弁護士法人ITJ法律事務所

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       主   文
1 原判決を取り消す。
2 原審裁判所が平成15年5月28日付けでした続行命令を取り消す。
3 本件を札幌地方裁判所に差し戻す。
       事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 控訴人
(1) 主位的請求
主文同旨
(2) 予備的請求
ア 原判決を取り消す。
イ 被控訴人の請求を棄却する。
ウ 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。
2 被控訴人
(1) 本件控訴を棄却する。
(2) 控訴費用は控訴人の負担とする。
第2 事案の概要
原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」に記載されたとおりであるから,これを引用する。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所は,原判決は被告を誤った無効な判決であるから,これを取消し,本件を札幌地方裁判所に差し戻すべき
ものと判断する。その理由は以下のとおりである。
(1) 本件訴訟は,平成13年2月8日,本件処分をした北海道郵政局長を被告として提起され,審理がなされてい
た。
 平成15年4月1曰,日本郵政公社法(平成14年法律第97号,以下「公社法」という。)が施行され,日本郵政
公社(以下「公社」という。)が成立したことにより,郵政事業庁は廃止され,それに伴い同庁の機関であった北海道
郵政局長も廃止され,被告ではなくなった。
 原審裁判所は,上記の経緯により,北海道郵政局長が有していた職員の任命権は,国家公務員法55条2項,日本郵
政公社権限規程6条及び別表第5により,公社総裁から権限を委任された控訴人に承継されたと判断するとともに,こ
れに伴い北海道郵政局長につき法務大臣の権限等に関する法律6条2項に基づき法務大臣が指定していた訴訟代理人
は,控訴人が同法5条1項の行政庁に含まれないことを理由に控訴人の関係において代理権を喪失したものと判断した
上,原審訴訟手続は行政訴訟法7条,民事訴訟法124条1項2号により中断しているとして,平成15年5月28
曰,控訴人に対し訴訟手続の続行を命じた(以下「本件続行命令」という。)。
 そして,原審裁判所は,同年10月27日,控訴人を被告として原判決を言い渡した。
 以上の事実は記録上明らかである。
(2) 本件訴訟は,郵政職員の懲戒処分の取消訴訟であるが,この処分は,旧総務省設置法(平成11年法律第91
号)4条79号に掲げる郵便事業の業務に関することであったと解することができる。総務省の所掌事務として,同号
には,明示的には郵政職員に対する懲戒処分等の内部的な組織管理や秩序維持に関する事項が規定されてはいないが,
乙30,31及び弁論の全趣旨によれば,それは同時に制定された郵政事業庁設置法(平成11年法律第92号)にお
いて,他の省庁と同様,その所掌事務に職員の人事に関する懲戒処分等の権限規定は組織体として当然の事務として規
定されなかったためにすぎないものであると認めることができるからである。
 しかして日本郵政公社法施行法(平成14年法律第98号,以下「施行法」という)22条は,公社法施行の際現に
係属している旧総務省設置法4条79号に掲げる事務に関する訴訟事件であって公社が受け継ぐものについては,政令
(日本郵政公社法施行令(平成14年政令第384号)附則10条)で定めるところにより,公社を国の利害に関係の
ある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律に規定する国又は行政庁とみなし,同法の規定を適用するとしてい
る。
 上記施行法22条,施行令附則10条は,その文理上,公社法施行の際現に係属している旧総務省設置法4条79号
に掲げる事務に関する訴訟事件は公社が受け継ぐものであることを前提として,訴訟手続の中断を避けるための法務大
臣による指定代理人の権限に関する経過規定を定めているものと解することができる。
 そうすると,本件訴訟は施行法22条により,公社が被告として訴訟を承継すべきものであったというべきであり,
また,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法124条2項により,本件訴訟は中断しなかったというべきである。
(3) 以上によれば,本件続行命令は誤っており,控訴人を被告として言い渡された原判決は被告を誤った無効な判
決といわなければならない。
2 よって,原判決及び本件続行命令を取り消し,公社を被告としてさらに弁論をさせるために,本件を札幌地方裁判
所に差し戻すこととして,主文のとおり判決する。
札幌高等裁判所第3民事部
裁判長裁判官 坂本慶一
裁判官 北澤晶
裁判官 石橋俊一
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