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平成15年(行ケ)第142号特許取消決定取消請求事件
口頭弁論終結日 平成16年7月23日
判決
原       告    岸本産業株式会社
同訴訟代理人弁理士 大前要
同加藤敬子
被       告    特許庁長官 小川洋
同指定代理人    佐藤健史
同井出隆一
同一色由美子
同涌井幸一
同宮下正之
主文
     1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
 特許庁が異議2001―73187号事件について平成15年2月26日にし
た決定を取り消す。
第2 争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
 原告は,発明の名称を「高強度ポリアミド樹脂組成物及びその製造法」とす
る特許第3169951号(平成2年5月17日出願,平成13年3月16日設定
登録,以下「本件特許」という。)の特許権者である。
 本件特許について,特許異議の申立てがされた(異議2001―73187
号事件)ところ,原告は,平成14年5月28日,本件特許の願書に添付した明細
書の特許請求の範囲等の訂正を請求した。特許庁は,平成15年2月26日,「訂
正を認める。特許第3169951号の請求項1に係る特許を取り消す。」との決
定(以下「本件決定」という。)を行い,その謄本は,同年3月15日,原告に送
達された。
2 特許請求の範囲
 上記訂正後の明細書(甲3中の明細書,以下「本件明細書」という。)の請
求項1の記載は,次のとおりである(以下,この発明を「本件発明」という。)。
(a)1種の脂肪族系結晶性ポリアミド樹脂95~60重量部と,(b)ヘキ
サメチレンジアミン・テレフタール酸/ヘキサメチレンジアミン・イソフタール酸
よりなる共縮合体であって,融点を有せず,ガラス転移点が100℃~200℃で
ある透明な半芳香族非晶性ポリアミド樹脂5~40重量%との混合物100重量部
と,(c)ガラス繊維25~150重量部と,からなる強化ポリアミド樹脂組成
物。
3 本件決定の理由の要旨
 本件決定は,次のとおり,本件発明は,特開平2-120360号公報(甲
4,以下「刊行物1」という。)及び西独国特許公開第3200428号公報(甲
5,以下「刊行物2」という。)に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発
明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定に違反して特許さ
れたものであるとした。
(1) 刊行物1に記載された発明のナイロン6樹脂,ナイロン66樹脂は本件発
明の脂肪族系結晶性ポリアミド樹脂と同一である。また,刊行物1に記載された発
明の芳香族系非晶性ナイロンは,本件発明の(b)ヘキサメチレンジアミン・テレ
フタール酸/ヘキサメチレンジアミン・イソフタール酸よりなる共縮合体であっ
て,融点を有せず,ガラス転移点が100~200℃である透明な半芳香族非晶性
ポリアミド樹脂と同一である。そして,刊行物1の比較例2,3,12,13,1
5には,ナイロン6又はナイロン66と半芳香族非晶性ポリアミドとを60部対4
0部又は80対20部(以上「部」は「重量部」を意味するものと認める。)配合
した例が記載されており,高い剛性等のためにガラス繊維を配合することも記載さ
れている。
(2) そこで,本件発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると,両者は,
1種の脂肪族系結晶性ポリアミド樹脂80又は60重量部と,(b)ヘキサメチレ
ンジアミン・テレフタール酸/ヘキサメチレンジアミン・イソフタール酸よりなる
共縮合体であって,融点を有せず,ガラス転移点が125℃である透明な半芳香族
非晶性ポリアミド樹脂20又は40重量部との混合物にガラス繊維を配合した強化
ポリアミド樹脂組成物である点で一致するが,刊行物1に記載された発明では,ガ
ラス繊維の配合割合が明記されていない点でのみ本件発明と相違する。
(3) この相違点について検討する。
 刊行物2には,部分結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドとの混合物に1
0~60%の強化材を使用すること,強化材としてガラス繊維を用いることが記載
されており,この割合は重量%であると認められるところ,部分結晶性ポリアミド
【この部分に「と非晶性ポリアミドとの混合物」の文言が欠落しているものと認め
る。】100重量部に対して11~150重量部のガラス繊維を配合することとい
えるから,同じ目的で,刊行物1に記載された発明のガラス繊維の配合割合を刊行
物2に記載された範囲を採用して,本件発明のように25~150重量部とするこ
とは当業者が適宜なし得る程度のことである。
 よって,本件発明は,刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者
が容易に発明をすることができたものである。
第3 原告主張に係る本件決定の取消事由の要点
 本件決定は,本件発明と刊行物1に記載された発明との一致点を誤認して相
違点を看過し(取消事由1),相違点についての判断を誤り(取消事由2),ま
た,本件発明の顕著な作用効果を看過した(取消事由3)結果,進歩性の判断を誤
ったものであり,その誤りは本件決定の結論に影響を及ぼすことが明らかであるか
ら,違法として取り消されるべきである。
1 取消事由1(一致点の誤認,相違点の看過)
 本件決定が,刊行物1に記載された発明として認定したのは,刊行物1の比
較例2,3,12,13,15に記載された発明であるところ,本件決定は,上記
比較例には,ガラス繊維を配合することが記載されていないにもかかわらず,本件
発明と刊行物1に記載された発明との一致点として,「ガラス繊維を配合した」点
を誤認し,その結果,両者の相違点を看過したものである。
(1) 刊行物1には,①「本発明の樹脂組成物には,その製品の成形性,物性を
損なわない限りにおいて,酸化防止剤,紫外線吸収剤,滑剤,帯電防止剤,核剤,
離型剤,可塑剤,顔料,難燃剤,増量剤,無機フィラー,繊維状補強剤,他の樹脂
材料等を添加することができる。」(3頁左欄),②「シリンダヘッドカバー,ギ
ヤカバー等のエンジン周辺部品については,制振性能以外に高い剛性と耐熱性が要
求されるため,材料として使用するにあたっては,ガラス繊維,マイカ,ウオラス
トナイト,タルク,カーボン樹脂等のフィラーで補強して用いることが好まし
い。」(3頁左欄~右欄)との記載がある。
 しかしながら,これらの記載は,刊行物1の特許請求の範囲や実施例に記
載された発明についてのものであり,比較例についてのものではない。すなわち,
上記①は,「本発明の樹脂組成物」について述べたものである。また,上記②も,
先行する「本発明に係る樹脂組成物は,その成形製品が,高い制振性能を有し,か
つ機械的特性も優れていることから,自動車部品,電気・機械部品に適用可能であ
り,特に自動車のエンジンルーム内において振動により騒音が発生する製品,例え
ばシリンダヘッドカバー,ギヤカバー,オイルパン等は好適使用例として挙げるこ
とができる。」(3頁左欄)を受けた文章であるから,「本発明に係る樹脂組成
物」について述べたものであることは明白である。
(2) 実験成績証明書(甲8)によれば,ガラス繊維の添加が,制振性能に優れ
た成形部品を得るという刊行物1に記載された発明の目的を著しく阻害すること,
特に,刊行物1の比較例にガラス繊維を配合した場合には,実施例にガラス繊維を
配合した場合よりも,制振性能が劣化する程度が大きいことが明らかであるから,
刊行物1(特に比較例)にガラス繊維を配合することが実質的に記載されていると
はいえない。
 すなわち,10Hz・100℃・dry条件において,ガラス繊維の添加
による損失係数の低下を見ると,刊行物1の実施例6に相当する試料No.7にガ
ラス繊維を40重量部添加したもの(試料No.8)は,45.3%に低下し,ガ
ラス繊維を100重量部添加したもの(試料No.9)は,46.6%に低下す
る。また,同一条件の測定において,刊行物1の比較例2に相当する試料No.4
にガラス繊維を40重量部添加したもの(試料No.5)は43.3%に低下し,
ガラス繊維を100重量部添加したもの(試料No.6)は40.9%に低下す
る。以上のとおり,ガラス繊維の配合により損失係数値が1/2かそれ以下にまで
顕著に低下すること,すなわち,ガラス繊維の添加が,制振性能に優れた成形部品
を得るという刊行物1に記載された発明の目的を著しく阻害することが明らかであ
る。
 また,種々の条件下において,ガラス繊維の添加による損失係数の低下を
見ると,刊行物1の実施例6に相当する試料No.7にガラス繊維を40重量部添
加したもの(試料No.8)は,45.3%~52.3%に低下する。これに対
し,刊行物1の比較例2に相当する試料No.4にガラス繊維を40重量部添加し
たもの(試料No.5)は,40%~47.2%に低下する。以上のとおり,ガラ
ス繊維を添加した場合における損失係数の低下は,試料No.4の方が試料No.
7よりも大きいから,刊行物1の比較例にガラス繊維を配合した場合には,実施例
にガラス繊維を配合した場合よりも,制振性能が劣化する程度が大きいことが明ら
かである。
2 取消事由2(相違点判断の誤り)
 本件決定は,「刊行物1に記載された発明のガラス繊維の配合割合を刊行物
2に記載された範囲を採用して,本件発明のように25~150重量部とすること
は当業者が適宜なし得る程度のことである。」としたが,誤りである。
(1) 本件発明の目的は,耐衝撃性,強靱性,成形加工性のいずれにも優れ,し
かも吸水による物性低下の少ないポリアミド樹脂組成物を提供することである(本
件明細書段落0007)。この目的のために,絶乾時と調湿時における物性値を比
較している(表1~5参照)。
 これに対して,刊行物1に記載された発明の目的は,改良された制振性能
を有する成形部品を得るための新規なポリアミド樹脂組成物を提供することである
(2頁右上欄)。この目的のために,刊行物1は,損失係数を判断基準として各種
樹脂組成物を評価している(表(3~4頁)参照)。なお,刊行物1に記載された
発明は,「機械的強度を有する成形部品を得る」ことをも目的とする旨記載されて
おり,上記表には,引張強度,破断伸び等の物性値も示されているが,これらは補
助的要素であり,損失係数値(制振性能)が同じである場合において,より機械的
強度の大きいものを優先するという程度にすぎないから,実質的には,刊行物1に
記載された発明には,樹脂成形物の機械的強度を向上させるという目的がない。こ
のことは,刊行物1の表において,高い引張強度等を有するにもかかわらず比較例
に分類されているものが多いことによって裏付けられる。
 また,刊行物2に記載された発明の目的は,成形加工性及び表面質感(外
観)に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある(訳文1頁)。この目的を
達成するために,刊行物2は各種樹脂組成物の外観を++(まったく荒れがな
い),+(ほとんど荒れがない),0(端部にオレンジ皮様の構造が見られる),
-(荒れている),--(ひどく荒れている)で評価している(訳文5頁及び表1
参照)。
(2) 以上のとおり,①刊行物1,2に記載された各発明の目的は異なるから,
これらを組み合わせることは困難である。また,②刊行物1,2のいずれにも本件
発明の目的を想起する起因(動機付け)が全くないから,このような刊行物1及び
2に基づいて当業者が本件発明の目的を見いだすことは困難である。さらに,③前
記1(2)のとおり,ガラス繊維の添加が,制振性能に優れた成形部品を得るという刊
行物1に記載された発明の目的を著しく阻害すること,特に,刊行物1の比較例に
ガラス繊維を配合した場合には,実施例にガラス繊維を配合した場合よりも,制振
性能が劣化する程度が大きいことが明らかである以上,刊行物1に記載された発明
に刊行物2におけるガラス繊維の高い配合割合を組み合わせることには,阻害要因
がある。加えて,④刊行物1で用いられているナイロンは,吸湿により剛性が低下
し柔軟になり,吸湿により損失係数の最大値が大きくなる(甲9)ため,吸湿は,
刊行物1に記載された発明の目的(改良された制振性能)の達成にとって必ずしも
マイナス要因ではなく,プラス要因となると考えられ,このことは,刊行物1に接
した当業者が,吸水(吸湿)による物性低下という本件発明の目的に着眼すること
を妨げる。
(3) また,⑤当業者であれば,通常,刊行物1がその技術的目的を達成できな
いものとして排除した比較例の発明に着目することはないから,刊行物1の比較例
に記載された発明は,本件発明の動機付けにはなり得ない。さらに,⑥刊行物1,
2に記載された各発明は,その非晶性ポリアミドが異なる点において相違している
ところ,化学物質は,化学構造が異なると,性質が大きく異なるのが一般であるか
ら,通常,当業者が,このように構成の異なる両発明を組み合わせようとすること
はない。
3 取消事由3(顕著な作用効果の看過)
 本件決定は,本件発明の顕著な作用効果を看過したものである。
(1) 本件発明の目的は,耐衝撃性,強靭性,成形加工性のいずれにも優れ,し
かも吸水による物性低下の少ないポリアミド樹脂組成物を提供することにあり(本
件明細書段落0007等),機械的特性の向上と吸水による物性低下の抑制が同時
に実現されていることこそが,本件発明独自の効果であり,従来技術からは予測で
きない顕著な効果である。
(2) たとえば,刊行物1の比較例2(80重量%のナイロン6と20重量%の
非晶性ナイロンとの混合樹脂組成物)の引張強度は,670kg/cm2
(6.7k
g/mm2
)である。これに対し,本件発明の実施例2(80重量%のナイロン6と
20重量%の非晶性ナイロンとの混合樹脂組成物100重量部に対してガラス繊維
を66.7重量部配合)の引張強度は,絶乾時に23.5kg/mm2
(前者の3.
5倍)であり,調湿時にも19.6kg/mm2
とさほど低下していない。
(3) 実験成績証明書(甲8)の表2からも,そのことは明らかである。
 たとえば,刊行物1の比較例2に相当する試料No.4と,本件発明の実
施品である試料No.5及び試料No.6とを比較すると,本件発明の各種物性値
(機械的強度)が顕著(2.1~7.9倍)に向上していることが明らかである
(試料No.5-dryの曲げ強さは,試料No.4-dryの2.1倍(最小)
であり,試料No.6-wetの曲げ弾性率は,試料No.4-wetの7.9倍
(最大)である。)。
 また,曲げ強さについてみると,PA6(本件発明の脂肪族系結晶性ポリ
アミド樹脂に相当)にX21(本件発明の半芳香族非晶性ポリアミド樹脂に相当)
を配合し,更にガラス繊維を配合すると,w/d(乾燥時の値に対する吸湿時の値
の比)が顕著に向上する相乗効果があることが明らかとなる。例えばPA6にX2
1を配合すると,w/dが0.33(試料No.1)から0.53(試料No.
4)に向上し,更にこれにガラス繊維を40重量%配合すると0.85(試料N
o.5)にまで向上する。これに対し,試料No.10(X21のみ)及びこれに
ガラス繊維を配合した試料No.11,試料No.12の曲げ強さにおけるw/d
はそれぞれ0.95,0.92,0.91であり,ガラス繊維の配合により,むし
ろw/dが低下する傾向が認められる。
第4 被告の反論の要点
 本件決定の判断に誤りはなく,原告の主張する本件決定の取消事由には理由が
ない。
1 取消事由1(一致点の誤認,相違点の看過)について
(1) 一般に,樹脂組成物の技術分野において,その樹脂組成物の物性等を損な
わない限りにおいて,樹脂組成物に繊維状補強剤等を添加することができること,
及び繊維状補強剤としてガラス繊維を使用することは,周知である。
 このような技術常識を前提とすれば,刊行物1には,比較例2,3,1
2,13,15に記載されたナイロン樹脂組成物において,ガラス繊維を配合する
という周知技術を付加したものが実質的に記載されているということができる。
(2) 原告が「ガラス繊維の添加が刊行物1に記載された発明の目的を著しく阻
害する」ことの根拠として挙げる甲8記載の事実は,本件特許を出願した時点では
知られていなかったものであるから,この事実を理由に,刊行物1に「ガラス繊維
を添加すること」が実質的に記載されていないということはできない。
 また,甲8記載の実験例は,特定のガラス繊維を特定のポリアミド組成物
に特定の配合量で用いた例にすぎず,これをもって,刊行物1に記載された発明に
おける繊維状補強材の添加による作用がすべて同様なものであるとすることはでき
ない。
 さらに,刊行物1に記載された発明の目的は,「本発明は,改良された制
振性能とともに,著しく優れた機械的強度を有する成形部品を得るための新規なポ
リアミド樹脂組成物を提供することを目的とする」(2頁右上欄)ものであり,優
れた機械的強度をも目的とするものであるから,そのためにガラス繊維を配合しよ
うとすることは当然である。樹脂組成物の技術分野において,添加剤を配合するこ
とにより,改善される性質もある一方,悪くなる性質もあることは,良く知られて
いることであるから,仮に,刊行物1の比較例2の組成物にガラス繊維を配合する
と,実施例よりも制振性能が劣化する程度が大きいとの傾向があっても,刊行物1
の比較例2,3,12,13,15をみた当業者であれば,その引張強度,引張破
断伸びの値に着目し,優れた機械的特性を有する組成物として認識し,これを使用
しようとすることは当然である。したがって,原告が,損失係数のみに着目して,
ガラス繊維の添加が刊行物1に記載された発明の目的を著しく阻害する旨主張する
のは,失当である。
2 取消事由2(相違点判断の誤り)について
(1) 刊行物1の比較例2,3,12,13,15として記載された発明と刊行
物2に記載された発明とは,ナイロン6又はナイロン66と非晶性ポリアミドとを
配合したポリアミド樹脂組成物である点で軌を一にする発明であるから,刊行物1
に記載された発明におけるガラス繊維の配合割合として,刊行物2に記載のものを
採用することに技術的困難はない。
(2) なお,前記1(2)のとおり,刊行物1に記載された発明は,優れた機械的
強度をも目的とする発明であるから,そのためにガラス繊維を配合しようとするこ
とは当然であり,刊行物1に記載された発明においてガラス繊維を配合することに
阻害要因が存在するとはいえない。
 また,原告が「ナイロンは吸湿により損失係数の最大値が大きくなる」こ
との根拠とする甲9記載の事実は,本件特許出願当時,全く知られていないから,
この事実を理由に,刊行物1に記載された発明と刊行物2に記載された発明とを組
み合わせることに阻害要因があるとする原告の主張は失当である。
3 取消事由3(顕著な作用効果の看過)について
(1) ポリアミド樹脂にガラス繊維を30重量%程度配合することにより引張強
度が向上することはよく知られたことである(乙1)ところ,本件発明の実施例2
は,その近傍の割合のガラス繊維を配合することにより高い引張強さを得たとする
ものにすぎないから,同実施例2の効果は,予測される範囲のものであり,格別な
効果とはいえない。
(2) 原告が本件発明の顕著な効果の根拠とする甲8の中で使用されている試料
1~12の原材料の商品名は,本件明細書中の実施例で使用しているものと商品名
が異なり,その使用割合も本件明細書中の実施例1~3,10~16と異なるか
ら,本件明細書中で記載されている実施例の忠実な実験ということはできない。し
たがって,甲8の結果に基づく原告の主張は失当である。
 仮に,甲8の結果を参酌したとしても,本件発明の効果が格段に優れるも
のであるとか相乗効果であるということはできない。
 すなわち,原告の指摘する甲8の表2中で,試料No.2(PA6(10
0部)に対して,ガラス繊維(40部)配合)における曲げ強さのw/dの値は
0.69であり,ガラス繊維を配合していない試料No.1の値である0.33よ
り大幅に向上している。また,非晶性ポリアミドであるX21自体における曲げ強
さのw/dの値が0.95と高いことは,試料No.10から明らかであり,乙3
にも示唆されていることである。そうであるならば,原告が主張する「PA6にX
21を配合するとw/dの値が0.33から0.53に向上し,さらにこれにガラ
ス繊維を40重量%配合すると0.85にまで向上する」との効果は,予測の範囲
内であり,顕著なものとはいえない。これは,単に非晶性ポリアミドの配合効果に
ガラス繊維の配合効果が加わったものにすぎず,原告の主張するような相乗効果と
はいえない。
 また,上記表中の試料No.10,No.11,No.12のそれぞれの
曲げ強さについてwの値を比べると,13.6,24.7,33と大きく増加して
いるから,仮にw/dの値においてわずかに低下する傾向があるとしても,X21
にガラス繊維を添加すると湿潤時においても機械的特性が改善されることは明らか
である。
第5 当裁判所の判断
1 取消事由1(一致点の誤認,相違点の看過)について
(1) 原告は,「刊行物1中の繊維状補強剤等に関する記載は,刊行物1の特許
請求の範囲や実施例に記載された発明についてのものであり,比較例についてのも
のではない。」旨主張する。
ア 確かに,刊行物1の〔試料作製,測定方法〕欄の表(3~4頁)におけ
る比較例2,3,12,13,15として,ナイロン6又はナイロン66と芳香族
系非晶性ナイロンの2種の樹脂からなる組成物が記載されているが,ガラス繊維を
成分として含む組成物は記載されていない。
 また,刊行物1には,繊維状補強剤,ガラス繊維等の添加に関して,
「本発明の樹脂組成物には,その製品の成形性,物性を損なわない限りに
おいて,酸化防止剤,紫外線吸収剤,滑剤,帯電防止剤,核剤,離型剤,可塑剤,
顔料,難燃剤,増量剤,無機フィラー,繊維状補強剤,他の樹脂材料等を添加する
ことができる。
 本発明に係る樹脂組成物は,その成形製品が,高い制振性能を有し,か
つ機械的特性も優れていることから,自動車部品,電気・機械部品に適用可能であ
り,特に自動車のエンジンルーム内において振動により騒音が発生する製品,例え
ばシリンダヘッドカバー,ギヤカバー,オイルパン等は好適使用例として挙げるこ
とができる。
 シリンダヘッドカバー,ギヤカバー等のエンジン周辺部品については,
制振性能以外に高い剛性と耐熱性が要求されるため,材料として使用するにあたっ
ては,ガラス繊維,マイカ,ウオラストナイト,タルク,カーボン樹脂等のフィラ
ーで補強して用いることが好ましい。」(3頁左欄~右欄)
との記載がある。ガラス繊維等の添加に関するこれら記載は,その文脈か
ら,「本発明の樹脂組成物」,すなわち,刊行物1の特許請求の範囲に記載された
発明に関するものであって,比較例に関するものではないことが明らかである。
 そうすると,刊行物1には,比較例2,3,12,13,15にガラス
繊維を配合することが明記されているとはいえない。
イ しかしながら,当業者が刊行物に接すれば,刊行物に明記された事項の
みならず,明記されている事項から当該刊行物の頒布時における技術常識を参酌す
ることにより導き出すことができる事項をも,刊行物に記載された発明として把握
することができることは明らかである。
 しかるに,証拠(乙1)によれば,ナイロン樹脂にガラス繊維を添加す
ると引張り強さ,曲げ強さ,曲げ剛性が大きくなり(機械的強度の向上),熱変形
温度が高くなり(耐熱性の向上),線膨張係数が小さくなる(寸法安定性の向上)
ことが広く知られていることが認められるから,刊行物1の比較例2,3,12,
13,15のように,ナイロン樹脂(脂肪族ポリアミド)に他の樹脂を加えた樹脂
組成物が記載されている場合,同樹脂組成物について機械的強度等の物性を改善す
るために更にガラス繊維を加えることは,当業者が普通に導き出すことができる程
度のものと認められる。
 したがって,本件発明と刊行物1に記載された発明との一致点として,
「ガラス繊維を配合した」点を認定した本件決定の認定に誤りはなく,原告の取消
事由1の主張は理由がない。
(2) これに対し,原告は,「実験成績証明書(甲8)によれば,ガラス繊維の
添加が,刊行物1に記載された発明の目的(改良された制振性能)を著しく阻害す
ること,特に,刊行物1の比較例にガラス繊維を配合した場合には,実施例にガラ
ス繊維を配合した場合よりも,阻害の程度が大きいことが明らかであるから,刊行
物1(特に比較例)にガラス繊維を配合することが実質的に記載されているとはい
えない。」旨主張する。
ア しかしながら,甲8は本件訴訟提起後に作成されたものであって,そこ
に記載された内容は,本件特許出願当時に周知であったものでないから,本件特許
出願当時に刊行物1に接した当業者が刊行物1に記載された発明をどのように把握
するかを検討するに際して,甲8記載の事項が影響を与えるものとはいえない。し
たがって,原告の上記主張は理由がない。
イ なお,念のため,甲8記載の実験結果について検討しても,ガラス繊維
の添加が刊行物1に記載された発明の目的を著しく阻害することを示すものという
ことはできない。
 すなわち,甲8記載の各試料の構成は,別紙のとおりである(なお,P
A6,PA66は,それぞれ本件発明の脂肪族系結晶性ポリアミド樹脂に相当し,
X21は,本件発明の半芳香族非晶性ポリアミド樹脂に相当する。)ところ,原告
の指摘するとおり,10Hz・100℃・dry条件における損失係数は,試料N
o.4が0.171,試料No.5が0.074,試料No.6が0.070,試
料No.7が0.161,試料No.8が0.073,試料No.9が0.075
であるから,試料No.4(刊行物1の比較例2に相当)に比べて,ガラス繊維を
40重量部添加した試料No.5は43.3%,100重量部添加した試料No.
6は40.9%となり,また,試料No.7(刊行物1の実施例6に相当)に比べ
て,ガラス繊維を40重量部添加した試料No.8は45.3%,100重量部添
加した試料No.9は46.6%となる。
 また,上記測定条件を変化させた下で,試料No.4(刊行物1の比較
例2に相当)に比べて,ガラス繊維を40重量部添加した試料No.5の損失係数
は,40%~47.2%に低下し,試料No.7(刊行物1の実施例6に相当)に
比べて,ガラス繊維を40重量部添加した試料No.8の損失係数は,45.3%
~52.3%に低下する。
 しかるに,上記のとおりのガラス繊維の添加による制振性能(損失係
数)の低下は,いずれも1/2程度の範囲のものである。また,刊行物1の実施例
6のものにくらべ,比較例2のものの制振性能の低下率は,若干大きいものの,そ
の差はわずか5%程度にすぎない。
 そして,刊行物1に記載された発明の目的は,「本発明は,改良された
制振性能とともに,著しく優れた機械的強度を有する成形部品を得るための新規な
ポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする」(2頁右上欄)というもので
あり,優れた機械的強度も同発明の目的となっている。また,そもそも,樹脂組成
物における優れた機械的強度の達成は,上記記載を待つまでもなく,周知の目的で
あることが明らかである。
 そうすると,前記(1)のとおり,ナイロン樹脂にガラス繊維を添加すると
機械的強度等の物性が向上することが周知である以上,上記の程度の制振性能の低
下は,当業者がガラス繊維を添加することを断念するほど大きなものとは到底いう
ことができず,強度等の物性と制振性能の両者にどのようなバランスをおくかによ
って,適宜ガラス繊維の添加の有無及びその量を選択できる程度のものにすぎない
というべきである。したがって,「甲8によれば,ガラス繊維の添加が,刊行物1
に記載された発明の目的を著しく阻害することが明らかである」ということはでき
ない。
2 取消事由2(相違点判断の誤り)について
(1) 原告は,「刊行物1に記載された発明のガラス繊維の配合割合を刊行物2
に記載された範囲を採用して,本件発明のように25~150重量部とすることは
当業者が適宜なし得る程度のことである。」との本件決定の判断が誤りである旨主
張する。
 しかしながら,刊行物1の比較例2,3,12,13,15として記載さ
れた発明と刊行物2に記載された発明とは,ナイロン6又はナイロン66と非晶性
ポリアミドとを配合したポリアミド樹脂組成物である点で共通のものであって,極
めて類似した構成のものというべきである。また,前記1(1)のとおり,ナイロン樹
脂にガラス繊維を添加すると機械的強度等の物性が向上することは周知である。そ
うである以上,刊行物1ではガラス繊維の配合割合が明記されていない点につい
て,その配合割合として刊行物2記載のものを採用することは,当業者であれば容
易になし得ることであり,そのことに何らの阻害要因もないというべきである。
 したがって,原告の取消事由2の主張も理由がない。
(2)ア これに対し,原告は,「①刊行物1,2記載の各発明の目的は異なるか
ら,両発明を組み合わせることは困難である。また,②刊行物1,2のいずれにも
本件発明の目的(吸水による物性低下の防止)を想起する動機付けがないから,こ
れらに基づいて当業者が本件発明の目的を見いだすことは困難である。」旨主張す
る。
 しかしながら,刊行物1,2の各発明の目的が異なるものであっても,
上記(1)のとおり,刊行物1,2に記載された各発明の構成が極めて類似したもので
ある以上,当業者にとって,それらを組み合わせて本件発明の構成を想到すること
が困難であるとは到底いうことができない。また,刊行物1,2に記載された各発
明を組み合わせて本件発明の構成を想到することが容易である以上,刊行物1,2
に本件発明の目的の記載がなくても,本件発明の容易想到性の判断を何ら左右する
ものとはいえない。
イ また,原告は,「③ガラス繊維の添加が,制振性能に優れた成形部品を
得るという刊行物1に記載された発明の目的を著しく阻害することが明らかである
以上,刊行物1に記載された発明に刊行物2におけるガラス繊維の高い配合割合を
組み合わせることには,阻害要因がある。」旨主張する。
 しかしながら,前記1(2)のとおり,原告が上記主張の根拠とする甲8に
記載された内容は,本件特許出願当時に周知であったものでないから,本件特許出
願当時に当業者が刊行物1,2に記載された各発明を組み合わせることの容易想到
性を検討するに際して,甲8記載の事項が影響を与えるものとはいえない。また,
甲8に記載された程度の制振性能の低下は,当業者がガラス繊維を添加することを
断念するほど大きなものとは到底いうことができず,ガラス繊維の添加が刊行物1
に記載された発明の目的を著しく阻害するものということはできない。
ウ さらに,原告は,「④刊行物1で用いられているナイロンは,吸湿によ
り剛性が低下し柔軟になり,吸湿により損失係数の最大値が大きくなる(甲9)た
め,吸湿は,刊行物1記載の発明の目的(改良された制振性能)の達成にとって必
ずしもマイナス要因ではなく,プラス要因となると考えられ,このことは,刊行物
1に接した当業者が,吸水(吸湿)による物性低下という本件発明の目的に着眼す
ることを阻害する要因となる。」旨主張する。
 しかしながら,原告が上記主張の根拠とする甲9は,本件訴訟提起後に
作成されたものであって,そこに記載された内容は,本件特許出願当時に周知であ
ったものでないから,本件特許出願当時に刊行物1に接した当業者が刊行物1,2
に記載された各発明を組み合わせることの容易想到性を検討するに際して,甲9記
載の事項が影響を与えるものとはいえない。
 また,原告の上記主張は,刊行物1記載の発明の目的が制振性能の改良
のみであるとして,制振性能(損失係数)の観点のみに着目するものであるが,前
記1(2)のとおり,刊行物1に記載された発明は,改良された制振性能のみならず,
優れた機械的強度をも目的とするものであるから,原告の上記主張は,その前提を
欠き,理由がない。
 さらに,仮に,刊行物1には,吸水(吸湿)による物性低下という本件
発明の目的の示唆がないとしても,前記(1)のとおり,刊行物1の比較例発明と刊行
物2発明とは,極めて類似した構成のものであって,これらを組み合わせて本件発
明の構成とすることは当業者であれば容易になし得ることである以上,本件発明の
目的の示唆がなくても,容易想到性の判断を何ら左右するものとはいえない。
エ 加えて,原告は,「⑤当業者は,通常,刊行物1がその技術的目的を達
成できないものとして排除した比較例の発明に着目することはないから,刊行物1
の比較例に記載された発明は,本件発明の動機付けにはなり得ない。」旨主張す
る。
 しかしながら,当業者であれば,刊行物中の実施例ではなく比較例に係
る発明であっても,それが問題とされている技術分野に属するものであれば,当然
これを自らの知識とすることができるものというべきであるから,刊行物1の比較
例に係る発明が本件発明の動機付けにならないということはできない。
オ また,原告は,「⑥刊行物1,2に記載された各発明とは,その非晶性
ポリアミドが異なる点において相違しているから,通常,当業者が,このように構
成の異なる両発明を組み合わせようとすることはない。」旨主張する。
 しかしながら,前記(1)のとおり,両発明は,極めて類似した構成のもの
というべきであるから,これらを組み合わせることは当業者であれば容易になし得
ることというべきである。
3 取消事由3(顕著な作用効果の看過)について
(1) 原告は,「機械的特性の向上と吸水による物性低下の抑制とが同時に実現
されていることこそが,本件発明の顕著な効果である。」旨主張する。
 しかしながら,前記1(1)のとおり,ナイロン樹脂にガラス繊維を添加する
と機械的強度等の物性が向上することは周知の技術的事項であり,かつ,刊行物1
にも,高い剛性のためにガラス繊維等のフィラーにより補強することが記載されて
いるから,ガラス繊維の添加による機械的特性の向上は,予測可能な効果にすぎな
い。
 また,「ノバミッドX21」が本件発明の半芳香族非晶性ポリアミド樹
脂に相当することは,当事者間に争いがないところ,証拠(乙3)によれば,「ノ
バミッドX21」は,「絶乾下」に比較した「吸水下」での機械的物性が維持さ
れることが広く知られていると認められるから,かかる半芳香族非晶性ポリアミド
樹脂を加えたことにより,吸水による物性低下の抑制という効果が得られること
は,予測可能な程度のものにすぎない。
(2) 原告は,「刊行物1の比較例2(80重量%のナイロン6と20重量%の
非晶性ナイロンとの混合樹脂組成物)の引張強度は,6.7kg/mm2
である。こ
れに対し,本件発明の実施例2(80重量%のナイロン6と20重量%の非晶性ナ
イロンとの混合樹脂組成物100重量部に対してガラス繊維を66.7重量部配合
)の引張強度は,絶乾時に23.5kg/mm2
(前者の3.5倍)であり,調湿時
にも19.6kg/mm2
とさほど低下していない。」として,本件発明の顕著な効
果を主張する。
 しかしながら,前記1(1)のとおり,ナイロン樹脂にガラス繊維を添加する
と機械的強度が向上することは周知の技術的事項であり,たとえば,証拠(乙1)
によれば,ナイロン6にガラス繊維を30重量%添加することにより,引張強度が
約2.2倍(17.2/7.8)に増加することが認められるから,ガラス繊維の
添加量を考慮すれば,原告の主張する程度の引張強度の増加は,予測可能な程度の
ものにすぎないというべきである。
(3) 原告は,実験成績証明書(甲8)に基づき,「刊行物1の比較例2に相当
する試料No.4と,本件発明の実施品である試料No.5及び試料No.6とを
比較すると,本件発明の各種物性値(機械的強度)が顕著(2.1~7.9倍)に
向上していることが明らかである。」旨主張する。
 甲8における試料No.4は,脂肪族系結晶性ポリアミド樹脂6(80重
量%)及び半芳香族非晶性ポリアミド樹脂(20重量%)を配合したもの,試料N
o.5は,試料No.4のものにガラス繊維(40重量%)を配合したもの,試料
No.6は,試料No.4のものにガラス繊維(100重量%)を配合したもので
ある。
 しかるに,前記1(1)のとおり,ナイロン樹脂にガラス繊維を添加すると機
械的強度が向上することは周知の技術的事項であり,たとえば,証拠(乙1)によ
れば,ナイロン6にガラス繊維を30重量%添加することにより,引張強度が2.
2倍(17.2/7.8)に,曲げ強さが2倍(25/12.5)に,曲げ剛性が
3.2倍(8.0/2.5)にそれぞれ増加することが認められるから,ガラス繊
維の添加量を考慮すれば,原告の主張する程度の機械的強度の増加は,予測可能な
程度のものにすぎないというべきである。
(4) 原告は,実験成績証明書(甲8)に基づき,「曲げ強さのw/dを比較す
れば,ナイロン6に半芳香族非晶性ポリアミド樹脂を配合し,更にガラス繊維を配
合すると,w/dが顕著に向上する相乗効果があることが明らかとなる。」旨主張
する。
 甲8記載の各試料の構成は,別紙のとおりであるところ,試料No.1な
いし9の曲げ強さのw/d(乾燥時の値に対する吸湿時の値の比)は,順に,0.
33,0.69,0.72,0.53,0.85,0.85,0.61,0.8
6,0.86である。
 上記結果によれば,本件発明の実施品に該当する試料No.5,No.6
においては,w/dがいずれも0.85となっており,w/dの低下が抑制されて
いるということができる。しかしながら,脂肪族系結晶性ポリアミド樹脂を2種併
用する試料No.8,No.9(刊行物1発明の実施例6の組成物にガラス繊維を
添加したもの)においても,w/dはいずれも0.86となっており,w/dの低
下は,試料No.5,No.6と同様に抑制されている。そうすると,本件発明に
おけるw/dの向上効果は,刊行物1発明に比べて顕著なものとは到底いうことが
できない。
(5) したがって,原告の取消事由3の主張も理由がない。
4 結論
 以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,他に本件決定を
取り消すべき瑕疵は見当たらない。
 よって,原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文
のとおり判決する。
  東京高等裁判所知的財産第1部
    裁判長裁判官    北  山  元  章
   裁判官      青  柳     馨
         裁判官   沖  中  康  人
(別紙)
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