弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決を破棄する。
     被告人を懲役一年六月及び罰金千円に処する。
     被告人が右罰金を完納することができないときは金百円を一日に換算し
た期間被告人を労役場に留置する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
     本件公訴事実中臨時物資需給調整法違反の点について被告人を免訴する。
         理    由
 被告人A弁護人案田八郎の上告趣意は後記書面のとおりである。
 所論賍物罪についての論旨の一は、要するに被告人の賍物たることの認識につい
て、原審の証拠判断と事実認定を非難するのであつて、適法な上告理由にあたらな
い。また二は、被告人の賍物の認識についての証拠は被告人の自白のみであるとい
う前提の下に原判決の憲法違反を主張するのであるが、賍物罪における贈物である
ことの知情の点については補強証拠を要しないことは当裁判所の判例(昭和二四年
(れ)第八二九号同二五年一一月二九日大法廷判決、刑集四巻一一号二四〇四頁)
とするところであるから、論旨はとることはできない。次に所論詐欺罪についての
論旨は、原判決の証拠の取捨が刑訴手続に違反するという主張であつて、適法な上
告理由にあたらない。そしてわが刑訴法上共同被告人の公判廷における供述が他の
共同被告人に対し全く証拠とならないと解すべきような根拠は存在しない。さらに
刑の量定についての論旨について原判決の量刑は不当であるとはいえない。しかし、
本件公訴事実中臨時物資需給調整法違反の事実(第一審判決摘示第三及び第四の事
実)は、昭和二七年政令第一一七号大赦令により大赦があつたのでこの点において
原判決及び第一審判決は破棄すべきものである。
 よつて刑訴四一一条五号四一三条但書三三七条三号により当裁判所は次のとおり
判決することとする。第一審判決が証拠により確定した判示第一の(1)乃至(3)
の各所為は各刑法二五六条二項罰金等臨時措置法二条三条に、第二の(1)乃至(
3)の各所為は各刑法二四六条一項六〇条にあたるところ右各所為は刑法四五条前
段の併合罪であるから、懲役刑につき同法四七条一〇条に則り判示第一の(3)の
罪の懲役刑に法定の加重をし、罰金刑につき同法四八条に則りその所定刑期及び合
算額の範囲内において被告人を主文第二項掲記のとおり量刑処断し罰金刑の換刑処
分について同一八条、訴訟費用の負担について刑訴一八一条を各適用し、本件公訴
事実中臨時物資需給調整法違反の事実については被告人を免訴すべきものとし主文
のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 吉河光貞出席
  昭和二八年二月二四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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