弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中上告人の控訴を棄却した部分(旭川市a村b番地のc畑五反歩、
同d番地のe畑九反五畝一六歩に関する部分)を除きその余の部分を破棄する。
     被上告人の控訴(旭川市f町g丁目h番地のi、畑一町七反九畝七歩に
関する控訴)を棄却する。
     原判決中上告人の控訴を棄却した部分に対する上告を棄却する。
     原審及び当審の訴訟費用は二分しその一を上告人、その余を被上告人の
負担とする。
         理    由
 上告代理人板井一治の上告理由は末尾添附の別紙記載のとおりである。これに対
して当裁判所は次のごとく判断する。
 上告理由第一点について。
 原判決の確定するところによれば、本件農地の中、甲地(旭川市f町g丁目h番
地のi畑一町七反九畝七歩)は不在地主(上告人)の所有する小作地ではあるが、
自創法五条五号にいわゆる「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」
に該当するものである。しかるに原判決は、このような農地についても、これを同
法三条の規定による買収から除外するには、市町村農地委員会が道農地委員会の承
認を得て指定し、又は道農地委員会が指定することを要件とするとの見解のもとに、
かかる指定のない甲地について、裁判所がみずからこれを買収から除外すべきもの
と断ずることはできないとしたのである。しかし市町村農地委員会が同法三条によ
る買収計画を樹立するにあたつて、その農地が本件のように客観的に同法五条五号
所定の「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に該当する場合に
おいては、都道府県農地委員会の承認を得て同号所定の指定を行い、これを同法三
条の買収の目的から除外すべきものであつて、かかる農地につき右の指定を行わず
して買収計画を樹立することは違法であり、このような違法な買収計画に基く買収
処分もまた違法たることを免れない。(昭和二七年(オ)八五五号同二八年一二月
二五日第二小法廷判決)。そうだとすれば第一審判決が甲地を買収すべからざるも
のとして上告人の請求を認容したのは正当であつて、原判決がこれを取消したのは
失当である。論旨は理由あるに帰し、原判決はこの点において破棄を免れない。
 同第二点について。
 農地が自創法五条五号によつてその使用目的を変更することを相当とし買収から
除外さるべきものであるか否かは、買収計画樹立乃至買収処分当時の客観的事実に
よつて判断すべきであつて、農地調整法六条による所有者の使用目的変更の許可申
請とは関係なく決すべきことである。それ故原判決が同法六条の存在及び影響を考
慮に加えなかつたからとて所論のような違法あるものということはできない。論旨
は理由がない。
 よつて民訴三九六条、三八四条、四〇八条一号、九六条、八九条に従い主文のと
おり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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