弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中、上告人Aの被上告人に対する損害賠償請求に関する部分を破
棄し、右部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。
     上告人Aのその余の上告及びその余の上告人らの各上告をいずれも棄却
する。
     前項の部分に関する訴訟費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人白井巧一、同若月家光の上告理由第一について
 原審の適法に確定した事実関係の下において、本件訓告又は厳重注意の無効確認
を求める訴えの利益は認められないとした原審の判断は、正当として是認すること
ができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立って原判決を論難す
るものであって、採用することができない。
 同第二について
 一 原審の確定したところによれば、被上告人は、上告人Aに対し、D労働組合
の分会に所属する組合員らと共に団体交渉を求めて被上告人のE運行部F運転所の
事務室内に無断で立ち入り、助役による再三にわたる退去通告にも従わなかったこ
とを理由として、E運行部長名で厳重注意の措置を執ったというのであり、上告人
Aは、右事務室内立入り等(以下「本件行為」という。)に加わっていなかったに
もかかわらず右厳重注意を受けたことにより多大の精神的苦痛を被ったと主張して、
被上告人に対し不法行為に基づく損害賠償を求めている。
 原審は、上告人Aが本件行為に参加しなかったとする証拠と同人が本件行為に参
加したのを現認したとの助役らの証言等とのどちらに信をおくべきかは容易に決め
難いものといわなくてはならず、本件証拠関係の下では上告人Aが本件行為に参加
していなかったとの事実を認定することができないとした上で、上告人Aの主張す
る不法行為は同人が本件行為に参加しなかったとの事実を前提とするものであると
ころ、右事実を確定し難いのであるから、その余の点につき判断するまでもなく、
右不法行為の成立は認められないと判断した。
 二 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次の
とおりである。
 原審の確定したところによれば、被上告人における厳重注意は、就業規則等に規
定がなく、それ自体としては直接的な法律効果を生じさせるものではないが、実際
上、懲戒処分や訓告に至らない更に軽易な措置として、将来を戒めるために発令さ
れているものであり(記録によれば、書面をもって発令されるものであることがう
かがわれる。)、人事管理台帳及び社員管理台帳に記載されるものであるというの
である。そうすると、本件厳重注意は、企業秩序の維持、回復を目的とする指導監
督上の措置と考えられるが、一種の制裁的行為であって、これを受けた者の職場に
おける信用評価を低下させ、名誉感情を害するものとして、その者の法的利益を侵
害する性質の行為であると解される。
 一般に、使用者は、労働契約関係に基づいて企業秩序維持のために必要な措置を
講ずる権能を持ち、他方、従業員は企業秩序を遵守すべき義務を負っているもので
はあるが、使用者の右権能の行使としての措置であっても、それが従業員の法的利
益を侵害する性質を有している場合には、相当な根拠、理由もないままそのような
措置を執ってはならないことは当然である。したがって、右のような性質を有する
使用者の措置に基づき従業員が損害を被ったという事実があれば、使用者が当該措
置を執ったことを相当とすべき根拠事実の存在が証明されるか、又は使用者におい
て右のような事実があると判断したことに相当の理由があると認められるときでな
ければ、不法行為が成立すると解するのが相当である。
 本件厳重注意は、前記のような性質を有するものであるから、上告人Aが本件行
為に参加したとの事実が証明されない以上、E運行部長において上告人Aが本件行
為に参加したものと判断したことに相当の理由があったかどうかの点について審理
判断をしないまま、同人が本件行為に参加したのか参加しなかったのかが不明であ
ることのみを理由に不法行為の成立を否定することは許されないものというべきで
ある。
 したがって、右の点について審理判断を尽くすことなく、上告人Aの主張する不
法行為の成立を否定した前記原審の判断には、法令の解釈適用の誤り、ひいては審
理不尽、理由齟齬の違法があり、右違法が原判決の結論に影響を及ぼすことは明ら
かである。論旨は右の趣旨をいうものとして理由があり、その余の点について判断
するまでもなく、原判決は破棄を免れない。
 以上のとおりであるから、原判決のうち、上告人Aの被上告人に対する損害賠償
請求に関する部分を破棄し、更に審理を尽くさせるため、右部分につき本件を原審
に差し戻し、上告人Aのその余の上告及びその余の上告人らの各上告をいずれも棄
却することとする。
 よって、民訴法四〇七条一項、三九六条、三八四条、九五条、八九条、九三条に
従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    遠   藤   光   男
            裁判官    小   野   幹   雄
            裁判官    高   橋   久   子
            裁判官    井   嶋   一   友
            裁判官    藤   井   正   雄

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