権を侵害している可能性があると
いうことは、雑貨等の貿易に携わる者であれば、容易に認識し得る事柄であったこ
とが認められるところ、前記(1)イの認定のとおり、被告は雑貨等の輸入、卸売及び
販売などを業とする株式会社である。
   (オ) 以上によれば、被告は、被告商品のパッケージが日本語で印刷されて
いること、発売元、販売元又は製造元が記載されている欄が空白であり、その製
造、販売を行っている者が誰であるか分からないものであることから、被告商品
が、日本の他の会社の知的財産権を侵害している商品である可能性があることを容
易に知ることができたにもかかわらず、被告は、被告商品のパッケージ内に保証書
が入っているか確かめていないなど、取引上当然払うべき通常の注意義務を尽くし
ておらず、被告が上記注意義務を尽くしていれば、原告商品が販売されていること
を容易に発見することができたというべきである。
     このことは、被告から被告商品を譲り受けた株式会社イトウ及び有限会
社ダイセンが、原告商品のパンフレットを使用して営業しているなど、原告商品が
販売されていることを知っていたこと(甲第28ないし33号証、証人D)からも
裏付けられる。
   (カ) なお、被告は、トップウオントの担当者から、「東亜インダストリー
の社員C氏からOEM(委託生産)で頼まれて被告商品を作ったが売れないので、
被告において売ってほしい。C氏の了承は既に得ている」と説明を受けたため、被
告商品のパッケージが日本語で印刷されていること等について疑問を抱かなかっ
た、被告代表者らは問屋や電器店を調査したが、類似品は発見できなかったと主張
し、被告代表者Aは、これに沿った供述をするとともに、同趣旨の記載のある同人
及びEの各陳述書(乙第8号証、第9号証)を提出するが、これらを裏付けるに足
りる客観的証拠はないから、上記供述及び各陳述書の記載は信用することができ
ず、被告の上記主張は採用することができない。
   (キ)以上によれば、被告は、被告商品を譲り受けた時に、取引上当然払う
べき通常の注意義務を尽くせば、被告商品が原告商品の形態を模倣した商品である
ことを容易に知り得たというべきであるから、被告商品が原告商品の形態を模倣し
た商品であることを知らず、かつ、知らなかったことにつき重大な過失がないとい
うことはできない。抗弁(2)は理由がない。」
 2 その他、原審及び当審における当事者提出の各準備書面記載の主張に照ら
し、原審及び当審で提出、援用された全証拠を改めて精査しても、当審及び当審の
引用する原審の認定、判断を覆すほどのものはない。
 3 結論
   以上によれば、原告の請求は、①被告商品の譲渡、貸渡し、譲渡若しくは貸
渡しのための展示、輸出若しくは輸入の差止め、②損害賠償50万3276円及び
これに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、これと同旨の原判
決は相当であり、本件控訴は棄却を免れない。
   よって、主文のとおり判決する。
    (口頭弁論終結・平成16年6月4日)
      大阪高等裁判所第8民事部
         裁判長裁判官   竹  原  俊  一
            裁判官   小  野  洋  一
            裁判官   中  村     心

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