弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人丹羽鉱治の上告理由について。
 原審の確定した事実によれば、上告人Aは、地方税法一一条の三第二項、同条の
二第二項(以上いずれも昭和三四年法律第一四九号による改正前のもの。以下同じ。)
の定めるところにより、訴外D株式会社(以下単に訴外会社という。)を主たる納
税義務者とする第二次納税義務者として指定された者であるが、北海道幌別町は、
昭和三二年一月二三日、同上告人に対し、国税徴収の例による地方税滞納処分とし
て同上告人所有の本件建物を差し押え、昭和三三年一二月二四日、被上告人を買受
人とする売却決定をしたところ、東京地方裁判所は、これより先、同年八月二九日、
訴外会社につき会社更生法に基づく更生手続開始決定をなし、昭和三五年四月八日
更生計画認可の決定をしたというのである。
 右事実関係のもとにおいては、幌別町がした前記売却決定は、会社更生法六七条
二項に違反するとはいいがたい。すなわち、同項の定めるところによれば、更生手
続開始決定があつたときは、決定の日から更生計画認可まで一年を超えるときでも、
決定の日から一年間は、会社財産に対し国税徴収の例による滞納処分はすることが
できず、既にされている滞納処分は中止すべきものとされているのであるが、これ
は、更生会社の財産に対する滞納処分を制限したものであつて、その会社を主たる
納税義務者とする第二次納税義務者の財産に対する滞納処分を一般的に制限するも
のではないのである。そもそも、主たる納税義務者の納税義務や財産は、第二次納
税義務者の納税義務や財産とは法律上別個のものなのであるから、第二次納税義務
者の納税義務が主たる納税義務者の納税義務に附従する性質を有し、かつこれを補
充する性質を有するからといつて、主たる納税義務者の責任に制約を加えるにすぎ
ない更生手続開始決定につき、第二次納税義務者の納税義務や責任に影響を及ぼす
べきものではないからである。
 もつとも、地方税法一一条の三第二項、同条の二第二項但書の規定によれば、同
条の三に定める第二次納税義務者(以下単に第二次納税義務者という。)に対する
財産の公売は、主たる納税義務者の財産を公売した後でなければすることができな
いのであるから、主たる納税義務者に対する更生手続開始決定の際、同人に対する
滞納処分が開始されていないか、または開始されていても終了していない場合にあ
つては、会社更生法六七条二項の規定により主たる納税義務者の財産を公売するこ
とが許されない結果として、地方税法の前記条項により第二次納税義務者に対する
財産の公売も許されないこととなるのであるが、主たる納税義務者に対する更生手
続開始決定の際、すでに主たる納税義務者に対する財産の公売をへているなど同人
に対する財産の公売があつたとみられる場合においては、同人に対し更生手続開始
決定があつても、第二次納税義務者の財産を公売することは、地方税法の前記条項
に何ら違反するものではない。
 上告人は、第二次納税義務者の納税義務が主たる納税義務者の納税義務に附従す
る性質を有し、かつこれを補充する性質を有することをもつて、本件売却決定が会
社更生法六七条二項の規定に違反する違法無効な処分であるというにとどまり、本
件売却決定が地方税法の前記条項に違反すると認めうる事実については何ら主張立
証するところがないのである。したがつて、本件売却決定が会社更生法六七条二項
の規定に違反するとはいえないことは、既に説示したとおりである以上、本件売却
決定をもつて違法な処分とすることはできないものといわざるをえない。原判決に
は、右と見解を異にする部分もあるが、本件売却決定を無効ではないとし、被上告
人の本訴請求を認容すべきものとした原審の判断は、結局相当であつて、原判決に
は所論の違法なきに帰する。論旨は、ひつきよう、独自の見解に基づき原判決を攻
撃するものであつて、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠
            裁判官    大   隅   健 一 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛