弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人樫本信雄、同浜本恒哉の上告理由第一点について。
 賃借人が賃貸人の承諾を得ないで賃借権の譲渡又は賃借物の転貸をした場合であ
つても、賃借人の右行為を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情
のあるときは、賃貸人に民法六一二条二項による解除権は発生しないものと解する
を相当とする(昭和二五年(オ)第一四〇号、同二八年九月二五日第二小法廷判決、
民集七巻九号九七九頁、昭和二八年(オ)第一一四六号、同三〇年九月二二日第一
小法廷判決、民集九巻一〇号一二九四頁参照)。ところで、本件について原審の確
定した事実によれば、被上告人は、昭和二二年七月の本件家屋の賃借当初から、階
下約七坪の店舗でD商会という名称でミシンの個人営業をしていたが、税金対策の
ため、昭和二四年頃株式会社E商会という商号の会社組織にし、翌二五年頃にはこ
れを解散してFミシン工業株式会社を組織し、昭和三〇年頃Gミシン工業株式会社
と商号を変更したものであつて、各会社の株主は被上告人の家族、親族の名を借り
たに過ぎず、実際の出資は凡て被上告人がしたものであり、右各会社の実権は凡て
被上告人が掌握し、その営業は被上告人の個人企業時代と実質的に何らの変更がな
く、その従業員、店舗の使用状況も同一であり、また、被上告人は右Gミシン工業
株式会社から転借料の支払を受けたことなく、かえつて被上告人は上告人Aらの先
代Hに対し本件家屋の賃料を同社名義の小切手で支払つており、被上告人は同会社
を自己と別個独立のものと意識していなかつたというのである。されば、個人であ
る被上告人が本件賃借家屋を個人企業と実質を同じくする右Gミシン工業株式会社
に使用させたからといつて、賃貸人との間の信頼関係を破るものとはいえないから、
背信行為と認めるに足りない特段の事情あるものとして、上告人らが主張するよう
な民法六一二条二項による解除権は発生しないことに帰着するとした原審の判断は
正当である。右と異なる見解に立つて原判決を非難する論旨は、採用できない。
 同第二点について。
 上告人Aらの先代Iがその代理人たるJを通じて本件賃料の増額をしたことによ
り、右Iは被上告人の本件家屋増築を暗黙に承諾したものである旨の原審の認定判
断は、その挙示する証拠関係に照らして首肯できないことはなく、その判断の過程
に所論違法は認められない。所論は、ひつきよう、原審の認定と相容れない事実を
前提として、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰し、採
用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛